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終章 いざ! 世界征服へ!

51話 私とダークネス・カイザー様の関係

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私はオカルト研究部、もとい大邪神殿の扉の前まで来ていた。

(先輩、もといダークネス・カイザー様が恋人だからって取り乱してはダメ。平常心平常心と……)

私はスーハ―スーハーと軽く胸に手を当て深呼吸する。
そして扉を開き神殿内に足を踏み入れる。相変わらずカーテンで部室、もとい神殿は暗がりだった。

「皆さんごきげんよう」

既に神殿内に居たクレヴァナルのメンバー4人に挨拶をする。

「……こんにちは黒井さん」

読書にふけ込みながら挨拶を返すビーブリオテーカ様。

「こ、こんにちわ……く、黒井嬢」

相変わらずのへっぴり腰を見せるソリトゥス様。

「アゲハちゃーーん! 待っていましたよーー!」

席を立ちこっちに向かって抱きついて来るクリスチャン。

「ちょっと、離してちょうだい。苦しいわ」

「ああ、ご、ごめんなさい。バステトちゃんのにゃんにちわ」

誰も彼もがクレヴァナルのメンバーである。

「こんちちわ」

肩に乗るバステトが挨拶を交わすが、その声は周囲にニャ~~とかミャ~~としかつたわらない。私だけがこの雌猫の言葉を理解できる。

そしてクレヴァナルの最高幹部ダークネス・カイザー様が机の上に肘を掛け座っていた。

「遅いぞ、幹部デイネブリスパピヨンよ!」

「ごめんなさいダークネス・カイザー様、少し心に迷いがしょうじ遅くなってしまいました」

相変わらずのものいいに私は尊敬の念を込めて挨拶をした。

「迷いか……それもよかろう。どんな悩みを秘めているんだ? 良ければ聞かせてくれないか?」

「あなたに会う迷いですよ(先制攻撃はどうだ)」

「む、そ、そうか我に会うかどうか迷っていたという訳か。それは何故だ?」

「だって私はあなたのフィアンセなのだから。来るのが恥ずかしくって、ついクラスの机の上でうっとりしていたんですもの」

たじろぐダークネスカイザー様、たぶん照れているのだろう。

「きゃ~~~~聞きました皆さん! フィアンセですって! フィアンセ!」

「確かに聞きました」

「ふ、二人はもう恋人同士なんですよね……? ちょ、ちょっぴりだけ二人が羨ましいなぁ~~」

クレヴァナルのメンバーは各々感想を述べていた。で、とうの告白を受けたダークネス・カイザー様は、というとペットボトルの水をがぶ飲みしていた。

「キスとかしちゃってくださいよ。キーース」

「――何を言っているか! クリスチャン! 物事には順序というのがあるのだ。まずは手を握るとか……」

珍しく動揺していたダークネス・カイザー様は、かなり私は新鮮でいい気分になれた。

(ふぅ……からかうのはこれくらいにしておきましょう。どうせこれからいつまでもから帰る場面は出てくるのだから……)

私は暗がりの神殿内を進み、いつもの一本の蝋燭のついた席に着席した。

「ダークネス・カイザー様、聞きましたわ。我が部が廃部にならないようですね……」

「ああ、あれもこれも全てはキミの功績だ。何かプレゼントを贈らなくてはな」

「では私は結婚指輪を指定します」

「ブフッ!? ――だからそれには順序があるのだ。余り我をからかうでないぞ。デイネブリスパピヨンよ。それにお金も掛かるしな」

「安物の指輪でも全然かまいませんことよ。私の年収は数千万ですから、デザインさえ選んでくれれば、二人分は余裕で買えますわ」

「――気が早すぎる」

「はぁ~~、こんなイチャイチャが見られるなんて私は幸せ者です」

「とにかくだ。デイネブリスパピヨンよ。こたびは本当にご苦労だった。あの守護天使カトリックも悔し涙を浮かべていることだろう。そう思うだけで笑いがこみ上げてくるわ。フハハハ、ハーハッハッハッハッ!」

(その高笑いこそ、正真証明のダークネス・カイザー様ですわ)

「そんなことより、とっておきの情報を話してくれるんじゃなかった?」

話を遮ったのはビーブリオテーカ様だった。

「そうだった。ゴホン、皆の者よく聞け、昨日新たに心霊スポットが見つかったのだ。その名もアニマルパークだ!」

「あにまるパーク? 名前からして動物がいっぱいいそうですね」

「世界征服の一環として我々はそこへ向かわなければならない。すなわち新たな作戦ということだ! 我々の力を世に知らしめて、信者を確保し、貢献する! それこそが我らオカルト研、もとい大邪神様から与えられた試練なのだ!」

「世界征服に関係があるのか知らないけど、依頼が来たのなら完ぺきにこなさないとね。黒井さん……あなたにはまたお世話になる」

「構いませんことよ」

「さぁ、クリスチャン席に着くのだ! これより我らクレヴァナルは、アニマルパークの再建を試みる作戦を立てるための会議をしようと思うのだ!」

「は~~い」

私は妖艶な返事をした。

ここから、また新たなオカルト研究部の、もとい大邪神教の活動が始まるのだった。
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