23 / 67
【浮気な彼氏#8-3】
しおりを挟むその後リカバリー不能なくらいぐちゃぐちゃになったたこ焼きを前に、ようやく暁都さんは重い腰をあげた。
僕からたこ焼きピックを取り上げると、ネタを継ぎ足してほいほいと返していき、あっという間に美しく仕上げていた。
その無骨な手はすごく器用だった。
僕がやった意味・・?って訝しげに見上げたら。
「んな怒んなよお」
って抱き寄せられて、こめかにキスを掠め取られた。
ああ、結局こうやってなし崩しにほだされていく予感がビシバシとします。神さま・・。
夜23時。『風呂一緒にどう?男同士だし良くね』っていお誘いをなんとか断る。
いや一体どの口が言うんだか。先に暁都さんに入ってもらい、僕はその後1人で入った。のだけれども・・。
テルマ○ロマエか?みたいなお風呂にびっくりした。でっか。一人暮らしにこの設備いる?
なんて思いつつ、折角なので長湯することにしてしまったちょっとミーハーな僕。
ただ、油断して湯船に浸かってたところで、いきなり『背中流してやろうか~?』なんて曇り戸の向こうから声掛けられたもんだから『あっちいってて!!!』なんてつい言い返しちゃったことは、反省してる。
同じベッドでは絶対に寝ないぞと固い決意を胸に風呂を上がる。用意されていたフカフカの寝巻きは人生で着たことのない触り心地だった。
頭拭きつつリビングに行ったら暁都さんはまた難しい顔をして僕の携帯を見てて・・今度は何かタタタタとメッセージを打っていて!?
「ちょっと!?誰に何を送ってるんですか!?」
「やべっ見られた」
って小さく聞こえた。
駆け寄ったらひらりとキッチンの方に携帯ごと逃げられてしまった。
「来ないで来ないで!これ以上俺に近寄ったら携帯水没させっからね?」
携帯を台所のシンクの真上でひらひらさせる。
「く・・!いや、あなた本当何したんですか!?」
「・・・」
キッチンからチラリと視線だけ僕にやり、そしてふふっと彼は笑った。イタズラがバレた時の子供の顔をしていて、嫌な予感が押し寄せる。
「・・いや君の元彼さあ、しつけえなあ~って思って。今日一日様子見てたんだけど。スゲーくんねメッセージとか電話とか。
んでさあ・・俺我慢出来なくて作戦変更。お前一回出てこいよ今の彼氏の俺がシメてやるからって送っちゃった。ごめん。
あ、携帯のパスワードは後ろから見てたことあって知ってたこれもごめん」
ん、んな・・・!!!
「あ!良いこと思いついた。いっそ3人で会うのどう!?目の前でイチャイチャしたら向こうも諦めつくかもよ?
場所は海沿いのカフェ。良いとこでとんだ地獄の修羅場だけどまあ良いよね?」
何故か超ワクワク顔の暁都さんを前に僕は何も言えずアワアワとしていた。
そんな、無理だってえ・・・!!
続く
46
お気に入りに追加
292
あなたにおすすめの小説

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

振られた腹いせに別の男と付き合ったらそいつに本気になってしまった話
雨宮里玖
BL
「好きな人が出来たから別れたい」と恋人の翔に突然言われてしまった諒平。
諒平は別れたくないと引き止めようとするが翔は諒平に最初で最後のキスをした後、去ってしまった。
実は翔には諒平に隠している事実があり——。
諒平(20)攻め。大学生。
翔(20) 受け。大学生。
慶介(21)翔と同じサークルの友人。
六日の菖蒲
あこ
BL
突然一方的に別れを告げられた紫はその後、理由を目の当たりにする。
落ち込んで行く紫を見ていた萌葱は、図らずも自分と向き合う事になった。
▷ 王道?全寮制学園ものっぽい学園が舞台です。
▷ 同室の紫と萌葱を中心にその脇でアンチ王道な展開ですが、アンチの影は薄め(のはず)
▷ 身代わりにされてた受けが幸せになるまで、が目標。
▷ 見た目不良な萌葱は不良ではありません。見た目だけ。そして世話焼き(紫限定)です。
▷ 紫はのほほん健気な普通顔です。でも雰囲気補正でちょっと可愛く見えます。
▷ 章や作品タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではいただいたリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。

僕のために、忘れていて
ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────

多分前世から続いているふたりの追いかけっこ
雨宮里玖
BL
執着ヤバめの美形攻め×絆されノンケ受け
《あらすじ》
高校に入って初日から桐野がやたらと蒼井に迫ってくる。うわ、こいつヤバい奴だ。関わってはいけないと蒼井は逃げる——。
桐野柊(17)高校三年生。風紀委員。芸能人。
蒼井(15)高校一年生。あだ名『アオ』。

彼の理想に
いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。
人は違ってもそれだけは変わらなかった。
だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。
優しくする努力をした。
本当はそんな人間なんかじゃないのに。
俺はあの人の恋人になりたい。
だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。
心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。


【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる