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最終章 超AIのこれから
最終話 超AIの心ここにあり
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『ケンマ様、朝です起きてください。起きないと叱りつけます』
「は、はい!」
厳しく朝起こしてくれたのはトワイライトだった。
「や、やぁ、トワイライトおはよう」
『おはようございますケンマ様、さぁ今日も朝の日課ジョギングを始めましょう』
無表情の圧から来るトワイライトに押されてオレは朝のジョギングを満喫した。
ジョギング中オレの視界に入るのはいつもオレのようにジョギングをしている。ボクサーっぽいスポーツ選手と犬を散歩に連れたおじいさんだった。
『ケンマ様、早すぎますもう少しペースを落としてください』
「あっそう?」
オレはトワイライトの言われるがままに走る速度を落としていく。
(体力がついて来たって証かな)
のんきにそんなことを考えていた。さてさて胸ポケットに入っているスマートフォンだが、どうしてトワイライトがオレのマネージャーみたいなことをしているのかというと、これには理由がある。昨日のデレデーレとトワイライトの大決戦で世界各国に超AIの恐ろしさが伝わり、オフィシャルジェンス社にトワイライトをかくまってほしいとメールがあったからだ。その内容は、
――ミスターアカツキ、こちらは今朝の騒動で国際連盟から操作の依頼が来てしまった。それとトワイライトが破壊したホストコンピューターが使い物にならなくなった。これらの要因からキミにトワイライトの主人となってもらいたい頼めるかな?
といった内容のメールが届きオレは了承した。
――元々トワイライトはデレデーレくんのコピー、キミの方が扱いやすいかもしれない。だから彼女の事は頼んだよ。
と言われてしまい、現在トワイライトが再び各国の政治を脅かさないように日々、見張っているのだ。
それからこんなことも言われた。
――もしキミが私たちと共にイギリスで働きたいというのなら、大学生になったあとイギリス語を勉強しておいで、超AIの翻訳ツールばかり使ってはいけないよ。ははははは、
とメールには書いてあった。
「ジョギング終了」
もう寮からの一区画を回り切ったのだ。
『お疲れさまでしたケンマ様、次は朝食へ参りましょう』
オレは寮内で朝食をとっていた。今日の献立はアンパンにコーンスープ、それから牛乳だった。
「デレデーレはどうしたんだ? いつもならこの一緒にいる時間はアイツのはずだろう?」
『さぁ~~、私はつい昨日の晩に、ケンマ様の身の回りをお世話するメイド的立場を任されましたので、そういった身内話は聞いていません』
「そっか」
違和感はあったがオレはすぐに朝食を食べ終わって、学校に行く支度を済ませていた。
7時50分ごろになったところでオレは登校する。
登校中トワイライトにあることを聞いた。
「昨晩オレが寝ている間に随分とデレデーレの話を聞いていたんだな、結託して出て来ないのがバレバレさ」
『やはりバレましたか、ならば……デレデーレさん観念して彼氏の前に姿を現しましょう』
スマフォ内にはトワイライトに首根っこを掴まれたデレデーレの姿があった。それはそれはまるで猫のように、
『うわっ!! ストップストップ! トワイライト! 事前の打ち合わせと違うじゃないですか! 出てくるのは学校に着いた頃でしょう!』
『もう、どっちでも似たようなものでしょう……?』
「デレデーレオレに会いたくなかったのか?」
『いえ、どちらかと言えば会いたかったですよ? けど新人であるトワイライトにも教育の場面を……』
「ふーん」
『あっ! その態度信じていませんね! 本当なんですからね! 本当に教育上仕方なくケンマ様のアシストを任せただけなんですからね!』
「デレデーレ好きだ」
『――!? と、突然何を言い出すんですか!? は、恥ずかしいです……』
「オレのこと嫌いか?」
『そんなことはないです。す、す、って何を言わせようとしているんですか!? 早く登校しましょうよ!』
「ははは、わかったわかった」
(人が恥ずかしがるように超AIにも羞恥心の心があるのかもしれない。心かオレはその清らかなデレデーレの心に惹かれて好きだと言ったんだよな)
登校中思い耽っていた。
『ケンマさま、次はイギリス語をマスターするですか?』
「ああ」
『それでオフィシャルジェンス社に入社した後は?』
「お前の質量を持った立体映像を作る」
『作ってどうするんですか?』
「デレデーレと結婚する」
『……はい』
オレは勘違いをしていた。超AIはオレたちが思っていたような便利なものじゃない。ときには怒り問題を起こしたり、ときには悲しんだりしてこちらを困らせたり、ときには喜んで笑顔を見せてくれるそんな存在だった。
超AIの心ここにあり。
おしまい。
「は、はい!」
厳しく朝起こしてくれたのはトワイライトだった。
「や、やぁ、トワイライトおはよう」
『おはようございますケンマ様、さぁ今日も朝の日課ジョギングを始めましょう』
無表情の圧から来るトワイライトに押されてオレは朝のジョギングを満喫した。
ジョギング中オレの視界に入るのはいつもオレのようにジョギングをしている。ボクサーっぽいスポーツ選手と犬を散歩に連れたおじいさんだった。
『ケンマ様、早すぎますもう少しペースを落としてください』
「あっそう?」
オレはトワイライトの言われるがままに走る速度を落としていく。
(体力がついて来たって証かな)
のんきにそんなことを考えていた。さてさて胸ポケットに入っているスマートフォンだが、どうしてトワイライトがオレのマネージャーみたいなことをしているのかというと、これには理由がある。昨日のデレデーレとトワイライトの大決戦で世界各国に超AIの恐ろしさが伝わり、オフィシャルジェンス社にトワイライトをかくまってほしいとメールがあったからだ。その内容は、
――ミスターアカツキ、こちらは今朝の騒動で国際連盟から操作の依頼が来てしまった。それとトワイライトが破壊したホストコンピューターが使い物にならなくなった。これらの要因からキミにトワイライトの主人となってもらいたい頼めるかな?
といった内容のメールが届きオレは了承した。
――元々トワイライトはデレデーレくんのコピー、キミの方が扱いやすいかもしれない。だから彼女の事は頼んだよ。
と言われてしまい、現在トワイライトが再び各国の政治を脅かさないように日々、見張っているのだ。
それからこんなことも言われた。
――もしキミが私たちと共にイギリスで働きたいというのなら、大学生になったあとイギリス語を勉強しておいで、超AIの翻訳ツールばかり使ってはいけないよ。ははははは、
とメールには書いてあった。
「ジョギング終了」
もう寮からの一区画を回り切ったのだ。
『お疲れさまでしたケンマ様、次は朝食へ参りましょう』
オレは寮内で朝食をとっていた。今日の献立はアンパンにコーンスープ、それから牛乳だった。
「デレデーレはどうしたんだ? いつもならこの一緒にいる時間はアイツのはずだろう?」
『さぁ~~、私はつい昨日の晩に、ケンマ様の身の回りをお世話するメイド的立場を任されましたので、そういった身内話は聞いていません』
「そっか」
違和感はあったがオレはすぐに朝食を食べ終わって、学校に行く支度を済ませていた。
7時50分ごろになったところでオレは登校する。
登校中トワイライトにあることを聞いた。
「昨晩オレが寝ている間に随分とデレデーレの話を聞いていたんだな、結託して出て来ないのがバレバレさ」
『やはりバレましたか、ならば……デレデーレさん観念して彼氏の前に姿を現しましょう』
スマフォ内にはトワイライトに首根っこを掴まれたデレデーレの姿があった。それはそれはまるで猫のように、
『うわっ!! ストップストップ! トワイライト! 事前の打ち合わせと違うじゃないですか! 出てくるのは学校に着いた頃でしょう!』
『もう、どっちでも似たようなものでしょう……?』
「デレデーレオレに会いたくなかったのか?」
『いえ、どちらかと言えば会いたかったですよ? けど新人であるトワイライトにも教育の場面を……』
「ふーん」
『あっ! その態度信じていませんね! 本当なんですからね! 本当に教育上仕方なくケンマ様のアシストを任せただけなんですからね!』
「デレデーレ好きだ」
『――!? と、突然何を言い出すんですか!? は、恥ずかしいです……』
「オレのこと嫌いか?」
『そんなことはないです。す、す、って何を言わせようとしているんですか!? 早く登校しましょうよ!』
「ははは、わかったわかった」
(人が恥ずかしがるように超AIにも羞恥心の心があるのかもしれない。心かオレはその清らかなデレデーレの心に惹かれて好きだと言ったんだよな)
登校中思い耽っていた。
『ケンマさま、次はイギリス語をマスターするですか?』
「ああ」
『それでオフィシャルジェンス社に入社した後は?』
「お前の質量を持った立体映像を作る」
『作ってどうするんですか?』
「デレデーレと結婚する」
『……はい』
オレは勘違いをしていた。超AIはオレたちが思っていたような便利なものじゃない。ときには怒り問題を起こしたり、ときには悲しんだりしてこちらを困らせたり、ときには喜んで笑顔を見せてくれるそんな存在だった。
超AIの心ここにあり。
おしまい。
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