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第十四章 彼と彼女の両想いになるまでの一週間の逃避行

第677話 好きな食べ物はリンゴ

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 ロードとフローランはずっと朝から散歩をしていた。

 それなりに疲れた二人は座れそうな場所を探していた。

 花畑の道にベンチを見つけた。

「はぁ、はぁ、はぁ 流石に数時間も歩きっぱなしだと疲れますね」

 ベンチに身体を預けるフローラン。

「俺は疲れないぞ。これでも故郷ではずっと鍛えてたんだ」

 今度はロードが自慢する。

「なにそれ、私が貧弱者とおっしゃりたいの? おあいにく様こちらはか弱いレディ運動は専門外です」

「おや、乗馬するにはそれなりの体力と筋力が必要だが」

「馬鹿にしないでくださる……? こう見えても愛馬のカトレーナには乗りこなしています」

「愛馬か……俺だって故郷のストンヒュー王国では馬を乗りこなしていたさ」

「あら、でしたら今度乗馬のレースで勝負でもします?」

「いいぞ、負ける気がしない」

「私を子供だからって舐めていると痛い目見ますよ。これでもパパ上様には勝っているのですから」

「子供相手に手加減してくれただけじゃないか?」

「まぁ! なんて失礼な!」

 馬鹿にしながらもロードとフローランは楽しそうに会話していた。

「ところでお腹が空いて来たところ、何か食べものはありませんか?」

「携帯食でいいならあるけど……お嬢さん」

「もう! 少しは味気のある食べ物はありませんか!? これでは薄味すぎて味覚が満足しません」

 フローランがガミガミと言う。

「わかったって待ってろ。今から食料を探して来るから」

「言っておきますけどウサギさんや羊さんは食べませんからね!」

「わかったそれなりのものを見つけて来るよ!」

 ロードは走り去りながら言う。


 ▼ ▼ ▼


 フラワーラストの花園界。

 フローランは待っていた。

 ロードが食べ物を探しに戻っていくるのを、そしてうたた寝と戦っていた。

「待たせたな」

 ロードが食べ物探しから戻って来た。

「あら、ずいぶん遅かったですね? 捨てられたかと思いましたよ」

 フローランが眠い目擦りながら言う。

「その代わりいいものを仕入れて来た」

 ロードがどこで見つけて来たのかバスケットいっぱいのリンゴを見せて来た。

「リンゴ……」

 フローランが凝視する。

(あれ、期待してた反応と違うな)

 ロードが内心ガックシするが、

「リンゴは……リンゴは」

(嫌いな食べ物だったかな)

「私の大好物の食べ物です!」

 強引にロードからバスケットを奪い取るフローラン、そして輝かしいリンゴを見つめていた。

「皮を剥こう。返してくれ」

 ロードが懐からナイフを取り出して、フローランが夢中のリンゴを一つ受け取る。

 シュルシュルシュルとリンゴの皮を剥いていくロード。ここで使用人時代に培った一皮剥きをしていく。

「お上手ですね」

 フローランが感心する。

「昔、仕えてた宮殿で嗜んだのさ」

 ロードは球状にリンゴの皮を正確に剥いていく。

「どんな異世界でしたか?」

「動物と人が共存するいい国だった。オレが魔王を倒しに行く旅に出たときは国中の皆が祝福し見送ってくれた」

「きっといい国なのでしょうね」

「キミはお姫様なんだろ? どういう国に住んでるんだ?」

「どういう国ですか……秘密です」

「ズルいぞ、オレだけ喋らせておいて……」

「乙女のひ・み・つです」

 フローランがウィンクしてきた。

 これにやられない男女はいないだろう。

「そ、そうか……」

 現に恋愛に無頓着なロードでさえやられそうになる。

 そしてリンゴの皮を剥き終わると、今度は実を食べやすいようにカットしていく。

「出来たぞ」

 ロードがどこから持ち込んだのか皿の上にリンゴのカットを置いて行く。

「ではまずは一つ目、あ~~~~ん」

 フローランはリンゴのカットを一つまみにシャクシャクと食べていく。

「ごっくん、まぁ甘いなんて熟したリンゴでしょう」

 リンゴ評論家の口に合ったらしい。

「ここのリンゴはどれも上質的だった」

「そうですか」

 シャクシャクとリンゴを次々と食べていく。

「リンゴと言えば以前、ゴールデンアップルを食べたぞ」

「――――――!!!?」

 フローランがリンゴをのどに詰まらせる。

「そ、それは本当ですか!? ゲホッカホッ」

 フローランが落ち着こうとする。

「ああ、アレは美味しかった」

「それはそうでしょう……ゴールデンアップルはリンゴの至高、人生で一度でも食べられればラッキーです」

 得意げに語るフローラン。

「そうか、それなら冒険に出て良かった」

 二人はリンゴを食べていく。

「そいえばウサギさんや羊さんは食べられないといっていたけど……アレはどういう意味だったんだ? ウサギや羊が食料になるのか?」

「知らないのですか? 俗世ではああいう肉を食べるのが当たり前みたいですよ」

「まぁ苦手なんだな、それならそれでいい。オレも最初食べたときは吐いた」

「偶然ですね。失礼ながら私も嘔吐した覚えがあります」

 そして二人の会話は続いていく。
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