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二章 超AIの大活躍

13話 朝の教室で過ごす二人

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学校への登校は早かった。午前8時には自分の教室の机の席に着席して、ヒマを持て余してる。

「何でこんな朝早くから登校しなくちゃならないんだ……?」

『何事も迅速な対応がよろしいかと思って、、、』

デレデーレは少しも融通を利かせてくれない。そのせいで最近のオレは疲れさえ溜まっているような気がした。

『ケンマ様――ケンマ様!!』

(誰もいないからって大声でオレの名前を呼ぶなよ……もし誰かが教室に入ってきたらどうするんだ?)

「で、デレデーレよ、なんなんだ?」

『じゃん! 新アプリを開発してみました! その名もデレデーレ追跡ツールです!』

オレはスマフォを見て取り、アプリを確認した。ピンク色のデレデーレのシルエットが映し出されている。何の手品かすでにインストール済みだったようだ。

「何だこれは、このアプリ開いてもいいのか?」

『ノンノン、これはいざという時の為に使ってください』

「いざという時っていつだよ」

『このアプリは文字通りデレデーレ追跡装置ですので、私が居なくなって困ったときに使ってください』

「いなくなるって、お前どっか行くとこあるの?」

『へっ、や、やだなぁ~~電子機械に移動するときがあるじゃないですか~~例えば照明とか洗濯機とかボトル用冷蔵庫とか』

何か含みのある言い方だったが、便利そうなツールを受け取って詮索はしないことにした。

「ありがと、しかし凄いな、もう自分でアプリづくりか……今度は面白いゲームでも開発してくれ」

『はい、これからも誠心誠意、作らせていただきます』

ビシッと敬礼のポーズをとるデレデーレ。ラブメーターが56から58に変動した。

そうこうしている内に8時15分となり続々とクラスメートが教室の結界の中へと入ってくる。

オレはスマフォを机の上に置き、両腕で覆いかぶさる態勢でうつ伏せになり、画面と顔の距離を近づける。

『ケ、ケンマ様~~、ち、近いですよ~~///』

デレデーレはうれしくてうれしくて、たまらないほどデレデレである。

「(静かにしろ独り言を言う変な奴だと思われるだろ)」

ヒソヒソ声で話しかける。周囲の生徒には気づかれないよう声のトーンを下げて、もちろんデレデーレも心得ていた。

『(ゴホンではケンマ様、また別の話なのですがおしゃってもよろしいでしょうか……?)』

「(よろしい)」

『(クリームパン、通称購買部限定アイスクリームパン食べてみたくありませんか?)』

「(……………………)」

オレは考えてみる。アイスクリームパンまだ食べたことのない未知のパン。好奇心旺盛なオレが興味がないわけがない。

「(――食べてみたいな)」

素直に答えを返してみた。

『(わかりました! お任せください! 今日食べられるよう計らってご覧にしんぜましょう)』

「(どうやって)」

『(頭をお使いくださいケンマ様。答えは簡単です)』

思い当たる節を片っ端から考えるオレ。そして答え合わせ。

「(――マジ? オレがあの体育会系集団に飛び込ませるためにジョギングさせてたの?)」

答えはこれだろうと問い詰める。

『(――その方法だと半年早いですかね)』

意外なことに即答で否定された。

「(じゃあ、どうやってアイスクリームパンを手に入れるんだよ)」

『(降参ですかニッシッシ)』

含み笑いまで見せられる。スマフォをこつんと指先でデコピンのように小突いてみる。

『(――痛いです!)』

「(す、済まん……)」

まさか効き目があるとは思わなかった。いつの日かくすぐりでも試してみようと思い至るオレであった。

『(――で、アイスクリームパンを手に入れる方法なんですが、簡単簡単、正解は――――)』

オレはそのデレデーレの答えに衝撃を走らせる。
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