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【ヤンデレメーカー#45】監禁の夜に初めてキスしたあなた達
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二の句の告げない僕。そんな僕の頭上で雷さんとサミーさんは口早に会話した。
「雷。あとで合流な」
「ああ」
ダッとどこかへ向かって立ち去ってしまった雷さん。
「藍。お前は俺と一緒だ」
「え、そんな。テディは」
「良いから来い」
決定事項らしく、僕はまたも力づくで連行された。
有無を言わさずサミーさんのバイクの後ろに乗せられてどこかへ向かって走り出した。
空港を振り返る。テディがきっと僕を必死になって探してるんじゃないだろうか。きっとそうに決まってる。可哀想なテディ。
「サミーさん!!どこ行くんですかこれえ!」
なんて大声で叫んででみたけどきっとロクに聞こえてやしない。風でかき消されてしまう。
きっとBREEZEの事務所とか、誰かの家とかで皆で合流するとか、そういう流れでありますようにと祈ってみる。
でも無駄だと分かっていた。『俺たちのモノになろうな』ってあの不穏なセリフはそんな意味な訳がない。
■■■
たどり着いたのは、以前寮母やってた時に皆と住んでいたマンションだった。もはや懐かしささえ感じる……。
何も言ってくれないサミーさんは、ガッチリ僕の腕を掴んで無言で進んでいく。この恐怖感、久しぶり……。
サミーさんの部屋に連れて行かれる。
ドアを開けると、中には既に雷さんがいた。
雷さんなら僕を助けてくれるんじゃないかと、ほんのり期待してしまったんだけど。
「藍…待ってた」
「あ、雷さ」
言うやいなや雷さんにキスされた。本当にびっくりしすぎて身体が硬直した。
その一瞬の間にガチャリと金属音。
イヤな予感。
……見下ろすと両手首に手錠がかかっていた。
「ひっ……な、何コレ、何ですかこれえ!!」
「何って……分かるだろ」
雷さんとサミーさんは顔を見合わせてくすくす笑った。
おかしい。2人の雰囲気がまったくおかしかった。こんな危うげな感じだった?
グラグラしてまるで頼りない精神の糸を見てるみたいだ。
あ、でも雷さんには首を絞められたことがある。確かに危うい部分はある人だったけれど。
「さ、サミーさん……」
縋るようにサミーさんを見上げても、何も言わずに見下ろされるだけ。その獲物を捕捉して舐める前の、蛇みたいな視線に背筋がブルリと震えた。
「テディは藍を飼い殺しにしてたんだよなあ…。雷に聞いたよ。良いよなあ、あいつ。本当に羨ましいぜ」
指先で僕の頬を撫でた。やさしく撫でられているはずなのに、何故だろう尖ったナイフのきっさきをあてられている様な心地だった。
「そんな風に監禁しても良いだなんて、最初に言ってくれなきゃ。なあ?抜け駆けOK。独占OK。ペット飼育可、ってさ……なあ雷」
雷さんに後ろからするりと抱きしめられた。良い匂いするんだけど、雷さんの狂気が背中から感じられて僕は叫び出しそうだった。
「だけどあろうことか、テディのところから別の男が藍を攫っただろう?そっちでも監禁状態。しかもソイツは挑発的なメッセージを何度も事務所に送ってきて…俺たちははらわた煮え繰り返ってたよ。
とは言え、俺たちは流石に誰もドームを中止するなんて言えなかった。でもテディは違った。あいつはすごい。それに周囲に人があれだけいても真っ直ぐ愛を告白するなんて……普通できない。
あんなの惚れるよなあ?」
サミーさんはそう言うと、苦笑して首を振った。
「だけどなあ、だからと言って藍を譲れる訳じゃない。藍が欲しいんだよ、みんな」
雷さんの細い指先が僕の髪をそっと撫でてすいている。
「じゃないと俺たち、お前をバラバラにしちゃいそうだからさ」
ゾク、とした。脳裏に蘇るのは荒れていた頃のサミーさんの写真。バラバラって…物理的にってこと…?ヒッと喉が鳴って胃が縮み上がった。
「いや、そんな怯えた顔するなよ。ああそうか、藍はきっと俺の正体を知ってしまったもんな。
でも俺だってお前を手にかけるなんてもちろん本望じゃない。……他のメンバーだって。大事な仲間なんだよ、俺にとっては皆。一応な。
だからせめて、俺たちの共有財産にならないか?って聞いてる訳。これは言わば藍を譲れない俺たちの紳士協定なんだよ。
でもこんな話テディにしたって無駄だろ。だから先に藍、お前に聞いてるんだ」
「そ、そんなこと言われたって……!」
「ああ、分かる、分かるよ。テディにきっと大分懐いてるんだろう。あんな風に迎えに来られたらな。
……でもな?身体バラされるか、皆で付き合うかどっちが良い?答えは明白だよなあ」
そう言って僕は抱き抱えられて、ベッドに連れてかれて放り投げられた。
「……!」
手錠されてたらロクに受け身なんて取れやしない。ベッドに転がった僕。
そして同じくベッドに上がってきた雷さんとサミーさん。2人から争う様にキスされた。絡み付く腕。
「俺だってずっと藍が欲しかった。やっと手に入る」
雷さんがそう言って僕の衣服に手を滑り込ませた。
やめてと止めようとしたけど、チャリと手錠が鳴るだけだった。
続く
「雷。あとで合流な」
「ああ」
ダッとどこかへ向かって立ち去ってしまった雷さん。
「藍。お前は俺と一緒だ」
「え、そんな。テディは」
「良いから来い」
決定事項らしく、僕はまたも力づくで連行された。
有無を言わさずサミーさんのバイクの後ろに乗せられてどこかへ向かって走り出した。
空港を振り返る。テディがきっと僕を必死になって探してるんじゃないだろうか。きっとそうに決まってる。可哀想なテディ。
「サミーさん!!どこ行くんですかこれえ!」
なんて大声で叫んででみたけどきっとロクに聞こえてやしない。風でかき消されてしまう。
きっとBREEZEの事務所とか、誰かの家とかで皆で合流するとか、そういう流れでありますようにと祈ってみる。
でも無駄だと分かっていた。『俺たちのモノになろうな』ってあの不穏なセリフはそんな意味な訳がない。
■■■
たどり着いたのは、以前寮母やってた時に皆と住んでいたマンションだった。もはや懐かしささえ感じる……。
何も言ってくれないサミーさんは、ガッチリ僕の腕を掴んで無言で進んでいく。この恐怖感、久しぶり……。
サミーさんの部屋に連れて行かれる。
ドアを開けると、中には既に雷さんがいた。
雷さんなら僕を助けてくれるんじゃないかと、ほんのり期待してしまったんだけど。
「藍…待ってた」
「あ、雷さ」
言うやいなや雷さんにキスされた。本当にびっくりしすぎて身体が硬直した。
その一瞬の間にガチャリと金属音。
イヤな予感。
……見下ろすと両手首に手錠がかかっていた。
「ひっ……な、何コレ、何ですかこれえ!!」
「何って……分かるだろ」
雷さんとサミーさんは顔を見合わせてくすくす笑った。
おかしい。2人の雰囲気がまったくおかしかった。こんな危うげな感じだった?
グラグラしてまるで頼りない精神の糸を見てるみたいだ。
あ、でも雷さんには首を絞められたことがある。確かに危うい部分はある人だったけれど。
「さ、サミーさん……」
縋るようにサミーさんを見上げても、何も言わずに見下ろされるだけ。その獲物を捕捉して舐める前の、蛇みたいな視線に背筋がブルリと震えた。
「テディは藍を飼い殺しにしてたんだよなあ…。雷に聞いたよ。良いよなあ、あいつ。本当に羨ましいぜ」
指先で僕の頬を撫でた。やさしく撫でられているはずなのに、何故だろう尖ったナイフのきっさきをあてられている様な心地だった。
「そんな風に監禁しても良いだなんて、最初に言ってくれなきゃ。なあ?抜け駆けOK。独占OK。ペット飼育可、ってさ……なあ雷」
雷さんに後ろからするりと抱きしめられた。良い匂いするんだけど、雷さんの狂気が背中から感じられて僕は叫び出しそうだった。
「だけどあろうことか、テディのところから別の男が藍を攫っただろう?そっちでも監禁状態。しかもソイツは挑発的なメッセージを何度も事務所に送ってきて…俺たちははらわた煮え繰り返ってたよ。
とは言え、俺たちは流石に誰もドームを中止するなんて言えなかった。でもテディは違った。あいつはすごい。それに周囲に人があれだけいても真っ直ぐ愛を告白するなんて……普通できない。
あんなの惚れるよなあ?」
サミーさんはそう言うと、苦笑して首を振った。
「だけどなあ、だからと言って藍を譲れる訳じゃない。藍が欲しいんだよ、みんな」
雷さんの細い指先が僕の髪をそっと撫でてすいている。
「じゃないと俺たち、お前をバラバラにしちゃいそうだからさ」
ゾク、とした。脳裏に蘇るのは荒れていた頃のサミーさんの写真。バラバラって…物理的にってこと…?ヒッと喉が鳴って胃が縮み上がった。
「いや、そんな怯えた顔するなよ。ああそうか、藍はきっと俺の正体を知ってしまったもんな。
でも俺だってお前を手にかけるなんてもちろん本望じゃない。……他のメンバーだって。大事な仲間なんだよ、俺にとっては皆。一応な。
だからせめて、俺たちの共有財産にならないか?って聞いてる訳。これは言わば藍を譲れない俺たちの紳士協定なんだよ。
でもこんな話テディにしたって無駄だろ。だから先に藍、お前に聞いてるんだ」
「そ、そんなこと言われたって……!」
「ああ、分かる、分かるよ。テディにきっと大分懐いてるんだろう。あんな風に迎えに来られたらな。
……でもな?身体バラされるか、皆で付き合うかどっちが良い?答えは明白だよなあ」
そう言って僕は抱き抱えられて、ベッドに連れてかれて放り投げられた。
「……!」
手錠されてたらロクに受け身なんて取れやしない。ベッドに転がった僕。
そして同じくベッドに上がってきた雷さんとサミーさん。2人から争う様にキスされた。絡み付く腕。
「俺だってずっと藍が欲しかった。やっと手に入る」
雷さんがそう言って僕の衣服に手を滑り込ませた。
やめてと止めようとしたけど、チャリと手錠が鳴るだけだった。
続く
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