10 / 56
ヤンデレメーカー#10 テディの嫉妬心
しおりを挟む
サミーさんと別れてテディと合流した。部屋へ戻る道すがら、ペトッとテディがくっついてきながら聞いてきた。
「サミーと何話してきたの?」
「内緒」
「おせっかいがどうとか聞こえた」
「しっかり聞いてるじゃん」
「それ以外あんまり聞こえなかった」
ムスッとしている。
「皆と何話してるかは内緒だよ。皆のプライベートぺちゃくちゃ喋っちゃだめじゃない」
「俺は特別じゃん!」
「そこは平等です」
くううっと唇を噛んで不満を露わにしたテディ。
それからも何とか僕からアレコレ聞き出そうと纏わりついてきたんで、ちょうど僕らの部屋の近くにあった自販機でイチゴジュース買って黙らせた。
***
「さ、藍!ここ来て」
お風呂入ってもう寝るって時、ポスポスと機嫌良くベッドを叩いてきたテディ。
「はいはい、心得てますよお」
テディの隣に潜り込む。ギュッと抱きしめてきた。この大きな身体に包まれる様に抱きしめられるのももう慣れてきた。
「…でさあ、サミーと何話してたの?」
「またその話?もう寝ようよお」
「…藍が他の誰かと秘密を共有するのが心底イヤだ」
「そんな大層なもんじゃないってばあ」
なんて軽く返していたけど僕は内心ドキドキしていた。こんなに嫉妬心剥き出しなのって歳下の男の子ならではなんだろうか。
「藍」
そんな声音で言われると困ってしまう。
でも皆の個人的な話は漏らしちゃダメだ。何とか誤魔化せ…!
「あー、皆の話はテディには言えないんだけど。ちゃんとテディは特別だからさ、安心してよ。ね?」
「本当?」
「うん」
「俺が1番?」
「うっうん」
「…なら良いけど…他のやつを1番にしたら刺すからね」
僕の匂いをくんくん嗅ぐとテディはそのまま寝た。
誰を刺す気?僕?他の人のこと?心底僕は肝が冷えながら聞けなかった。今更ながらテディとこんな近しい関係になってしまって大丈夫だったのだろうか。これで寮母辞めるねとか言ったらガチめに監禁されかねない気がする…。
ブルッと震えた。いや、将来のことを気に病むのは辞めよう。
あ、そうだ。思い出した、サミーさん。
おせっかいして欲しいって言われてたんだった。時間もまだメッセージ送ってもギリ大丈夫な頃だし。
テディに拘束されつつ携帯を手探りで見つけ、何とかメッセージを打った。
『サミーさんお休みなさい』
それだけLINEを送ろうと思ったのだが、考え直して僕はメッセージを追加した。
『サミーさんお休みなさい。遅くまで起きてちゃダメですよ。明日の朝のホテルの朝食も野菜ちゃんと食べてくださいね』
送る前に大分悩んだ。いや普通にウザくない?でもこういうのが嬉しいって言われた訳だし…
悩んで悩んでポチッと送信した。
即既読がついて良くない意味でドキッとした。
『うぜえ』って来るかなと内心ザワザワしてたら
『了解、寮母さん♪気をつけまーす。こういうのまたよろしく!』って来てホゥ…と安心した。
こういうのが良いの?
アイドルって分からない、まじで…。
僕は携帯をそっと枕元に置いた。
だけどサミーさんがこういうおせっかいを好む哀しい理由が、後々分かることになるのである。
***
翌日。僕はテディと一緒に帰ることになった。サミーさんはまた更に泊まりで別の仕事に行かないといけないらしい。アイドルって本当大変だ。
関係者用の車で一緒に揺られながら長い帰路についた。外の景色を眺めるテディ。整った鼻梁で本当に美しい顔で、ちょっと見惚れるくらいだった。
「…家着いたら俺、また夕方からは仕事行かなきゃいけないんだよねえ」
「あ、そうなの?」
「うん。でも夜は帰ってくるから安心してね」
まるで恋人同士の会話の様だけどそうじゃないんだよね。
「そうするとエート、今日はマンションにいるのは…」
「雷だけ。亜蓮はいないっぽい。スケジュール表確認しといた」
僕の方をチラッと横目に見たテディ。
「亜蓮と藍は引き離しておかないと危ないしな」
ウッと詰まる僕。亜蓮さんの言うことは何でも聞けって言われて、つい従ってしまうのも事実だった。
「あ、でさ。雷さんとその、なかなかお話出来る様な仲になれないんだけど、何かヒントとかない!?」
話を誤魔化した。しばし考えたテディ。
「雷はねえ、元子役なんだよ。俳優の道を諦めてアイドルになったっぽい。でも何で辞めちゃったのかは誰も知らない。雷は普段メンバーに対してもあんまり喋らないからなあ…」
うーんと更に考え込んだ。
「でもアイドルの仕事に関しては超ストイックだよ。練習も多分1番やってるのは雷。空き時間さえあれば朝から晩まで歌とダンスの練習。
正直何であそこまで努力できるのか俺には分からないけど。
あ、思いついた。食事の管理が大変だみたいな話を前に雷がしてたことあったから、食事周りで攻めてみたら?藍の得意ジャンル」
「な、ナイスアイディア!!それで行ってみる!」
「…別に良いけど」
「?何拗ねてんの」
「藍がまたメンバーを落とそうとしてるなあって」
「何言ってんの」
「雷に無視られて泣けば良いんだ」
プイッとそっぽを向いたテディ。
嫉妬心マシマシなのが更に増加してる気がするこの歳下の美男。だけど律儀に雷さんの攻略ヒントはくれるという親切な子でもある。
誰も見てないのを確認して、ありがとってテディの手の甲にチュッてキスしてあげたら、目をまん丸にしちゃった可愛いクマくん。
その後の綻んだ顔と言ったら…。
続く
「サミーと何話してきたの?」
「内緒」
「おせっかいがどうとか聞こえた」
「しっかり聞いてるじゃん」
「それ以外あんまり聞こえなかった」
ムスッとしている。
「皆と何話してるかは内緒だよ。皆のプライベートぺちゃくちゃ喋っちゃだめじゃない」
「俺は特別じゃん!」
「そこは平等です」
くううっと唇を噛んで不満を露わにしたテディ。
それからも何とか僕からアレコレ聞き出そうと纏わりついてきたんで、ちょうど僕らの部屋の近くにあった自販機でイチゴジュース買って黙らせた。
***
「さ、藍!ここ来て」
お風呂入ってもう寝るって時、ポスポスと機嫌良くベッドを叩いてきたテディ。
「はいはい、心得てますよお」
テディの隣に潜り込む。ギュッと抱きしめてきた。この大きな身体に包まれる様に抱きしめられるのももう慣れてきた。
「…でさあ、サミーと何話してたの?」
「またその話?もう寝ようよお」
「…藍が他の誰かと秘密を共有するのが心底イヤだ」
「そんな大層なもんじゃないってばあ」
なんて軽く返していたけど僕は内心ドキドキしていた。こんなに嫉妬心剥き出しなのって歳下の男の子ならではなんだろうか。
「藍」
そんな声音で言われると困ってしまう。
でも皆の個人的な話は漏らしちゃダメだ。何とか誤魔化せ…!
「あー、皆の話はテディには言えないんだけど。ちゃんとテディは特別だからさ、安心してよ。ね?」
「本当?」
「うん」
「俺が1番?」
「うっうん」
「…なら良いけど…他のやつを1番にしたら刺すからね」
僕の匂いをくんくん嗅ぐとテディはそのまま寝た。
誰を刺す気?僕?他の人のこと?心底僕は肝が冷えながら聞けなかった。今更ながらテディとこんな近しい関係になってしまって大丈夫だったのだろうか。これで寮母辞めるねとか言ったらガチめに監禁されかねない気がする…。
ブルッと震えた。いや、将来のことを気に病むのは辞めよう。
あ、そうだ。思い出した、サミーさん。
おせっかいして欲しいって言われてたんだった。時間もまだメッセージ送ってもギリ大丈夫な頃だし。
テディに拘束されつつ携帯を手探りで見つけ、何とかメッセージを打った。
『サミーさんお休みなさい』
それだけLINEを送ろうと思ったのだが、考え直して僕はメッセージを追加した。
『サミーさんお休みなさい。遅くまで起きてちゃダメですよ。明日の朝のホテルの朝食も野菜ちゃんと食べてくださいね』
送る前に大分悩んだ。いや普通にウザくない?でもこういうのが嬉しいって言われた訳だし…
悩んで悩んでポチッと送信した。
即既読がついて良くない意味でドキッとした。
『うぜえ』って来るかなと内心ザワザワしてたら
『了解、寮母さん♪気をつけまーす。こういうのまたよろしく!』って来てホゥ…と安心した。
こういうのが良いの?
アイドルって分からない、まじで…。
僕は携帯をそっと枕元に置いた。
だけどサミーさんがこういうおせっかいを好む哀しい理由が、後々分かることになるのである。
***
翌日。僕はテディと一緒に帰ることになった。サミーさんはまた更に泊まりで別の仕事に行かないといけないらしい。アイドルって本当大変だ。
関係者用の車で一緒に揺られながら長い帰路についた。外の景色を眺めるテディ。整った鼻梁で本当に美しい顔で、ちょっと見惚れるくらいだった。
「…家着いたら俺、また夕方からは仕事行かなきゃいけないんだよねえ」
「あ、そうなの?」
「うん。でも夜は帰ってくるから安心してね」
まるで恋人同士の会話の様だけどそうじゃないんだよね。
「そうするとエート、今日はマンションにいるのは…」
「雷だけ。亜蓮はいないっぽい。スケジュール表確認しといた」
僕の方をチラッと横目に見たテディ。
「亜蓮と藍は引き離しておかないと危ないしな」
ウッと詰まる僕。亜蓮さんの言うことは何でも聞けって言われて、つい従ってしまうのも事実だった。
「あ、でさ。雷さんとその、なかなかお話出来る様な仲になれないんだけど、何かヒントとかない!?」
話を誤魔化した。しばし考えたテディ。
「雷はねえ、元子役なんだよ。俳優の道を諦めてアイドルになったっぽい。でも何で辞めちゃったのかは誰も知らない。雷は普段メンバーに対してもあんまり喋らないからなあ…」
うーんと更に考え込んだ。
「でもアイドルの仕事に関しては超ストイックだよ。練習も多分1番やってるのは雷。空き時間さえあれば朝から晩まで歌とダンスの練習。
正直何であそこまで努力できるのか俺には分からないけど。
あ、思いついた。食事の管理が大変だみたいな話を前に雷がしてたことあったから、食事周りで攻めてみたら?藍の得意ジャンル」
「な、ナイスアイディア!!それで行ってみる!」
「…別に良いけど」
「?何拗ねてんの」
「藍がまたメンバーを落とそうとしてるなあって」
「何言ってんの」
「雷に無視られて泣けば良いんだ」
プイッとそっぽを向いたテディ。
嫉妬心マシマシなのが更に増加してる気がするこの歳下の美男。だけど律儀に雷さんの攻略ヒントはくれるという親切な子でもある。
誰も見てないのを確認して、ありがとってテディの手の甲にチュッてキスしてあげたら、目をまん丸にしちゃった可愛いクマくん。
その後の綻んだ顔と言ったら…。
続く
39
お気に入りに追加
704
あなたにおすすめの小説

頭の上に現れた数字が平凡な俺で抜いた数って冗談ですよね?
いぶぷろふぇ
BL
ある日突然頭の上に謎の数字が見えるようになったごくごく普通の高校生、佐藤栄司。何やら規則性があるらしい数字だが、その意味は分からないまま。
ところが、数字が頭上にある事にも慣れたある日、クラス替えによって隣の席になった学年一のイケメン白田慶は数字に何やら心当たりがあるようで……?
頭上の数字を発端に、普通のはずの高校生がヤンデレ達の愛に巻き込まれていく!?
「白田君!? っていうか、和真も!? 慎吾まで!? ちょ、やめて! そんな目で見つめてこないで!」
美形ヤンデレ攻め×平凡受け
※この作品は以前ぷらいべったーに載せた作品を改題・改稿したものです
※物語は高校生から始まりますが、主人公が成人する後半まで性描写はありません

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き
toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった!
※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。
pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/100148872
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)
ド平凡な俺が全員美形な四兄弟からなぜか愛され…執着されているらしい
パイ生地製作委員会
BL
それぞれ別ベクトルの執着攻め4人×平凡受け
★一言でも感想・質問嬉しいです:https://marshmallow-qa.com/8wk9xo87onpix02?t=dlOeZc&utm_medium=url_text&utm_source=promotion
更新報告用のX(Twitter)をフォローすると作品更新に早く気づけて便利です
X(旧Twitter): https://twitter.com/piedough_bl

初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる