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第四章 ダークネス・カイザー様の行方
42話 悪魔界
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私たちはデビルンと共に黒い穴から脱出するとそこは暗々としたどこかしこの路地裏に見えた。
「――ゲホ、ゲホ、何この異臭……? 煙いわよ」
私は突然の異臭に鼻を摘まんだ。この世界独特の空気なのだろう。
「あはは……やっぱし悪魔界は人間にはキツイか?」
「いいえ、このくらいなら、このマスクで口元を覆い隠せば問題ないわ……バステトもいるかしら……?」
「お気遣いありがとうございます。では私もマスクとやらを……」
懐からマスクを取り出し、装着する私たち。
「さぁ、先輩の捜索を始めましょう……と言っても暗すぎて良く見えないわね」
私は周りを見渡した。周囲は夜中のように暗く、建物はレンガ状の物が多く、どこか中世感を漂わせていた。
「一人と一匹この俺様の指を見ろ!」
デビルンが唐突に右手人差し指を向けて来たので、私たちはまじまじと見た。
「暗闇にも負けぬ闇夜に利く目を持て! ダークピューピル!」
呪文と同時に視界が緑色に変色した。
「暗視ゴーグルみたいね」
「便利だろう。フクロウとか猫みたいで、あれバステトは必要なかったか?」
とにもかくにも、路地裏から出るように動いていくデビルン。私たちはその後を追う。
「ここ、知ってる道なの?」
「いや、知らん俺様はあのダークネスなんとかの残留素を追っているだけだ」
「その残留素とは何なの? 何かの元素なの?」
「げんそ……? そっちの方がよく分からんぞ」
「お勉強が足りてないわよデビルン」
「うっ、言われてしまったか。まぁいい、ようするにダークネスなんとかの存在した残りがを辿っているんだよ」
「匂いみたいなものかしら……まるでイヌのようね」
「まぁそんなところだ。その確かにここにいたという残留素を目で追うのが悪魔だ。ホラ、何となく赤い煙が見えないか、これは人族が独特に出す残留素なんだ。お前からも一応出ているんだぞ」
私は今辿って来た道を振り返る。確かに赤い煙のようなものが微かに見えた。
「さて、ここからは大通り絶対に俺様から離れるんじゃないぞ。他の悪魔の餌になっちまうからな。俺様と一緒にいる限り、他の悪魔には見えないけどな」
「わぁ~~~~」
私は大通りの景色を見た。イルミネーションに窓ガラスのオレンジ色の明かりが、少し早いハロウィン街のようになっていた。さらに、この悪魔界でしかお目にかかれないような露店がいくつもある。街中には様々な形の悪魔が行きかい飛び交う。動物体から人間体にマスコット体まで。
(――これは、知的好奇心をくすぐるわね。思わず目を奪われてしまうわ)
「主様、アレは本格的なウィジャ盤ではありませんか!?」
「本当だわ! こういう本格的のが欲しかったのよ!」
ウィジャ盤とは降霊術に使用するもの、いわゆる日本でいうところのコックリさんである。
「っで、行ってるそばからデビルン氏とは、はぐれてしまいましたね」
「そうね。レディのエスコートすらおぼつかないなんてあの悪魔、モテないわね」
私はとりあえず赤い煙を追うことにしたのだが、途中で掠れてしまい見えなくなってしまった。
(こっちではなく、あっちかしら)
方向転換したところ私は大きな身体をした二足歩行のイノシシとぶつかった。ちなみにモヒカンである。
「主様、ご無事ですか!?」
バステトが私の身を案じていた。
「大丈夫よ、それより行きましょう」
「おい、待ちなお嬢ちゃん。人族が何でこんなところに紛れ込んでやがるんだ……?」
(不味いわね。デビルンとはぐれてしまったお陰で他の悪魔さんにも、私たちの姿が見えるようになったのね。とにかく適当にやり過ごさないと、この悪魔さんの今晩のディナーになってしまうわ)
私は堂々と宣言してやることにした。
「――だって、私は人の皮を被った悪魔ですもの。人族に見えて当然のことよ」
「じゃあ、その赤い煙は何なんだ?」
その瞬間――私はクラウチングスタートからの全力疾走を試みた。しかしゴスロリファッションが災いして、裾を踏んずけてしまい転んでしまった。
「おい相棒! この嬢ちゃんと猫を人気のない場所へ運ぶぜ!」
「ゲへへ――今日は久しぶりに生肉に在りつけそうだぜ!」
もう一匹は耳の垂れた二足歩行のブタだった。
「――ちょ、離しなさいよ!」
「――主様を離せ!」
捕まる私がじたばたと、捕まるバステトが引っ掻き続けても、至極平然としている悪魔たちだった。
「――ゲホ、ゲホ、何この異臭……? 煙いわよ」
私は突然の異臭に鼻を摘まんだ。この世界独特の空気なのだろう。
「あはは……やっぱし悪魔界は人間にはキツイか?」
「いいえ、このくらいなら、このマスクで口元を覆い隠せば問題ないわ……バステトもいるかしら……?」
「お気遣いありがとうございます。では私もマスクとやらを……」
懐からマスクを取り出し、装着する私たち。
「さぁ、先輩の捜索を始めましょう……と言っても暗すぎて良く見えないわね」
私は周りを見渡した。周囲は夜中のように暗く、建物はレンガ状の物が多く、どこか中世感を漂わせていた。
「一人と一匹この俺様の指を見ろ!」
デビルンが唐突に右手人差し指を向けて来たので、私たちはまじまじと見た。
「暗闇にも負けぬ闇夜に利く目を持て! ダークピューピル!」
呪文と同時に視界が緑色に変色した。
「暗視ゴーグルみたいね」
「便利だろう。フクロウとか猫みたいで、あれバステトは必要なかったか?」
とにもかくにも、路地裏から出るように動いていくデビルン。私たちはその後を追う。
「ここ、知ってる道なの?」
「いや、知らん俺様はあのダークネスなんとかの残留素を追っているだけだ」
「その残留素とは何なの? 何かの元素なの?」
「げんそ……? そっちの方がよく分からんぞ」
「お勉強が足りてないわよデビルン」
「うっ、言われてしまったか。まぁいい、ようするにダークネスなんとかの存在した残りがを辿っているんだよ」
「匂いみたいなものかしら……まるでイヌのようね」
「まぁそんなところだ。その確かにここにいたという残留素を目で追うのが悪魔だ。ホラ、何となく赤い煙が見えないか、これは人族が独特に出す残留素なんだ。お前からも一応出ているんだぞ」
私は今辿って来た道を振り返る。確かに赤い煙のようなものが微かに見えた。
「さて、ここからは大通り絶対に俺様から離れるんじゃないぞ。他の悪魔の餌になっちまうからな。俺様と一緒にいる限り、他の悪魔には見えないけどな」
「わぁ~~~~」
私は大通りの景色を見た。イルミネーションに窓ガラスのオレンジ色の明かりが、少し早いハロウィン街のようになっていた。さらに、この悪魔界でしかお目にかかれないような露店がいくつもある。街中には様々な形の悪魔が行きかい飛び交う。動物体から人間体にマスコット体まで。
(――これは、知的好奇心をくすぐるわね。思わず目を奪われてしまうわ)
「主様、アレは本格的なウィジャ盤ではありませんか!?」
「本当だわ! こういう本格的のが欲しかったのよ!」
ウィジャ盤とは降霊術に使用するもの、いわゆる日本でいうところのコックリさんである。
「っで、行ってるそばからデビルン氏とは、はぐれてしまいましたね」
「そうね。レディのエスコートすらおぼつかないなんてあの悪魔、モテないわね」
私はとりあえず赤い煙を追うことにしたのだが、途中で掠れてしまい見えなくなってしまった。
(こっちではなく、あっちかしら)
方向転換したところ私は大きな身体をした二足歩行のイノシシとぶつかった。ちなみにモヒカンである。
「主様、ご無事ですか!?」
バステトが私の身を案じていた。
「大丈夫よ、それより行きましょう」
「おい、待ちなお嬢ちゃん。人族が何でこんなところに紛れ込んでやがるんだ……?」
(不味いわね。デビルンとはぐれてしまったお陰で他の悪魔さんにも、私たちの姿が見えるようになったのね。とにかく適当にやり過ごさないと、この悪魔さんの今晩のディナーになってしまうわ)
私は堂々と宣言してやることにした。
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その瞬間――私はクラウチングスタートからの全力疾走を試みた。しかしゴスロリファッションが災いして、裾を踏んずけてしまい転んでしまった。
「おい相棒! この嬢ちゃんと猫を人気のない場所へ運ぶぜ!」
「ゲへへ――今日は久しぶりに生肉に在りつけそうだぜ!」
もう一匹は耳の垂れた二足歩行のブタだった。
「――ちょ、離しなさいよ!」
「――主様を離せ!」
捕まる私がじたばたと、捕まるバステトが引っ掻き続けても、至極平然としている悪魔たちだった。
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