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一章 超AIとの大生活

10話 デレデーレの女心

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夜の18時30分が訪れた。

今日のノルマであるコンピューター研究部への訪問も無事終わり、学生寮へと帰宅していたところだった。

オレは玄関先で靴を脱ぎ、スリッパに変更。スタスタと歩いていきシャワールームへと向かって行く。

脱衣室で服を脱ぎ脱ぎ、ズボンもパンツも降ろして浴室へと向かう。この時デレデーレには裸体が見えないようにスマフォの電源をオフにしておいた。

シャワーで身体と頭を洗い流し、風呂に浸かって一日の疲れを癒していく。合わせて20分経った頃に浴室を出て持って来た着替えに、頭からすっぽりとかぶり、ズボンのファスナーを締めるのだった。

その後、7時になって寮の食堂へ行き、食事を取る。この時忘れていたスマフォの電源をオンにする。そしたら

『――見てませんから! 何も見てませんから!』

慌てふためいていた。しかも目まで閉じている。

「はぁ?」

意味不明な慌ただしさに、呆れていた。そうするとかたくなに閉じていた瞳を開く。

『あれ? 着替えが済んでる? て言うか何ですかこれ!? 時が30分も跳んでいる。なんでどうして!?』

「ああ、電源オフにしてたんだよ……時間が跳んだのはそのせいだな」

『そ、そうでしたか……』

頭の整理をするデレデーレを側に、オレはトレイを持って今日の献立を受け取っていく。今日は何とみんな大好きチキンカレーだった。

「いただきます」

オレは席に着いて礼儀を重んじて食べ始める。アツアツのカレーを食べているのだがここで出てくるのは基本的に甘口カレーなのだ。辛い物が苦手なオレには丁度いい味付けだった。

「ごちそうさま」

手を合わせて今日のご飯のありがたみをあらわす。

『よくできました。ケンマ様はおりこうさんですねぇ……こんな時頭ヨシヨシ出来ないのが残念ですけど……』

元気よく手を振りながらデレデーレが話をしていると、ラブメーターが元の50を示していた。

「戻ったか、まったく、何がきっかけで上下するのかわからないのが不便だ」

『不便ではなく、ケンマ様が女心をよく理解していないだけなのでは……』

「まぁいい、さて部屋に戻ってメンテナンスするぞ」

『服とか脱ぎませんよね……?』

「はぁ~~、お前は俺を3Dの裸体を見て興奮する変態だ思っているのか」

『思ってません。一応確認しただけです……そうですよねケンマ様は紳士ですもんね……」

チラリと目線を横に流していた。

「ん? なんだその意味深な態度は――」

――はっと我に返ったオレは思い出してしまった。思春期男子なら誰もが興味を抱く女子の裸体に、、、2Dの秘蔵の画像コレクションに、、、

『私何も見てませんから――2Dの裸体なんて』

(絶対見てるーーだって――だってこいつはオレの作った超AI、しかも彼女! オレのことをよく知るために授業の暇つぶしにマジマジ見ていたに違いない)

「大丈夫だ……お前の裸体は見ない」

ホッと胸を撫でおろすデレデーレ。

「だが、しかしお前のデータフォルダーを覗いて悪質な記憶は消去しておく」

ついでに2Dの変態画像についても消去しておくことにした。

『えっ、記憶を消す?』

「大丈夫痛くはないから」

何故か寂しそうな顔にオレは嫌な予感を覚えた。さらにラブメーターが49、48、47と、どんどん減って行っている。

「わかった記憶はそのままにしてメンテナンスだけにしよう」

『あ、ありがとうございます!!』

満面の笑みのデレデーレ、ラブメーターは50に戻っていた。やっぱり女心は分からない。

「さて、行くとするか……」

オレは食器の乗ったトレイごとカウンターに置いて、デレデーレのメンテナンスの為、すぐさま部屋へと向かうのであった。
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