17 / 67
【浮気な彼氏#6-1】新しい恋の始まりはすでに詰んでる?ぜんぶ浮気した元彼のせい
しおりを挟む
追い払っても追い払っても脳裏に浮かぶ元彼の姿。
昨日の会話が頭の中をフラッシュバックして、色んな怒りだの悲しみだのが込み上げた。何度も何度も。
最後だっていうから会ったのに、騙された!くそ、くそ!!
ごろごろと寝返りを打ち、ロクに眠れないまま結局朝7時を迎えた。着信が鳴った。暁都さんの名前にぎくりとする。
おそるおそる出た。
「昨日は夜どこ行ってたの。返信ないし。バーにも居ないし」
拗ねた声で電話ごしに指摘されて、悪い意味でドキッとした。罪悪感が胸に広がる。
「昨日は寝ちゃってて・・すいません」
まさか元彼と会っていたとは言えるはずもない。嘘100%の言葉を紡いだ。
「ふーん・・。ま、いいんだけど。それより今日さ、どっか行かない?俺休みになったんだよ」
行く、行きます!と返事した。
未だ脳りに残る元彼の残像を、暁都さんにかき消して欲しかった。それに罪悪感も。
待ち合わせ場所に「おまたせ」と現れた彼。いつもよりもお洒落で格好良くて、僕はソワソワしてしまう。
「どこ行きます?」
「あのねえ、今コスモスが綺麗に咲いてるとこあるんだよ。近くにうまい飯屋もあるし」
とりあえずこっち来てと促されるままついて行ったら車が。え、あの高そうな外車もしかして・・?
「どしたの?乗ってよ」
彼はそうニコと笑うと、僕を助手席に放り込んだ。
運転中の彼の横顔は、真剣だけどどこか醒めた瞳。そんな冷たい感じにドキッとしてしまう。
僕はなんとなしに窓の方を向いて、雑談を始めた。
「車、持ってたんですね」
「そうだよ。好きな子以外絶対乗せないけどね」
「!」
つい振り返ってしまい、悪戯な瞳に射抜かれる。ストレートな言動に僕は弱かった。
「好きな子、この間これからってタイミングで家帰っちゃうし。あの後また1人で寝たわよ俺。寂しかったわ~」
「!・・暁都さんなんて嫌い・・」
なんでだよとアッハハと笑う彼。この人をやり込めるなんて、僕には一生無理だろうな。
着いたのは綺麗なコスモス畑。一面に広がる色とりどりのコスモスに目を奪われた。
「すごい!綺麗ですね・・!」
でしょお?と満足気の彼。それは結構広い公園のようなところで、暁都さんは僕を連れて歩き出した。
「たまには良いでしょ?こういうとこも。君、旅館に引きこもって仕事してるか、元彼のことで悩んでるか、俺に口説かれてドキドキしてるかのどれかだもんね」
「最後のは余計ですよ?」
「良いじゃん。まあ俺のことずっと考えててくれも良いんだけどさぁ。ちゃんとデートもしたいじゃん?」
なあ?と瞳を覗きこまれてどきどきが止まらない。
イケメンてこういうの、無自覚でやってるのかな。
人があまりいないのを良いことに、彼は僕の手をギュッと握った。
そしてこっちに良いもんあるんだよと引っ張って足速に歩きだした。
辿り着いたのは展望台。
高い塔の上から見下ろすコスモス畑は本当に綺麗だった。
すごいすごいと童心に帰ってはしゃいだ。おっさんの僕でもこんなテンションあがるんだから、若い子なら尚更だろうな。
なんて思っていたら。
暁都さんは人目を盗んで僕にそっとキスをした。それに耳元で「好きだよ」なんて言う。
僕は顔真っ赤になってたと思う。
そんな僕を見て彼はくすくすと笑う。
いや、嗤われてるのかもしれない。
おっさんのくせにウブでダサいって・・
あまりに恥ずかしいんで、広い展望台デッキの方に僕は駆けてって逃げた。人目につく場所なら何もされないし!
遠くまで広がるコスモス畑を眺めながら考えた。
・・元彼もこうだったんだよね、最初は。すごい熱烈で、いつも好きって言ってくれて・・
押されて嬉しくて付き合ったけど、結局浮気されてうまくいかなくて。
浮かれていた心にふいに不安が押し寄せてきた。
続く
昨日の会話が頭の中をフラッシュバックして、色んな怒りだの悲しみだのが込み上げた。何度も何度も。
最後だっていうから会ったのに、騙された!くそ、くそ!!
ごろごろと寝返りを打ち、ロクに眠れないまま結局朝7時を迎えた。着信が鳴った。暁都さんの名前にぎくりとする。
おそるおそる出た。
「昨日は夜どこ行ってたの。返信ないし。バーにも居ないし」
拗ねた声で電話ごしに指摘されて、悪い意味でドキッとした。罪悪感が胸に広がる。
「昨日は寝ちゃってて・・すいません」
まさか元彼と会っていたとは言えるはずもない。嘘100%の言葉を紡いだ。
「ふーん・・。ま、いいんだけど。それより今日さ、どっか行かない?俺休みになったんだよ」
行く、行きます!と返事した。
未だ脳りに残る元彼の残像を、暁都さんにかき消して欲しかった。それに罪悪感も。
待ち合わせ場所に「おまたせ」と現れた彼。いつもよりもお洒落で格好良くて、僕はソワソワしてしまう。
「どこ行きます?」
「あのねえ、今コスモスが綺麗に咲いてるとこあるんだよ。近くにうまい飯屋もあるし」
とりあえずこっち来てと促されるままついて行ったら車が。え、あの高そうな外車もしかして・・?
「どしたの?乗ってよ」
彼はそうニコと笑うと、僕を助手席に放り込んだ。
運転中の彼の横顔は、真剣だけどどこか醒めた瞳。そんな冷たい感じにドキッとしてしまう。
僕はなんとなしに窓の方を向いて、雑談を始めた。
「車、持ってたんですね」
「そうだよ。好きな子以外絶対乗せないけどね」
「!」
つい振り返ってしまい、悪戯な瞳に射抜かれる。ストレートな言動に僕は弱かった。
「好きな子、この間これからってタイミングで家帰っちゃうし。あの後また1人で寝たわよ俺。寂しかったわ~」
「!・・暁都さんなんて嫌い・・」
なんでだよとアッハハと笑う彼。この人をやり込めるなんて、僕には一生無理だろうな。
着いたのは綺麗なコスモス畑。一面に広がる色とりどりのコスモスに目を奪われた。
「すごい!綺麗ですね・・!」
でしょお?と満足気の彼。それは結構広い公園のようなところで、暁都さんは僕を連れて歩き出した。
「たまには良いでしょ?こういうとこも。君、旅館に引きこもって仕事してるか、元彼のことで悩んでるか、俺に口説かれてドキドキしてるかのどれかだもんね」
「最後のは余計ですよ?」
「良いじゃん。まあ俺のことずっと考えててくれも良いんだけどさぁ。ちゃんとデートもしたいじゃん?」
なあ?と瞳を覗きこまれてどきどきが止まらない。
イケメンてこういうの、無自覚でやってるのかな。
人があまりいないのを良いことに、彼は僕の手をギュッと握った。
そしてこっちに良いもんあるんだよと引っ張って足速に歩きだした。
辿り着いたのは展望台。
高い塔の上から見下ろすコスモス畑は本当に綺麗だった。
すごいすごいと童心に帰ってはしゃいだ。おっさんの僕でもこんなテンションあがるんだから、若い子なら尚更だろうな。
なんて思っていたら。
暁都さんは人目を盗んで僕にそっとキスをした。それに耳元で「好きだよ」なんて言う。
僕は顔真っ赤になってたと思う。
そんな僕を見て彼はくすくすと笑う。
いや、嗤われてるのかもしれない。
おっさんのくせにウブでダサいって・・
あまりに恥ずかしいんで、広い展望台デッキの方に僕は駆けてって逃げた。人目につく場所なら何もされないし!
遠くまで広がるコスモス畑を眺めながら考えた。
・・元彼もこうだったんだよね、最初は。すごい熱烈で、いつも好きって言ってくれて・・
押されて嬉しくて付き合ったけど、結局浮気されてうまくいかなくて。
浮かれていた心にふいに不安が押し寄せてきた。
続く
68
お気に入りに追加
284
あなたにおすすめの小説
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
【運命】に捨てられ捨てたΩ
諦念
BL
「拓海さん、ごめんなさい」
秀也は白磁の肌を青く染め、瞼に陰影をつけている。
「お前が決めたことだろう、こっちはそれに従うさ」
秀也の安堵する声を聞きたくなく、逃げるように拓海は音を立ててカップを置いた。
【運命】に翻弄された両親を持ち、【運命】なんて言葉を信じなくなった医大生の拓海。大学で入学式が行われた日、「一目惚れしました」と眉目秀麗、頭脳明晰なインテリ眼鏡風な新入生、秀也に突然告白された。
なんと、彼は有名な大病院の院長の一人息子でαだった。
右往左往ありながらも番を前提に恋人となった二人。卒業後、二人の前に、秀也の幼馴染で元婚約者であるαの女が突然現れて……。
前から拓海を狙っていた先輩は傷ついた拓海を慰め、ここぞとばかりに自分と同居することを提案する。
※オメガバース独自解釈です。合わない人は危険です。
縦読みを推奨します。
彼の理想に
いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。
人は違ってもそれだけは変わらなかった。
だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。
優しくする努力をした。
本当はそんな人間なんかじゃないのに。
俺はあの人の恋人になりたい。
だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。
心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。
【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
火傷の跡と見えない孤独
リコ井
BL
顔に火傷の跡があるユナは人目を避けて、山奥でひとり暮らしていた。ある日、崖下で遭難者のヤナギを見つける。ヤナギは怪我のショックで一時的に目が見なくなっていた。ユナはヤナギを献身的に看病するが、二人の距離が近づくにつれ、もしヤナギが目が見えるようになり顔の火傷の跡を忌み嫌われたらどうしようとユナは怯えていた。
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
告白ゲームの攻略対象にされたので面倒くさい奴になって嫌われることにした
雨宮里玖
BL
《あらすじ》
昼休みに乃木は、イケメン三人の話に聞き耳を立てていた。そこで「それぞれが最初にぶつかった奴を口説いて告白する。それで一番早く告白オッケーもらえた奴が勝ち」という告白ゲームをする話を聞いた。
その直後、乃木は三人のうちで一番のモテ男・早坂とぶつかってしまった。
その日の放課後から早坂は乃木にぐいぐい近づいてきて——。
早坂(18)モッテモテのイケメン帰国子女。勉強運動なんでもできる。物静か。
乃木(18)普通の高校三年生。
波田野(17)早坂の友人。
蓑島(17)早坂の友人。
石井(18)乃木の友人。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる