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【浮気な彼氏#6-2】
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暁都さんも大概推しが強いけど、これに流されて良いんだろうか。流されつつあるんだけど。
深い仲になった途端にポイとか、あったりするんだろうか・・。また浮気されたりとか・・。
なくはない可能性に思い至って心底ゾワッとした。足元の高さのある展望台から下を覗きこむ。こっから落ちるのと同じくくらい無理だな、それは・・。
惹かれてはいるのに、暁都さんに飛び込みきれない自分がいた。
その後近くの美味しい和食のお店でご飯を食べた。デート帰りっぽい人たちは多かった。
あいかわらず暁都さんの話はテンポが良くて楽しかった。彼は雰囲気はちょっと軽薄だけど、楽しい人なんだ。
次はどこいく?なんて暁都さんは上機嫌だった。どっか旅行も良いよねーだなんて。
なんとも言えなくて、僕は曖昧に笑うのみだ。
迷いなく人を好きになれる人生でありたかったな、なんて・・。
ご飯屋さんを出て、帰りの車内で。
車を運転しつつ、当たり前の様に暁都さんは言った。
「帰り、俺ん家で飲み直そうよ」
家に寄るっていうのはつまりそういうことだよね・・?
関係を進めるのが、不安な僕。
「今日は帰りたい、かなって。ちょっと疲れちゃって」
濁してなんとかそう答えてた。
チラと僕を一瞬伺う。
「そっかー。じゃあ明日は?」
「えっと仕事がありがたいことにちょっと忙しくて」
「・・じゃあ明後日は?」
「明後日締めのクライアントさんがいまして・・」
「ふ~~ん忙しいのねアナタ。・・仕事全部飛べば良いのにね」
なんて事言うんですか!と憤る僕に、ケラケラとわざと意地悪く笑ってゴメン嘘、頑張ってよと彼は答えた。
僕の住む旅館の駐車場に着いた。
入り口まで送るよといって暁都さんも車を降りて僕に着いてきた。
鈴虫が鳴く声が聞こえる。もう秋も随分深まってきた。
肌寒くて僕は腕をなんとなしにさすった。
「次はいつ会える?」
予定を先延ばしにする口実を必死に考えた。
「えっと・・また予定みて僕から連絡します」
そっか待ってるわと彼はポツリと言った。
もう旅館の入り口に着く、という時。
大きな観葉植物の影に入ったとこでさっと背後から僕を抱きしめた。
「!」
「・・嫌われちゃったかな?」
彼の匂いがフワッとして、途端にドキッとしてしまった。
「嫌ってなんかないです」
「嘘だね俺を避けてる」
「避けてません・・」
僕の手に、彼はそっと自分の手を重ねた。
「また元彼の方に気持ち傾いてるのかと思って俺不安にちゃったよ」
「!いやそんな訳・・!」
「だよねー?ま、頑張るよ、俺」
また連絡すると言って、僕にさっとキスすると踵を返して帰っていった。
「!」
そのシュッとした後ろ姿を見送りつつ、僕も部屋に向かって歩き出す。
ばくばくする心臓を押さえつつ。
彼を信じて良いのか、
本当に進んで良いのか。
運命の神様に答えを教えて欲しかった。
続く
深い仲になった途端にポイとか、あったりするんだろうか・・。また浮気されたりとか・・。
なくはない可能性に思い至って心底ゾワッとした。足元の高さのある展望台から下を覗きこむ。こっから落ちるのと同じくくらい無理だな、それは・・。
惹かれてはいるのに、暁都さんに飛び込みきれない自分がいた。
その後近くの美味しい和食のお店でご飯を食べた。デート帰りっぽい人たちは多かった。
あいかわらず暁都さんの話はテンポが良くて楽しかった。彼は雰囲気はちょっと軽薄だけど、楽しい人なんだ。
次はどこいく?なんて暁都さんは上機嫌だった。どっか旅行も良いよねーだなんて。
なんとも言えなくて、僕は曖昧に笑うのみだ。
迷いなく人を好きになれる人生でありたかったな、なんて・・。
ご飯屋さんを出て、帰りの車内で。
車を運転しつつ、当たり前の様に暁都さんは言った。
「帰り、俺ん家で飲み直そうよ」
家に寄るっていうのはつまりそういうことだよね・・?
関係を進めるのが、不安な僕。
「今日は帰りたい、かなって。ちょっと疲れちゃって」
濁してなんとかそう答えてた。
チラと僕を一瞬伺う。
「そっかー。じゃあ明日は?」
「えっと仕事がありがたいことにちょっと忙しくて」
「・・じゃあ明後日は?」
「明後日締めのクライアントさんがいまして・・」
「ふ~~ん忙しいのねアナタ。・・仕事全部飛べば良いのにね」
なんて事言うんですか!と憤る僕に、ケラケラとわざと意地悪く笑ってゴメン嘘、頑張ってよと彼は答えた。
僕の住む旅館の駐車場に着いた。
入り口まで送るよといって暁都さんも車を降りて僕に着いてきた。
鈴虫が鳴く声が聞こえる。もう秋も随分深まってきた。
肌寒くて僕は腕をなんとなしにさすった。
「次はいつ会える?」
予定を先延ばしにする口実を必死に考えた。
「えっと・・また予定みて僕から連絡します」
そっか待ってるわと彼はポツリと言った。
もう旅館の入り口に着く、という時。
大きな観葉植物の影に入ったとこでさっと背後から僕を抱きしめた。
「!」
「・・嫌われちゃったかな?」
彼の匂いがフワッとして、途端にドキッとしてしまった。
「嫌ってなんかないです」
「嘘だね俺を避けてる」
「避けてません・・」
僕の手に、彼はそっと自分の手を重ねた。
「また元彼の方に気持ち傾いてるのかと思って俺不安にちゃったよ」
「!いやそんな訳・・!」
「だよねー?ま、頑張るよ、俺」
また連絡すると言って、僕にさっとキスすると踵を返して帰っていった。
「!」
そのシュッとした後ろ姿を見送りつつ、僕も部屋に向かって歩き出す。
ばくばくする心臓を押さえつつ。
彼を信じて良いのか、
本当に進んで良いのか。
運命の神様に答えを教えて欲しかった。
続く
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