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第十五章 大規模レース大会、本気を出して1位を目指す

第727話 出場チームのライバルたち

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 デンジャラエンビーズ界・レース会場・スタート地点。

 いよいよレース開始の時が来た。

 レース会場のスタート地点の両脇に観客席がある。

 観客席がめいっぱいの人間や亜人や魔物たちで溢れかえっていた。

 観客席の中にはどちらの席にも巨大モニターがある。

 各コース上を走る選手たちを追いかけるためのものだ。

「さぁ! いよいよ今年もこの日がやって参りました! ルッキング・バーバス氏主催エンビーズ杯! まもなく開幕です! 司会はわたくしパエがお送りします」

 司会の声が響く。

「お前誰に賭けたんだよ」「もちろんトランスカー組さ」「オレは戦闘機だぜ! 音速で飛行するらしいからな」「それマジかよ」「けど大魔王も優勝候補だろ? 秘宝玉を持っているらしいし」

 裏ギャンブル。公式ではないが賭け事が行われていたらしい。

 この時一人の男が緊張していた。
(本当にスワン一着で賭けていいのか?)
 今にも貧乏ゆすりをしそうなハズレだった。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 ハズレは観客席に入るまでスワンに言われていた。

「いーい? ハズレは全財産を掛けて私のドルちゃんに全財産を賭けること! 必ず優勝するから」


 ◆ ◆ ◆ ◆


 ハズレは言う通り飲料店の全財産金貨2枚をスワンのチームに一点賭けしていた。

 この時、
(大当たりすれば5000枚金貨はくだらない)
(頼むから全財産を棒に振るようなレースは見せてくれるなよ)
(あと、オレも本当は出たかったんだが、皆健闘を祈る)
 ハズレがそう思っていた。

「さぁ続々とチームが入場して来ます!」

 司会者が観客達の目線を促す。

「おお! 来た来た!」「頼むオレの全財産を投資したんだ優勝してくれよ」「楽しみだな~~」

 皆それぞれのさじを選手たちに投げ飛ばす。紙吹雪であったり、紙テープを投げ放ってた。

「まず登場したのは優勝候補のトランスカー達だ! ディストピア界からわざわざこのレースの為にやってきた期待のロボットたちだ! まずはレッド。次にブルー。そしてグリーン。さらにはイエロー。最後にはピンクのロボット達が――――おっとここでトランスフォーム! 車型に姿を変えた!」

 観客席がロボット達の登場と変形に盛り上がりを見せた。

「そして次のこの選手! 遠い遥か彼方の異世界ドラゴン界から来たのはミレニアムドラゴンズだ!」

 悪魔のような翼に恐竜にも見えるガタイの竜と、それを乗りこなす一人の男が入場してきた。

「さらに今回のレース一番人気! 金にものを言わせた戦闘機を操縦するチーム、マネージェットだ!」

 戦闘機に乗り込み皆に手を振る選手がいた。

「そしてこちらも珍しい金は金でも秘宝玉使い! 爆走の秘宝玉の所有者チームファイトゴーだーー!」

 オープンカーに乗った青年が観客たちに手を振っていた。

「続いて今回は優勝目的ではなく完走目的の普通の人間名前をリーウス・アドベン!」

 走り込み、スタート地点の最前列に並んだリーウス。応援する観客たちに手を振っていた。

「そして最速の人間ならこの男も負けていない! ローラーシューズのチーム名目指せ最速だ!」

 こちらの人間も最前列のスタート地点に並ぶ。

「そしてそして今回も出場! 独走の秘宝玉の使い手! 自転車に乗るトップ・オブ・ワン!」

 自転車を回して最前列まで来たトップ・オブ・ワン。

「さらに秘宝玉使いの名が並ぶ! 加速の秘宝玉所有者! チーム名全力全力だ!」

 ただのごく普通の自動車に乗っていた選手がスタート地点に近づいて行く。

「さらに暗国出身なのかバイク型のシャドウマターに乗り込むチーム名隠れた実力者!」

 全身黒ずくめの男がスタート位置につく。

「さらに説明不要、今回も様々な改造車が出て来ました! チーム名アルティパーフェクト!」

 趣味の悪い柄の、本当にその部品がいるのか怪しい改造車が次々出て来た。

「どんどん行きます! 免許を取って早2年! ハイパーカーに乗るチーム名ミーズ!」

 そのハイパーカーにはドノミが運転役そして付き添いでミハニーツが乗り込んでいた。二人共レーシングスーツに着替えていた。

 この時、
(やっとオレたちのチームの紹介か)
 ハズレは緊張がほぐれた。

「そして珍しいことにアビリティーアイテム瞬足の靴の使用者! チーム名グラス!」

 レーシングスーツに身を包んだグラス。

 この時、
(名前のまんまじゃんグラスくん)
 ハズレは苦笑いをした。

「そして今回出場のダークホース! 謎の美女スワンの入場だ! 相棒の精霊ドルフィーナに乗り今、レースのスタート地点につく! チーム名ホワイトポッポ!」

 スワンはドルフィーナに乗っての出場だった。二人乗りできるので後ろにはブケンが乗っていた。二人もまたそれぞれの髪の色のカラーでレーシングスーツを着こなしている

「目指すは一位!」

 ブケンが優勝宣言をしていた。

 会場はその宣言にざわめきを隠せないでいた。

「そしてついに来た優勝候補! 大魔王シーアースカイの入場だ!」

 その姿はおそらく戦闘形態だったのだろう。まるで改造車のような姿、紫とピンク色の機体、前面に牙をむき出しにし、側面に2つづつの目を開き、ありとあらゆる場所に趣味の悪い刃が備わっていた。

「真の優勝者はあたいよ」

 大魔王シーアースカイがスタート位置につく。

 この時、
(出てきたな)
(さて、どんなレースになることやら)
 ハズレは内心不安だった。

 そして、司会者が次々とチーム名を読み上げていく。

 ロードとスロプはまだ入場してこない。
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