スマフォ画面0.001ミリ差の恋

丹波 新

文字の大きさ
上 下
26 / 71
二章 超AIの大活躍

26話 ビッグサテライター第三形態との最終戦

しおりを挟む
デレデーレは強敵ビッグサテライターの第二形態を撃ち倒し、残る第三形態に警戒しながら飛空していた。

「残り時間3分を切ったぞ!」

オレは焦りに焦っていたが、

『大丈夫です。何とかして見せますケンマ様』

「いよいよ最終ラウンドか……さて鬼が出るか蛇が出るか」

興奮のあまり、モニターに顔を近づける前渡とうや。

『――蛇ですよ』

というデレデーレの自機の直線方向にビッグサテライターのコアが浮き彫りになり、その正体をあらわにする。ようするにコアから何か生まれ出でんとしているのだ。それはまるで圧縮されたとぐろ状の蛇に見えたのだ。
ビッグサテライターのコアが光り出し、そして中身を解放せんとまるで孵化するように砕け散った。

「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

まるで列車の汽笛のような声に、姿は龍と蒸気機関車をモチーフとしているのか、何とも言い難い、端的に言えば強そうなデザインをしていた。

『――残り時間2分53秒!! 行きます!!』

デレデーレは即座に攻撃態勢に移り、残り10000を超える弾幕を張っていった。

しかしそんな攻撃は全く利いていないのか、弾幕をいくら食らわせても受け取ったダメージとなる点滅が一向に起きなかった。

「――攻撃が利いていないのか!?」

オレは不測の事態につい、叫んでしまった。

『いえ、利いてますよ! これはあくまで精神攻撃、ここまで来たプレイヤーのやる気を一気に削ぐための措置でしょう』

何とたちの悪い仕様だろうとつくづく思う、しかも蒸気機関車型の龍はこちらに向かって直進してくる。

『――はやっ!?』

残機数は一機、倒されることの許されないデレデーレはほぼ直感で回避した。それくらい敵のロックオンからの直進攻撃の速さが尋常ではなかった。こうなってしまえばこちらも旋回うして追尾するしかないのだが、

「さすがラスボス――」

蒸気機関車型の龍ビッグサテライターはいくつも連結した車両のようなものが、そこで五つに分離したのである。

『――――っな!?』

しかも全機からレーザー砲が飛びかい、デレデーレの機体を襲う。

やむなく回避に専念するデレデーレ。そこで、

『使っちゃいますか! いっけぇぇぇぇぇぇぇぇ炸裂弾!!』

本体加えての五機の敵機はこの炸裂弾をもろに直撃した。いったいも漏らさないそのプレイングに皆歓喜の拍手を送る。

『拍手は早いです!! さて、もういっちょ来ますかね』

デレデーレの言う通りビッグサテライターは通常形態に戻り、またロックオンからの直進攻撃を行ってきた。

『追撃して、分離したところを炸裂弾!! これで五倍ダメージになっているはず』

532×5=2660×2=5320である。つまりこれでビッグサテライターに五千のダメージを与えたことになる。

そして、ババババーーーーン!! という効果音と共にビッグサテライターの車両状の四機の機体は撃墜していくのであった。

そしてここからが本当の闘いであることをすぐに気づかされる。一機となった列車状の龍は口からとんでもないものを合計十は吐き出していた。それはミサイルだった。もちろんこんな攻撃デレデーレであれば回避は簡単であろうそのはず、旋回しやり過ごしていたのだが、、、

『……――――ファッ!? ナニコレ追尾してくる!! もしかして誘導弾!?』

一気に機体を180度変えて後ろから追尾してくる誘導弾に攻撃を仕掛ける。
バババババババババババーーーーーーン!! と撃ち落としていくのだが、次の誘導ミサイルが発射された。

『なるほど……撃ち落とすと、またすぐに追加の誘導弾が追っかけてくる仕様ですか……』

しかし今は撃ち落としてやり過ごすしかないのだが、撃ち落としても撃ち落としても、状況はフィールド内に常に十の誘導弾が放し飼いになる状況である。

『はいはい――わかりました! 除けながら倒せっていうことですよね!』

半ばあきらめたかのように聞こえる投げやりなセリフとは裏腹に、デレデーレのプレイには微塵も無駄なく、攻撃するときは攻撃を、回避するときは回避をしていた。

のこり一分を切ったところで残弾数を見てみると4261だった。

そして、いつのまにやらビッグサテライターはモニターに充満するように火を吹きかけ、隕石群まで避けなければいけない状況になっていた。このとき誘導弾が隕石に衝突すると大規模な爆発をし、またしてもビッグサテライターから追加の誘導弾が吐き出された。そんなカオスな状況の中で、、、

ついに、、、

残り時間10秒を切ったところで、、、

バゴゴゴ―ーーーン!!

ビッグサテライターは撃墜された。

『やったーーーー!!』

タタターーーーターータッタターーン!! とうとうすべてのクリアが完了した。

エンディングを背景にデレデーレがコックピットを開け、、、

『――ケンマ様、ケンマ様やりました! 全クリです全クリ!』

「ああ、見てたよ凄かった……」

オレが感想を漏らすと満面の笑みになるデレデーレだった。

周囲からも拍手喝采が起きるほどの偉業を無しと遂げたのだ。オレはかなり誇らしかった。

モニター内はエンディングも終了し、コングラチュレーションとサンクスの文字が浮かび上がっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなパン屋の恋物語

あさの紅茶
ライト文芸
住宅地にひっそりと佇む小さなパン屋さん。 毎日美味しいパンを心を込めて焼いている。 一人でお店を切り盛りしてがむしゃらに働いている、そんな毎日に何の疑問も感じていなかった。 いつもの日常。 いつものルーチンワーク。 ◆小さなパン屋minamiのオーナー◆ 南部琴葉(ナンブコトハ) 25 早瀬設計事務所の御曹司にして若き副社長。 自分の仕事に誇りを持ち、建築士としてもバリバリ働く。 この先もずっと仕事人間なんだろう。 別にそれで構わない。 そんな風に思っていた。 ◆早瀬設計事務所 副社長◆ 早瀬雄大(ハヤセユウダイ) 27 二人の出会いはたったひとつのパンだった。 ********** 作中に出てきます三浦杏奈のスピンオフ【そんな恋もありかなって。】もどうぞよろしくお願い致します。 ********** この作品は、他のサイトにも掲載しています。

カイカイカイ…

秋村ふみ
ライト文芸
「僕が求めるのは、目立つことなく、安心できる、安定した生活。攻めるようなことはしない。ただ守るだけだ」 安藤快は同級生の黒沢アカネに連れられて、彼女の兄が経営するブックカフェを訪れた。そこから彼の中の、新たな扉が開かれる…。

ちいさな物語屋

うらたきよひこ
ライト文芸
物語を愛するすべての人たちへ…… そこのあなた、おひとついかがですか? ファンタジー、怪談、SF――なんでも取りそろえてございます。どうぞお立ち寄りください。 https://kajin.blog/

この欠け落ちた匣庭の中で 終章―Dream of miniature garden―

至堂文斗
ミステリー
ーーこれが、匣の中だったんだ。 二〇一八年の夏。廃墟となった満生台を訪れたのは二人の若者。 彼らもまた、かつてGHOSTの研究によって運命を弄ばれた者たちだった。 信号領域の研究が展開され、そして壊れたニュータウン。終焉を迎えた現実と、終焉を拒絶する仮想。 歪なる領域に足を踏み入れる二人は、果たして何か一つでも、その世界に救いを与えることが出来るだろうか。 幻想、幻影、エンケージ。 魂魄、領域、人類の進化。 802部隊、九命会、レッドアイ・オペレーション……。 さあ、あの光の先へと進んでいこう。たとえもう二度と時計の針が巻き戻らないとしても。 私たちの駆け抜けたあの日々は確かに満ち足りていたと、懐かしめるようになるはずだから。

きみがわるい【声劇台本】【一人用】

マグカップと鋏は使いやすい
ライト文芸
ホラー風です。 こちらのジャンルが苦手な方はご遠慮ください。 最後の…………には好きな言葉を入れていただいてもかまいません。 性別不問、一人称変更okです。 言いやすいように語尾など変更してください。 動画・音声投稿サイトに使用する場合は、使用許可は不要ですが一言いただけると嬉しいです。 非常に喜びます。 自作発言、転載はご遠慮ください。 著作権は放棄しておりません。 使用の際は作者名を記載してください。 内容や世界観が変わらない程度の変更や語尾、性別の変更、方言は構いません。

飛び立つことはできないから、

緑川 つきあかり
ライト文芸
青年の不変なき日常に終わりを告げるように、数多の人々が行き交う廊下で一人の生徒を目にした。 それは煌びやかな天の輪っかを頭に載せて、儚くも美しい女子に息をするのさえ忘れてしまう。 まるで天使のような姿をした少女との出逢いが、青年の人生を思わぬ形で変えていくことになる。

傍若無人な皇太子は、その言動で周りを振り回してきた

歩芽川ゆい
ホラー
 頭は良いが、性格が破綻している王子、ブルスカメンテ。  その権力も用いて自分の思い通りにならないことなどこの世にはない、と思っているが、婚約者候補の一人、フェロチータ公爵令嬢アフリットだけは面会に来いと命令しても、病弱を理由に一度も来ない。  とうとうしびれをきらしたブルスカメンテは、フェロチータ公爵家に乗り込んでいった。  架空の国のお話です。  ホラーです。  子供に対しての残酷な描写も出てきます。人も死にます。苦手な方は避けてくださいませ。

大事なあなた

トウリン
恋愛
弱冠十歳にして大企業を背負うことになった新藤一輝は、その重さを受け止めかねていた。そんな中、一人の少女に出会い……。 世話好き少女と年下少年の、ゆっくり深まる恋の物語です。 メインは三部構成です。 第一部「迷子の仔犬の育て方」は、少年が少女への想いを自覚するまで。 第二部「眠り姫の起こし方」は、それから3年後、少女が少年への想いを受け入れるまで。 第三部「幸せの増やし方」はメインの最終話。大人になって『現実』が割り込んできた二人の恋がどうなるのか。

処理中です...