大悪魔を駆使して始まる世界征服

丹波 新

文字の大きさ
上 下
7 / 52
第一章 大悪魔との契約

7話 浴室への来訪者

しおりを挟む
時刻は21時を回っていた。
私は自宅の、もとい邪神殿のお風呂でお湯に浸かって、もとい浴槽で心身を清らかにする儀式をしていた。

「ふぅ~~~~(疲れが取れるなぁ~~、気持ちいい)」

身体を浴槽に浸しながら、一日の疲れを癒していた。すると突然、バリーンという効果音がして何が起きたか推理する。

(フン……やはり、覗きの幽霊がこの辺りに出没していたか。強制成仏の罠に引っ掛かているようだ)

浴槽に入るため、まず私は蝋燭と塩を備えて結界を作り、音楽プレイヤーでおきょうを垂れ流していた。一旦引っ掛かるとまず出られない。

(はぁ~~~~、何度も何度も、この裸体を見られていたかと思うと。キャ~~~~、死にたくなって来るなぁ)

油断して表情筋が緩んでしまった。それを湯船のお湯でバシャバシャと顔を洗い、気付けをする。

「いかんいかん、キャラクターが崩壊しているぞ。もっとかっこよく決めねば……リスナーたちも直ぐ離れて行ってしまう……」

――その時

「いでででででででででーーーーーー」

(――っ!? ま~~た幽霊か……凄いなぁ、アレに耐えてるのか。しかしここまではたどり着けないだろう)

「おおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーこんなものが利くものかーーーー」

バリー―ンと浴槽の扉をブチ破られた。来訪者の蹴りによって。そして高らかに私に向かって宣言した。

「やっと、やっと、見つけたぞ。契約者よ」

(――なんだ、こいつは。幽霊ではない……?)

思わず裸体のことなど忘れて――バシャン――と音を立てて、その場で立ち上がる。
来訪者の正体は、15センチ大の小悪魔みたいな風貌をしていた。

「なんだ、お前は……」

「俺様の名よりも先にそっちの名を応えよ。人間」

「違う(どうやらここまで来られたというのなら幽霊ではないようだ)」

「何が違う。いいから名前を教えろ人間! この家を爆発させるぞ」

小悪魔みたいなヤツの、その手から炎が出現した。

「――ちょっと待った! わかった! 私はデイネブリスパピヨンと名乗るユーチューバーだ!」

「本名を言え!」

さらに手先の炎を大きくする。

「――黒井アゲハ!!」

本名を聞いた小悪魔的何かが、炎を払うようにして手を下げた。

「そうか……俺様の名はデビルンだ」

小さな羽根がパタパタと振るわれて、小さな角が二本生え、全身が真っ黒い恰好であった。

「――主様! 一体何が! 何故浴室の扉が――」

「――寝ていろ! 雌猫!」

デビルンが着ていたマントを翻すのと同時に、バステトはパタリと深い眠りについた。

「貴様! バステトに何をした!」

「な~~に、契約者と二人きりになりたかったのでなぁ……安心しろ、眠っているだけだ」

「契約者ぁ~~?」


「しかし、やっとオカルトを使ってくれたか……? 降霊術の痕跡を辿ってようやく見つけたぞ、契約者」

「お前、あのバステト召喚の動画でも見ていたのか? (精巧なアンドロイドという訳ではないのか……?)本物の化物まで現れたか……」

「どうが……? よくわからないが、俺様はただ降霊術の痕跡をである魔力を辿って来ただけだぞ」

「魔力だと? お前、一体何者だ。見たこともない生命体、まるで伝承に出てくる悪魔みたいだぞ」

「そう! 俺様は大悪魔! デビルンだ!」

私とデビルンは浴室で対峙していた。

「なぁ、何でもいいが。まず、服を着させてくれないか?」

私の提案に首をかしげる大悪魔だった。

「その、肌をさらしたまま///話を勧めたくないと言うか、何と言うか///」

「関係ない……やっと見つけたんださっさと話を――」

私は我慢ならなくなって桶を右手に、シャワーを左手に掴み取り、

「このエッチ! 変態! ドスケベ野郎ーーーー!」

風呂桶を悪魔の顔面に投げ、高温で45度のシャワーをその身に浴びせて、浴室から追い出す。

「わ、分かった。す、少し時間をやろう。俺様もあの結界でダメージを、受けているから休みたいしな……だから、やめてくれ」

そう言って五分後に話をする約束をした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...