美形アイドル達の寮母やることになったんだけど皆ヤンデレになっちゃった件

月夜の晩に

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【ヤンデレメーカー#42-①】寸止め

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突然訪れたトップアイドルに大混乱の繁華街。絶叫のお祭り騒ぎはあっという間に広がっていった。

ヤバい、これ本当にヤバい。どうしよう、どうしよう!?

頭ん中が燃えてるみたいだ。カッカする僕に、染谷さんが冷や水を浴びせるみたいな声で言った。

「藍さん。亜蓮さんとこなら行っても良いですよ。逢いたいのでしょう?」

ハッとして振り向いた。

斜めに僕を見下ろしている。

「どうしてとつぜんそんなこと言い出したんです?ここで逃すんですか?この僕を?それもスキャンダルのため?」

「さあ。ただの気まぐれですよ。行くんですか、行かないんですか?」

「…!」



僕は何も言わずに走り出そうとした。だけどその手をグッと握られる。振り返る。染谷さんが試すように僕を見ていた。


「僕も行くに決まってるでしょう」





人ごみをかき分けて進む。混雑の中、恋人かのように染谷さんに手を握られながら。手綱がわりってことなのか。

亜蓮さんは確か場所的にこっちの方角だったはずだ。それにあの人垣。間違いない。ドキンドキンと心臓が鳴る。久しぶりに会えるのだろうか。でもどうしよう、僕が行って余計な騒ぎにまた発展したら…。


「久しぶりに会えて嬉しいですか?」
「…はい…」
「ふうん…」


何か言いたげだけど…それでも僕は進むのみだ。これが何かの罠だとしても。


「…どうして亜蓮さんに会うのは許そうと思ったんですか…?」
「好きな人に会わせてあげよっかなっていう思いやりですよ」

引いた瞳で見上げた。何かおぞましいものを見る目だったかもしれない。

「そんな顔するもんじゃありませんよ。藍さん」

染谷さんは苦笑した。






何とか進んで亜蓮さんの方に近づく。
一歩一歩進んで、亜蓮さんがチラと垣間見えた!

人に囲まれすぎて全く身動きが取れない様子の亜蓮さんが目に入った!ファンや握手を求める人の相手をしながら、ずっと周囲を窺って、誰かを必死になって探している様に見える。


うそ…本当にひさしぶりだ。胸の奥がじわと熱くなる。また会えるなんて…。


「あ!!」

亜蓮さん、と手を挙げて声を掛けようとした時。その手をパシと制して耳元で言われた。

「気が変わった。今日はもう帰るよ『あーくん』」

!!!

「そ、めや…さん…?」

ゾク、として視界がぐにゃりと曲がる気がした。熱を帯び出す厄介に躾けられたこの身体。ぎ、ぎ…と振り返って絞り出した。身体の力が抜けてしまって、染谷さんに腰のあたりを抱き抱えられた。

「…何で、今…!」
「そんな状態じゃ亜蓮さんに合わせる顔がありませんね?残念でした」

「この…最低男!!!」

周囲の人が少し振り返る。でもそれは喧騒にかき消された。

「亜蓮さんに尻尾振ってる藍さんかわいくないから」





続く
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