浮気な彼氏

月夜の晩に

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【浮気な彼氏#13-4】

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暁都さんは意地悪な瞳でアハハ、アヒャヒャと嘲笑った。

それは寝取りに成功した男の声にしか聞こえず、それぐらい暁都さんの演技は完璧だった。


ギリギリと睨みつける元彼。



「・・くそ!」

「てな訳で話は終わり!これで良く分かったろ。お前が俺たちにつけ入る隙はないってな。

まあ君もトンボ帰り大変だろうからこの辺観光でもして僅かながらお金落として帰ってよ。そんじゃな」




暁都さんは僕の手を引いて立ち上がる。立ち去ろうとした。その時。



「・・浮気ぐらい、どうせアンタだってしたことあんだろ!偉そうに誠実ぶっといてよ!」





それは元彼が苦し紛れに放った、本来なら何でもない一言だった。


だけど暁都さんはピタリと止まった。空気は凍りつき、ピリッと電気が走るのを僕は感じた。地雷がカチリと踏まれる音を確かに聞いた。


彼はゆっくり振り返って言った。無表情で。





「・・浮気ぐらい、する?俺が?する訳ねえじゃんそんなの」
「そんなの何とでも言えんだろ!本当はこいつの知らないところで女でも抱いてるんじゃないのか!」
「・・・」




その表情からして、やばいものが暁都さんの中で込み上げていくのを僕は感じた。それは怒り、悲しみ、憎しみ全部が混ざったどす黒いマグマの様なもので・・!




「・・聞き分けのない野郎は嫌いなんだ。良いだろう、最後に教えてやるよ。よく聞けよ。

俺な、昔奥さんいたんだよ。5年付き合って結婚した。30の時。俺と親友とで3人仲良くやってたんだ。そいつも俺と同じ作家でさ」



「!」
驚く僕を横目に彼は続けた。結婚してたなんて、知らなかった。



「で、しばらくして子供が出来た。俺も当時は子供欲しかったし、嬉しかった。親友も喜んでくれてな。
すごく、ものすっごくな。


でな?ある冬の寒い日。もう奥さんの腹も大分大きくて、もうあとちょっとで産まれるって時だった。

ある日仕事が終わって、早めに家に帰った時。親友と腹の大きい嫁さんがさ・・してた訳よ。そういうこと。リビングで。



俺は目を疑ったよ。笑えんだけど最初2人俺の存在に気づいてなくてさ。1分くらいだったか?俺ボーッと突っ立って見ちゃってたよ。無修正のその様子をさ。


腹大きいんだからそんな激しくすんなよ何かあったらどうすんだ、なんてトンチンカンなこと考えててさ・・


んでようやく何してんの?って言って、2人は今更ながら慌てふためき出した。そっから何話したかあんま覚えてない。記憶が飛んでんだよな。



結局、親友と俺の奥さんはデキてたんだ。俺の知らないところで。

ただ子供はもう少しで生まれるってところだったし、万が一にも俺の子かもしれない。だから祈るような気持ちで待った。んで調べてもらった。



そしたら違ったんだよ。俺の子じゃなかった。親友の子だと思うだろ?でもそっちでもなかった。

誰か知らない男の子供さ。信じられないだろ?


まあそこそこモテた俺も親友も落とせるんだから、他も落とせるんだよな。結局他にもいっぱいいたよ、浮気相手。

で、離婚したって訳」








続く
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