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第十五章 大規模レース大会、本気を出して1位を目指す

第717話 飲料水の注文殺到

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 とある異世界。

 金髪のロード、黒髪のハズレ、水色髪のスワン、緑髪のグラス、クリーム色髪のドノミ、茶髪のブケン、黒髪のミハニーツは、飲料店ホワイトポッポで働いていた。

 三つほどのテーブルに各々三席ほどの椅子を設備している。

「ナンバー22番オーダー入ったぞ! イチゴジュースとオレンジジュースだ!」

 接客をきりもみしていたのはハズレとミハニーツだった。

「ナンバー23番コーヒー二つ!」

 ミハニーツが大声で注文をはっきりと口にしていた。

 いつもは精霊ドルフィーナが引っ張る荷船も、今回は飲料店として店舗経営に様変わりしていた。

 荷船の上ではグラスが昼寝をしていた。

 サボっている訳ではない。彼らの作る飲み物にはそれぞれ担当があった。

 ロードがフルーツジュース全般、ドノミがコーヒーなど、ブケンはお茶、スワンは美味しい水、グラスは青汁だった。

 ミハニーツには担当の飲み物はないが、ハズレは夜限定でワインを提供している。

 ハズレが接客ということは、今は夜ではなく昼間だった。

「ふぁ~~~~だりぃ~~~~」

 あくびをしながら寝がえりを打つグラス。

「お茶の待っているお客さん! お持ち帰り用のカップが出来たぞ!」

 ブケンがお茶を提供する。

「いくら?」

 お茶を頼んだご老人が訊いてくる。

「えっと……三人分だから、一人銅貨50枚で……えっと」

「150銅貨!」

 ドノミが手助けした。

 ロードの方は前に購入したミキサーで果汁100パーセントのイチゴジュースを作り、その後、直ぐにミキサーを洗い流し、今度は皮の向かれたオレンジを詰め込んで、果汁100パーセントのオレンジジュースを作り始めた。

「ハズレ! 出来立てのイチゴジュースだ!」

 ロードがカップに注いだイチゴジュースを荷船のカウンターに置く。

 そして、ハズレがジュースを手に取り、お客様の元へ運び込む。

 ドノミはコーヒーメーカ―とにらめっこしていた。

「ドノミさん。コーヒーの出来上がりはオレが見ているから、レジ頼む!」

 ブケンがヘルプしていた。

「わかりました。出来上がったらすぐお客様に提供してください」

 ドノミが言う。

 ブケンは砕き終わったコーヒー豆から、成分をお湯で抽出するところを見守っていた。

 カップにコーヒーが注がれていく。

「美味しい水を貰おうかな」

 さわやかなスポーツマンが注文してきた。

「承りました」

 接客していたハズレが新たなお客さんの注文を取っていた。

「スワン! 美味しい水一つ!」

「はーい!」

 スワンは荷船の奥で密かに美味しい水を作っていた。

 甘くて冷たくて美味しい水。

 企業秘密らしくその作り方を知る者はスワン以外居ない。

「オレンジジュース出来上がったぞ!」

「私が持って行く」

 ミハニーツがオレンジジュースをお客様の元へ持って行く。

「頼む」

 ロードが言う。

「お待たせしました。オレンジジュースです。ごゆっくりおくつろぎください」

「来た来た」「ねぇウエイトレスさんタピオカはないの?」

「あいにくと当店ではまだ仕入れておりませんので……」

 真面目に対応するミハニーツ。

「まぁジュースも美味しいからいいけど」「スムージーはないの?」

「当店では…………」

 困り果てたミハニーツだった。

「出来たぞ! コーヒー二つ!」

 ブケンがドノミを呼ぶ。

「ハズレさんお願いします!」

 ドノミも呼ぶ。

「はーーい! 今行きますよっと!」

 ハズレがすぐさまコーヒーを持って行き、お客さんと話をする。

「コーヒーありがと」「ねぇ……連絡先とか教えてよ」

「からかいは困りますお客様」

 ハズレはコーヒーを運び終わると少しだけお客さんと会話した。

(平和だなぁ~~)
(ここには秘宝玉の使い方を調べに来たのに……)

 ロードは飲料店の繁盛ぶりを見て思った。

「平和だなぁ~~~~」

 仰向けのグラスが草を咥えて言う。

「美味しい水! できました!」

 スワンがスポーツマンに美味しい水の入ったカップごと手渡しした。

「おお、ありがとう!」

「お一つ銅貨50枚になります」

 ドノミがサラッと値段を言う。

 ゴクゴクゴクと喉を鳴らせて水を飲む青年。銅貨を払ってまた汗水たらしに走り込んだ。

「ホワイトポッポをご利用いただきありがとうございました!」

 過ぎ去った青年にスワンは聞こえる声で言った。

 青年は走りながら手を振っていた。

 こうしてスワンたちは飲料店ホワイトポッポで働いていた。
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