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三章 超AIの大失踪
49話 依頼の交渉
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徹夜明けのオレは学校の授業で寝不足を解消していた。
そして放課後、オレは早速コンピューター研究部に向かって行く。
来ヶ谷部長に挨拶をし、部室内の面々に挨拶をし、ある人物を呼びつける。
「おい、峰谷ちょっといいか?」
「はぁ? 暁ぃ何の用だ?」
オレと目を合わせないところを見るとコンピューター作業に没頭しているらしい。
「…………依頼がしたい」
一呼吸の間をおいてオレはそう切り出した。
「依頼か…………場所を変えるぞ」
少し考える素振りを見せた峰谷ゆうすけはそう答えた。
一旦部長に話をする峰谷ゆうすけを、オレは部室の扉で待っていた。
「行くぞ……」
廊下へ出る峰谷ゆうすけ、オレはその後へついて行った。そして階段の踊り場で立ち止まる。窓ガラスからは中庭の様子が見えていた。女子バレー部が準備運動をしていた。
「で、依頼ってなんだ?」
完全に異常な顔つきになった峰谷ゆうすけ。
「……………………」
オレは言ってもいいのだろうかと躊躇した。だが、、、
「――オフィシャルジェンス社をハッキングしてもらいたい」
「ほう」
「お前がハッキングに関してプロ並みなのは知っている。だから頼みに来た」
「……なんでまたオフィシャルジェンス社なんて会社にハッキングして欲しいんだ?」
試すような口調はオレの覚悟を計っているのだろう。
「昨日というか深夜、オレはデレデーレの捜索をしていた。そこであるサイトが浮かび上がった、それがオフィシャルジェンス社だ」
「昨日の発表を見てそう思ったんなら話は終わりだ。トワイライトはデレデーレではない、それはお前が一番よく知っているはずなんだが……?」
「他のサイトも調べてみたんだ。デレデーレが書いたと思わしき小説、立ち上げたサイト、匿名希望のツイートの数々、どれもこれも二週間前に停止している。何かあったに違いない」
「ふん、そいつは確かに妙な話だな。本当だったらの話だが……」
「頼む、アイツが今どこで何をしているか、知りたいんだ協力してくれ」
オレは頭を下げて頼み込む。
「……何でまたいきなり探す気になったんだ? ここ一か月、あの超AIのことなんて気にかかってもいなかったように見えたが……」
「……それはオレにもわからない。でもなんか失った気がして悔しいんだ」
「……その悔しさ痛いほどよくわかるぜ。オレも何度も追い抜かされてきたからなぁ誰かさんのせいで」
ちらっとこっちを見る峰谷ゆうすけ。オレのことを言っているのだ。
「けど、それじゃあ協力してやれないなぁ」
「頼むそこを何とか、協力してくれ」
オレは拝み倒した。
「どうでもいいじゃねーか、あの超AIのことなんてこれまで通りほったらかしにしておけよ。お前の今感じているその感情は対抗心だ。オフィシャルジェンス社に超AIの発表を公表されて悔しがるただの敗北感だ」
「……………………」
「わかったらとっとと……」
オレは床に膝をつけて、手を膝の前に、頭を地につけ、土下座の体勢で頼み込む。
「――頼む」
自分でも何故ここまでしているのか、わからない。
「――よせよ、そこまでする必要ないだろう」
オレを土下座の体勢から起き上がらせる峰谷ゆうすけ。
「――おい、なに泣いてやがる!?」
「え……」
手の甲で頬を拭うと、確かに涙の後を確認できた。
(あれ、何の涙だ? これは……)
「どうしたホントに……お前ちょっと疲れてるんじゃないか?」
「峰谷ゆうすけ、依頼のことなんだが……」
「だーーーー! わかった! わかった! 受けてやるよ! だから泣き止め! お前のそんな姿見てると調子が狂いそうだ」
「ほ、本当か?」
「言っとくけどなぁ! 学校のパソコンは使わないぞ! ネットカフェだ! ネットカフェ! お前のおごりだからな! ドリンクバーも付けさせてもらうぞ!」
「ああ、わかった!」
オレは右手を伸ばし握手しようとしたのだが、峰谷ゆうすけはイライラしたようにその手を払った。
そして放課後、オレは早速コンピューター研究部に向かって行く。
来ヶ谷部長に挨拶をし、部室内の面々に挨拶をし、ある人物を呼びつける。
「おい、峰谷ちょっといいか?」
「はぁ? 暁ぃ何の用だ?」
オレと目を合わせないところを見るとコンピューター作業に没頭しているらしい。
「…………依頼がしたい」
一呼吸の間をおいてオレはそう切り出した。
「依頼か…………場所を変えるぞ」
少し考える素振りを見せた峰谷ゆうすけはそう答えた。
一旦部長に話をする峰谷ゆうすけを、オレは部室の扉で待っていた。
「行くぞ……」
廊下へ出る峰谷ゆうすけ、オレはその後へついて行った。そして階段の踊り場で立ち止まる。窓ガラスからは中庭の様子が見えていた。女子バレー部が準備運動をしていた。
「で、依頼ってなんだ?」
完全に異常な顔つきになった峰谷ゆうすけ。
「……………………」
オレは言ってもいいのだろうかと躊躇した。だが、、、
「――オフィシャルジェンス社をハッキングしてもらいたい」
「ほう」
「お前がハッキングに関してプロ並みなのは知っている。だから頼みに来た」
「……なんでまたオフィシャルジェンス社なんて会社にハッキングして欲しいんだ?」
試すような口調はオレの覚悟を計っているのだろう。
「昨日というか深夜、オレはデレデーレの捜索をしていた。そこであるサイトが浮かび上がった、それがオフィシャルジェンス社だ」
「昨日の発表を見てそう思ったんなら話は終わりだ。トワイライトはデレデーレではない、それはお前が一番よく知っているはずなんだが……?」
「他のサイトも調べてみたんだ。デレデーレが書いたと思わしき小説、立ち上げたサイト、匿名希望のツイートの数々、どれもこれも二週間前に停止している。何かあったに違いない」
「ふん、そいつは確かに妙な話だな。本当だったらの話だが……」
「頼む、アイツが今どこで何をしているか、知りたいんだ協力してくれ」
オレは頭を下げて頼み込む。
「……何でまたいきなり探す気になったんだ? ここ一か月、あの超AIのことなんて気にかかってもいなかったように見えたが……」
「……それはオレにもわからない。でもなんか失った気がして悔しいんだ」
「……その悔しさ痛いほどよくわかるぜ。オレも何度も追い抜かされてきたからなぁ誰かさんのせいで」
ちらっとこっちを見る峰谷ゆうすけ。オレのことを言っているのだ。
「けど、それじゃあ協力してやれないなぁ」
「頼むそこを何とか、協力してくれ」
オレは拝み倒した。
「どうでもいいじゃねーか、あの超AIのことなんてこれまで通りほったらかしにしておけよ。お前の今感じているその感情は対抗心だ。オフィシャルジェンス社に超AIの発表を公表されて悔しがるただの敗北感だ」
「……………………」
「わかったらとっとと……」
オレは床に膝をつけて、手を膝の前に、頭を地につけ、土下座の体勢で頼み込む。
「――頼む」
自分でも何故ここまでしているのか、わからない。
「――よせよ、そこまでする必要ないだろう」
オレを土下座の体勢から起き上がらせる峰谷ゆうすけ。
「――おい、なに泣いてやがる!?」
「え……」
手の甲で頬を拭うと、確かに涙の後を確認できた。
(あれ、何の涙だ? これは……)
「どうしたホントに……お前ちょっと疲れてるんじゃないか?」
「峰谷ゆうすけ、依頼のことなんだが……」
「だーーーー! わかった! わかった! 受けてやるよ! だから泣き止め! お前のそんな姿見てると調子が狂いそうだ」
「ほ、本当か?」
「言っとくけどなぁ! 学校のパソコンは使わないぞ! ネットカフェだ! ネットカフェ! お前のおごりだからな! ドリンクバーも付けさせてもらうぞ!」
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オレは右手を伸ばし握手しようとしたのだが、峰谷ゆうすけはイライラしたようにその手を払った。
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