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第十五章 大規模レース大会、本気を出して1位を目指す
第741話 岩山コースを進んでいく
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岩山コース。
崖だらけで、地面はデコボコしていた。
そんな中、デコボコの地面をぶるぶると震えながら進んでいく自動車があった。
黒いの自動車はレース・エンビーズ杯に参加している車の秘宝玉で変身したスロプだった。
彼は今、運転席で操縦しているロードと共に一位を目指して進んでいた。
現在の順位は34位である。
「う、わ、わ、わ、わ、わ」
スロプの車体が揺れていた。
「ずいぶん、ハードな道だな」
ロードも座席から伝わる振動を感じていた。
ドゴドゴドゴと音を鳴らせながら、段差を感じさせながら、チーム・カーズアンドロードは進んでいく。
「パンクには、気を付けないとね」
「ん? パンクってなんだ?」
「あ~~言ってなかったね。タイヤはこの前話したけど覚えてる?」
「ああ、車を動かす四輪のことだろう?」
「正解、そのタイヤに穴が開いて、空気が抜けるんだ。それがパンク」
「パンクするとどうなる?」
「走行中に火花を散らせて発火するって聞いてるよ」
「要するに事故を起こしやすいってことか?」
「そう言うこと」
「なぜ今そんな話が出てくる」
「岩場で傷がついたタイヤがあったら直ぐに停止させないといけないと思って……」
「治せないのか?」
「前に一度パンクしたことがあって、自分を人の姿に戻したんだ、その時、かすり傷ができていたからそう簡単には治らないと思う」
「かすり傷!? 大変じゃないか!?
「けど、ロードの力があれば心配ないかもね。生命力を人に分けて治療出来るんだろう?」
「それはそうだが……怪我をしないに越したことはない。ここは軌道読みを使う」
ロードの目の色が変わる。
「何してるの?」
「タイヤの傷つかない安全なルートを探している」
「へ~~~~、そんな、能力もあるんだ~~」
(見つけた。地面のデコボコの少ないルートを)
ロードの運転の仕方が変わる。まるでコース上にコーンが立てられているようにその障害物をよけて道を進む変則的な動きだった。
「うわ!? 揺れが少なくなった!」
スロプが驚く。
「安全第一」
運転中のロードは前方にあった大きな岩を避ける。
「何が見えてるの?」
「なんだろうな……各チームが通ってできた平らなルートかな」
「ふーーん、あっ! ロード新しいチームが見えてきたよ」
スロプが先に確認した。
「馬か……」
ロードが前のチームを確認した。
馬が三頭、それに乗る男たちを確認した。
そこは右側に壁のような崖が、左側にゾッとする真っ逆さまな崖があった。
「前に三頭の馬がいるから追い抜けないね」
「スロプ、オレの目もあながち捨てたもんじゃないぞ」
ロードは追い越すルートを軌道読みで見ていた。
それは急な壁側の崖を進む道だった。
ロードは思いっきりアクセルを踏む。すると――
「ええええええええええええええええ!?」
ロードの驚きの追い抜かし方にスロプが叫んでいた。
その叫びに気が付いた馬のチームたち。
この時、
(チーム・カーズアンドロード)
その時、
(ここまで来たか)
この時、
(壁を走って強引に抜かしにくるだと?)
馬に乗るそれぞれの男たちは思っていた。
そしてロードは完全に追い抜かしたと思う位置まで壁を走らせたら――
ドガンと車体を崖路に落として馬チームの前に出た。
「あ、危ないよ! 落ちたり横転してたらどうしてたのさ!?」
スロプが注意した。
「あっ、軌道読みを発動させてたから行けるなと思って、すまない安全第一だったな」
ロードが反省する。
その時――ロードたちの車の速度が減速した。
「ちょっとロード! 何今更減速してるのさ! 抜かしたばかりの馬さんチームに追い抜かれるよ!」
「あれ? アクセルはいつも通りの力加減で踏んでいるぞ」
この時、
(ロードが関係ないとなると――)
スロプは後方を確認した。
すると馬に乗る男の一人がどこからどう見ても的な時計を手にしていた。
この時、
(減速アイテムか……)
スロプはニヤリと口角を吊り上げる男を目撃した。
馬三頭と黒い自動車の間がどんどん縮まっている。
「ロード! アイテムだ! 減速アイテムでこっちの速度が落とされてる追い抜かれるよ!」
「アイテムか……とはいえこっちに成すすべはない。一度追い抜かされて減速アイテムとやらの効果が消えた時にまた追い抜くしかない」
「そ、そうだね」
スロプはどこか焦っていた。
そんな会話をしていた頃だった。
崖の上から大きな岩が落ちてきた。
ガラドーンと崖路をふさぐように落ちてきた。
「「――――!?」」
その大きな岩はちょうどカーズアンドロードと馬三頭のチームの間に落ちていた。
すかさずロードはブレーキを踏み、スロプを停止させ、車から降りる。
「大丈夫かーーーー!?」
ロードが大きな岩の向こうにいるはずの馬のチームたちに呼び掛けた。
最初は何の返答もなくロードは絶望の表情を浮かべていた。
(潰されたか? あるいは落ちたか?)
「お、お~~い、こっちは大丈夫だーー! 三人とも無事だーー!」
岩でふさがった道の向こうから声がした。
「ほっ、こっちも大丈夫だ!」
ロードは一安心した。そして岩が落ちてきたと思われる崖上を見る。
「心配してくれてありがとな!」
「こっちのことはいいから、あんたらはゴールを目指してくれ!」
馬に乗っていたはずの男たちが応援してきた。
「ありがとう! 行こうスロプ」
ロードは車であるスロプに乗り込んだ。
そしてアクセルを踏み発進する。
「あの人たち、無事でよかったね」
「ああ(なんで岩なんか落ちてきたんだろう)」
多少の疑問は残しつつロードたちは一位を目指す。
現在のカーズアンドロードは順位は31位だった。
崖だらけで、地面はデコボコしていた。
そんな中、デコボコの地面をぶるぶると震えながら進んでいく自動車があった。
黒いの自動車はレース・エンビーズ杯に参加している車の秘宝玉で変身したスロプだった。
彼は今、運転席で操縦しているロードと共に一位を目指して進んでいた。
現在の順位は34位である。
「う、わ、わ、わ、わ、わ」
スロプの車体が揺れていた。
「ずいぶん、ハードな道だな」
ロードも座席から伝わる振動を感じていた。
ドゴドゴドゴと音を鳴らせながら、段差を感じさせながら、チーム・カーズアンドロードは進んでいく。
「パンクには、気を付けないとね」
「ん? パンクってなんだ?」
「あ~~言ってなかったね。タイヤはこの前話したけど覚えてる?」
「ああ、車を動かす四輪のことだろう?」
「正解、そのタイヤに穴が開いて、空気が抜けるんだ。それがパンク」
「パンクするとどうなる?」
「走行中に火花を散らせて発火するって聞いてるよ」
「要するに事故を起こしやすいってことか?」
「そう言うこと」
「なぜ今そんな話が出てくる」
「岩場で傷がついたタイヤがあったら直ぐに停止させないといけないと思って……」
「治せないのか?」
「前に一度パンクしたことがあって、自分を人の姿に戻したんだ、その時、かすり傷ができていたからそう簡単には治らないと思う」
「かすり傷!? 大変じゃないか!?
「けど、ロードの力があれば心配ないかもね。生命力を人に分けて治療出来るんだろう?」
「それはそうだが……怪我をしないに越したことはない。ここは軌道読みを使う」
ロードの目の色が変わる。
「何してるの?」
「タイヤの傷つかない安全なルートを探している」
「へ~~~~、そんな、能力もあるんだ~~」
(見つけた。地面のデコボコの少ないルートを)
ロードの運転の仕方が変わる。まるでコース上にコーンが立てられているようにその障害物をよけて道を進む変則的な動きだった。
「うわ!? 揺れが少なくなった!」
スロプが驚く。
「安全第一」
運転中のロードは前方にあった大きな岩を避ける。
「何が見えてるの?」
「なんだろうな……各チームが通ってできた平らなルートかな」
「ふーーん、あっ! ロード新しいチームが見えてきたよ」
スロプが先に確認した。
「馬か……」
ロードが前のチームを確認した。
馬が三頭、それに乗る男たちを確認した。
そこは右側に壁のような崖が、左側にゾッとする真っ逆さまな崖があった。
「前に三頭の馬がいるから追い抜けないね」
「スロプ、オレの目もあながち捨てたもんじゃないぞ」
ロードは追い越すルートを軌道読みで見ていた。
それは急な壁側の崖を進む道だった。
ロードは思いっきりアクセルを踏む。すると――
「ええええええええええええええええ!?」
ロードの驚きの追い抜かし方にスロプが叫んでいた。
その叫びに気が付いた馬のチームたち。
この時、
(チーム・カーズアンドロード)
その時、
(ここまで来たか)
この時、
(壁を走って強引に抜かしにくるだと?)
馬に乗るそれぞれの男たちは思っていた。
そしてロードは完全に追い抜かしたと思う位置まで壁を走らせたら――
ドガンと車体を崖路に落として馬チームの前に出た。
「あ、危ないよ! 落ちたり横転してたらどうしてたのさ!?」
スロプが注意した。
「あっ、軌道読みを発動させてたから行けるなと思って、すまない安全第一だったな」
ロードが反省する。
その時――ロードたちの車の速度が減速した。
「ちょっとロード! 何今更減速してるのさ! 抜かしたばかりの馬さんチームに追い抜かれるよ!」
「あれ? アクセルはいつも通りの力加減で踏んでいるぞ」
この時、
(ロードが関係ないとなると――)
スロプは後方を確認した。
すると馬に乗る男の一人がどこからどう見ても的な時計を手にしていた。
この時、
(減速アイテムか……)
スロプはニヤリと口角を吊り上げる男を目撃した。
馬三頭と黒い自動車の間がどんどん縮まっている。
「ロード! アイテムだ! 減速アイテムでこっちの速度が落とされてる追い抜かれるよ!」
「アイテムか……とはいえこっちに成すすべはない。一度追い抜かされて減速アイテムとやらの効果が消えた時にまた追い抜くしかない」
「そ、そうだね」
スロプはどこか焦っていた。
そんな会話をしていた頃だった。
崖の上から大きな岩が落ちてきた。
ガラドーンと崖路をふさぐように落ちてきた。
「「――――!?」」
その大きな岩はちょうどカーズアンドロードと馬三頭のチームの間に落ちていた。
すかさずロードはブレーキを踏み、スロプを停止させ、車から降りる。
「大丈夫かーーーー!?」
ロードが大きな岩の向こうにいるはずの馬のチームたちに呼び掛けた。
最初は何の返答もなくロードは絶望の表情を浮かべていた。
(潰されたか? あるいは落ちたか?)
「お、お~~い、こっちは大丈夫だーー! 三人とも無事だーー!」
岩でふさがった道の向こうから声がした。
「ほっ、こっちも大丈夫だ!」
ロードは一安心した。そして岩が落ちてきたと思われる崖上を見る。
「心配してくれてありがとな!」
「こっちのことはいいから、あんたらはゴールを目指してくれ!」
馬に乗っていたはずの男たちが応援してきた。
「ありがとう! 行こうスロプ」
ロードは車であるスロプに乗り込んだ。
そしてアクセルを踏み発進する。
「あの人たち、無事でよかったね」
「ああ(なんで岩なんか落ちてきたんだろう)」
多少の疑問は残しつつロードたちは一位を目指す。
現在のカーズアンドロードは順位は31位だった。
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