大悪魔を駆使して始まる世界征服

丹波 新

文字の大きさ
上 下
15 / 52
第二章 御剣星座標学園のオカルト研究部

15話 フォロワー数の競い合い

しおりを挟む
食事を終えたダークネス・カイザー様はこう切り出した。

「――諸君! さぁ! 今宵も世界征服の為の作戦会議をしようではないか!」

ホワイトボードに我々のシンボルマークである黒い鳩と組織名クレヴァナルの文字を書き込んでいく。ああ、何とカッコいい姿なのでしょうか。

「――部長、部室の雰囲気でわからないの? まだ炎天下の昼下がり中なのだけど……?」

ビーブリオテーカ先輩、もとい様は空気も読まず凍てついた目で部長に話しかけた。

「――この邪神殿は結界よ! 昼間を闇に変え、夜空を作り出しているのだ!」

ここは真っ黒いカーテンによって外の光が内部に一切零れないように閉め切っていた。それがダークネス・カイザー様の言う今宵というもの。

「ぶ、部長、さ、作戦会議も何も、我々の行動は決まっているのでは……? このままツイッターを駆使してフォロワー数をどんどん増やし、使い魔を増やしていくと……ま、まさに夏休み前に言っていたではありませんか……?」

「そう! その作戦の成果を、我々は会議材料として皆の前で発表せねばなるまいのだ!」

「ソリトゥス……この人は無駄に、大袈裟に、ことを発言しているだけなのだから……はぁ、部長いいでしょう、その成果とやら存分に検証しましょうよ」

「さぁ! 検証タイムだ! まずは新入りのクリスチャンから、フォロワー数をどこまで伸ばしたか言ってみよ!」


「(あわわ、どうしましょう。アゲハちゃん! この課題すっかり忘れていました!)」

私の隣に座り込んで、ヒソヒソとスマートフォンを片手に話をし始める。

「貴方のツイッターは私もフォロワーになっておいたわ。大丈夫よ。怖がらず自分のフォロワー数を確認しておきなさい」

「どうしたのだ! クリスチャンまさかとは思うが魔道具スマートフォンを忘れてきてしまったという訳ではあるまいな!」

「い、いえ、ちょっとお待ちください――!」

トントンとスマートフォンを指で操作していく。

「出ました! これです! これが私のフォロワー数です!」

「……ん? 534……か。ビーブリオテーカよ、フォロワー数の平均値は!?」

「えっと、413みたい……それ平均以上です」

トントンとスマフォをいじりながら確認するビーブリオテーカ様であらせられた。

「素晴らしいぞ。ミスクリスチャン!! では次、人気ユーチューバーにしてクレヴァナルの救世主!! デイネブリスパピヨンよ!」

ダークネス・カイザー様は勢い余って、机の上に躍り出た。

「(えーっと、ツイッター最近ツイートしすぎてかなり増えたんだったわ……夏休み前が約六十万だから、今は……)――86万人かしら」

「んんーー!! マーベラス!! 素晴らしいぞデイネブリスパピヨン!!」

(やったー! 褒められたわ!)

机の上で堂々と支配者のポーズを披露する、カッコいいダークネス・カイザー様だった。

「次はソリトゥス! どれ程の使い魔を獲得した!」

「…………13」

「…………何を呟いていた」

「え、えっとメダカの生態系を呟いていました。こ、これでも毎日、ツ、ツイートしていたんですよ」

「まぁよい、お次はビーブリオテーカだ! どれ程の使い魔を獲得した!」

指で拳銃の形を作り、撃ち殺さんばかりの決めポーズをした。

「ちょっと、指、刺さないでくれる…………? 私はこれです……」

遠慮がちにダークネス・カイザー様にスマフォを差し出した。そして顔を近づける彼は数字を言う。

「な、何!? 夏から始めて2053人だと!? エクセレント!!」

「さぁ、お次はダークネス・カイザー様でしてよ。さぞかし、そのみょうちきりんな言動でツイート民の心を鷲掴みにしたのでしょうね……?」

ビーブリオテーカ様の冷たい皮肉が飛びかったが、

「フッ、フーハッハッハッハッ!! 小娘よあまり舐めてくれるなよ!! 我が使い魔は何と12万だ!!」

机の上で堂々と高らかに宣言していた。

「何ですって!? 見せなさい!! そのフォロワー数を!!」

「よかろう――シカとその目に焼き付けるがよい!」

自分のスマートフォンをビーブリオテーカ様のお顔に押し付けていた。

「……ほ、本当のようですね……悔しいけど、今回は私の負けね」

――その時、部室をトントンとノックする音が聞こえたが、ダークネス・カイザー様は机の上に乗ったまま、構わず切り出した。

「――何者だ!? 入りたまえ、狼藉ものめ!!」

(ああ、ダークネス・カイザー様、先生かもしれないと言うのに……しかし、その雄姿がカッコいい///)

部室、もとい邪神殿に侵入したのは、一人の女子生徒だった名前は、白石伊志子。またの名を……

「ふむ、守護天使カトリックか……」

「――大声が聞こえたので飛んできました。まずはその足を机から床へとつけてもらいましょうか……? 黒条先輩」

私と変わらぬ小柄な少女なのに、やけに凄味がある声で女子生徒は言った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

パーフェクトアンドロイド

ことは
キャラ文芸
アンドロイドが通うレアリティ学園。この学園の生徒たちは、インフィニティブレイン社の実験的試みによって開発されたアンドロイドだ。 だが俺、伏木真人(ふしぎまひと)は、この学園のアンドロイドたちとは決定的に違う。 俺はインフィニティブレイン社との契約で、モニターとしてこの学園に入学した。他の生徒たちを観察し、定期的に校長に報告することになっている。 レアリティ学園の新入生は100名。 そのうちアンドロイドは99名。 つまり俺は、生身の人間だ。 ▶︎credit 表紙イラスト おーい

あやかし古都の九重さん~京都木屋町通で神様の遣いに出会いました~

卯月みか
キャラ文芸
旧題:お狐様派遣します~京都木屋町通一之船入・人材派遣会社セカンドライフ~ 《ワケあり美青年に見初められ、お狐様の相談係になりました》 失恋を機に仕事を辞め、京都の実家に帰ってきた結月。仕事と新居を探していたある日、結月は謎めいた美青年と出会った。彼の名は、九重さん。小さな派遣事務所を営んでいるという。「仕事を探してはるんやったら、うちで働いてみませんか?」思わぬ好待遇に惹かれ、結月は彼のもとで働くことを決める。けれどその事務所を訪れるのは、人間界で暮らしたい悩める狐たちで――神使の美青年×お人好し女子のゆる甘あやかしファンタジー!

神様の学校 八百万ご指南いたします

浅井 ことは
キャラ文芸
☆。.:*・゜☆。.:*・゜☆。.:*・゜☆。.:*・゜☆。.: 八百万《かみさま》の学校。 ひょんなことから神様の依頼を受けてしまった翔平《しょうへい》。 1代おきに神様の御用を聞いている家系と知らされるも、子どもの姿の神様にこき使われ、学校の先生になれと言われしまう。 来る生徒はどんな生徒か知らされていない翔平の授業が始まる。 ☆。.:*・゜☆。.:*・゜☆。.:*・゜☆。.:*・゜☆。.: ※表紙の無断使用は固くお断りしていただいております。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...