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◆浮気な彼氏 番外編 それは予知夢かホンモノか
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◆浮気な彼氏 番外編 それは予知夢かホンモノか
※暁都が夢の中で若い頃のたっくんと会う話。はしりがきです。
これは夢なんだとどこかで分かっていた。
どっか知らない場所で、俺は誰かを待っていた。そしてふいに現れたのは、20歳くらいの男の子。
俺はその子を見て一気に好きになった。
「わ、たっくん!!可愛いねえ!若い頃って君そんなだったんだ会えて嬉しいよ」
俺は感激してつい言葉を発した。でもたっくんて誰だ?
えへへと笑うその男の子。
「暁都さんもカッコ良い!20歳くらいかな?こんな時に僕ら知り合ってたら100%進展してないね!さ、行こ」
そう言ってするりと俺の腕に自身の腕を絡ませた。
悪い気はしない。むしろ喜ばしい。嬉しい。たっくん、大好きだあ、そう思いつつ彼は誰なんだろうとも思っていた。感情が入り混じっていた。
俺たちはゲームセンターへと辿り着いた。普段ならどうでも良いようなUFOキャッチャーをたっくんのために張り切って取り、実物のバスケットボールをひたすらゴールに入れて高ポイントを目指すというやたら体力を要するゲームに勤しんだ。
全てたっくんにキャーカッコイイ!と言われるためだった。大人気なく本気出す俺をたっくんはケラケラ笑いつつ、かわいく応援してくれたんで、俺はさらにやる気を出した。
どっかでコーヒーでも飲もうかとたっくんに声をかけると、パッと場面が切り替わり、俺たちはどこかの喫茶店にいた。ふりふりエプロンの店員さんが給仕している。
「ねえーたっくんあれ今度着てみてよ♪」
そんなスケベ心を、俺の手の甲の皮を捻るというやり方でたっくんは封鎖した。
「いってえええ!ねえーそれいつもやるのやめてよ」
「暁都さん良い大人でしょ」
いつも怒られてんだよな~ハハハ。まあでもたっくんに怒られるのは悪い気はしなかった。全く。
「お手柔らかに頼むよ~ねえ~」
俺はむしろ嬉しくなってウザ絡みした。
この子の笑う顔が見たくて、俺は色んなところへ連れて行った。
願えば色んな場所にパッパと場面は変わっていくから。夜景の見えるレストラン、スゲー高そうな温泉旅館、はたまた海外のお城にビーチ。なんでも。
たっくんはここは高過ぎると青くなったり(夢なのに変なの!たっくんはいつもこうだ)、でも素敵な光景に素直に感激したりしていた。可愛いやつだと思うと、込み上げるものがあって……。
「次行きたいとこ、わかる?」
そう囁けば、彼は分かりやすく頬を赤くした。
バフ、と押し倒したのはどっかのホテルのベッド。
たっくんはじっと俺を見上げている。その先を期待しているように俺には見える。
たっくんは昔からの知り合いのような気がしている。よくわからない。でも誰だって良いじゃないか。俺はこの子が現れていっぺんに好きになった、いや前から好きだったと思う。ハッキリしたことなんかどうでも良いじゃないか。好きなんだから。
「目を閉じて……」
彼を抱いた。めちゃくちゃにした。好きだ、かわいい、愛してるが膨らんだ結果だった。若いたっくんは正直メッチャ良かったのだ。初々しさが半端ではない。あとなんというか新鮮だった。俺は大人になったたっくんしか知らないから。いや大人なたっくんに不満があるとかそういう訳ではまったくない。ただ彼とこれくらい若い頃に知り合いたかった。かわいい頃も焼き付けておきたかった。愛してたから。だからもっと長い時間を共有したかった、それだけ。
行為が終わってぐてって眠りつつあるたっくんだったけど、いけないとばかりに目覚めた。
「暁都さん……そろそろ時間だ、いかなきゃ……」
行くってどこへ。
そう言おうとした時、俺たちはもといた待ち合わせの場所に戻っていた。
俺が何か言うよりも先にたっくんは俺にバフと抱きついてきた。
「暁都さん好き。だーいすき。若い頃こんなカッコ良いなんてずるいよ。ズルすぎだよ。僕はまた恋に落ちちゃったよ。こんなにドキドキしてる」
そうして自分の心臓の上に俺の手を当てた。確かに鼓動が早くて俺は気を良くした。
「俺も好きだよ。だからずっと一緒に……」
「それは出来ないんだよ」
すっと俺から離れた。
どうして、なんでだよたっくん。俺は不安になる。
「僕たちはちゃんと出会うのは随分先だからね。だから……早く迎えにきてね」
「どういうこと?君は目の前にいるじゃないか」
「ううん、本当の僕はここにはいないよ。会えるのは17年後くらいかな」
「そんなん俺37じゃん!そんなに待てないよ」
こんなに君に恋してるのに!
「そうだよ。僕らは暁都さんがおじさんになった時に知り合うんだ」
俺が言葉を挟む猶予を与えずたっくんは矢継ぎ早に言った。
「暁都さん聞いて。これからあなたは辛い運命が待ち構えてる。でも絶対メゲたり人生を諦めたりしないでね。その先に僕らは出会うんだから。……僕も頑張って耐えるから……」
たっくんの体が薄れていく。慌ててギュッと抱きしめても最早手応えはなかった。
夢が醒めると気づいた。
「待ってるから。絶対だよ!」
「ま、待ってよたっくん!」
そう言ってたっくんは消えた。
◼️◼️◼️
「……!」
ハッと目が覚めた。天井に向かって手を伸ばしている。俺はベッドでひとりなのに……。
今俺は何を見ていた……?
何だっけ、17年後に出会うからとかどうとか……。
あの子の名前、あれ、なんだっけ!?
ヤバいと思って、夢の中で見た男の子の特徴と会話を適当に走り書きにでもしようとしたけど、なぜかイメージは掬おうとするそばからこぼれ落ちていくばかりだった。
「?……?……」
おかしい、普段の俺ならこんなことはないのに。
適当なスケッチだけでも良い。俺は絵心は実は結構あるほう……。
「……?……」
だけどボールペンは右往左往するばかり。
あの子の眉は瞳は、髪型はどうだった?男だっけ女だっけ……?
いらいらと頭を掻いた。
「くそ!」
記憶を一粒も掴むこともできないまま、その夢の記憶は完全に霧散した。
『何かすごく気になる夢を見ていた』ことだけが頭に残った。
いや、一個だけ掴めた記憶がある。37って数字。
なんだそれは……階数?3月7日?なんかの暗唱番号?
もし年齢とするなら、今の俺は20歳だ。37って遠すぎだろ。
俺はその後どうしたかというと、適当に彼女に電話した。今から会わない?と。
合流してすぐに一緒に出かけた。
まあ多分この子の夢でも見ていたのだろう。きっとそうだ。
一緒にぷらぷら買い物に行った。けど正直あんまり楽しくなかった。なんか違う人と一緒にいたい気がした。
上の空すぎたのがバレてしまったのか、彼女が機嫌を悪くして途中で帰った。いつもならごめんごめんと行くところだけど、今日の俺は彼女を放っておいた。
それからしばらくして俺はその夢のことを完全に忘れた。
だけど何故かよくわからないけど、いつしか心のどこかで何かを強く恋求めるうっすらとした欠乏感を感じていた。それは心の奥底で重低音の様に響き、37歳のとある日まで続いた。
完全に気まぐれで行った夜のバーで読書していた時、近くの席で気になる男の子を見つけたんだ。
その子を見た時、これだと悟った。
end
たっくん大好きマンの暁都に、若い頃のたっくん会わせてあげたいなって思って書いた話。
感覚的すぎる話だから暁都も今までたっくんにこの話をしたことがなかったというテイ。
たっくん編もいつか書きたい。
※暁都が夢の中で若い頃のたっくんと会う話。はしりがきです。
これは夢なんだとどこかで分かっていた。
どっか知らない場所で、俺は誰かを待っていた。そしてふいに現れたのは、20歳くらいの男の子。
俺はその子を見て一気に好きになった。
「わ、たっくん!!可愛いねえ!若い頃って君そんなだったんだ会えて嬉しいよ」
俺は感激してつい言葉を発した。でもたっくんて誰だ?
えへへと笑うその男の子。
「暁都さんもカッコ良い!20歳くらいかな?こんな時に僕ら知り合ってたら100%進展してないね!さ、行こ」
そう言ってするりと俺の腕に自身の腕を絡ませた。
悪い気はしない。むしろ喜ばしい。嬉しい。たっくん、大好きだあ、そう思いつつ彼は誰なんだろうとも思っていた。感情が入り混じっていた。
俺たちはゲームセンターへと辿り着いた。普段ならどうでも良いようなUFOキャッチャーをたっくんのために張り切って取り、実物のバスケットボールをひたすらゴールに入れて高ポイントを目指すというやたら体力を要するゲームに勤しんだ。
全てたっくんにキャーカッコイイ!と言われるためだった。大人気なく本気出す俺をたっくんはケラケラ笑いつつ、かわいく応援してくれたんで、俺はさらにやる気を出した。
どっかでコーヒーでも飲もうかとたっくんに声をかけると、パッと場面が切り替わり、俺たちはどこかの喫茶店にいた。ふりふりエプロンの店員さんが給仕している。
「ねえーたっくんあれ今度着てみてよ♪」
そんなスケベ心を、俺の手の甲の皮を捻るというやり方でたっくんは封鎖した。
「いってえええ!ねえーそれいつもやるのやめてよ」
「暁都さん良い大人でしょ」
いつも怒られてんだよな~ハハハ。まあでもたっくんに怒られるのは悪い気はしなかった。全く。
「お手柔らかに頼むよ~ねえ~」
俺はむしろ嬉しくなってウザ絡みした。
この子の笑う顔が見たくて、俺は色んなところへ連れて行った。
願えば色んな場所にパッパと場面は変わっていくから。夜景の見えるレストラン、スゲー高そうな温泉旅館、はたまた海外のお城にビーチ。なんでも。
たっくんはここは高過ぎると青くなったり(夢なのに変なの!たっくんはいつもこうだ)、でも素敵な光景に素直に感激したりしていた。可愛いやつだと思うと、込み上げるものがあって……。
「次行きたいとこ、わかる?」
そう囁けば、彼は分かりやすく頬を赤くした。
バフ、と押し倒したのはどっかのホテルのベッド。
たっくんはじっと俺を見上げている。その先を期待しているように俺には見える。
たっくんは昔からの知り合いのような気がしている。よくわからない。でも誰だって良いじゃないか。俺はこの子が現れていっぺんに好きになった、いや前から好きだったと思う。ハッキリしたことなんかどうでも良いじゃないか。好きなんだから。
「目を閉じて……」
彼を抱いた。めちゃくちゃにした。好きだ、かわいい、愛してるが膨らんだ結果だった。若いたっくんは正直メッチャ良かったのだ。初々しさが半端ではない。あとなんというか新鮮だった。俺は大人になったたっくんしか知らないから。いや大人なたっくんに不満があるとかそういう訳ではまったくない。ただ彼とこれくらい若い頃に知り合いたかった。かわいい頃も焼き付けておきたかった。愛してたから。だからもっと長い時間を共有したかった、それだけ。
行為が終わってぐてって眠りつつあるたっくんだったけど、いけないとばかりに目覚めた。
「暁都さん……そろそろ時間だ、いかなきゃ……」
行くってどこへ。
そう言おうとした時、俺たちはもといた待ち合わせの場所に戻っていた。
俺が何か言うよりも先にたっくんは俺にバフと抱きついてきた。
「暁都さん好き。だーいすき。若い頃こんなカッコ良いなんてずるいよ。ズルすぎだよ。僕はまた恋に落ちちゃったよ。こんなにドキドキしてる」
そうして自分の心臓の上に俺の手を当てた。確かに鼓動が早くて俺は気を良くした。
「俺も好きだよ。だからずっと一緒に……」
「それは出来ないんだよ」
すっと俺から離れた。
どうして、なんでだよたっくん。俺は不安になる。
「僕たちはちゃんと出会うのは随分先だからね。だから……早く迎えにきてね」
「どういうこと?君は目の前にいるじゃないか」
「ううん、本当の僕はここにはいないよ。会えるのは17年後くらいかな」
「そんなん俺37じゃん!そんなに待てないよ」
こんなに君に恋してるのに!
「そうだよ。僕らは暁都さんがおじさんになった時に知り合うんだ」
俺が言葉を挟む猶予を与えずたっくんは矢継ぎ早に言った。
「暁都さん聞いて。これからあなたは辛い運命が待ち構えてる。でも絶対メゲたり人生を諦めたりしないでね。その先に僕らは出会うんだから。……僕も頑張って耐えるから……」
たっくんの体が薄れていく。慌ててギュッと抱きしめても最早手応えはなかった。
夢が醒めると気づいた。
「待ってるから。絶対だよ!」
「ま、待ってよたっくん!」
そう言ってたっくんは消えた。
◼️◼️◼️
「……!」
ハッと目が覚めた。天井に向かって手を伸ばしている。俺はベッドでひとりなのに……。
今俺は何を見ていた……?
何だっけ、17年後に出会うからとかどうとか……。
あの子の名前、あれ、なんだっけ!?
ヤバいと思って、夢の中で見た男の子の特徴と会話を適当に走り書きにでもしようとしたけど、なぜかイメージは掬おうとするそばからこぼれ落ちていくばかりだった。
「?……?……」
おかしい、普段の俺ならこんなことはないのに。
適当なスケッチだけでも良い。俺は絵心は実は結構あるほう……。
「……?……」
だけどボールペンは右往左往するばかり。
あの子の眉は瞳は、髪型はどうだった?男だっけ女だっけ……?
いらいらと頭を掻いた。
「くそ!」
記憶を一粒も掴むこともできないまま、その夢の記憶は完全に霧散した。
『何かすごく気になる夢を見ていた』ことだけが頭に残った。
いや、一個だけ掴めた記憶がある。37って数字。
なんだそれは……階数?3月7日?なんかの暗唱番号?
もし年齢とするなら、今の俺は20歳だ。37って遠すぎだろ。
俺はその後どうしたかというと、適当に彼女に電話した。今から会わない?と。
合流してすぐに一緒に出かけた。
まあ多分この子の夢でも見ていたのだろう。きっとそうだ。
一緒にぷらぷら買い物に行った。けど正直あんまり楽しくなかった。なんか違う人と一緒にいたい気がした。
上の空すぎたのがバレてしまったのか、彼女が機嫌を悪くして途中で帰った。いつもならごめんごめんと行くところだけど、今日の俺は彼女を放っておいた。
それからしばらくして俺はその夢のことを完全に忘れた。
だけど何故かよくわからないけど、いつしか心のどこかで何かを強く恋求めるうっすらとした欠乏感を感じていた。それは心の奥底で重低音の様に響き、37歳のとある日まで続いた。
完全に気まぐれで行った夜のバーで読書していた時、近くの席で気になる男の子を見つけたんだ。
その子を見た時、これだと悟った。
end
たっくん大好きマンの暁都に、若い頃のたっくん会わせてあげたいなって思って書いた話。
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