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第十七話~カルディナ村3~
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ーーールーディア王国 カルディナ村
「俺は来栖奏太だ。よろしくな」
ティーナに簡単に自己紹介をした後、三人で行動することにした。このまま家に向かうらしく、ティーナが先頭を歩いて、俺とミーナがその後ろをついていく。
「騒がしい妹でごめんね」
「別に大丈夫だよ。元気があるのはいいことじゃないか」
「そりゃそうだけど」
突然抱き着くぐらいに元気があるティーナを見て、ミーナはちょっとだけ苦笑いをした。
先ほどティーナを受け止めたおなかのあたりを擦っている。
「あんまり元気すぎるとこっちの身が持たないよ」
「なに、甘えているだけだろ。たまにしか会えないんだったら、それぐらいのスキンシップ、我慢するしかない」
「だったら奏太が受け止めてみる」
「それだけはマジで勘弁してくれ」
ミーナの言葉を聞いて、ちょっとだけ想像してしまった。そのせいか、鳥肌が立ち、寒気を感じる。
相変わらず、女性がダメなんだと実感してしまい、溜息を吐いた。
「お姉ちゃん、奏太さんっ! 遅いですよ。ちゃんとはぐれないようについてきて」
「はいはい、ちゃんとついていってるよ……って、家に行くんだよね。私も場所知ってるから迷子にならないよっ!」
「あははは、そりゃそうだ」
くすりと笑うミーナに満面の笑みを浮かべるティーナ。二人の表情がどことなく似ていて、やっぱり姉妹なんだなと感じた。
こんな感じにたわいもない話をしながら村を進んでいくと、木造の一軒家が見えてきた。茜色に染まった空の下に建つ木造の一軒家がすごく絵になる。
これを写真にとってコンテストにでも出せば、そこそこいい順位をとれるのではないだろうか。
「二人とも、早くっ! 暗くなったら危ないんだから。ね、早く早く」
「ちょっと、せかさないでよ。ごめんね奏太。ティーナが慌ただしくて」
「別にいいよ。それに、暗くなると周りが見えなくなるから、早く家に戻ったほうがいいのも事実だよ」
「それもそうね」
俺とミーナは、少し先に進んでしまったティーナの元に駆け足で向かった。そして一緒に並びながら家まで歩いていく。
「ここが私たちのお家よ。さあ上がって」
「おう、ありがとな」
「お姉ちゃんも早く早く」
「もう家の前なんだからあわてないでよ」
ティーナに案内されて、家の中に入った。ミーナはそれに続いて家の中に入る。
家の中がとても暗い。日が完全に落ちてしまったらしい。
後ろからとても大きな音が鳴った。
「ちょっと、ティーナっ! 入口のドアはもうちょっとゆっくり閉めなさい」
「ごめんなさい。でも、陽が落ちちゃったから」
「そんなの関係ないでしょう」
「あ、えっと…………はい」
それからティーナは、しょんぼりと肩を落とし、扉をガチャガチャといじっていた。
何をしているのか、真っ暗でよく見えない。
ふわっと、後ろから明かりが俺たちを照らした。ミーナが明かりをつけてくれたようだ。
明かりが部屋を照らし、ティーナが何をしていたのかよく見えた。
ティーナはドアに厳重な鍵をかけていた。まるで金庫のカギをかけるように。家の鍵なのになぜそこまで厳重にしなければならないのだろうか。
ミーナもそれに気が付き、首を傾げる。
「ねぇティーナ。前に帰った時はそんな鍵ついてなかったと思うんだけど」
「最近何かと物騒だから。厳重にしたの」
それにしては厳重にし過ぎだと思う。それに物騒と言っていたが、そこまでしなければいけないものとはいったい何だろう。
ちょっとだけ外が気になった。
まぁ何も見えないだろうけど。
窓からひょっこりと顔を出し、外を眺める。すると、とんでもない光景が見えた。
顔のない化け物が村の中をうろうろと歩いているではないか。
びっくりして叫びそうになるのをぐっと堪える。
不意に服を引っ張られて、俺は床に転がった。
「何をしているんですかっ!」
「いっつ、俺はちょっと外を見ただけなんだ」
俺の服を引っ張ったのは、ティーナだった。ティーナの顔を青ざめていた。きっと、あの化け物のことを知っているに違いない。
「ティーナ、あれはいったい何なんだ」
「やっぱり、見てしまったんですね」
「え、えぇ? いったいどうしたの?」
一名ほど、何もわかっていない人がいるのだが、構わず話を進める。
「ティーナは、あいつらのことを知っているんだね」
「はい、あれが現れたのはだいぶ前のことになります」
「ちょ、待って、私だけ分からないんだけど」
ティーナが何か語ってくれそうなのに、ミーナがそれを邪魔するので、口元で人差し指を立てて、静かにするように言った。ミーナはなんか納得できないと言っているかのように頬を膨らませたが、これ以上騒がなくなった。
「奏太さんは知っていますか。最近魔物が出没していることを」
「ああ、ミーナから聞いているよ」
カルディナ村の近くには、永遠の森と呼ばれる場所がある。木々が立ち並び、まるで富士の樹海のような場所があると聞いていた。
その森から魔物が湧き出しているという噂が出ていることをミーナから聞いたことがあった。
俺たちは、その魔物が原因で音信不通になっているのではと思っていたほどだ。
「私たちの村も、その魔物たちに苦しめられました」
「「えっ」」
俺とミーナは驚きの声をあげる。
今日見てきた村の様子から、そんなことはないだろうという感じがした。
ぱっと見た限り、荒らされた様子もなく、皆が笑顔で過ごしていたように見えた。
とても魔物たちに苦しめられていたようには見えなかった。
きっとミーナも同じことを思っているのだろう。なんだか複雑な表情をしている。
俺たちは静かに話の続きを聞いた。
「ある時に、変な男がやってきたんです。その男は、自分のことを悪魔だと名乗りました。 悪魔は村にいた魔物を不思議な力で追っ払ってくれたのです。
男はその後、村に取引がしたいと言ってきました。
一つ、夜は出歩くな。
二つ、村の外とのかかわりを絶て。
三つ、満月の夜に生贄を差し出せ。
この三つを守っているうちは魔物から守ることを誓うと、そう持ち掛けてきました。
魔物に対抗する手段がなかったので、村長はその話を受けざる負えませんでした。
奏太さんも見ましたよね、外のアレ。夜になると村に現れるんです。そして、契約を破って夜に外を出歩いたものは、皆あいつらに食われて、殺されるんです。血も残らないほどに」
話がよく分からなかった。ティーナが言っていた意味が分からないとかそういう訳じゃない。なんでカルディナ村でこんな事態が起きているか、だ。
ミーナに教えてもらって知っている。永遠の森に近い村はカルディナ村だけじゃない。
「ティーナ、一つ聞いていいか」
「なんですか?」
「カルディナ村同様の村が、ほかにもいくつかあるよな」
「はい、ありますよ。それがどうかしましたか」
音信不通の噂が流れていたのはカルディナ村だけだった。悪魔の契約の外とのかかわりを絶つこととあった。つまり、ほかの村が音信普通になっていないとおかしい。
それに、その契約だと俺が入ってくるのはまずいのではないのか。
「いや、音信不通になっているのがカルディナ村だけだったからちょっと気になって。ところで、俺が入ってこれたのは問題なかったのか」
「それは大丈夫だと思います。馬車出来たんですよね。ここ行きの馬車は悪魔が人々の記憶を書き換えてなくなっています。つまり馬車でこれたということは、悪魔が奏太さんを招待したということになります」
なんだ、このタイミングが良すぎるような展開は。やっぱり、あの得体のしれない何かがかかわっているような、そんな気がした。
「俺は来栖奏太だ。よろしくな」
ティーナに簡単に自己紹介をした後、三人で行動することにした。このまま家に向かうらしく、ティーナが先頭を歩いて、俺とミーナがその後ろをついていく。
「騒がしい妹でごめんね」
「別に大丈夫だよ。元気があるのはいいことじゃないか」
「そりゃそうだけど」
突然抱き着くぐらいに元気があるティーナを見て、ミーナはちょっとだけ苦笑いをした。
先ほどティーナを受け止めたおなかのあたりを擦っている。
「あんまり元気すぎるとこっちの身が持たないよ」
「なに、甘えているだけだろ。たまにしか会えないんだったら、それぐらいのスキンシップ、我慢するしかない」
「だったら奏太が受け止めてみる」
「それだけはマジで勘弁してくれ」
ミーナの言葉を聞いて、ちょっとだけ想像してしまった。そのせいか、鳥肌が立ち、寒気を感じる。
相変わらず、女性がダメなんだと実感してしまい、溜息を吐いた。
「お姉ちゃん、奏太さんっ! 遅いですよ。ちゃんとはぐれないようについてきて」
「はいはい、ちゃんとついていってるよ……って、家に行くんだよね。私も場所知ってるから迷子にならないよっ!」
「あははは、そりゃそうだ」
くすりと笑うミーナに満面の笑みを浮かべるティーナ。二人の表情がどことなく似ていて、やっぱり姉妹なんだなと感じた。
こんな感じにたわいもない話をしながら村を進んでいくと、木造の一軒家が見えてきた。茜色に染まった空の下に建つ木造の一軒家がすごく絵になる。
これを写真にとってコンテストにでも出せば、そこそこいい順位をとれるのではないだろうか。
「二人とも、早くっ! 暗くなったら危ないんだから。ね、早く早く」
「ちょっと、せかさないでよ。ごめんね奏太。ティーナが慌ただしくて」
「別にいいよ。それに、暗くなると周りが見えなくなるから、早く家に戻ったほうがいいのも事実だよ」
「それもそうね」
俺とミーナは、少し先に進んでしまったティーナの元に駆け足で向かった。そして一緒に並びながら家まで歩いていく。
「ここが私たちのお家よ。さあ上がって」
「おう、ありがとな」
「お姉ちゃんも早く早く」
「もう家の前なんだからあわてないでよ」
ティーナに案内されて、家の中に入った。ミーナはそれに続いて家の中に入る。
家の中がとても暗い。日が完全に落ちてしまったらしい。
後ろからとても大きな音が鳴った。
「ちょっと、ティーナっ! 入口のドアはもうちょっとゆっくり閉めなさい」
「ごめんなさい。でも、陽が落ちちゃったから」
「そんなの関係ないでしょう」
「あ、えっと…………はい」
それからティーナは、しょんぼりと肩を落とし、扉をガチャガチャといじっていた。
何をしているのか、真っ暗でよく見えない。
ふわっと、後ろから明かりが俺たちを照らした。ミーナが明かりをつけてくれたようだ。
明かりが部屋を照らし、ティーナが何をしていたのかよく見えた。
ティーナはドアに厳重な鍵をかけていた。まるで金庫のカギをかけるように。家の鍵なのになぜそこまで厳重にしなければならないのだろうか。
ミーナもそれに気が付き、首を傾げる。
「ねぇティーナ。前に帰った時はそんな鍵ついてなかったと思うんだけど」
「最近何かと物騒だから。厳重にしたの」
それにしては厳重にし過ぎだと思う。それに物騒と言っていたが、そこまでしなければいけないものとはいったい何だろう。
ちょっとだけ外が気になった。
まぁ何も見えないだろうけど。
窓からひょっこりと顔を出し、外を眺める。すると、とんでもない光景が見えた。
顔のない化け物が村の中をうろうろと歩いているではないか。
びっくりして叫びそうになるのをぐっと堪える。
不意に服を引っ張られて、俺は床に転がった。
「何をしているんですかっ!」
「いっつ、俺はちょっと外を見ただけなんだ」
俺の服を引っ張ったのは、ティーナだった。ティーナの顔を青ざめていた。きっと、あの化け物のことを知っているに違いない。
「ティーナ、あれはいったい何なんだ」
「やっぱり、見てしまったんですね」
「え、えぇ? いったいどうしたの?」
一名ほど、何もわかっていない人がいるのだが、構わず話を進める。
「ティーナは、あいつらのことを知っているんだね」
「はい、あれが現れたのはだいぶ前のことになります」
「ちょ、待って、私だけ分からないんだけど」
ティーナが何か語ってくれそうなのに、ミーナがそれを邪魔するので、口元で人差し指を立てて、静かにするように言った。ミーナはなんか納得できないと言っているかのように頬を膨らませたが、これ以上騒がなくなった。
「奏太さんは知っていますか。最近魔物が出没していることを」
「ああ、ミーナから聞いているよ」
カルディナ村の近くには、永遠の森と呼ばれる場所がある。木々が立ち並び、まるで富士の樹海のような場所があると聞いていた。
その森から魔物が湧き出しているという噂が出ていることをミーナから聞いたことがあった。
俺たちは、その魔物が原因で音信不通になっているのではと思っていたほどだ。
「私たちの村も、その魔物たちに苦しめられました」
「「えっ」」
俺とミーナは驚きの声をあげる。
今日見てきた村の様子から、そんなことはないだろうという感じがした。
ぱっと見た限り、荒らされた様子もなく、皆が笑顔で過ごしていたように見えた。
とても魔物たちに苦しめられていたようには見えなかった。
きっとミーナも同じことを思っているのだろう。なんだか複雑な表情をしている。
俺たちは静かに話の続きを聞いた。
「ある時に、変な男がやってきたんです。その男は、自分のことを悪魔だと名乗りました。 悪魔は村にいた魔物を不思議な力で追っ払ってくれたのです。
男はその後、村に取引がしたいと言ってきました。
一つ、夜は出歩くな。
二つ、村の外とのかかわりを絶て。
三つ、満月の夜に生贄を差し出せ。
この三つを守っているうちは魔物から守ることを誓うと、そう持ち掛けてきました。
魔物に対抗する手段がなかったので、村長はその話を受けざる負えませんでした。
奏太さんも見ましたよね、外のアレ。夜になると村に現れるんです。そして、契約を破って夜に外を出歩いたものは、皆あいつらに食われて、殺されるんです。血も残らないほどに」
話がよく分からなかった。ティーナが言っていた意味が分からないとかそういう訳じゃない。なんでカルディナ村でこんな事態が起きているか、だ。
ミーナに教えてもらって知っている。永遠の森に近い村はカルディナ村だけじゃない。
「ティーナ、一つ聞いていいか」
「なんですか?」
「カルディナ村同様の村が、ほかにもいくつかあるよな」
「はい、ありますよ。それがどうかしましたか」
音信不通の噂が流れていたのはカルディナ村だけだった。悪魔の契約の外とのかかわりを絶つこととあった。つまり、ほかの村が音信普通になっていないとおかしい。
それに、その契約だと俺が入ってくるのはまずいのではないのか。
「いや、音信不通になっているのがカルディナ村だけだったからちょっと気になって。ところで、俺が入ってこれたのは問題なかったのか」
「それは大丈夫だと思います。馬車出来たんですよね。ここ行きの馬車は悪魔が人々の記憶を書き換えてなくなっています。つまり馬車でこれたということは、悪魔が奏太さんを招待したということになります」
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