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【ヤンデレメーカー#37】三角関係
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※週刊誌記者視点です。視点が毎話コロコロ変わって読みづらいかもしれません、すいません。
ーーーーーーー
テーブル下、戯れに握ってみた指先はそっと振り払われた。藍さんて冷たいんですね。
小雨降りしきる中、藍さんを連れて訪れた高級和食料理店の個室。
「こちら本日のお品書きになります。…ではごゆっくり」
「あ、はあい。どうもお」
ふくふくとした女将さんが説明を終え、俺たちの個室を後にした。
「何でも食べて下さいねえ」
「……」
ふたりきりというとデートの様だけど、まあ全然俺と口聞いてくれないよね。
まあそれだけのことはしてますしね。
「ささ、ここ美味しいので。遠慮せずどうぞ!」
あんまり痩せ細っちゃうと困るんでね。藍さんにはまだ長くウチにいて貰わなきゃいけないし。ね?
最初に来たおつまみと冷酒を手渡す。
さて何から話そうか。
「ここはねえ、記者御用達のお店なんですよ」
「……」
全然こっち向いてくれないし。でも構わず話を続ける。
「汚職官僚の元秘書官でしょお、3P不倫した俳優さんのその浮気相手達でしょお、色んな人をお連れしたことありますね。やっぱ個室は話しやすくて良いですよねえ…高いから人もそんな来ないし」
今までのスキャンダルを思い起こして胸が熱い気持ち。おっと浸ってちゃいけないいけない…。
「という訳でね?藍さんも僕にそろそろ心開いてアレコレ喋ってくれて良いんですよ?」
「……」
んん~ガードが固い。まあ、そんなぺちゃくちゃ喋る人じゃないからこそ掘りがいがあるってモノだ。
「あ。そう言えばさっき記者仲間から聞いたんですけど、BREEZEの雷くん。ちょっと調子悪くしちゃったみたいでしばらくお休みするんですって」
「え…」
ずっと俺から目を逸らしていた藍さんは、ぱっと顔を上げた。お、心配そうだ。テディくん繋がりで結構仲良かったのかな?
「ちなみになんか心当たりとかあります?」
「…いえ…」
藍さんは不安気な顔をしてあれこれ思案している。何でも顔に出ちゃう人は好きだ。
「そうですか。早く復帰出来ると良いですけどね。…あ、BREEZE繋がりだとそういえば一度だけ亜蓮さんとここに来たことがありますね」
ピク!と止まって俺を見上げる。じっと見つめて数秒…それでそれで?って感じのその熱量ある瞳に俺はピンと来た。
「…亜蓮さんて前は結構女の子の噂色々あった人なんですよ。知ってます?」
「……」
みるみる哀しげに藍さんのテンションが下がっていくのが手に取る様に分かった。分かりやす過ぎて内心苦笑してしまう。
「僕ねえ亜蓮さんが女の子連れて歩いてる写真撮ったことあるんですよ」
「…!」
「聞きたいですか?」
「……」
イヤそうだな。じゃあ続けよう。
「亜蓮さんを呼び出して、この子とどうなんですかってここでタイマン勝負で写真見せてみたんですよ。
そしたら『その子はただの事務所のスタッフで、打ち上げ帰りの一コマなだけ。
熱愛なんてある訳ない。だけどそんな写真が世に出回ったらそのスタッフの子は生きづらくなる。だからその写真は俺が買ってやるから黙っとけ』って割と大金渡されましたね。
自分の保身のために大金詰む人はよくいますけど、誰かのためにってのはいないのでさっすがトップスターって思いましたね」
「……」
藍さんは相変わらず無言。ふ~んって感じにしてるけど堪えきれないピンクのオーラで俺は確信した。
この人亜蓮さんに恋してるなと。何なら今惚れ直したなって。
藍さんはこんな顔、テディくんの話をしている時にはしない。その対比で分かる。
ハナが利くのは俺の自慢だ。
藍さんは亜蓮さんを想っている。今日はそれが知れただけで大収穫だ。
その後、あれこれ運ばれてきた食事を堪能した。まあ大体俺1人でぺちゃくちゃ喋っていた訳なんだが。俺は大層機嫌が良かった。
■■■
レジで会計を済ませてその帰り。
俺のミニバンの助手席に藍さんを乗せた。
暗い駐車場の中。シートベルトしてエンジンをかけ…ってところで藍さんの肩を抱いて囁いた。
「引き続き家までお利口にして下さいね。あーくん♪」
彼の体は突如びくりと震え、俺に咄嗟に縋り付いてきた。甘い吐息が漏れている。
ナニかを我慢してる模様…ってその何かを俺は既に知ってるんだけどね。ふるふる震える藍さんの髪をそっと撫でた。
藍さんにとっては『あーくん』が禁忌ワードらしいのだ。
俺が藍さんをあーくんと戯れに呼んでみたのは、本当にたまたま偶然だったのだけれど。
だけどそのワードを聞いた途端、藍さんは体がぶるぶる震えてちょっと様子がおかしくなった。
スイッチが入ったみたいに甘い声だしたり…トイレとか色々我慢出来なくなったり。イケない子になっちゃうんだよね。
最初知った時に俺は身震いした。
これが調教と言わずに何だと言うのか。
こんな風に誰が仕込んだのかなんて決まってる。元飼い主のテディくんだ。
そのくせ藍さんの心は亜蓮さんの方にあるとか、何というドロドロ三角関係なんだろう!
ああ~最高最高、今晩は良い酒が飲めそうだ!
「…ほら。あーくん?」
またもびくりと震えた身体…俺ですら愛しくてたまらない。S心を刺激する人だった。
以前、藍さんがそうやってトロトロになっちゃった所も写真に納めたし。まあ俺がまだ手を出していないのは褒めて欲しい。
その写真があるから藍さんをこうやって連れ歩いても逃げられないんだよね。
逃げたらこの写真、テディくんのとこに送りますよ?って俺が言うからね。
…でもそろそろ俺も、手を出してしまうかもしれないな。
続く
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テーブル下、戯れに握ってみた指先はそっと振り払われた。藍さんて冷たいんですね。
小雨降りしきる中、藍さんを連れて訪れた高級和食料理店の個室。
「こちら本日のお品書きになります。…ではごゆっくり」
「あ、はあい。どうもお」
ふくふくとした女将さんが説明を終え、俺たちの個室を後にした。
「何でも食べて下さいねえ」
「……」
ふたりきりというとデートの様だけど、まあ全然俺と口聞いてくれないよね。
まあそれだけのことはしてますしね。
「ささ、ここ美味しいので。遠慮せずどうぞ!」
あんまり痩せ細っちゃうと困るんでね。藍さんにはまだ長くウチにいて貰わなきゃいけないし。ね?
最初に来たおつまみと冷酒を手渡す。
さて何から話そうか。
「ここはねえ、記者御用達のお店なんですよ」
「……」
全然こっち向いてくれないし。でも構わず話を続ける。
「汚職官僚の元秘書官でしょお、3P不倫した俳優さんのその浮気相手達でしょお、色んな人をお連れしたことありますね。やっぱ個室は話しやすくて良いですよねえ…高いから人もそんな来ないし」
今までのスキャンダルを思い起こして胸が熱い気持ち。おっと浸ってちゃいけないいけない…。
「という訳でね?藍さんも僕にそろそろ心開いてアレコレ喋ってくれて良いんですよ?」
「……」
んん~ガードが固い。まあ、そんなぺちゃくちゃ喋る人じゃないからこそ掘りがいがあるってモノだ。
「あ。そう言えばさっき記者仲間から聞いたんですけど、BREEZEの雷くん。ちょっと調子悪くしちゃったみたいでしばらくお休みするんですって」
「え…」
ずっと俺から目を逸らしていた藍さんは、ぱっと顔を上げた。お、心配そうだ。テディくん繋がりで結構仲良かったのかな?
「ちなみになんか心当たりとかあります?」
「…いえ…」
藍さんは不安気な顔をしてあれこれ思案している。何でも顔に出ちゃう人は好きだ。
「そうですか。早く復帰出来ると良いですけどね。…あ、BREEZE繋がりだとそういえば一度だけ亜蓮さんとここに来たことがありますね」
ピク!と止まって俺を見上げる。じっと見つめて数秒…それでそれで?って感じのその熱量ある瞳に俺はピンと来た。
「…亜蓮さんて前は結構女の子の噂色々あった人なんですよ。知ってます?」
「……」
みるみる哀しげに藍さんのテンションが下がっていくのが手に取る様に分かった。分かりやす過ぎて内心苦笑してしまう。
「僕ねえ亜蓮さんが女の子連れて歩いてる写真撮ったことあるんですよ」
「…!」
「聞きたいですか?」
「……」
イヤそうだな。じゃあ続けよう。
「亜蓮さんを呼び出して、この子とどうなんですかってここでタイマン勝負で写真見せてみたんですよ。
そしたら『その子はただの事務所のスタッフで、打ち上げ帰りの一コマなだけ。
熱愛なんてある訳ない。だけどそんな写真が世に出回ったらそのスタッフの子は生きづらくなる。だからその写真は俺が買ってやるから黙っとけ』って割と大金渡されましたね。
自分の保身のために大金詰む人はよくいますけど、誰かのためにってのはいないのでさっすがトップスターって思いましたね」
「……」
藍さんは相変わらず無言。ふ~んって感じにしてるけど堪えきれないピンクのオーラで俺は確信した。
この人亜蓮さんに恋してるなと。何なら今惚れ直したなって。
藍さんはこんな顔、テディくんの話をしている時にはしない。その対比で分かる。
ハナが利くのは俺の自慢だ。
藍さんは亜蓮さんを想っている。今日はそれが知れただけで大収穫だ。
その後、あれこれ運ばれてきた食事を堪能した。まあ大体俺1人でぺちゃくちゃ喋っていた訳なんだが。俺は大層機嫌が良かった。
■■■
レジで会計を済ませてその帰り。
俺のミニバンの助手席に藍さんを乗せた。
暗い駐車場の中。シートベルトしてエンジンをかけ…ってところで藍さんの肩を抱いて囁いた。
「引き続き家までお利口にして下さいね。あーくん♪」
彼の体は突如びくりと震え、俺に咄嗟に縋り付いてきた。甘い吐息が漏れている。
ナニかを我慢してる模様…ってその何かを俺は既に知ってるんだけどね。ふるふる震える藍さんの髪をそっと撫でた。
藍さんにとっては『あーくん』が禁忌ワードらしいのだ。
俺が藍さんをあーくんと戯れに呼んでみたのは、本当にたまたま偶然だったのだけれど。
だけどそのワードを聞いた途端、藍さんは体がぶるぶる震えてちょっと様子がおかしくなった。
スイッチが入ったみたいに甘い声だしたり…トイレとか色々我慢出来なくなったり。イケない子になっちゃうんだよね。
最初知った時に俺は身震いした。
これが調教と言わずに何だと言うのか。
こんな風に誰が仕込んだのかなんて決まってる。元飼い主のテディくんだ。
そのくせ藍さんの心は亜蓮さんの方にあるとか、何というドロドロ三角関係なんだろう!
ああ~最高最高、今晩は良い酒が飲めそうだ!
「…ほら。あーくん?」
またもびくりと震えた身体…俺ですら愛しくてたまらない。S心を刺激する人だった。
以前、藍さんがそうやってトロトロになっちゃった所も写真に納めたし。まあ俺がまだ手を出していないのは褒めて欲しい。
その写真があるから藍さんをこうやって連れ歩いても逃げられないんだよね。
逃げたらこの写真、テディくんのとこに送りますよ?って俺が言うからね。
…でもそろそろ俺も、手を出してしまうかもしれないな。
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