上 下
1 / 71
序章 超AIの大発明

1話17才の天才児

しおりを挟む
「やっっっっっっっっっっっったああああああああああああああああああああああああ!!」

その日の午前0時に俺は思わず、掛けていた椅子から飛び上がった。そして


「うるせぇぞ!! 静かにしろ!!」

ごもってはいたが壁の向こうから厳つくて大きな怒鳴り声が聞こえて来た。

「す、すみません!!」

急いで謝りを済ませたことで、隣の住人も静かになる。

(つか、いつもはてめぇの声のが大きいんだよ。のど自慢も大概にしろや。この脳筋馬鹿が、体育会系だからってインテリ舐めてると社会的抹殺すっぞこら)

とにかくオレは謝罪した。それでこの大声の話は済んだことにする。

再び俺は心の中で大歓喜する。

(とにかくオレはやったぞ、やってやったぞ! 誰も到達したことのない前人未踏の領域へ)

オレの目はパーソナルコンピューター、略してパソコンに注目していた。

(Vチューバ―でもその辺のパチモンでもないモノホンの超AIのシステムが……)

そう、オレは自分で言うのもなんだが、オレはコンピューターに関しては天才的だったのだ。

(そうAIが完成したのだ。このシステムさえ完成してしまえば、あとは学校の授業でも作るAIのモデリングだ)

「適当にセッティングという訳にはいかない。なにせこのAIは、オレの理想の彼女としてつくられたのだからな」

とりあえずルックスは瞳をまん丸く、ちょいと釣り目な感じで、ピンクの髪も長くしておこうと思う。

次に身長だが、オレにロリコンの趣味はない。大人の女性みたくスレンダーな体系の175センチにしておく。

声質もオレが好きな声優さん深美さくらさんから取ったものにした。

そして最後にシステムツール、ラブハート、通称である心をインストールさせる。これには少々時間が掛かったが、問題なくインストールできたことを今は喜ぼう。

そして、

(性格ねぇ~~)

理想の彼女だから。

(オレの彼女なんだから、恋人に尽くすタイプっと……)

『設定が完了されました』

モデリングの声が深美さんに聞こえてくる。それもそのはず、つい今しがたそう設定したのだから。

『あなた様を何とお呼びすればよろしいでしょうか』

凛とした瞳と目が合った。

「えっオレのことを?」

『はい』

「オレの名前は、あ、暁ケンマだからケンマ様とでも呼んでくれ」

想定外の質問を受けたので、そう呼ばせることにした。気に入らなければ、また変えればいいのだ

『かしこまりしました。ではケンマ様と呼ばせていただきます』

「ふぅ~~設定完了っと……」

オレは設定保存ボタンの方にマウスと直結するカーソルを持っていき、押してみた。すると不可解なことにエラーが出た。

「はぁーー?」

保存できなくなっている。ここまで来てそれはないだろと思った。作成時間が作成時間なだけに一気に脱力感を覚えた。

しかし、超AIであるモデリングが、深美さんの声ですぐさまエラーの原因を指摘した。

『私の名前を決めてください』

それだけだった。

そうしてオレは名前を決めたその名もオレに従順に尽くしにふさわしい名を。

「名前はそうだなぁ~~デレデーレで……」

いかにも主にデレデレしそうなそういう名前にしてみた。

『デレデーレ了解しました』

そうして保存ボタンに手を掛け、無事エラーも出ずに設定は完了した。

時計を見たら午前0時をまわっていた。オレは寮のベットに倒れ込みそのまま眠ることにした。

『おやすみなさいませ。ケンマ様』

急に辺りが真っ暗になったので、電気が消えたのだと知る。それはデレデーレの計らいだとすぐにわかった。

「ああ、おやすみデレデーレ……」

手を振ったオレはさらなる闇の中へと深く深く眠りにつく。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

揺れる波紋

しらかわからし
ライト文芸
この小説は、高坂翔太が主人公で彼はバブル崩壊直後の1991年にレストランを開業し、20年の努力の末、ついに成功を手に入れます。しかし、2011年の東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故によって、経済環境が一変し、レストランの業績が悪化。2014年、創業から23年の55歳で法人解散を決断します。 店内がかつての賑わいを失い、従業員を一人ずつ減らす中、翔太は自身の夢と情熱が色褪せていくのを感じます。経営者としての苦悩が続き、最終的には建物と土地を手放す決断を下すまで追い込まれます。 さらに、同居の妻の母親の認知症での介護が重なり、心身共に限界に達した時、近所の若い弁護士夫婦との出会いが、レストランの終焉を迎えるきっかけとなります。翔太は自分の決断が正しかったのか悩みながらも、恩人であるホテルの社長の言葉に救われ、心の重荷が少しずつ軽くなります。 本作は、主人公の長年の夢と努力が崩壊する中でも、新たな道を模索し、問題山積な中を少しずつ幸福への道を歩んでいきたいという願望を元にほぼ自分史の物語です。

ハッピーエンド=ハーレムエンド?!~アフターストーリー~

琴葉悠
BL
異世界アルモニアで、ゲーム的に言うとハッピーエンドを迎えたダンテ。 しかし、まだまだ人生は長く── これは、ダンテが奮闘した学生時代の後話。 アフターストーリーである。

140字小説──Twitter掌編集──

山岸マロニィ
ライト文芸
Twitterで公開した #140字小説 のまとめです。 まとめのため、随時、頻繁に更新しますが、ご容赦くださいませ。 投稿アカウント: @_maroney_140(旧アカウント) @inugami1921(新アカウント) 画像は、主にぱくたそ様、photoAC様のフリー素材をお借りしています。 ※本文140字+画像16字のカウントとなります。 ※Twitter上のカウントのため、半角英数字は0.5文字でカウントされます。 ※改行、段落は、アルファポリス用に編集してあります。 ※一部、カクヨム、エブリスタでも公開しています。

ホンモノの自分へ

真冬
ライト文芸
小学生の頃から酷いいじめを受け続けてきた天野樹。 そして、小学生の頃に唯一の味方で親友の死、その後悪化するいじめ。心の扉を固く閉ざした樹は人との関わりを拒絶し続けて生きていくと決めたが、高校2年になり出会った人たちは樹をそうさせててはくれなかった。 彼らと出会って少しずつ樹の心境も変わっていく。 そんな、樹たちの日常と成長を描いた青春ストーリー

【完結】浄化の花嫁は、お留守番を強いられる~過保護すぎる旦那に家に置いていかれるので、浄化ができません。こっそり、ついていきますか~

うり北 うりこ
ライト文芸
突然、異世界転移した。国を守る花嫁として、神様から選ばれたのだと私の旦那になる白樹さんは言う。 異世界転移なんて中二病!?と思ったのだけど、なんともファンタジーな世界で、私は浄化の力を持っていた。 それなのに、白樹さんは私を家から出したがらない。凶暴化した獣の討伐にも、討伐隊の再編成をするから待つようにと連れていってくれない。 なんなら、浄化の仕事もしなくていいという。 おい!! 呼んだんだから、仕事をさせろ!! 何もせずに優雅な生活なんか、社会人の私には馴染まないのよ。 というか、あなたのことを守らせなさいよ!!!! 超絶美形な過保護旦那と、どこにでもいるOL(27歳)だった浄化の花嫁の、和風ラブファンタジー。

性転換マッサージ2

廣瀬純一
ファンタジー
性転換マッサージに通う夫婦の話

アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?

無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。 どっちが稼げるのだろう? いろんな方の想いがあるのかと・・・。 2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。 あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。

雨上がりの虹と

瀬崎由美
ライト文芸
大学受験が終わってすぐ、父が再婚したいと言い出した。 相手の連れ子は小学生の女の子。新しくできた妹は、おとなしくて人見知り。 まだ家族としてイマイチ打ち解けられないでいるのに、父に転勤の話が出てくる。 新しい母はついていくつもりで自分も移動願いを出し、まだ幼い妹を含めた三人で引っ越すつもりでいたが……。 2年間限定で始まった、血の繋がらない妹との二人暮らし。 気を使い過ぎて何でも我慢してしまう妹と、まだ十代なのに面倒見の良すぎる姉。 一人っ子同士でぎこちないながらも、少しずつ縮まっていく姉妹の距離。   ★第7回ライト文芸大賞で奨励賞をいただきました。

処理中です...