43 / 67
浮気な彼氏シーズン2#2 接近
しおりを挟む
◆浮気な彼氏シーズン2#2
「たっくんあのオッサンともう会うの禁止だから!!!!」
僕を車に乗せるやいなや、暁都さんはブチギレた。
全身がワナついている。ヤバい、僕らにとって浮気は地雷だ。
「わ、わかりましたあ!!」
ひっくり返る様な声で僕は返事するしかなかった。
『接近』
「あのオッサン何なの!?」
始まった尋問。僕は出来る限り適当に答えた。
「えっと何か酔っちゃったみたいで・・!?」
「いいや俺は確かに聞いたぜ!人妻が好きとかたくちゃんとか!!おのれえええええ!!!!」
暁都さんはそうしてブチギレ、ダッシュボードにダアン!と拳をやった。
「やっぱさ、あのオッサン君に気があんのよ!旅館貸しとかもそう!!くそおおおおお恩を売りやがってえええ!!!!」
ダアンダアンと連打している。揺れる車内。忘れていた、暁都さんは実は激情型だって・・!
「暁都さん・・アッキー!あっくん!!!ちょっと聞いて!!!今日1つだけ何でも言うこと聞いてあげるから!!!!」
「えっ・・?」
瞬間、ピタと止まった。
「絶対だよ?約束破ったらベランダで腹踊りの刑だよ?」
「うっ・・うん」
「・・なら良し・・」
ベランダで海に向けて腹踊りって刑罰になる・・?ちょっと腑に落ちなかったけど余計なツッコミは辞めておいた。
「あの上司の人はさ・・なんかまあ、ちょっと昔から距離感変なんだよ。やたら近いのはまあそうで・・。
何か仕事、こっちでやるみたいに言ってたけどもう会うことないと思うしさ。僕に暁都さん以上の人はいない。安心してよ、ね?」
むずかしい顔をして聞いてた癖に僕の最後の一言で、我慢し切れずへへと破顔した暁都さんだった。
調子を取り戻した暁都さんに、『さっきのセリフ、もう一回言って』と何度も帰りの車中で言わされた。
『存分に甘えたい』
何でも言うこと一つ聞いてあげるという申し出には、暁都さんにしては随分控えめな回答が来た。
だからその晩は家に帰ってから暁都さんをベタベタに甘やかした。頭洗ってあげたし風呂上がりのドライヤーを当てる。ついでに肩揉みも。
僕に機嫌良くされるがままの暁都さん。
これで機嫌直してくれるならまあ安いモンだ。
「良いねえ~最高。ん、もう良いよ」
満足そうに背伸びして、それから僕にキスをした。
それから二人でソファに座って晩酌をした。
「・・俺と内緒でさ、絶対あの元上司には会っちゃダメだよ?たっくん良いね?」
はいと頷いた僕の髪を、暁都さんは優しく撫でた。見つめ合ってまたキスをした。
晩酌は続き暁都さんが年代モノのワイン開けてくれて飲んだんだけど、これが結構強くて・・
「うう・・結構酔ってきちゃったよ」
「ん、俺も。・・すごい酔ってる。んで、君も酔ってる。二人とも飲みすぎて・・ってことで今日という日のシメにここはひとつ、さ」
そう言って僕を優しく抱きしめて、そっと押し倒して・・
素直な気持ちを教えてよどうせ明日には忘れるんだからと甘く囁かれて、僕も乗せられて普段言わない様な台詞を言ってしまった。
『好き』って言えば『どれくらい?』。『それ、好き』って言えば『どんな風に?』。甘い尋問が僕の本音を引き出して・・
でもズルいんだ暁都さん。
翌朝テーブル片付けようと思って空き缶拾ってたら、暁都さんのいたあたりに転がってたのはノンアルコールの飲み物ばっかでさ。
俺は酔ってるって言ってたの嘘だった・・!
って気づいてくわ~っと頭抱えた。
暁都さんに問い詰めたら『いや~俺を見上げながらのあの台詞はまじで効いたわ。俺って幸せもんだなあ』なんてウットリ意味深に言われて・・!
「ま、これで昨日の件はチャラにしてあげる。俺がシャンプーしてもらうだけで他の男とのデートを許すわけなかろう、甘いね。
んで油断すると奥さんは素直になる~♪」
なんて勝ち誇った顔。
く、くやしい~!
それから数日後。暁都さんと家にいた時。
ピンポンとインターホンが鳴った。
「いつものミネラルウォーター来たか。たっくん運ぶの手伝ってよ」
一緒に行って、はあいと玄関の扉を開ける。
相手の姿に唖然とした。
「どうも♪近くに引っ越してきたんでご挨拶に来ました」
「あ、あんたこの間の・・」
「瀬川です、よろしく」
いつもに増しておしゃれな服装。慇懃に頭を下げた、元上司。
ビキと凍りつく空気。
「たくちゃん、約束通り来たよ♪」
会社という枠組みがなくなることで、この元上司のストーキング気質が花開いてしまったのだろうか?
年賀状用に住所なんて教えたヘマをした僕を心の中でメチャクチャに呪った。
続く
「たっくんあのオッサンともう会うの禁止だから!!!!」
僕を車に乗せるやいなや、暁都さんはブチギレた。
全身がワナついている。ヤバい、僕らにとって浮気は地雷だ。
「わ、わかりましたあ!!」
ひっくり返る様な声で僕は返事するしかなかった。
『接近』
「あのオッサン何なの!?」
始まった尋問。僕は出来る限り適当に答えた。
「えっと何か酔っちゃったみたいで・・!?」
「いいや俺は確かに聞いたぜ!人妻が好きとかたくちゃんとか!!おのれえええええ!!!!」
暁都さんはそうしてブチギレ、ダッシュボードにダアン!と拳をやった。
「やっぱさ、あのオッサン君に気があんのよ!旅館貸しとかもそう!!くそおおおおお恩を売りやがってえええ!!!!」
ダアンダアンと連打している。揺れる車内。忘れていた、暁都さんは実は激情型だって・・!
「暁都さん・・アッキー!あっくん!!!ちょっと聞いて!!!今日1つだけ何でも言うこと聞いてあげるから!!!!」
「えっ・・?」
瞬間、ピタと止まった。
「絶対だよ?約束破ったらベランダで腹踊りの刑だよ?」
「うっ・・うん」
「・・なら良し・・」
ベランダで海に向けて腹踊りって刑罰になる・・?ちょっと腑に落ちなかったけど余計なツッコミは辞めておいた。
「あの上司の人はさ・・なんかまあ、ちょっと昔から距離感変なんだよ。やたら近いのはまあそうで・・。
何か仕事、こっちでやるみたいに言ってたけどもう会うことないと思うしさ。僕に暁都さん以上の人はいない。安心してよ、ね?」
むずかしい顔をして聞いてた癖に僕の最後の一言で、我慢し切れずへへと破顔した暁都さんだった。
調子を取り戻した暁都さんに、『さっきのセリフ、もう一回言って』と何度も帰りの車中で言わされた。
『存分に甘えたい』
何でも言うこと一つ聞いてあげるという申し出には、暁都さんにしては随分控えめな回答が来た。
だからその晩は家に帰ってから暁都さんをベタベタに甘やかした。頭洗ってあげたし風呂上がりのドライヤーを当てる。ついでに肩揉みも。
僕に機嫌良くされるがままの暁都さん。
これで機嫌直してくれるならまあ安いモンだ。
「良いねえ~最高。ん、もう良いよ」
満足そうに背伸びして、それから僕にキスをした。
それから二人でソファに座って晩酌をした。
「・・俺と内緒でさ、絶対あの元上司には会っちゃダメだよ?たっくん良いね?」
はいと頷いた僕の髪を、暁都さんは優しく撫でた。見つめ合ってまたキスをした。
晩酌は続き暁都さんが年代モノのワイン開けてくれて飲んだんだけど、これが結構強くて・・
「うう・・結構酔ってきちゃったよ」
「ん、俺も。・・すごい酔ってる。んで、君も酔ってる。二人とも飲みすぎて・・ってことで今日という日のシメにここはひとつ、さ」
そう言って僕を優しく抱きしめて、そっと押し倒して・・
素直な気持ちを教えてよどうせ明日には忘れるんだからと甘く囁かれて、僕も乗せられて普段言わない様な台詞を言ってしまった。
『好き』って言えば『どれくらい?』。『それ、好き』って言えば『どんな風に?』。甘い尋問が僕の本音を引き出して・・
でもズルいんだ暁都さん。
翌朝テーブル片付けようと思って空き缶拾ってたら、暁都さんのいたあたりに転がってたのはノンアルコールの飲み物ばっかでさ。
俺は酔ってるって言ってたの嘘だった・・!
って気づいてくわ~っと頭抱えた。
暁都さんに問い詰めたら『いや~俺を見上げながらのあの台詞はまじで効いたわ。俺って幸せもんだなあ』なんてウットリ意味深に言われて・・!
「ま、これで昨日の件はチャラにしてあげる。俺がシャンプーしてもらうだけで他の男とのデートを許すわけなかろう、甘いね。
んで油断すると奥さんは素直になる~♪」
なんて勝ち誇った顔。
く、くやしい~!
それから数日後。暁都さんと家にいた時。
ピンポンとインターホンが鳴った。
「いつものミネラルウォーター来たか。たっくん運ぶの手伝ってよ」
一緒に行って、はあいと玄関の扉を開ける。
相手の姿に唖然とした。
「どうも♪近くに引っ越してきたんでご挨拶に来ました」
「あ、あんたこの間の・・」
「瀬川です、よろしく」
いつもに増しておしゃれな服装。慇懃に頭を下げた、元上司。
ビキと凍りつく空気。
「たくちゃん、約束通り来たよ♪」
会社という枠組みがなくなることで、この元上司のストーキング気質が花開いてしまったのだろうか?
年賀状用に住所なんて教えたヘマをした僕を心の中でメチャクチャに呪った。
続く
59
お気に入りに追加
292
あなたにおすすめの小説

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

振られた腹いせに別の男と付き合ったらそいつに本気になってしまった話
雨宮里玖
BL
「好きな人が出来たから別れたい」と恋人の翔に突然言われてしまった諒平。
諒平は別れたくないと引き止めようとするが翔は諒平に最初で最後のキスをした後、去ってしまった。
実は翔には諒平に隠している事実があり——。
諒平(20)攻め。大学生。
翔(20) 受け。大学生。
慶介(21)翔と同じサークルの友人。
六日の菖蒲
あこ
BL
突然一方的に別れを告げられた紫はその後、理由を目の当たりにする。
落ち込んで行く紫を見ていた萌葱は、図らずも自分と向き合う事になった。
▷ 王道?全寮制学園ものっぽい学園が舞台です。
▷ 同室の紫と萌葱を中心にその脇でアンチ王道な展開ですが、アンチの影は薄め(のはず)
▷ 身代わりにされてた受けが幸せになるまで、が目標。
▷ 見た目不良な萌葱は不良ではありません。見た目だけ。そして世話焼き(紫限定)です。
▷ 紫はのほほん健気な普通顔です。でも雰囲気補正でちょっと可愛く見えます。
▷ 章や作品タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではいただいたリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。

僕のために、忘れていて
ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────

多分前世から続いているふたりの追いかけっこ
雨宮里玖
BL
執着ヤバめの美形攻め×絆されノンケ受け
《あらすじ》
高校に入って初日から桐野がやたらと蒼井に迫ってくる。うわ、こいつヤバい奴だ。関わってはいけないと蒼井は逃げる——。
桐野柊(17)高校三年生。風紀委員。芸能人。
蒼井(15)高校一年生。あだ名『アオ』。

彼の理想に
いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。
人は違ってもそれだけは変わらなかった。
だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。
優しくする努力をした。
本当はそんな人間なんかじゃないのに。
俺はあの人の恋人になりたい。
だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。
心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。


【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる