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第二章 御剣星座標学園のオカルト研究部
15話 フォロワー数の競い合い
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食事を終えたダークネス・カイザー様はこう切り出した。
「――諸君! さぁ! 今宵も世界征服の為の作戦会議をしようではないか!」
ホワイトボードに我々のシンボルマークである黒い鳩と組織名クレヴァナルの文字を書き込んでいく。ああ、何とカッコいい姿なのでしょうか。
「――部長、部室の雰囲気でわからないの? まだ炎天下の昼下がり中なのだけど……?」
ビーブリオテーカ先輩、もとい様は空気も読まず凍てついた目で部長に話しかけた。
「――この邪神殿は結界よ! 昼間を闇に変え、夜空を作り出しているのだ!」
ここは真っ黒いカーテンによって外の光が内部に一切零れないように閉め切っていた。それがダークネス・カイザー様の言う今宵というもの。
「ぶ、部長、さ、作戦会議も何も、我々の行動は決まっているのでは……? このままツイッターを駆使してフォロワー数をどんどん増やし、使い魔を増やしていくと……ま、まさに夏休み前に言っていたではありませんか……?」
「そう! その作戦の成果を、我々は会議材料として皆の前で発表せねばなるまいのだ!」
「ソリトゥス……この人は無駄に、大袈裟に、ことを発言しているだけなのだから……はぁ、部長いいでしょう、その成果とやら存分に検証しましょうよ」
「さぁ! 検証タイムだ! まずは新入りのクリスチャンから、フォロワー数をどこまで伸ばしたか言ってみよ!」
「(あわわ、どうしましょう。アゲハちゃん! この課題すっかり忘れていました!)」
私の隣に座り込んで、ヒソヒソとスマートフォンを片手に話をし始める。
「貴方のツイッターは私もフォロワーになっておいたわ。大丈夫よ。怖がらず自分のフォロワー数を確認しておきなさい」
「どうしたのだ! クリスチャンまさかとは思うが魔道具スマートフォンを忘れてきてしまったという訳ではあるまいな!」
「い、いえ、ちょっとお待ちください――!」
トントンとスマートフォンを指で操作していく。
「出ました! これです! これが私のフォロワー数です!」
「……ん? 534……か。ビーブリオテーカよ、フォロワー数の平均値は!?」
「えっと、413みたい……それ平均以上です」
トントンとスマフォをいじりながら確認するビーブリオテーカ様であらせられた。
「素晴らしいぞ。ミスクリスチャン!! では次、人気ユーチューバーにしてクレヴァナルの救世主!! デイネブリスパピヨンよ!」
ダークネス・カイザー様は勢い余って、机の上に躍り出た。
「(えーっと、ツイッター最近ツイートしすぎてかなり増えたんだったわ……夏休み前が約六十万だから、今は……)――86万人かしら」
「んんーー!! マーベラス!! 素晴らしいぞデイネブリスパピヨン!!」
(やったー! 褒められたわ!)
机の上で堂々と支配者のポーズを披露する、カッコいいダークネス・カイザー様だった。
「次はソリトゥス! どれ程の使い魔を獲得した!」
「…………13」
「…………何を呟いていた」
「え、えっとメダカの生態系を呟いていました。こ、これでも毎日、ツ、ツイートしていたんですよ」
「まぁよい、お次はビーブリオテーカだ! どれ程の使い魔を獲得した!」
指で拳銃の形を作り、撃ち殺さんばかりの決めポーズをした。
「ちょっと、指、刺さないでくれる…………? 私はこれです……」
遠慮がちにダークネス・カイザー様にスマフォを差し出した。そして顔を近づける彼は数字を言う。
「な、何!? 夏から始めて2053人だと!? エクセレント!!」
「さぁ、お次はダークネス・カイザー様でしてよ。さぞかし、そのみょうちきりんな言動でツイート民の心を鷲掴みにしたのでしょうね……?」
ビーブリオテーカ様の冷たい皮肉が飛びかったが、
「フッ、フーハッハッハッハッ!! 小娘よあまり舐めてくれるなよ!! 我が使い魔は何と12万だ!!」
机の上で堂々と高らかに宣言していた。
「何ですって!? 見せなさい!! そのフォロワー数を!!」
「よかろう――シカとその目に焼き付けるがよい!」
自分のスマートフォンをビーブリオテーカ様のお顔に押し付けていた。
「……ほ、本当のようですね……悔しいけど、今回は私の負けね」
――その時、部室をトントンとノックする音が聞こえたが、ダークネス・カイザー様は机の上に乗ったまま、構わず切り出した。
「――何者だ!? 入りたまえ、狼藉ものめ!!」
(ああ、ダークネス・カイザー様、先生かもしれないと言うのに……しかし、その雄姿がカッコいい///)
部室、もとい邪神殿に侵入したのは、一人の女子生徒だった名前は、白石伊志子。またの名を……
「ふむ、守護天使カトリックか……」
「――大声が聞こえたので飛んできました。まずはその足を机から床へとつけてもらいましょうか……? 黒条先輩」
私と変わらぬ小柄な少女なのに、やけに凄味がある声で女子生徒は言った。
「――諸君! さぁ! 今宵も世界征服の為の作戦会議をしようではないか!」
ホワイトボードに我々のシンボルマークである黒い鳩と組織名クレヴァナルの文字を書き込んでいく。ああ、何とカッコいい姿なのでしょうか。
「――部長、部室の雰囲気でわからないの? まだ炎天下の昼下がり中なのだけど……?」
ビーブリオテーカ先輩、もとい様は空気も読まず凍てついた目で部長に話しかけた。
「――この邪神殿は結界よ! 昼間を闇に変え、夜空を作り出しているのだ!」
ここは真っ黒いカーテンによって外の光が内部に一切零れないように閉め切っていた。それがダークネス・カイザー様の言う今宵というもの。
「ぶ、部長、さ、作戦会議も何も、我々の行動は決まっているのでは……? このままツイッターを駆使してフォロワー数をどんどん増やし、使い魔を増やしていくと……ま、まさに夏休み前に言っていたではありませんか……?」
「そう! その作戦の成果を、我々は会議材料として皆の前で発表せねばなるまいのだ!」
「ソリトゥス……この人は無駄に、大袈裟に、ことを発言しているだけなのだから……はぁ、部長いいでしょう、その成果とやら存分に検証しましょうよ」
「さぁ! 検証タイムだ! まずは新入りのクリスチャンから、フォロワー数をどこまで伸ばしたか言ってみよ!」
「(あわわ、どうしましょう。アゲハちゃん! この課題すっかり忘れていました!)」
私の隣に座り込んで、ヒソヒソとスマートフォンを片手に話をし始める。
「貴方のツイッターは私もフォロワーになっておいたわ。大丈夫よ。怖がらず自分のフォロワー数を確認しておきなさい」
「どうしたのだ! クリスチャンまさかとは思うが魔道具スマートフォンを忘れてきてしまったという訳ではあるまいな!」
「い、いえ、ちょっとお待ちください――!」
トントンとスマートフォンを指で操作していく。
「出ました! これです! これが私のフォロワー数です!」
「……ん? 534……か。ビーブリオテーカよ、フォロワー数の平均値は!?」
「えっと、413みたい……それ平均以上です」
トントンとスマフォをいじりながら確認するビーブリオテーカ様であらせられた。
「素晴らしいぞ。ミスクリスチャン!! では次、人気ユーチューバーにしてクレヴァナルの救世主!! デイネブリスパピヨンよ!」
ダークネス・カイザー様は勢い余って、机の上に躍り出た。
「(えーっと、ツイッター最近ツイートしすぎてかなり増えたんだったわ……夏休み前が約六十万だから、今は……)――86万人かしら」
「んんーー!! マーベラス!! 素晴らしいぞデイネブリスパピヨン!!」
(やったー! 褒められたわ!)
机の上で堂々と支配者のポーズを披露する、カッコいいダークネス・カイザー様だった。
「次はソリトゥス! どれ程の使い魔を獲得した!」
「…………13」
「…………何を呟いていた」
「え、えっとメダカの生態系を呟いていました。こ、これでも毎日、ツ、ツイートしていたんですよ」
「まぁよい、お次はビーブリオテーカだ! どれ程の使い魔を獲得した!」
指で拳銃の形を作り、撃ち殺さんばかりの決めポーズをした。
「ちょっと、指、刺さないでくれる…………? 私はこれです……」
遠慮がちにダークネス・カイザー様にスマフォを差し出した。そして顔を近づける彼は数字を言う。
「な、何!? 夏から始めて2053人だと!? エクセレント!!」
「さぁ、お次はダークネス・カイザー様でしてよ。さぞかし、そのみょうちきりんな言動でツイート民の心を鷲掴みにしたのでしょうね……?」
ビーブリオテーカ様の冷たい皮肉が飛びかったが、
「フッ、フーハッハッハッハッ!! 小娘よあまり舐めてくれるなよ!! 我が使い魔は何と12万だ!!」
机の上で堂々と高らかに宣言していた。
「何ですって!? 見せなさい!! そのフォロワー数を!!」
「よかろう――シカとその目に焼き付けるがよい!」
自分のスマートフォンをビーブリオテーカ様のお顔に押し付けていた。
「……ほ、本当のようですね……悔しいけど、今回は私の負けね」
――その時、部室をトントンとノックする音が聞こえたが、ダークネス・カイザー様は机の上に乗ったまま、構わず切り出した。
「――何者だ!? 入りたまえ、狼藉ものめ!!」
(ああ、ダークネス・カイザー様、先生かもしれないと言うのに……しかし、その雄姿がカッコいい///)
部室、もとい邪神殿に侵入したのは、一人の女子生徒だった名前は、白石伊志子。またの名を……
「ふむ、守護天使カトリックか……」
「――大声が聞こえたので飛んできました。まずはその足を机から床へとつけてもらいましょうか……? 黒条先輩」
私と変わらぬ小柄な少女なのに、やけに凄味がある声で女子生徒は言った。
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