浮気な彼氏

月夜の晩に

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【浮気な彼氏#11-2】

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苛々を仕事でやり過ごし、気づけば会社の昼休み。ミキが声を掛けてきた。



「仕事のことで相談があって聞いて欲しいんですが・・」

とか何とか。わざと周りに聞こえる様に言ってくるもんで、俺たちは外で一緒に昼飯を食べることにした。





カフェに席に通されるや否や。ミキは俺にヒソヒソと噛み付いてきた。


「何で一方的に振るの!?ひどいじゃない」
「気持ちがなくなった」

「嘘。他に女出来たんでしょ」



はあとため息を吐いた。面倒だ。この際全部言うか。



「・・前の恋人とヨリを戻したくなった。それだけ」

「はあ!?何それ。顔もスタイルも平凡でつまんないって言ってたくせに」



「まあ人間、ガワが全てじゃねえよなーって俺もようやく気づいたんだよ」

「あたしは見た目だけって言いたいの!?」



「そうは言ってないだろ・・ミキは可愛いよ、でも俺には違ったんだ」


ミキは唇を噛んだ。イライラが募ってくるとやる癖。くるぞいつものやつが。


「アイツは料理だけが取り柄、だけどその料理も地味だしなーって愚痴ってたじゃない。あれ何だったのよ」

捲し立てる。始まった。



「その地味な料理が俺の疲れた身体に効いてたんだよ。俺のためにやってくれてたの。俺は愛されてたって離れて分かったんだよ」


「どうせおばさんくさい料理でしょ。華もない」





そのおばさんくさい料理ひとつさえマトモに作れない女は言う。そしてさらに続けた。



「ただニコニコしてるだけ、一緒にいても飽きちゃったって言ってたじゃない。それに俺に一途過ぎて誰かに取られる不安も微塵もなくて刺激ないって。要はモテないんでしょ。そんなののどこが言い訳?バカじゃない」



「俺を安心させてくれてただけだよ。それがどんなすごいことか、俺は知らなかったんだ。・・容易に出来ないことさ」



あたしはそうじゃないって言うの?と言わんばかりの苛々MAXの瞳でミキは俺を睨みつけた。水でもぶっかける気か?臨戦態勢を取る。



・・ああ、ミキはいつもこうだ。いつもすぐにイライラして、一緒にいても全く気が休まらない。その点アイツは・・と思ったところで。





「あ、どうも」
唐突に会社の人達に声を掛けられた。

2人ともぱっと元の顔を取り繕い、どうもとにこやかに会釈。

彼らは俺たちの隣の席に通された。



ミキとの話は強制的に終わった。

ちょうど運ばれてきたサラダに俺は齧り付いたが、何の味もしなかった。






ふと見た時計は12時半。

元恋人と、その新しい男と会う日まで残りあと1日。ああ、アイツを早く取り戻したい。

きっと出来るさ。

見た目は地味寄りの元恋人とおっさん、自分で言うのもナンだが若くて華のあるタイプの俺が並べば、結局は一目瞭然だろ。






続く
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