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第一章:幼少期編~悪役令嬢と破滅イベント~
第十五話~犯人はお前だ、ってえぇ……~
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このままでは追放されてしまう。死なないだけましかもしれないけど、6歳児がどうやって一人で生きていけばいいっていうのよ。
よくて奴隷、最悪野垂れ死ぬ。そんなのは嫌だ。
ちょっとだけ話を整理しよう。
今まで話し合っていた内容は、私の部屋で起こった人形バラバラ事件について発見者としての話を聞きたいということだった。
そこで私は、アンの盗撮写真を見せびらかせて、アンに何か見ていないか問いただすつもりだった。
なんやかんやで、人形が実は破けていたことが発覚する。
晴れて、好意でバラバラにしたんじゃないと分かったが、次は直そうとしてバラバラにしてしまったという疑いがかけられてしまった。
大体こんなものだろう。ここまでの情報提供、ほぼ私だけどなっ! 畜生……。
ってあれ? 今までの話を整理して不思議に思ったことがある。
それはーーーー
「私が直そうとしたとして、道具はどこから持ってくるの」
そう、そこなのだ。いくら簡単に直せそうなぬいぐるみでも道具がなければ直すことはできない。
私は自分で言うのもなんだけど、生粋のお嬢様。お嬢様が針で人形を直すなんてことするのだろうか。少なくとも、6歳児にはさせないと思う。となるとーー。
「私が直そうとしたと考えるよりも、誰かが侵入して直そうとしたところ、バラバラになったと考えたほうが正しいんじゃないのかしら」
そう発言したら、ディランが反論してきた。すごく当たり前のことだったけど、なるほどと納得してしまう。
「お嬢さま、それはさすがに無理があると思うのです。事件が起こったのは夜です。明かりをつけて作業をするのが普通でしょう。長時間明かりがついていたら、お嬢様は目を覚ますのではありませんか? ですがお嬢様はそのことを覚えていない……。これはおかしくないでしょうか」
「確かにそうよね。近くで誰かが長時間何かしていれば、一回ぐらい目を覚ましていもいいわ」
でも、なんで私が目を覚まさなかったのかが分からなかった。ただ単に眠りが深かったとも考えられる。むむ、あと一歩何かが足りない。なにか、何か見落としがないだろうか。
「ヘンリーよ。ほかに意見はないか」
頭を抱えて悩んでいると、お父様が静かにそういった。このまま何も言えなかったら、私はこの屋敷を追放される。処刑されないだけまだましかもしれないけど……。
もうだめかもしれない。そう思ったらひとみに涙がたまってくるのを感じた。
まだ、まだ何かあるはず……。
「あ、あの~」
希望の光が見えた。エロメイドことケセラが静かに手を挙げる。
皆がケセラに視線を向けるなか、なぜかメイド服が弾け飛んだ。
「きゃあああああああ、なんでぇっ!」
今そういうのいいからっ! タイミングを考えてよっ!
希望が一瞬にして絶望に変わったような気がした。
っは、もう終わりかな……。
「あらあら、このエロメイドは何を考えているのかしら~。いきなり服を弾け飛ばすなんて……死にたいの?」
「ひぇ、違います奥方様。なぜかメイド服が弾け飛んだんですってそうじゃなくて、私が気になったのは、お嬢様が見せてくれた盗撮写真のことですっ!」
盗撮写真って……アンの宝物のアレ? 今更あれがなんだっていうの。
「お嬢様は服をはだけさせても起きていませんでした。私は小さいときからお嬢様のことを知っています。あんな変態的行動を受け入れるはずがないんです。でもお嬢様は写真を撮られていますよね。きっとそれほどぐっすり寝ていたんだと思うのです。今回もそれと同じで、お嬢様はぐっすり寝ていたとしたら、別の誰かの犯行も考えられますよね」
「そ、それだっ!」
盗撮写真を撮られていた時もそうだったけど、私はなぜか悪戯されても起きなかった。ということは、起きないように何かされていたと考えるべきだったんだ。
最近、何か重要な話を聞いたような気がする。思い出せ、思い出すんだっ!
目を閉じ、調査中の時に訊いた話を思い出す。
そして、ある人の証言を思い出した。
「お母様、最近何かなくしましたよね」
「ええ、象も一瞬で殺せる睡眠薬をなくしたけど、それが何か?」
「そ、それだぁぁぁぁぁぁぁっぁ」
お母様に指をさして私は大声で叫んだ。睡眠薬、そう、睡眠薬だ。私が薬で眠らされていたとしたら、どうだろうか。
薬だったら起きられないのも仕方がないと思う。
そうなると、犯人はあいつしかいない。
「今回人形をバラバラにした犯人は、アン、あんたじゃないの」
「な、何を言うのですかお嬢様。私はそんなことしていませんっ!」
「だって、この中で盗撮をしてるのはあなただけよ。ほかにだれがいるっていうのよ」
「そ、そんなのディランや奥方様だってっ!」
アンがそういうと、二人はさっと視線をそらした。
もしかして、睡眠薬の使用用途がそれですか。でも、ディランはゼバスにぞっこんだし、お母様もお父様一筋だから私に何かするなんて考えられないんだけど。
「それに、私が盗撮していたとして、睡眠薬を盛ったという証拠がないですよ。私は睡眠薬を持ってませんし、お嬢様が特別疲れた時しかえっちぃ写真を撮りませんっ!」
そんなこと、大声で叫ばないでほしい。
だが、アンは墓穴を掘った。私には決定的な証拠がある。
「アン、これを見なさいっ!」
私がアンに見せつけたもの、それはアンの宝物入れもといい、黒い何かに入っていた白い粉だった。
お母様の証言と結び付けてこれが何か早く思いついていればこんなことにならなかったさ。
「これはアンの黒い何かに入っていた睡眠ーー」
「ああ、私の麻薬ですねっ!」
「っておい、これマジで麻薬なのっ!」
私今、とんでもないものを持っているのではないだろうか。
そう思ったら、手がだんだん震えてきた。前世の記憶には、麻薬は持っているだけで犯罪になるという。
というかそば付きメイドがそんな危ないものを持っていちゃダメじゃないっ!
麻薬をやっている危ないメイドをジト目で睨みつけながら、私はどうしたものかと再び悩む。だけどあっさり解決した。
これが麻薬かどうか、本当のことがわかる人がいるじゃないか。
「お母様、これは本当に麻薬なんですかっ!」
「あら~、どれどれ~、ふむ~」
私から白い粉を受け取ったお母様は、それをじっくりと眺めて唸り始める。
麻薬かどうか、見てわかるものなのだろうか。ふつうはわからないと思う。
「確かに……これは麻薬だわ」
本当に麻薬だったっ! どうしよう、このあまじゃ私は……。
「あら? ヘンリーは何か勘違いしているみたいね。麻薬っていうのは混迷、昏睡、痛みに対する無感覚を誘発する麻薬性鎮痛薬をさすのが普通よ。依存性があったり、使い方によっては危険なため、国として使用が制限されているわ。だけど、たまに違法な使い方をしている人や、精神的な異常を誘発させる危ない薬を使用している人がいる為、使用制限、または使用禁止の意味を持った麻薬って言い方をしているに過ぎないの。ぶっちゃけ麻薬って薬よ? 医療機関で普通に使われているじゃない」
「……え? って、それじゃあアンは違法なことをしているんじゃ……」
「あらヘンリー。知らなかったの? アンは薬学に精通していて、取り扱い免許を持っているわよ。確か、最年少で取得した神童とか呼ばれていたわね」
アンがリアル天才だった件について。
というか、アンってそんなにすごかったのっ! 私的には馬鹿でアホで屑な駄メイドにしか見えないんだけどっ!
私は思わずアンを見てしまった。
「てへっ! お嬢様のために頑張っちゃいました!」
「う、嘘だ…………」
あまりにもすごい事実を知ってしまったために、思わずあとずさりしてしまう。
確かに、馬鹿と天才は紙一重というが、ここまで馬鹿みたいなやつが実は天才的だったって、ある意味で衝撃的だ。
狼狽える私とは違い、お母様はじっくりとアンの麻薬を眺めている。そして、ぼそりとつぶやいた。
「あらあら、これは人を昏睡状態にさせる麻薬だわ。依存性はなく、匂いも苦みもない。医療機関でよく使われるタイプね。ついでに犯罪なんかにも……」
それ、やばい薬だよね。って、これは犯人確定じゃん。もうあいつしか考えられない……。
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ちょっとだけ話を整理しよう。
今まで話し合っていた内容は、私の部屋で起こった人形バラバラ事件について発見者としての話を聞きたいということだった。
そこで私は、アンの盗撮写真を見せびらかせて、アンに何か見ていないか問いただすつもりだった。
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晴れて、好意でバラバラにしたんじゃないと分かったが、次は直そうとしてバラバラにしてしまったという疑いがかけられてしまった。
大体こんなものだろう。ここまでの情報提供、ほぼ私だけどなっ! 畜生……。
ってあれ? 今までの話を整理して不思議に思ったことがある。
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「私が直そうとしたとして、道具はどこから持ってくるの」
そう、そこなのだ。いくら簡単に直せそうなぬいぐるみでも道具がなければ直すことはできない。
私は自分で言うのもなんだけど、生粋のお嬢様。お嬢様が針で人形を直すなんてことするのだろうか。少なくとも、6歳児にはさせないと思う。となるとーー。
「私が直そうとしたと考えるよりも、誰かが侵入して直そうとしたところ、バラバラになったと考えたほうが正しいんじゃないのかしら」
そう発言したら、ディランが反論してきた。すごく当たり前のことだったけど、なるほどと納得してしまう。
「お嬢さま、それはさすがに無理があると思うのです。事件が起こったのは夜です。明かりをつけて作業をするのが普通でしょう。長時間明かりがついていたら、お嬢様は目を覚ますのではありませんか? ですがお嬢様はそのことを覚えていない……。これはおかしくないでしょうか」
「確かにそうよね。近くで誰かが長時間何かしていれば、一回ぐらい目を覚ましていもいいわ」
でも、なんで私が目を覚まさなかったのかが分からなかった。ただ単に眠りが深かったとも考えられる。むむ、あと一歩何かが足りない。なにか、何か見落としがないだろうか。
「ヘンリーよ。ほかに意見はないか」
頭を抱えて悩んでいると、お父様が静かにそういった。このまま何も言えなかったら、私はこの屋敷を追放される。処刑されないだけまだましかもしれないけど……。
もうだめかもしれない。そう思ったらひとみに涙がたまってくるのを感じた。
まだ、まだ何かあるはず……。
「あ、あの~」
希望の光が見えた。エロメイドことケセラが静かに手を挙げる。
皆がケセラに視線を向けるなか、なぜかメイド服が弾け飛んだ。
「きゃあああああああ、なんでぇっ!」
今そういうのいいからっ! タイミングを考えてよっ!
希望が一瞬にして絶望に変わったような気がした。
っは、もう終わりかな……。
「あらあら、このエロメイドは何を考えているのかしら~。いきなり服を弾け飛ばすなんて……死にたいの?」
「ひぇ、違います奥方様。なぜかメイド服が弾け飛んだんですってそうじゃなくて、私が気になったのは、お嬢様が見せてくれた盗撮写真のことですっ!」
盗撮写真って……アンの宝物のアレ? 今更あれがなんだっていうの。
「お嬢様は服をはだけさせても起きていませんでした。私は小さいときからお嬢様のことを知っています。あんな変態的行動を受け入れるはずがないんです。でもお嬢様は写真を撮られていますよね。きっとそれほどぐっすり寝ていたんだと思うのです。今回もそれと同じで、お嬢様はぐっすり寝ていたとしたら、別の誰かの犯行も考えられますよね」
「そ、それだっ!」
盗撮写真を撮られていた時もそうだったけど、私はなぜか悪戯されても起きなかった。ということは、起きないように何かされていたと考えるべきだったんだ。
最近、何か重要な話を聞いたような気がする。思い出せ、思い出すんだっ!
目を閉じ、調査中の時に訊いた話を思い出す。
そして、ある人の証言を思い出した。
「お母様、最近何かなくしましたよね」
「ええ、象も一瞬で殺せる睡眠薬をなくしたけど、それが何か?」
「そ、それだぁぁぁぁぁぁぁっぁ」
お母様に指をさして私は大声で叫んだ。睡眠薬、そう、睡眠薬だ。私が薬で眠らされていたとしたら、どうだろうか。
薬だったら起きられないのも仕方がないと思う。
そうなると、犯人はあいつしかいない。
「今回人形をバラバラにした犯人は、アン、あんたじゃないの」
「な、何を言うのですかお嬢様。私はそんなことしていませんっ!」
「だって、この中で盗撮をしてるのはあなただけよ。ほかにだれがいるっていうのよ」
「そ、そんなのディランや奥方様だってっ!」
アンがそういうと、二人はさっと視線をそらした。
もしかして、睡眠薬の使用用途がそれですか。でも、ディランはゼバスにぞっこんだし、お母様もお父様一筋だから私に何かするなんて考えられないんだけど。
「それに、私が盗撮していたとして、睡眠薬を盛ったという証拠がないですよ。私は睡眠薬を持ってませんし、お嬢様が特別疲れた時しかえっちぃ写真を撮りませんっ!」
そんなこと、大声で叫ばないでほしい。
だが、アンは墓穴を掘った。私には決定的な証拠がある。
「アン、これを見なさいっ!」
私がアンに見せつけたもの、それはアンの宝物入れもといい、黒い何かに入っていた白い粉だった。
お母様の証言と結び付けてこれが何か早く思いついていればこんなことにならなかったさ。
「これはアンの黒い何かに入っていた睡眠ーー」
「ああ、私の麻薬ですねっ!」
「っておい、これマジで麻薬なのっ!」
私今、とんでもないものを持っているのではないだろうか。
そう思ったら、手がだんだん震えてきた。前世の記憶には、麻薬は持っているだけで犯罪になるという。
というかそば付きメイドがそんな危ないものを持っていちゃダメじゃないっ!
麻薬をやっている危ないメイドをジト目で睨みつけながら、私はどうしたものかと再び悩む。だけどあっさり解決した。
これが麻薬かどうか、本当のことがわかる人がいるじゃないか。
「お母様、これは本当に麻薬なんですかっ!」
「あら~、どれどれ~、ふむ~」
私から白い粉を受け取ったお母様は、それをじっくりと眺めて唸り始める。
麻薬かどうか、見てわかるものなのだろうか。ふつうはわからないと思う。
「確かに……これは麻薬だわ」
本当に麻薬だったっ! どうしよう、このあまじゃ私は……。
「あら? ヘンリーは何か勘違いしているみたいね。麻薬っていうのは混迷、昏睡、痛みに対する無感覚を誘発する麻薬性鎮痛薬をさすのが普通よ。依存性があったり、使い方によっては危険なため、国として使用が制限されているわ。だけど、たまに違法な使い方をしている人や、精神的な異常を誘発させる危ない薬を使用している人がいる為、使用制限、または使用禁止の意味を持った麻薬って言い方をしているに過ぎないの。ぶっちゃけ麻薬って薬よ? 医療機関で普通に使われているじゃない」
「……え? って、それじゃあアンは違法なことをしているんじゃ……」
「あらヘンリー。知らなかったの? アンは薬学に精通していて、取り扱い免許を持っているわよ。確か、最年少で取得した神童とか呼ばれていたわね」
アンがリアル天才だった件について。
というか、アンってそんなにすごかったのっ! 私的には馬鹿でアホで屑な駄メイドにしか見えないんだけどっ!
私は思わずアンを見てしまった。
「てへっ! お嬢様のために頑張っちゃいました!」
「う、嘘だ…………」
あまりにもすごい事実を知ってしまったために、思わずあとずさりしてしまう。
確かに、馬鹿と天才は紙一重というが、ここまで馬鹿みたいなやつが実は天才的だったって、ある意味で衝撃的だ。
狼狽える私とは違い、お母様はじっくりとアンの麻薬を眺めている。そして、ぼそりとつぶやいた。
「あらあら、これは人を昏睡状態にさせる麻薬だわ。依存性はなく、匂いも苦みもない。医療機関でよく使われるタイプね。ついでに犯罪なんかにも……」
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