美形アイドル達の寮母やることになったんだけど皆ヤンデレになっちゃった件

月夜の晩に

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【ヤンデレメーカー#31】スキャンダルの代償

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続いてバシャバシャバシャ!と連写で写真を撮られた。近接のフラッシュは眩しくてとっさに目を背けた僕。
でもしっかり写ってしまったと思う。

まんまるのレンズがこっちを覗いている。いやらしくておぞましく、妙に綺麗に磨かれたそのカメラのレンズ…。
データを確認すると男は破顔して言った。

「やった撮れた。最高の写真」

呆然としていたが、僕はようやく我に返って反撃した。

「…あ、あなた何なんですか!勝手に家に入ったりして!警察呼びますからね!?」
「良いですよお。僕が逮捕されて牢屋にぶっ込まれても、このスキャンダルは死なないから」

「かっ返して!」

ベッド下からカメラを奪おうとした僕の手は、容易に跳ね除けられた。どうしよう、あんなの週刊誌に載ったら!

「あっは。やっぱり恋人のスキャンダルは嫌なんですね?」

ベッド下を覗き込む記者とやり合う。

「恋人じゃないです!」
「へえ~?じゃあただのメイドさん?男の子の。ベッド下に潜むのがお仕事?」

「ち、ちがいます!」

男の骨ばった色白の指先が挑発的に僕のほおを撫でる。

「辞めて!」
「他の男に触れられるとテディくんが怒るから?いやあ怒らせてみたいなあ」

「あなたテディに殺されますよ!?」

ニコ、と男は笑った。

「テディって言った。やっぱり直接の知り合いなんだ。知らないって白々しく言い張れば良いのに。素直なんですねえ」

くそ、と僕は唇を噛んだ。

「まあほらほら!出てきてくださいよ!そんなベッド下じゃ話も出来ない!」

僕を力ずくで引き摺り出したその男。
ジャラ、と僕の足に巻きついたチェーンを見て一瞬固まり、その意味を理解するやいなや手を叩いて喜んだ。

 
■■■


「それで、と。馴れ初めを教えてください?」
「……」

僕は後ろ手に拘束されてベッドに座らされている。信じられないけどあっという間に縛り上げられてしまったんだ。この記者何なんだよ!?何者だって言うんだ…。
僕の隣に機嫌良く座るその男。

「ねえねえ。メイドさん」
「……」

プイッとそっぽを向いた。当たり前だった。これ絶対レコーダーかなんかで録られてる。変なことなんかもうこれ以上言いたくなかった。

「ケチせず教えてくださいよお。男の恋人を地下で飼うなんて最高じゃないですか?
まさかあのトップアイドルが。世も末ですよねえ」

「!放っておいてくださいよ!」

記者はクスクス笑った。

「世も末なのは本当でしょう。あなたこんな逃げられない様にチェーン巻きつけられて拘束されてるんですよ?…あの子はおかしい」

「あ、あなたに何が分かるんですか!?」

ブチッと来た。テディはホントの性根の部分は悪い子じゃないんだ。誰かがテディを悪く言うのは耐えられなかった!
に、と一瞬笑った記者。

「じゃあ同意でこんなことしてるんですか?ラブラブってこと?その方が怖いんですけど」
「…!」

痛いところを突かれた。僕だって…こんなことをしたくてしてるんじゃない。逃げ出したいって僕だって思ってはいる。だけど…。

「…放っておいてください」

僕はスッと視線を逸らした。
この記者と喋っているのは苦手だ。ぱっと見は人の良さそうな顔をしていて、そのくせ何でも明け透けに心の中を覗いて何か盗んでいきそうな気がする。

「ねえねえ。だからあ馴れ初めは?あなたはテディくんのファンの1人だった?それともナンパでもされて?」
「……」


とにかく口を割らないようにしようと決めていた。寮母でとか言ったらもっとめんどくさそうだし。
それに無言を貫いていれば、いつかはテディが帰ってくるんだ。

だけどそれは記者側も分かっていたのか、向こうは別の手に打って出てきた。

「だんまりなんて卑怯ですよ?
…というかね。僕はテディ君が今日相当長いこと帰ってこないことを知っている。ということは?あなたの制裁与奪は僕が今握ってるんですよ?分かります?」

一瞬僕は怯んだ。こ、殺すとか言い出す気か…?

「あなたがいま選べる選択肢は2つです。
1、僕と一緒に来る」

「え、な…何言って…」

驚いて顔を上げる。楽しそうな記者と目が合った。

「それでね?
テディ君に挑戦状出すんですよ。恋人預かったよって。彼は必ず僕のところに恋人を取り返しにくる。もうハチャメチャにブチギレて僕のことぶん殴りに来るかも。あのトップアイドルのテディ君がですよ?

そうですね。挑発するなら大きいライブの時とか、なんかデカい仕事やってる時が良い。その仕事放り投げてきたらどうです?一連のスキャンダルだ。

アイドルが一般人に向ける偏愛。しかも男のね。僕をぶん殴ったあと君を抱きしめるテディくん。
これだ。この写真が世に出せたら僕は記者引退しても良い」

「…あ、あ、あなた…本当に何いってるんですかあ!?」

怒りで震えた。ひどい。酷すぎる。テディは激情家で、下手に挑発したらやりかねない。そんな写真が出たら本当にテディはおしまいだ。

そんな。ひどい。テディはテディなりに仕事を頑張っているのに!
睨みつける僕にアハハと笑って記者は言った。
 
「じゃあ2つめの選択肢」

ウグと僕は怯んだ。今度は一体どんな酷い選択肢を…。

「今ここで僕と寝る。それなら口封じされてあげましょうか」

「…!!
…あ、あなた…本当に何言って…」

そいつは震える僕の頬を両手で挟んだ。

「だって知りたいじゃないですか?トップアイドルが夢中になる男の子ってどんななのか。

顔は普通~なのにこんなに夢中になるなんて、よっぽど床上手としか思えない。じゃあありついてみよっかなって考えるのはオトコなら普通のことですよ」

「こ、この悪魔!」
「さあどっちですか?
10秒待ってあげるから自分で決めて!」
 
 
 




続く
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