649 / 743
第十三章 悪夢と絶望を夢と希望で乗り越える
第649話 グラスも木の葉の助もびっくりな能力
しおりを挟む
ネガティブランド・ジェットコースター前。
階段では相変わらずマスコット族たちが休んでいた。
そしてその倒れている中の一体に、木の葉の助が持つダウジングが反応していた。
「間違いない……こやつでござる。こやつが魔王でござる」
フルフル震える木の葉の助の腕、そして広がって探知するダウジング。
その魔物は眠っていた。大きな胴体に大きな単眼とまつ毛があり、平たい腕と平たい尻尾があった。
「なんだ? こいつが魔王なのか……他のマスコットと代わり映えしないような姿じゃねーか」
グラスが寝ている魔物を覗き込む。
「油断は禁物でござるよ。グラス殿、いかような攻撃をしてくるか分からぬでござる」
「寝てんだろ……その隙に十六夜で突けばいいだけじゃねーか」
グラスが手刀を構えて、魔物に近づく。そして必殺の手刀で魔物を貫こうとした時、
その時だった――――魔物の目が見開いた。
魔物はすぐさま尻尾を階段に打ち付けて上段へ上がる。
グラスの手刀は空気を斬った。
「チッ、起きやがったか、めんどくせー」
この時、
(突然目を覚ましたでござる。グラス殿の殺気を感じたのでござろうか)
木の葉の助は思っていた。
「何者だ……せっかく目を休めていたのに見開いては空気に擦れて傷が付こう」
魔物が口もなく話しかけてくる。
「お前は魔王か?」
「魔王ではない我が名はゴゴロメ、魔王様の眷属使魔だ」
「はっ、眷属使魔、雑魚に用はねーさっさと消えてもらうぜ!」
グラスが糸付きの短剣を投げた。するとゴゴロメはそれを避けた。
しかしジェットコースター内の器具に巻き付かれた短剣を利用し、グラスが猛スピードで移動した。
まるでジャングルのツタでターザンするかのように、蹴りをお見舞いしようとする。
だがゴゴロメはまたも尻尾を階段に打ち付け上段に上がる。
これでグラスとゴゴロメは同じジェットコースター乗り場へと到達した。
その時、グラスは下の階を見た。木の葉の助が何をしているか見たかったのだ。
当然、彼の姿はない。透明の秘宝玉で身体を透明にして見えないようにしているのだ。
この時、
(秘宝玉ってのはやっぱり便利だ。この野郎も俺みたいにやられる)
グラスは囮としてゴゴロメを引き付けた。
一方木の葉の助は、
(手裏剣ではダメでござる)
(せっかくグラス殿が囮として引き付けているのだから)
(一撃の元に倒さなくては――)
(息を殺し、足音を殺し、心臓の音を殺し、近づいて行く)
(そしてアビリティ―アクセサリー発動!)
この思いと同時に木の葉の助の手に大型の手裏剣が姿を現す。とても重そうで木の葉の助の胴体を隠すほどに大きかった。
(手に触れたものは透明に)
(慎重に近づいてこいつで刺し倒す)
これが木の葉の助の戦い方だった。
相手に気づかれず、ゆっくり移動し的確に魔物を倒す。
すなわち急所を狙うのだ。
木の葉の助がゆっくり近づく中、グラスとゴゴロメは、短剣と爪のぶつかり合う甲高い音を放っていた。
「何だ? それだけしかできないのか? こっちは両手に短剣2本だぜ、本気を出すまでもねーな」
グラスなりの陽動作戦だった。木の葉の助の殺気を自分の殺気で上書きし、相手の意識を集中させる。
「そう急かすでない。寝起きの準備運動だ。本番はここからだ」
そう言うとゴゴロメは目を閉じた。そして開く。
「――――!?」
目から閃光とも思わしきビームが放たれた。
すかさず、木の葉の助がいる階段とは別のジェットコースターに身を乗り出した。
この時、
(瞬足靴を履いていたから逃げ切れたか)
(あの目、閉じて開くとかかしヤローの妹と同じパターンの攻撃が出来るようだな)
(けれど威力は歴然とした差がある)
グラスは鉄の焼け焦げた場所を見てそう思った。
そしてゴゴロメは再び目を閉じていた。
この時、
(また来るか――)
グラスは座席に隠れてビームをやり過ごそうとしていた。
しかし、実際はそうではなかった。
「――がはっ!」
木の葉の助が階段から転げ落ちていくのだった。
ゴゴロメの攻撃は極めて単純だった。尻尾を振って相手に打撃を与える。ただそれだけだった。そして足を滑らした木の葉の助が落ちて行っただけだった。
この時、
(見えねーはずだ。音も聞こえなかった)
(なのにスケの助はやられた)
グラスは一つの回答に辿り着いた。
「テメー、見えてやがるのか……」
「心眼の秘宝玉、いかなる見えない攻撃や姿でも心の目がそれを捉える。恐らく透明か何かの秘宝玉だろう相性が悪い。このゴゴロメ一度起きれば寝つきは悪いからな。覚悟せよ人間共」
ゴゴロメはグラスと透明から解かれた木の葉の助を見て言う。
この時、
(心眼の秘宝玉か……)
グラスは敵への警戒を上げた。
「上等じゃねーの。憂さ晴らしには丁度いいぜ」
グラスは口角を吊り上げた。
階段では相変わらずマスコット族たちが休んでいた。
そしてその倒れている中の一体に、木の葉の助が持つダウジングが反応していた。
「間違いない……こやつでござる。こやつが魔王でござる」
フルフル震える木の葉の助の腕、そして広がって探知するダウジング。
その魔物は眠っていた。大きな胴体に大きな単眼とまつ毛があり、平たい腕と平たい尻尾があった。
「なんだ? こいつが魔王なのか……他のマスコットと代わり映えしないような姿じゃねーか」
グラスが寝ている魔物を覗き込む。
「油断は禁物でござるよ。グラス殿、いかような攻撃をしてくるか分からぬでござる」
「寝てんだろ……その隙に十六夜で突けばいいだけじゃねーか」
グラスが手刀を構えて、魔物に近づく。そして必殺の手刀で魔物を貫こうとした時、
その時だった――――魔物の目が見開いた。
魔物はすぐさま尻尾を階段に打ち付けて上段へ上がる。
グラスの手刀は空気を斬った。
「チッ、起きやがったか、めんどくせー」
この時、
(突然目を覚ましたでござる。グラス殿の殺気を感じたのでござろうか)
木の葉の助は思っていた。
「何者だ……せっかく目を休めていたのに見開いては空気に擦れて傷が付こう」
魔物が口もなく話しかけてくる。
「お前は魔王か?」
「魔王ではない我が名はゴゴロメ、魔王様の眷属使魔だ」
「はっ、眷属使魔、雑魚に用はねーさっさと消えてもらうぜ!」
グラスが糸付きの短剣を投げた。するとゴゴロメはそれを避けた。
しかしジェットコースター内の器具に巻き付かれた短剣を利用し、グラスが猛スピードで移動した。
まるでジャングルのツタでターザンするかのように、蹴りをお見舞いしようとする。
だがゴゴロメはまたも尻尾を階段に打ち付け上段に上がる。
これでグラスとゴゴロメは同じジェットコースター乗り場へと到達した。
その時、グラスは下の階を見た。木の葉の助が何をしているか見たかったのだ。
当然、彼の姿はない。透明の秘宝玉で身体を透明にして見えないようにしているのだ。
この時、
(秘宝玉ってのはやっぱり便利だ。この野郎も俺みたいにやられる)
グラスは囮としてゴゴロメを引き付けた。
一方木の葉の助は、
(手裏剣ではダメでござる)
(せっかくグラス殿が囮として引き付けているのだから)
(一撃の元に倒さなくては――)
(息を殺し、足音を殺し、心臓の音を殺し、近づいて行く)
(そしてアビリティ―アクセサリー発動!)
この思いと同時に木の葉の助の手に大型の手裏剣が姿を現す。とても重そうで木の葉の助の胴体を隠すほどに大きかった。
(手に触れたものは透明に)
(慎重に近づいてこいつで刺し倒す)
これが木の葉の助の戦い方だった。
相手に気づかれず、ゆっくり移動し的確に魔物を倒す。
すなわち急所を狙うのだ。
木の葉の助がゆっくり近づく中、グラスとゴゴロメは、短剣と爪のぶつかり合う甲高い音を放っていた。
「何だ? それだけしかできないのか? こっちは両手に短剣2本だぜ、本気を出すまでもねーな」
グラスなりの陽動作戦だった。木の葉の助の殺気を自分の殺気で上書きし、相手の意識を集中させる。
「そう急かすでない。寝起きの準備運動だ。本番はここからだ」
そう言うとゴゴロメは目を閉じた。そして開く。
「――――!?」
目から閃光とも思わしきビームが放たれた。
すかさず、木の葉の助がいる階段とは別のジェットコースターに身を乗り出した。
この時、
(瞬足靴を履いていたから逃げ切れたか)
(あの目、閉じて開くとかかしヤローの妹と同じパターンの攻撃が出来るようだな)
(けれど威力は歴然とした差がある)
グラスは鉄の焼け焦げた場所を見てそう思った。
そしてゴゴロメは再び目を閉じていた。
この時、
(また来るか――)
グラスは座席に隠れてビームをやり過ごそうとしていた。
しかし、実際はそうではなかった。
「――がはっ!」
木の葉の助が階段から転げ落ちていくのだった。
ゴゴロメの攻撃は極めて単純だった。尻尾を振って相手に打撃を与える。ただそれだけだった。そして足を滑らした木の葉の助が落ちて行っただけだった。
この時、
(見えねーはずだ。音も聞こえなかった)
(なのにスケの助はやられた)
グラスは一つの回答に辿り着いた。
「テメー、見えてやがるのか……」
「心眼の秘宝玉、いかなる見えない攻撃や姿でも心の目がそれを捉える。恐らく透明か何かの秘宝玉だろう相性が悪い。このゴゴロメ一度起きれば寝つきは悪いからな。覚悟せよ人間共」
ゴゴロメはグラスと透明から解かれた木の葉の助を見て言う。
この時、
(心眼の秘宝玉か……)
グラスは敵への警戒を上げた。
「上等じゃねーの。憂さ晴らしには丁度いいぜ」
グラスは口角を吊り上げた。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜
mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!?
※スカトロ表現多数あり
※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる