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二章 超AIの大活躍

34話 不吉な選択肢

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まず初めにヤミヤミちゃんとの失恋はダメというゲームについて説明しよう。

このゲームは始めっからヤミヤミちゃんというヒロインとの恋人同士となったところからスタートする。

そこから様々な選択肢が出てきて、一つでも失敗するとゲームオーバー。つまりヤンデレであるヤミヤミちゃんに刺されてしまうという訳だ。

それを回避するために主人公、もといプレイヤーは慎重に選択肢を選ばないとゲーム内で殺されてしまうと言うことだ。

現在デレデーレは絶賛ヤミヤミちゃんとの失恋はダメをプレイ中である。しかし、

「………………なかなか選択肢が出てきませんね」

オレは淡々とゲームプレイの映像を見ていた。ヤミヤミちゃんはとても明るく元気な子、こんな子がヤンデレ化するとは思えなかった。

「――初めのうちは出て来ないさ、付き合いはじめを見守ってあげるためにもね。間違ってもこれは恋愛シミュレーションゲームだ、恋愛要素は当然ある」

来ヶ谷部長がオレの口走りにそう答えてくれた。

確かに部長の言う通り、朝から学校の登校を一緒にしたり、運命とも言われる席替えで隣同士になったり、授業中忘れた教科書を机をくっつけて見せあいっこしたり、昼食の時間にはヤミヤミちゃんが作って来たと思われるお弁当を中庭で一緒に食べたり、同じく文芸部に入部して一緒に恋愛小説を読んだりしてドキドキしていたり、夕方には部活を終わらせて一緒に帰路に着いたり、家に帰ってからも携帯電話で互いに通信し合って話をしたり、と言った感じのやり取りが35分ほど続いていて、ようやく選択肢が出てくる。

最初の選択は、

――学校に一人で行きますか? それとも家の前で人を待ちますか?

と言ったものだ。

『当然、家の前で人を待つでしょう!』

デレデーレが選択肢を押すと主人公がうきうきと待ち人を待っていた。

そうするとヤミヤミちゃんが現れて一緒に朝の登校をすることになる。

「……これ一人で学校に行ったらどうなっていたの?」

オレは疑問を前渡とうやに投げかけた。

「後ろからヤミヤミちゃんに包丁で刺されて死ぬルートだ。なんで私を待たずに学校に行っちゃうのよ! 私より学校が大事なの! って後ろから涙声で叫んで来る」

「――げっ! こいつ包丁持ち歩いてんのかよ、こわいわ! しかも愛が重い! 絶対付き合っちゃダメな奴だろう」

「――まぁOBもホラー混ざりで作ったゲームって言ってるらしいし怖いのは当然だ、特に死ぬ間際のBGMとかな……」

前渡とうやとの会話が続く中次の選択肢に移行するデレデーレ。

『えっと次は、、、』

――座席に座って起きているか? 座席に座って疲れた身体をうつ伏せにして寝るか?

いかにもな引っかけ問題だった。

『――当然、座って起きてるでしょう!』

即座に選択肢を選ぶデレデーレ、そうすることで隣に座るヤミヤミちゃんとの会話が弾みイチャラブシーンに入る。

「……今度は寝ちまったらどうなるんだ?」

「学校とも有ろう場所で殺人事件が起きる」

「――こわ! 場所問わず刺しに来るのかよ!」

次の選択肢は授業中に起きた。ヤミヤミちゃんからの手紙が届いたらしい。

――今読みますか? 後で読みますか?

『今でしょ――!!』

主人公が手紙の内容を朗読していく。その内容は、

――愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる、と紙いっぱいに書かれた内容だった。

「怖いわ! これ今読んでいい訳!?」

「後で読むと授業中と言えども刺されて死ぬぞ……? どうして私の愛をすぐに受け取らなかったんだーーって言って……」

「なんてゲームだよ……」

しかし順調に選択肢をクリアしていくデレデーレを見て、安心しているオレであった。
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