38 / 60
【浮気な彼氏#13-4】
しおりを挟む
暁都さんは意地悪な瞳でアハハ、アヒャヒャと嘲笑った。
それは寝取りに成功した男の声にしか聞こえず、それぐらい暁都さんの演技は完璧だった。
ギリギリと睨みつける元彼。
「・・くそ!」
「てな訳で話は終わり!これで良く分かったろ。お前が俺たちにつけ入る隙はないってな。
まあ君もトンボ帰り大変だろうからこの辺観光でもして僅かながらお金落として帰ってよ。そんじゃな」
暁都さんは僕の手を引いて立ち上がる。立ち去ろうとした。その時。
「・・浮気ぐらい、どうせアンタだってしたことあんだろ!偉そうに誠実ぶっといてよ!」
それは元彼が苦し紛れに放った、本来なら何でもない一言だった。
だけど暁都さんはピタリと止まった。空気は凍りつき、ピリッと電気が走るのを僕は感じた。地雷がカチリと踏まれる音を確かに聞いた。
彼はゆっくり振り返って言った。無表情で。
「・・浮気ぐらい、する?俺が?する訳ねえじゃんそんなの」
「そんなの何とでも言えんだろ!本当はこいつの知らないところで女でも抱いてるんじゃないのか!」
「・・・」
その表情からして、やばいものが暁都さんの中で込み上げていくのを僕は感じた。それは怒り、悲しみ、憎しみ全部が混ざったどす黒いマグマの様なもので・・!
「・・聞き分けのない野郎は嫌いなんだ。良いだろう、最後に教えてやるよ。よく聞けよ。
俺な、昔奥さんいたんだよ。5年付き合って結婚した。30の時。俺と親友とで3人仲良くやってたんだ。そいつも俺と同じ作家でさ」
「!」
驚く僕を横目に彼は続けた。結婚してたなんて、知らなかった。
「で、しばらくして子供が出来た。俺も当時は子供欲しかったし、嬉しかった。親友も喜んでくれてな。
すごく、ものすっごくな。
でな?ある冬の寒い日。もう奥さんの腹も大分大きくて、もうあとちょっとで産まれるって時だった。
ある日仕事が終わって、早めに家に帰った時。親友と腹の大きい嫁さんがさ・・してた訳よ。そういうこと。リビングで。
俺は目を疑ったよ。笑えんだけど最初2人俺の存在に気づいてなくてさ。1分くらいだったか?俺ボーッと突っ立って見ちゃってたよ。無修正のその様子をさ。
腹大きいんだからそんな激しくすんなよ何かあったらどうすんだ、なんてトンチンカンなこと考えててさ・・
んでようやく何してんの?って言って、2人は今更ながら慌てふためき出した。そっから何話したかあんま覚えてない。記憶が飛んでんだよな。
結局、親友と俺の奥さんはデキてたんだ。俺の知らないところで。
ただ子供はもう少しで生まれるってところだったし、万が一にも俺の子かもしれない。だから祈るような気持ちで待った。んで調べてもらった。
そしたら違ったんだよ。俺の子じゃなかった。親友の子だと思うだろ?でもそっちでもなかった。
誰か知らない男の子供さ。信じられないだろ?
まあそこそこモテた俺も親友も落とせるんだから、他も落とせるんだよな。結局他にもいっぱいいたよ、浮気相手。
で、離婚したって訳」
続く
それは寝取りに成功した男の声にしか聞こえず、それぐらい暁都さんの演技は完璧だった。
ギリギリと睨みつける元彼。
「・・くそ!」
「てな訳で話は終わり!これで良く分かったろ。お前が俺たちにつけ入る隙はないってな。
まあ君もトンボ帰り大変だろうからこの辺観光でもして僅かながらお金落として帰ってよ。そんじゃな」
暁都さんは僕の手を引いて立ち上がる。立ち去ろうとした。その時。
「・・浮気ぐらい、どうせアンタだってしたことあんだろ!偉そうに誠実ぶっといてよ!」
それは元彼が苦し紛れに放った、本来なら何でもない一言だった。
だけど暁都さんはピタリと止まった。空気は凍りつき、ピリッと電気が走るのを僕は感じた。地雷がカチリと踏まれる音を確かに聞いた。
彼はゆっくり振り返って言った。無表情で。
「・・浮気ぐらい、する?俺が?する訳ねえじゃんそんなの」
「そんなの何とでも言えんだろ!本当はこいつの知らないところで女でも抱いてるんじゃないのか!」
「・・・」
その表情からして、やばいものが暁都さんの中で込み上げていくのを僕は感じた。それは怒り、悲しみ、憎しみ全部が混ざったどす黒いマグマの様なもので・・!
「・・聞き分けのない野郎は嫌いなんだ。良いだろう、最後に教えてやるよ。よく聞けよ。
俺な、昔奥さんいたんだよ。5年付き合って結婚した。30の時。俺と親友とで3人仲良くやってたんだ。そいつも俺と同じ作家でさ」
「!」
驚く僕を横目に彼は続けた。結婚してたなんて、知らなかった。
「で、しばらくして子供が出来た。俺も当時は子供欲しかったし、嬉しかった。親友も喜んでくれてな。
すごく、ものすっごくな。
でな?ある冬の寒い日。もう奥さんの腹も大分大きくて、もうあとちょっとで産まれるって時だった。
ある日仕事が終わって、早めに家に帰った時。親友と腹の大きい嫁さんがさ・・してた訳よ。そういうこと。リビングで。
俺は目を疑ったよ。笑えんだけど最初2人俺の存在に気づいてなくてさ。1分くらいだったか?俺ボーッと突っ立って見ちゃってたよ。無修正のその様子をさ。
腹大きいんだからそんな激しくすんなよ何かあったらどうすんだ、なんてトンチンカンなこと考えててさ・・
んでようやく何してんの?って言って、2人は今更ながら慌てふためき出した。そっから何話したかあんま覚えてない。記憶が飛んでんだよな。
結局、親友と俺の奥さんはデキてたんだ。俺の知らないところで。
ただ子供はもう少しで生まれるってところだったし、万が一にも俺の子かもしれない。だから祈るような気持ちで待った。んで調べてもらった。
そしたら違ったんだよ。俺の子じゃなかった。親友の子だと思うだろ?でもそっちでもなかった。
誰か知らない男の子供さ。信じられないだろ?
まあそこそこモテた俺も親友も落とせるんだから、他も落とせるんだよな。結局他にもいっぱいいたよ、浮気相手。
で、離婚したって訳」
続く
64
お気に入りに追加
272
あなたにおすすめの小説
Tally marks
あこ
BL
五回目の浮気を目撃したら別れる。
カイトが巽に宣言をしたその五回目が、とうとうやってきた。
「関心が無くなりました。別れます。さよなら」
✔︎ 攻めは体格良くて男前(コワモテ気味)の自己中浮気野郎。
✔︎ 受けはのんびりした話し方の美人も裸足で逃げる(かもしれない)長身美人。
✔︎ 本編中は『大学生×高校生』です。
✔︎ 受けのお姉ちゃんは超イケメンで強い(物理)、そして姉と婚約している彼氏は爽やか好青年。
✔︎ 『彼者誰時に溺れる』とリンクしています(あちらを読んでいなくても全く問題はありません)
🔺ATTENTION🔺
このお話は『浮気野郎を後悔させまくってボコボコにする予定』で書き始めたにも関わらず『どうしてか元サヤ』になってしまった連載です。
そして浮気野郎は元サヤ後、受け溺愛ヘタレ野郎に進化します。
そこだけ本当、ご留意ください。
また、タグにはない設定もあります。ごめんなさい。(10個しかタグが作れない…せめてあと2個作らせて欲しい)
➡︎ 作品や章タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。
➡︎ 『番外編:本編完結後』に区分されている小説については、完結後設定の番外編が小説の『更新順』に入っています。『時系列順』になっていません。
➡︎ ただし、『番外編:本編完結後』の中に入っている作品のうち、『カイトが巽に「愛してる」と言えるようになったころ』の作品に関してはタイトルの頭に『𝟞』がついています。
個人サイトでの連載開始は2016年7月です。
これを加筆修正しながら更新していきます。
ですので、作中に古いものが登場する事が多々あります。
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
だから愛した
佐治尚実
BL
大学生の礼嗣は恋人の由比に嫉妬させようと、せっせと飲み会に顔を出す毎日を送っている。浮気ではなく社交と言いつくろい、今日も一杯の酒で時間を潰す。帰り道に、礼嗣と隣り合わせた女性が声をかけてきて……。
※がっつり女性が出てきます。
浮気性の攻めが飲み会で隣り合わせた女性に説教されて受けの元に戻る話です。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
【doll】僕らの記念日に本命と浮気なんてしないでよ
月夜の晩に
BL
平凡な主人公には、不釣り合いなカッコいい彼氏がいた。
しかしある時、彼氏が過去に付き合えなかった地元の本命の身代わりとして、自分は選ばれただけだったと知る。
それでも良いと言い聞かせていたのに、本命の子が浪人を経て上京・彼氏を頼る様になって…
ひとりぼっちの180日
あこ
BL
付き合いだしたのは高校の時。
何かと不便な場所にあった、全寮制男子高校時代だ。
篠原茜は、その学園の想像を遥かに超えた風習に驚いたものの、順調な滑り出しで学園生活を始めた。
二年目からは学園生活を楽しみ始め、その矢先、田村ツトムから猛アピールを受け始める。
いつの間にか絆されて、二年次夏休みを前に二人は付き合い始めた。
▷ よくある?王道全寮制男子校を卒業したキャラクターばっかり。
▷ 綺麗系な受けは学園時代保健室の天使なんて言われてた。
▷ 攻めはスポーツマン。
▶︎ タグがネタバレ状態かもしれません。
▶︎ 作品や章タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。
大好きな幼馴染は僕の親友が欲しい
月夜の晩に
BL
平凡なオメガ、飛鳥。
ずっと片想いしてきたアルファの幼馴染・慶太は、飛鳥の親友・咲也が好きで・・。
それぞれの片想いの行方は?
◆メルマガ
https://tsukiyo-novel.com/2022/02/26/magazine/
言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる