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第十四章 彼と彼女の両想いになるまでの一週間の逃避行
第674話 少女の名はフローラン
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とある異世界の花畑。
ロードの首に下がっている裏切りの瞳が輝きだす。
(魔物か――)
「お願いします! 助けてください! 魔物に追われているんです!」
フードを被った少女が言う、それにしてもきれいな声だった。
「数は?」
「数十体です! その腰に提げた剣、冒険者か魔物狩りとお見受けします」
「どれも違う。オレは勇者だ」
ロードが腰の剣を引き抜いた。戦闘態勢に入ったのだ。そしてフローランはロードの背後に隠れる。
自分の背丈ほどある花を前にどこから攻めて来るか分からないでいた。
「この香り、見つけましたぞフローラン姫!」
魚顔の魔物が草の根わけて探し出した。
「きゃああああああああ」
フローランが悲鳴を上げたが、
「ミチルを使うまでもないな」
ロードが縦一閃に魔物を斬って霧散化させた。
しかし魔物は一体ではない、いつの間にかロードは魔物たちに取り囲まれていた数にして25体。
「もうここまでしょうね」
「最後まであきらめるな。オレが全員倒せばいい」
ロードがフローランの諦めに対し言葉を送る。
「ブハハハハハ、俺達は確かに最下級の魔物」
豚の姿をした武器持ちの魔物が言う。
「けれど今まで倒されていない。それはなぜか?」
牛の姿をした武器持ちの魔物が言う。
「数の暴力、消される前に一斉に飛び掛かるのだ」
鳥の姿をした武器持ちの魔物が言う。
「「「おおおおおおおおおおおおお!!」」」
「背中に捕まれ」
ロードがフローランに促した。そして青い剣ミチルで宙へ飛ぶ。
「なにこれぇーーーー!」
始めて空を飛んだフローランはその見渡す限りの花畑を見る。
「「キレイな景色」」
そして二人して言う。しかしロードは直ぐに眼下の魔物たちに目をやる。
「草花さんたち申し訳ないが魔物を倒すためだ許してくれ」
ロードは赤い剣を魔物たちに向ける。
「降りてこい!」「卑怯者ーー!」「空から見下ろして気取ってんなよ」
魔物たちは言いたい放題だった。
「アカ頼む」
「心得た」
「何今の声!?」
フローランが声の主がどこに居るか探す。
「豪華の炎!」
「「「――――ぎゃあああああああああああああ!!」」」
魔物たちが花畑ごと消し炭にされた。そして魔物たちは全滅した。
「す、凄い」
フローランが呟く。
そして、フローランを乗せたロードがゆっくり降りてくる。
地に足をつける二人。
「大丈夫か?」
何気なくロードが訊く。
「ええ、この度は私を助けてくださりありがとうございました」
ドレス姿の女性はスカートを両手で摘まみ、片足を下げてお辞儀した。
「こちらこそ綺麗な声を失わずに良かった」
模範的なお辞儀で返すロード。
「アハハハ、キレイな声ですか……もう何万回と言われた言葉ですね」
「済まない、気に障ったのなら謝るよ。ごめん」
「とんでもないです。むしろ魔物たちから身を守ってくださりありがとうございました。けれどさっき空を飛んでましたよね。それから剣が話をして……」
「ああ、この二本の剣はオレの愛剣、精霊の剣と竜封じの剣だ」
「精霊に竜? そんなのおとぎ話の中だけではないですか……冗談が上手い人」
「ミチル、アカ、出てこい」
その言葉と共に剣から飛び出す青き鳥と剣が刺さったままの赤い竜が現れた。
フローランは何度も目を擦り現実かどうか確かめていた。
「これで信じて貰えたかな」
「し、失礼しました。勇者様! このようなおとぎ話のような展開は初めてでつい疑ってしまいました」
「ハハハ、まるで昔のオレみたいだ」
「えっ?」
「キミ何才だい?」
「えっと16才です」
「それならお互い様だ。オレもキミくらいの年の頃には精霊も竜もおとぎ話の中だけの存在だと思っていた」
「そうですか……あっ、自己紹介がまだでしたね。私はフローランと申します」
「オレはロードだ。ちなみに年齢は19才だ。ミチル、アカ戻っていいぞ」
ミチルが青い剣に再び宿る。そしてアカの方は再び竜封じの剣に戻っていく。
この時ロードは落ち着いていた。何せ事件は解決し魔物から少女を助け出したからだ。
「「アハハハハハ」」
二人して笑いあった。
「ところでロード」
16才の少女の態度が一変した。
「私の異世界の庭の花畑を、よくもまぁ消し炭にしてくれましたね。私あなたのことが嫌いです」
「庭?」
「ええ、この異世界こそ私の敷地内その物、奇跡の花園フラワーラスト界」
フローランは急に語り出した。
「ここがキミの庭?」
「わかったら謝罪の言葉の一つや二つあるでしょうに……」
「済まない、てっきりただの花畑かと思った、庭だとは思ってもみなかった許して欲しい」
ロードが16才の少女に頭を下げる。
「まぁ魔物から助けてもらったし、これくらいのことは見逃しましょう」
フローランが機嫌を取り戻す。が、
「ロード! あなた私の従者になりなさい!」
物事をはっきり言う積極的な女の子だとロードは思った。
その時、朝日がその世界を照らし出し、花畑を一層輝かせていた。
ロードの首に下がっている裏切りの瞳が輝きだす。
(魔物か――)
「お願いします! 助けてください! 魔物に追われているんです!」
フードを被った少女が言う、それにしてもきれいな声だった。
「数は?」
「数十体です! その腰に提げた剣、冒険者か魔物狩りとお見受けします」
「どれも違う。オレは勇者だ」
ロードが腰の剣を引き抜いた。戦闘態勢に入ったのだ。そしてフローランはロードの背後に隠れる。
自分の背丈ほどある花を前にどこから攻めて来るか分からないでいた。
「この香り、見つけましたぞフローラン姫!」
魚顔の魔物が草の根わけて探し出した。
「きゃああああああああ」
フローランが悲鳴を上げたが、
「ミチルを使うまでもないな」
ロードが縦一閃に魔物を斬って霧散化させた。
しかし魔物は一体ではない、いつの間にかロードは魔物たちに取り囲まれていた数にして25体。
「もうここまでしょうね」
「最後まであきらめるな。オレが全員倒せばいい」
ロードがフローランの諦めに対し言葉を送る。
「ブハハハハハ、俺達は確かに最下級の魔物」
豚の姿をした武器持ちの魔物が言う。
「けれど今まで倒されていない。それはなぜか?」
牛の姿をした武器持ちの魔物が言う。
「数の暴力、消される前に一斉に飛び掛かるのだ」
鳥の姿をした武器持ちの魔物が言う。
「「「おおおおおおおおおおおおお!!」」」
「背中に捕まれ」
ロードがフローランに促した。そして青い剣ミチルで宙へ飛ぶ。
「なにこれぇーーーー!」
始めて空を飛んだフローランはその見渡す限りの花畑を見る。
「「キレイな景色」」
そして二人して言う。しかしロードは直ぐに眼下の魔物たちに目をやる。
「草花さんたち申し訳ないが魔物を倒すためだ許してくれ」
ロードは赤い剣を魔物たちに向ける。
「降りてこい!」「卑怯者ーー!」「空から見下ろして気取ってんなよ」
魔物たちは言いたい放題だった。
「アカ頼む」
「心得た」
「何今の声!?」
フローランが声の主がどこに居るか探す。
「豪華の炎!」
「「「――――ぎゃあああああああああああああ!!」」」
魔物たちが花畑ごと消し炭にされた。そして魔物たちは全滅した。
「す、凄い」
フローランが呟く。
そして、フローランを乗せたロードがゆっくり降りてくる。
地に足をつける二人。
「大丈夫か?」
何気なくロードが訊く。
「ええ、この度は私を助けてくださりありがとうございました」
ドレス姿の女性はスカートを両手で摘まみ、片足を下げてお辞儀した。
「こちらこそ綺麗な声を失わずに良かった」
模範的なお辞儀で返すロード。
「アハハハ、キレイな声ですか……もう何万回と言われた言葉ですね」
「済まない、気に障ったのなら謝るよ。ごめん」
「とんでもないです。むしろ魔物たちから身を守ってくださりありがとうございました。けれどさっき空を飛んでましたよね。それから剣が話をして……」
「ああ、この二本の剣はオレの愛剣、精霊の剣と竜封じの剣だ」
「精霊に竜? そんなのおとぎ話の中だけではないですか……冗談が上手い人」
「ミチル、アカ、出てこい」
その言葉と共に剣から飛び出す青き鳥と剣が刺さったままの赤い竜が現れた。
フローランは何度も目を擦り現実かどうか確かめていた。
「これで信じて貰えたかな」
「し、失礼しました。勇者様! このようなおとぎ話のような展開は初めてでつい疑ってしまいました」
「ハハハ、まるで昔のオレみたいだ」
「えっ?」
「キミ何才だい?」
「えっと16才です」
「それならお互い様だ。オレもキミくらいの年の頃には精霊も竜もおとぎ話の中だけの存在だと思っていた」
「そうですか……あっ、自己紹介がまだでしたね。私はフローランと申します」
「オレはロードだ。ちなみに年齢は19才だ。ミチル、アカ戻っていいぞ」
ミチルが青い剣に再び宿る。そしてアカの方は再び竜封じの剣に戻っていく。
この時ロードは落ち着いていた。何せ事件は解決し魔物から少女を助け出したからだ。
「「アハハハハハ」」
二人して笑いあった。
「ところでロード」
16才の少女の態度が一変した。
「私の異世界の庭の花畑を、よくもまぁ消し炭にしてくれましたね。私あなたのことが嫌いです」
「庭?」
「ええ、この異世界こそ私の敷地内その物、奇跡の花園フラワーラスト界」
フローランは急に語り出した。
「ここがキミの庭?」
「わかったら謝罪の言葉の一つや二つあるでしょうに……」
「済まない、てっきりただの花畑かと思った、庭だとは思ってもみなかった許して欲しい」
ロードが16才の少女に頭を下げる。
「まぁ魔物から助けてもらったし、これくらいのことは見逃しましょう」
フローランが機嫌を取り戻す。が、
「ロード! あなた私の従者になりなさい!」
物事をはっきり言う積極的な女の子だとロードは思った。
その時、朝日がその世界を照らし出し、花畑を一層輝かせていた。
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