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第三章 廃墟の遊園地

27話 第二のアトラクション! メリーゴーランド!

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お化け屋敷での一件は、しっかりとカメラに収まっていた。

「さぁ、行くぞ! 皆のもの次なる大邪神様の試練へ!」

「そ、そんなことより、と、突然――巻物に絵描かれていった怪物たちの現象について考察しましょうよ……?」

荷物持ちのソリトゥス様が、先陣を切るダークネス・カイザー様を呼び止めた。

「これだから! あんな現象にいちいち議論していたら日が暮れてしまうではないか!? それに我々は世界征服の野望を持っている! デイネブリスパピヨンが多少のオカルト少女的素質があるのならばそれは心強いではないか! ここが本当にオカルトスポットであるなら、貴様は既にお化け屋敷の化け物たちに蹂躙され亡き者になっていただろう」

「そ。それは、そうですが……けど、こ、ここが本物のオカルトスポットなら、す、すごく危ないんじゃないかと……」

「危ないからこそ、その事実を抹消して、快適に遊べる遊園地に再開するためにここを選んだと黒井さんは言っていたでしょう……? それに巻物の件なんて何かの手品か何かでしょう……動画バエするみたいだし」

ビーブリオテーカ様が補足説明をしていた。

「主様、どこかお顔が真っ赤ですが、熱でもおありですか? 時は10時36分少し休憩されては……?」

「(いいのよ……顔が赤いのは、せ、先輩と手を繋いだ悪魔との取引なのだから)」

「なんと! デビルン氏の仕業でござい、ん? 先輩と手を繋いだかと申しましたか? や、やりましたね! 恋する主様はとてつもない幸福感を味わって出て来られたと言うことですね?」

「(まぁ、まぁそうなるわね)」

「俺様のおかげだったのか!? だったら感謝してみろ、ナーッハッハッハッハッ!」

「(――間違えたわ。大邪神様との取引よ)」

そうこう言い合っている内に次の目的地に着いた。

「お次の心霊スポットはここか……?」

ダークネス・カイザー様が歩みを止めて言い放ったので、一同は前方にある心霊スポットを凝視した。

「えっと、はい、次はメリーゴーランドですね」

メリーゴーランドというのは回転する床の上を木馬に乗って楽しむ遊具の一つである。回転中の木馬は上下もするし遊園地のアトラクション的には王道だったりする。木馬の姿は馬に似せて作られている。

普通であれば上記のようなものだ。しかしここにあるメリーゴーランドは……

(少し、いやだいぶ違わないかしら……?)

『ヒヒ―ン、ヒヒ―ン』

「あの~~これ、本物の馬じゃないですか?」

ソリトゥス様が恐る恐ると近づいて言った。

「何を言っているの? 本物の馬をこんなところにつなげておくはずがないじゃない……? 見て見なさいお腹に望が刺さっているでしょう。機械機械……見たところ今も稼働してるみたい……まったくどこが廃園の遊園地、きっちり機械の整備がいきとどいていているなんて……」

近づいてパンパンと馬のお尻を叩くビーブリオテーカ様に合わせて機械音ではない『ヒヒ―ン、ヒヒ―ン』という鳴き声が聞こえてきた。

「(ねぇ、デビルン。あれって機械よねぇ~~?)」

「現実から目を逸らすな、アレ全部お化けだぞ! どうするんだ!? 除霊するのか!?」

(あぁ~~、へぇ~~、き、機械じゃなくて、本物のお馬さんなんだ~~)

「アゲハちゃんどうしたんですか? ぼーーっとして……」

「――なんでもないわ……それより動画を撮影するわよ」

「は、は~~い」

私は動画撮影の為アシスタントをしてくれているクリスチャンに了解をとった。ここから私は動画モードへと移行する。

「さぁ、我が使い魔たちよ! 見よ! この本物の馬ともおぼつかない化物たちを! これぞこの遊園地特有の生ける屍たちを! 私はこれからこの馬たちを除霊する! 解くと見ておくがよいぞ!」

「何を言っているんだ? デイネブリスパピヨンよ……」

ダークネス・カイザー様が横から割って入って来た。

「え、せ、先輩? いや、カットカーーット!」

「うん? どうしたんアゲハちゃん……それに部長」

「部長ではない――我が名はダークネス・カイザー! いずれこの世の全てを統べる者なり!」

「あ、あははははは、どうしたんですダークネス・カイザー様」

私は嫌な予感がした。

「デイネブリスパピヨンよ! この木馬たちをお化け屋敷のように除霊しようと言うのだろう! し・か・し、それでは世界征服から遠のいてしまうぞ! 物は試しの精神が大事なのだ! 何より善悪の区別をつけてから除霊すべきなのだ!」

(至極真っ当な答え、でもぉ、これに乗るのか~~イヤだな~~なんか脈打ってるし)

メリーゴーランドの馬、もとい木馬に触れて感想を秘めた。

「では諸君、第二のミッションだ! このメリーゴーランドの木馬に乗り込むぞ!」

(おおーーーーとは誰も掛け声を上げないんだ)
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