49 / 52
第四章 ダークネス・カイザー様の行方
49話 新たなる契約
しおりを挟む
「――私たちの為に、魂を、命を、賭けることなんてないです! ダークネス・カイザー様がそんなバカげたことを考えるなんて思いもしませんでした」
「――馬鹿げたこととはなんだ……? これでも本気で覚悟を決めたのだぞ!」
「――本気な今すぐ世界征服しましょうよ!」
「しかし、我々がいるのはあと3カ月のみ、我が代でクレヴァナルを世界にとどろかせることは不可能だ」
「そんなの私の知ってるダークネス・カイザー様じゃないわ!」
「――――ッ!?」
「私の知ってるダークネス・カイザー様はいつも高笑いしてこういうの! 我がクレヴァナルのメンバーよ! こたびも世界征服への一歩を踏み出そうではないかって!」
「しかしだな。現実的に考えて……クレヴァナルの世界征服があと3カ月のみというのは……」
「――現実的に考えるなんてダークネス・カイザー様じゃありません! そんなことを考えるのは黒条サイコ先輩の一面です!」
「だが、現状は、世界征服だけでなく、クレヴァバなるの存続も怪しい所であってだな」
「じゃあ卒業後も皆で集まればいいだけじゃないですか!?」
「――――な!?」
「――何か問題ありますか!?」
「……いやない。むしろ最高の解決策だ」
「でしょう? だったらもうこんなところに用はありません。早く皆のいる世界に戻りましょう」
「しかし、我には契約があるのだ。これを破るとどうなるか聞いているか?」
「どうなるんです?」
「血縁者の魂を問答無用で喰らいつくせるのだ」
「――ッ!? デビルン!」
私はデビルンの方に振り向いた。翼の拳でイビルンを包み込んでいるところがうかがえた。
「あはははーー、バレちまったか? いや、隠すつもりはなかったんだが、心配するだろ人間ってそういうこと……」
デビルンは棒読みで言い放った。
「我は願いを叶えてしまったし、家族にも迷惑をかけるわけにはいかない。ここらが潮時だと思ったのだ。だから頼むデイネブリスパピヨンよ! クレヴァナルの組織を大きくするのはキミの役目なのだ!」
「嫌です」
「わかってるこんな押し付けや、命の代償などと言われても納得いかないだろう……しかし、こうするしか道はないのだ」
「道ならまだあります!」
「――いいやない。家族が犠牲になる」
「――いいえ、私と一緒に進む道がまだ残っています」
「キミと同じ道を進む?」
「聞いてくださいダークネス・カイザー様、私にも願いごとがあるんです。それは――」
私はダークネス・カイザー様の手を取り、頬に口づけを交わした。その時の先輩の表情はあっけにとられていた。
「――それは、ダークネス・カイザーと契りを結び妻として血縁者になることです」
「我の血縁者にキミがなるというのか? それではまるで――」
「――はい。愛の告白です」
数秒間見つめあう二人。誰にも邪魔されない時間が続いていた。そして――
「ダークネス・カイザー様、私をあなたの伴侶としいて迎え入れてください」
「キミは本気で我を好いているのか?」
「――はい、いつもお慕いしておりました」
即答した。
「……そうか、我と共に道を進んでくれるか」
「――はい」
これもまた即答した。
「我なんかが伴侶で本当にいいのか?」
私は先輩を抱きしめた。力の限り抱きしめた。
「何を言っているんです? 最初に出会った時、あなたは言っていたじゃないですか……前前前世からの運命の出会いだって……」
「覚えていたのか……」
「そちらこそ覚えていたんですね。あれは本気だったんですか?」
「本気だったとも、例え一目惚れだったとしても……」
「それなら契約成立ですね。一緒に世界を征服してやりましょう」
「わかった。そう、そうしよう……うっ、うっ」
ダークネス・カイザー様が涙をこぼし始めた。
「実は、言うと、結構、ぐすん、魂を喰われるのが、うっ、怖くてな。誰かに、相談しようとも、思ったんだ」
先輩が膝から崩れ落ちる。私はその頭を撫でて怖さを和らげてあげる。
「ダークネス・カイザー様、私と結婚を前提としたお付き合いをしてください」
「わかった。デイネブリスパピヨンよ。キミと契りを、新たな契約を結ぼう」
こうして私と先輩は恋人同士になったのだった。
「――馬鹿げたこととはなんだ……? これでも本気で覚悟を決めたのだぞ!」
「――本気な今すぐ世界征服しましょうよ!」
「しかし、我々がいるのはあと3カ月のみ、我が代でクレヴァナルを世界にとどろかせることは不可能だ」
「そんなの私の知ってるダークネス・カイザー様じゃないわ!」
「――――ッ!?」
「私の知ってるダークネス・カイザー様はいつも高笑いしてこういうの! 我がクレヴァナルのメンバーよ! こたびも世界征服への一歩を踏み出そうではないかって!」
「しかしだな。現実的に考えて……クレヴァナルの世界征服があと3カ月のみというのは……」
「――現実的に考えるなんてダークネス・カイザー様じゃありません! そんなことを考えるのは黒条サイコ先輩の一面です!」
「だが、現状は、世界征服だけでなく、クレヴァバなるの存続も怪しい所であってだな」
「じゃあ卒業後も皆で集まればいいだけじゃないですか!?」
「――――な!?」
「――何か問題ありますか!?」
「……いやない。むしろ最高の解決策だ」
「でしょう? だったらもうこんなところに用はありません。早く皆のいる世界に戻りましょう」
「しかし、我には契約があるのだ。これを破るとどうなるか聞いているか?」
「どうなるんです?」
「血縁者の魂を問答無用で喰らいつくせるのだ」
「――ッ!? デビルン!」
私はデビルンの方に振り向いた。翼の拳でイビルンを包み込んでいるところがうかがえた。
「あはははーー、バレちまったか? いや、隠すつもりはなかったんだが、心配するだろ人間ってそういうこと……」
デビルンは棒読みで言い放った。
「我は願いを叶えてしまったし、家族にも迷惑をかけるわけにはいかない。ここらが潮時だと思ったのだ。だから頼むデイネブリスパピヨンよ! クレヴァナルの組織を大きくするのはキミの役目なのだ!」
「嫌です」
「わかってるこんな押し付けや、命の代償などと言われても納得いかないだろう……しかし、こうするしか道はないのだ」
「道ならまだあります!」
「――いいやない。家族が犠牲になる」
「――いいえ、私と一緒に進む道がまだ残っています」
「キミと同じ道を進む?」
「聞いてくださいダークネス・カイザー様、私にも願いごとがあるんです。それは――」
私はダークネス・カイザー様の手を取り、頬に口づけを交わした。その時の先輩の表情はあっけにとられていた。
「――それは、ダークネス・カイザーと契りを結び妻として血縁者になることです」
「我の血縁者にキミがなるというのか? それではまるで――」
「――はい。愛の告白です」
数秒間見つめあう二人。誰にも邪魔されない時間が続いていた。そして――
「ダークネス・カイザー様、私をあなたの伴侶としいて迎え入れてください」
「キミは本気で我を好いているのか?」
「――はい、いつもお慕いしておりました」
即答した。
「……そうか、我と共に道を進んでくれるか」
「――はい」
これもまた即答した。
「我なんかが伴侶で本当にいいのか?」
私は先輩を抱きしめた。力の限り抱きしめた。
「何を言っているんです? 最初に出会った時、あなたは言っていたじゃないですか……前前前世からの運命の出会いだって……」
「覚えていたのか……」
「そちらこそ覚えていたんですね。あれは本気だったんですか?」
「本気だったとも、例え一目惚れだったとしても……」
「それなら契約成立ですね。一緒に世界を征服してやりましょう」
「わかった。そう、そうしよう……うっ、うっ」
ダークネス・カイザー様が涙をこぼし始めた。
「実は、言うと、結構、ぐすん、魂を喰われるのが、うっ、怖くてな。誰かに、相談しようとも、思ったんだ」
先輩が膝から崩れ落ちる。私はその頭を撫でて怖さを和らげてあげる。
「ダークネス・カイザー様、私と結婚を前提としたお付き合いをしてください」
「わかった。デイネブリスパピヨンよ。キミと契りを、新たな契約を結ぼう」
こうして私と先輩は恋人同士になったのだった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
ま性戦隊シマパンダー
九情承太郎
キャラ文芸
魔性のオーパーツ「中二病プリンター」により、ノベルワナビー(小説家志望)の作品から次々に現れるアホ…個性的な敵キャラたちが、現実世界(特に関東地方)に被害を与えていた。
警察や軍隊で相手にしきれないアホ…個性的な敵キャラに対処するために、多くの民間戦隊が立ち上がった!
そんな戦隊の一つ、極秘戦隊スクリーマーズの一員ブルースクリーマー・入谷恐子は、迂闊な行動が重なり、シマパンの力で戦う戦士「シマパンダー」と勘違いされて悪目立ちしてしまう(笑)
誤解が解ける日は、果たして来るのであろうか?
たぶん、ない!
ま性(まぬけな性分)の戦士シマパンダーによるスーパー戦隊コメディの決定版。笑い死にを恐れぬならば、読むがいい!!
他の小説サイトでも公開しています。
表紙は、画像生成AIで出力したイラストです。
護国神社の隣にある本屋はあやかし書店
井藤 美樹
キャラ文芸
【第四回キャラ文芸大賞 激励賞頂きました。ありがとうございますm(_ _)m】
真っ白なお城の隣にある護国神社と、小さな商店街を繋ぐ裏道から少し外れた場所に、一軒の小さな本屋があった。
今時珍しい木造の建物で、古本屋をちょっと大きくしたような、こじんまりとした本屋だ。
売り上げよりも、趣味で開けているような、そんな感じの本屋。
本屋の名前は【神楽書店】
その本屋には、何故か昔から色んな種類の本が集まってくる。普通の小説から、曰く付きの本まで。色々だ。
さぁ、今日も一冊の本が持ち込まれた。
十九歳になったばかりの神谷裕樹が、見えない相棒と居候している付喪神と共に、本に秘められた様々な想いに触れながら成長し、悪戦苦闘しながらも、頑張って本屋を切り盛りしていく物語。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
僕のペナントライフ
遊馬友仁
キャラ文芸
〜僕はいかにして心配することを止めてタイガースを愛するようになったか?〜
「なんでやねん!? タイガース……」
頭を抱え続けて15年余り。熱病にとりつかれたファンの人生はかくも辛い。
すべてのスケジュールは試合日程と結果次第。
頭のなかでは、常に自分の精神状態とチームの状態が、こんがらがっている。
ライフプランなんて、とてもじゃないが、立てられたもんじゃない。
このチームを応援し続けるのは、至高の「推し活」か?
それとも、究極の「愚行」なのか?
2023年のペナント・レースを通じて、僕には、その答えが見えてきた――――――。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
【完結】死に戻り8度目の伯爵令嬢は今度こそ破談を成功させたい!
雲井咲穂(くもいさほ)
恋愛
アンテリーゼ・フォン・マトヴァイユ伯爵令嬢は婚約式当日、婚約者の逢引を目撃し、動揺して婚約式の会場である螺旋階段から足を滑らせて後頭部を強打し不慮の死を遂げてしまう。
しかし、目が覚めると確かに死んだはずなのに婚約式の一週間前に時間が戻っている。混乱する中必死で記憶を蘇らせると、自分がこれまでに前回分含めて合計7回も婚約者と不貞相手が原因で死んでは生き返りを繰り返している事実を思い出す。
婚約者との結婚が「死」に直結することを知ったアンテリーゼは、今度は自分から婚約を破棄し自分を裏切った婚約者に社会的制裁を喰らわせ、婚約式というタイムリミットが迫る中、「死」を回避するために奔走する。
ーーーーーーーーー
2024/01/13 ランキング→恋愛95位
ありがとうございます!
なろうでも掲載⇒完結済
170,000PVありがとうございましたっ!
推理小説家の今日の献立
東 万里央(あずま まりお)
キャラ文芸
永夢(えむ 24)は子どもっぽいことがコンプレックスの、出版社青雲館の小説編集者二年目。ある日大学時代から三年付き合った恋人・悠人に自然消滅を狙った形で振られてしまう。
その後悠人に新たな恋人ができたと知り、傷付いてバーで慣れない酒を飲んでいたのだが、途中質の悪い男にナンパされ絡まれた。危ういところを助けてくれたのは、なんと偶然同じバーで飲んでいた、担当の小説家・湊(みなと 34)。湊は嘔吐し、足取りの覚束ない永夢を連れ帰り、世話してくれた上にベッドに寝かせてくれた。
翌朝、永夢はいい香りで目が覚める。昨夜のことを思い出し、とんでもないことをしたと青ざめるのだが、香りに誘われそろそろとキッチンに向かう。そこでは湊が手作りの豚汁を温め、炊きたてのご飯をよそっていて?
「ちょうどよかった。朝食です。一度誰かに味見してもらいたかったんです」
ある理由から「普通に美味しいご飯」を作って食べたいイケメン小説家と、私生活ポンコツ女性編集者のほのぼのおうちご飯日記&時々恋愛。
.。*゚+.*.。 献立表 ゚+..。*゚+
第一話『豚汁』
第二話『小鮎の天ぷらと二種のかき揚げ』
第三話『みんな大好きなお弁当』
第四話『餡かけチャーハンと焼き餃子』
第五話『コンソメ仕立てのロールキャベツ』
隣の家のありす
FEEL
キャラ文芸
文才に恵まれているが実力に直結しない小説家。兎山直久はうだつの上がらない日々を過ごしていた。それでも書き続けていたある日、買い物に出かけると同じアパートで行き倒れている少女、一ノ瀬ありすと出会う。見かねて助けてあげたのがきっかけでありすに懐かれた兎山直久の日常は少しだけ愉快で、少しだけ悩ましいものに変わっていき――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる