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三章 超AIの大失踪

48話 ネットサーフィンで探し出す

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壁に掛けられた時計の時刻は午後11時を回ろうとしていた。いつまでもパソコンとにらめっこしている。

「ヒカリ探すぞ、デレデーレを――」

『前にケンマ様に仕えていた超AI様のことですね。かしこまりました』

オレはメンテナンスのモニター画面からメニュー画面に戻すと検索サイトを開く。

「さてヒカリ、デレデーレに関する全てのデータを検索せよ」

『検索欄にデレデーレをっと、これでよろしいでしょうか?』

「よし、それで検索開始」

もう夜遅いので隣の体育会系を起こすまいと小声で話を進める。

『――検索しました。検索結果15件です』

「15件……やはり少ないな」

一件一件そのサイトを見て回る。

「まず一件目、リア充カップルのデレデレ現場……なんだただの画像データかよ。しかも隠し撮りって普通に犯罪じゃないの~~」

そこには噴水を背景にキスをする二人の男女が撮影されていた。

「二件目、マイナーゲームデレコちゃんの市場価格。やっす300円かよ。ああでも昔のハードがもう売ってないんじゃないかなこのゲームは……」

検索すれば何かしらの情報は出てくるのだろうが、あいにくオレには興味がなかった。

「三件目、こっちも同じかデレコちゃんの中古価格100円」

いったいどんなゲームでこんなに安くなっているのか逆に興味を引かれてしまう。

「そんなにもクソゲーなのか? えっと次は四件目、人生相談サイトキューピット? どこかで聞いたサイト名だな」

『はい、以前ケンマ様が本サイトに登録し占ってもらおうとしたサイトですね』

「あ~~、はいはいあったね~~そんなサイト……アクセス数でも見てみるか……」

調べてみると二週間前から更新がないのかアクセス数が10378から205にまで激減していた。

「やっぱりシステム面に問題があったんだろうなぁ、オレの登録IDじゃ弾かれてしまったし」

『再度、登録してみますか?』

「もういいって次五件目のサイトに行くぞ」

その後もネットサーフィンを続けて行くのだが、5件目から15件目までも、くだらないサイトを徘徊することとなりデレデーレに関することは何も分からなかった。

「ヒカリ検索方法の仕方を変えるぞ……」

『どんな内容でしょうか』

「ネット内を徘徊するAIの女の子」

『検索します、ネット内を徘徊するAIの女の子……』

(以前デレデーレは言っていた暇な時間には動画を見たりゲームをしていたりすると……この検索方法なら少しは引っ掛かるはず)

『出ました検索結果203件です』

「ヒカリ一つ一つ調べるのも面倒だ。出来るだけ情報量の多いサイトだけをピックアップするのは可能か?」

『はい、もちろんでございます』

「なら、やってくれ……」

『はい、サイト内のデータを一括検証、平均値以上のサイトを絞り込みその中から選りすぐりのサイトをピックアップ』

要するにサイト数が多すぎるので少なめに絞ろうという魂胆だ。

『――4件のサイトがピックアップされました』

「なになに一つ目は小説投稿? 匿名希望の作者に主人公はデレデーレ? アイツは何をやっているんだ? まっるきり今はやりのファンタジー作品だし」

しかもアクセス数は底辺中の底辺、二週間前に続きを書くのをやめてしまっているのだ。

(この2週間、続きがないってどんだけモチベ下がってんのよ)

『二つ目に参りましょう』

「二つ目、伝説の電子状の女の子を追いかけてみたとかいう画像サイトねぇ~~」

サイト内を一通り見てみたのだが女の子の画像なんてどこにもない。

(アイツのことだすぐに見つけ出しハッキングして自分の画像を消していったんだろう)

『三つ目、ツイッター。匿名希望のアカウントですがこちらも二週間前に活動を停止していますね』

「どこに根拠があってこのツイート主がデレデーレだと思っているんだ?」

『データを復元します』

すると匿名希望の名前欄がレーデレデになってしまった。逆から読むとデレデーレ。

「なるほど、データ側の方からしか見えない景色もあるって訳ね」

日記のようなツイートを一つづつ読んでいく。これも二週間前から更新が途絶えている。

『四つ目なんですが、これはオフィシャルジェンス社のサイトですね』

「オフィシャルジェンス? やっぱり繋がりがあったか? けどサイトを見てもデレデーレのことなんか書かれていなかったぞ?」

『……これ以上のことは分かりかねます』

(ん~~、どれもこれも二週間前に更新を途絶えているところを見ると……オフィシャルジェンス社に接触した可能性がその時にあるってことか……分からんがオレなりに調べてみるか)

そしてそれからも調べていくオレ、気が付くと午前6時を回っていた。
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