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第十四章 彼と彼女の両想いになるまでの一週間の逃避行
第672話 おかしな絵本
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とある異世界の広場。
飲料店も店仕舞いして、一行は夕食を取っていた。
「うぅ~~~~、売り上げが食費で消えていく~~」
スワンが普通の肉料理で嘆いていた。
「仕方ないだろ……食べなきゃ明日の仕事に差し支えるんだから……」
ハズレがワインを片手に肉料理を食べる。
「貴重なぶどうでワインを作る男がよく言う」
ブケンがツッコむ。
「これがオレの闇夜の過ごし方さ」
「どうでもいいけどよ~~うまいなこの肉、メルヘン女にしては、いいもん食わせてくれて嬉しいぜ」
グラスが感服し、珍しいお礼を言う。
「本当は魚料理が食べたかったけど……この辺りに魚が出回ってなかったんだよ~~」
スワンが魚料理の味を求めながら言う。
「ええ、近場に海や川が無いのでしょう。魚の類は見かけませんでした」
買い出しに付き合ったドノミが言う。
「はぁ~~次は海と川の近い場所の異世界に行きましょう」
スワンが不服ながら肉料理を食べる。
「まぁ、魚は食べると頭がよくなるといいますし、そういう場所へ行き、日々の戦い方をイメージトレーニングするのもいいかもしれませんね」
「と言うか、従業員全員に衣・食・住を与えてる私の飲料店って超ホワイト企業じゃない?」
スワンが肉を上品に食べ終えて言う。
「ありがとうスワン」
ロードが感謝した。
「ううぅ~~~~~、そう素直に感謝されると気分いい」
スワンがたじろぐ。
「最高の社長だな」
ハズレが言う。
「メルヘン女! 明日もうまい飯頼むぞ!」
グラスが食い散らかしながら言う。
「メルヘン女やめろ……」
ドスの効いた声を上げるスワン。
「いつもいつも、食事を提供してくれて感謝感謝だな」
「そう、感謝されても私の金貨の借金の前では嬉しくないんだけど」
「あ、あの~~私の食費だけでも自分で出しましょうか?」
「ああ! ドノミさん、そういう意味で言ったわけじゃないの……」
スワンとドノミが会話していた。
「なぁ、皆何か忘れてないか?」
ロードが唐突に話題を変えた。
「何かって?」
スワンが訊く。
「ああ、魔王パスラパサイダか」
ハズレが答える。
「探すつもりか? あの異世界の狭間って所でも探し出せなかったのにか?」
グラスが言う。
「ここ一週間、噂や手掛かりが一切ないですからね~~正直言って手づまりです」
ドノミが言う。
「まぁ、最近戦闘不足で身体がなまって来たようだし魔王を探して吐かせた方がいいのではないか?」
ブケンが言う。
「そうだなぁ~~ハズレたちの秘宝玉も使えるようにしたいし、魔王達の動向も気になる。どっちを優先すべきか」
ロードが旅の方針を決める。
「いや、私の借金返そうよ」
スワンが呟く。
「ちょっといい?」
今まで黙っていたミハニーツが食事を終えて手を上げる。
「どうしたミハニーツ? 何か案でも?」
ロードが訊いてみる。
「違う。ロードの持っていた絵本の話」
「ま~~たメルヘン女が増えやがった」
グラスの一言にギロリと睨むスワンとミハニーツ。
グラスは委縮した。
「絵本の感想か? どうだった! 面白かったか!? 全部読んだ感想は!?」
ロードが食い付いた。
「そうなると長いぞ、ミハニーツさん」
ハズレがワインを口にする。
「違うの……感想の話じゃない。この絵本の主人公の話」
「どういうことだ?」
「忘れたのロード、ヴィンセント先生の言葉を勇者はまだあらゆる異世界で定着していないって……」
「――――!!!? そうだった」
「どういうこと?」
スワンが訊くがミハニーツは無視する。
「この絵本には作者の名前が無い。なおかつ勇者の存在を知っているロード、この本いつ手に入れたの?」
「オレがストンヒュー王国に居て12才の頃だ」
「だったらおかしい。私が勇者を広めた第一人者だとしたら16才の頃、絵本の作者は勇者を知らないはず」
「たまたま、かぶってしまっただけじゃないか? 勇ましい者を略して勇者にしたんじゃないか?」
「本気でそう思う?」
ミハニーツがじっと見る。
「………………いや、おかしいな」
ロードが考えてから言う。
「ヴィンセント先生に会いに行こう。何か知ってるかも……」
「それは無理、私家出中だもん」
ミハニーツは帰りたくないようだった。
「わかった、取りあえず勇者の話は後回しだな」
「うん」
ミハニーツの訊きたいことは終わった。
そして皆で談話して食事を楽しんだ。
▼ ▼ ▼
それから数時間後。
皆、ハンモックで就寝した。
▼ ▼ ▼
ロードは朝早く誰よりも目が覚めた。
朝日が昇るのもまだ先だった。
「ふぅ~~(まだ皆寝ているな。散歩でもしてくるか)」
ロードはそう考えた。
そして散歩の一歩目。
▼ ▼ ▼
どこでもない暗闇の花畑。
「――――!!!?」
ロードの身体が硬直した。指先一本動かせない。瞬きすらできない。
その時、
「またお会いしましたね」
ロードが忘れていたはずのコロアイという女性と再会した。
飲料店も店仕舞いして、一行は夕食を取っていた。
「うぅ~~~~、売り上げが食費で消えていく~~」
スワンが普通の肉料理で嘆いていた。
「仕方ないだろ……食べなきゃ明日の仕事に差し支えるんだから……」
ハズレがワインを片手に肉料理を食べる。
「貴重なぶどうでワインを作る男がよく言う」
ブケンがツッコむ。
「これがオレの闇夜の過ごし方さ」
「どうでもいいけどよ~~うまいなこの肉、メルヘン女にしては、いいもん食わせてくれて嬉しいぜ」
グラスが感服し、珍しいお礼を言う。
「本当は魚料理が食べたかったけど……この辺りに魚が出回ってなかったんだよ~~」
スワンが魚料理の味を求めながら言う。
「ええ、近場に海や川が無いのでしょう。魚の類は見かけませんでした」
買い出しに付き合ったドノミが言う。
「はぁ~~次は海と川の近い場所の異世界に行きましょう」
スワンが不服ながら肉料理を食べる。
「まぁ、魚は食べると頭がよくなるといいますし、そういう場所へ行き、日々の戦い方をイメージトレーニングするのもいいかもしれませんね」
「と言うか、従業員全員に衣・食・住を与えてる私の飲料店って超ホワイト企業じゃない?」
スワンが肉を上品に食べ終えて言う。
「ありがとうスワン」
ロードが感謝した。
「ううぅ~~~~~、そう素直に感謝されると気分いい」
スワンがたじろぐ。
「最高の社長だな」
ハズレが言う。
「メルヘン女! 明日もうまい飯頼むぞ!」
グラスが食い散らかしながら言う。
「メルヘン女やめろ……」
ドスの効いた声を上げるスワン。
「いつもいつも、食事を提供してくれて感謝感謝だな」
「そう、感謝されても私の金貨の借金の前では嬉しくないんだけど」
「あ、あの~~私の食費だけでも自分で出しましょうか?」
「ああ! ドノミさん、そういう意味で言ったわけじゃないの……」
スワンとドノミが会話していた。
「なぁ、皆何か忘れてないか?」
ロードが唐突に話題を変えた。
「何かって?」
スワンが訊く。
「ああ、魔王パスラパサイダか」
ハズレが答える。
「探すつもりか? あの異世界の狭間って所でも探し出せなかったのにか?」
グラスが言う。
「ここ一週間、噂や手掛かりが一切ないですからね~~正直言って手づまりです」
ドノミが言う。
「まぁ、最近戦闘不足で身体がなまって来たようだし魔王を探して吐かせた方がいいのではないか?」
ブケンが言う。
「そうだなぁ~~ハズレたちの秘宝玉も使えるようにしたいし、魔王達の動向も気になる。どっちを優先すべきか」
ロードが旅の方針を決める。
「いや、私の借金返そうよ」
スワンが呟く。
「ちょっといい?」
今まで黙っていたミハニーツが食事を終えて手を上げる。
「どうしたミハニーツ? 何か案でも?」
ロードが訊いてみる。
「違う。ロードの持っていた絵本の話」
「ま~~たメルヘン女が増えやがった」
グラスの一言にギロリと睨むスワンとミハニーツ。
グラスは委縮した。
「絵本の感想か? どうだった! 面白かったか!? 全部読んだ感想は!?」
ロードが食い付いた。
「そうなると長いぞ、ミハニーツさん」
ハズレがワインを口にする。
「違うの……感想の話じゃない。この絵本の主人公の話」
「どういうことだ?」
「忘れたのロード、ヴィンセント先生の言葉を勇者はまだあらゆる異世界で定着していないって……」
「――――!!!? そうだった」
「どういうこと?」
スワンが訊くがミハニーツは無視する。
「この絵本には作者の名前が無い。なおかつ勇者の存在を知っているロード、この本いつ手に入れたの?」
「オレがストンヒュー王国に居て12才の頃だ」
「だったらおかしい。私が勇者を広めた第一人者だとしたら16才の頃、絵本の作者は勇者を知らないはず」
「たまたま、かぶってしまっただけじゃないか? 勇ましい者を略して勇者にしたんじゃないか?」
「本気でそう思う?」
ミハニーツがじっと見る。
「………………いや、おかしいな」
ロードが考えてから言う。
「ヴィンセント先生に会いに行こう。何か知ってるかも……」
「それは無理、私家出中だもん」
ミハニーツは帰りたくないようだった。
「わかった、取りあえず勇者の話は後回しだな」
「うん」
ミハニーツの訊きたいことは終わった。
そして皆で談話して食事を楽しんだ。
▼ ▼ ▼
それから数時間後。
皆、ハンモックで就寝した。
▼ ▼ ▼
ロードは朝早く誰よりも目が覚めた。
朝日が昇るのもまだ先だった。
「ふぅ~~(まだ皆寝ているな。散歩でもしてくるか)」
ロードはそう考えた。
そして散歩の一歩目。
▼ ▼ ▼
どこでもない暗闇の花畑。
「――――!!!?」
ロードの身体が硬直した。指先一本動かせない。瞬きすらできない。
その時、
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