スマフォ画面0.001ミリ差の恋

丹波 新

文字の大きさ
上 下
44 / 71
三章 超AIの大失踪

44話 ヒカリとの日常生活

しおりを挟む
ヒカリを完成させてから一か月後。

オレはいつものごとく朝からヒカリに起こされてジョギングに出ていた。

それから7時には寮の食堂で朝食を食べ、スマフォで今日のニュースを見る。

(…………? 今日の17時オフィシャルジェンス社から重大発表か……)

『楽しみですか?』

ヒカリが訪ねてくきた。

「まぁな……人工知能研究者には誰もが目をつけてるって話だし……いつかオレも入社してみたいと思っている。詳しく知りたいなら、検索してみるといい」

オレはどんな会社か説明した。オフィシャルジェンス社とは人工知能専門の研究会社である。

『……いえ興味はありません』

ヒカリはそっけなく返してきた。

それから8時には学校内に入り込み、徹夜の疲れを朝から癒すため机に伏して眠りこけていた。

予鈴のチャイムが鳴り、その響きによって目を覚ます。

じきにホームルームが始まり朝の授業が始まる。

一時間目は数学の授業、二時間目は歴史の授業、三時間目は体育の授業、四時間目は国語の授業、そして昼食の時間となる。

昼食は相変わらず購買部を避けて学食で済ませていた。食べ終わるとスマフォでちょっとしたソシャゲをして過ごす。そして午後の授業が始まる。

5時間目は文学の授業、6時間目は英語の授業であったが自習となった。

本日全ての授業が終わり、ホームルームの時間となる。

ホームルーム後は掃除の時間、班分けはすでにおなじみのメンバーで行動し、終了すると完全に下校時刻となる。

本日はコンピューター研究部へと足を運ばないことにした。そしてそのまま寮へと帰宅するのだが、今日はヒカリに外の景色を見せて反応を見るテストをすることにした。つまり遠出だ。

「どうだ? たまには違う景色を見るというのは……」

『ネットの画像の方が素晴らしい街並みを見ることが出来ます』

「……ああ、そうかい」

期待していたほどの反応は見られない。やはり感情がないのだ。アイツのあのAIの様にはいかないか。

その時、、、

ブーーンブーーンとスマートフォンが鳴る。電話の連絡が入っているのだ。連絡の相手はネルナしぬぞうだった。

「もしもしネルナか……どうした? 今ヒカリとデート中なんだけど」

『はぁ? そんなことしてる場合か? 来ヶ谷部長が寂しがってるぞ。今日は来ないのかなぁとか言って何度も何度も廊下に出ている』

電話越しから伝わるネルナの声には少々焦りの気持ちが溢れていた。

「何でまた? オレは部員じゃないんだぞ……」

『お前はニュースとか見ないのか? 今日、オフィシャルジェンス社から重大発表があるのを訊いていないのか? ネットでニュースぐらい見れるだろう――今すぐ確認しろ」

「ああぁ……それなら知ってるぞ。今日の午後17時に発表があるってことぐらい」

『なら何故うちに来ない。皆お前が来るのを待っているんだぞ』

「と言ってもなぁ~~、本来オレはそっちの部活動に参加している訳ではないんだが……」

『何言ってやがる……あれだけAI研究の為の協力をさせておいて、こっちに用事があると言えばとたんに姿を消しやがる。都合がよすぎるんじゃないか? 友達無くすぞ、たまには皆で会議しようぜ……』

「わかったわかった。16時30分か、今から行くから待ってろよ。ちょっと遠出してそっちに行く時間はかかるかもしれないけど、来ヶ谷部長にもそう伝えておいてくれ」

『それでいい、皆待ってるから急いでこい――』

――ブツンと電話を切られてしまった。

(全く、話を聞いていないんだから)

『ケンマ様?』

「急いで戻るぞ、今日の遠出はおしまいだ」

オレは踵を返し急いで学校まで戻ることにした。

(オフィシャルジェンス社の重大発表ねぇ~~、いったいなんだろう)

この時のオレはまだ知らなかった、この発表がとんでもない展開を生んでいたことに。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》

小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です ◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ ◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます! ◆クレジット表記は任意です ※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください 【ご利用にあたっての注意事項】  ⭕️OK ・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用 ※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可 ✖️禁止事項 ・二次配布 ・自作発言 ・大幅なセリフ改変 ・こちらの台本を使用したボイスデータの販売

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

Hand in Hand - 二人で進むフィギュアスケート青春小説

宮 都
青春
幼なじみへの気持ちの変化を自覚できずにいた中2の夏。ライバルとの出会いが、少年を未知のスポーツへと向わせた。 美少女と手に手をとって進むその競技の名は、アイスダンス!! 【2022/6/11完結】  その日僕たちの教室は、朝から転校生が来るという噂に落ち着きをなくしていた。帰国子女らしいという情報も入り、誰もがますます転校生への期待を募らせていた。  そんな中でただ一人、果歩(かほ)だけは違っていた。 「制覇、今日は五時からだから。来てね」  隣の席に座る彼女は大きな瞳を輝かせて、にっこりこちらを覗きこんだ。  担任が一人の生徒とともに教室に入ってきた。みんなの目が一斉にそちらに向かった。それでも果歩だけはずっと僕の方を見ていた。 ◇ こんな二人の居場所に現れたアメリカ帰りの転校生。少年はアイスダンスをするという彼に強い焦りを感じ、彼と同じ道に飛び込んでいく…… ――小説家になろう、カクヨム(別タイトル)にも掲載――

【完結】カワイイ子猫のつくり方

龍野ゆうき
青春
子猫を助けようとして樹から落下。それだけでも災難なのに、あれ?気が付いたら私…猫になってる!?そんな自分(猫)に手を差し伸べてくれたのは天敵のアイツだった。 無愛想毒舌眼鏡男と獣化主人公の間に生まれる恋?ちょっぴりファンタジーなラブコメ。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

Forever Friends

てるる
ライト文芸
大学の弓道部のOB会で久々に再会するナカヨシ男女。 彼らの間の友情とは!? オトナのキュン( *´艸`) てゆーか、成長がない^^; こともないか(笑)

処理中です...