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第十三章 悪夢と絶望を夢と希望で乗り越える

第646話 湖のほとりでの休憩

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 ロードたちは各ペアに分かれて魔王を探すことにした。

 ドノミとミハニーツのペア、ブケンとティベンスのペア、グラスと木の葉の助のペア、スワンとフリムのペア、ハズレとバザーデのペア、そしてロードとファンタのペア。

 どのペアも魔気ダウジングマシンを手に持ち魔王を探す。


 ◆ ◆ ◆ ◆


 ネガティブランド内。

「その裏切りの瞳はどれくらいの距離で反応するんだ?」

 ファンタが何気なくロードに訊く。

「前に1キロくらいの広範囲で探知できた」

「すげーな、この魔気ダウジングなんて数10メートルまで近くに居ないと反応しないんだぞ」

「とはいえ、この宝石も範囲が広すぎて、どこに何体の魔物が居るかは分からないけどな」

 ファンタの肩にはミラクルさんが居た。

「ミラクルさん、元々はポジティブランドって聞いたけどどんなテーマパークだったんだ?」

「それはもうお客さんがひっきりなしに出入りする、夢と希望のテーマパークだったよ。青空の下では記念撮影や、夜空の下ではパレードが行われていた」

「記念撮影にパレードか……」

 ロードは妹との思い出に耽る。

「記念すべき一兆目の団体客にこのような魔物退治を手伝わせて忍びないのですが、なにとぞよろしくお願いします」

 ミラクルさんがぺこりとお辞儀する。

「ここのマスコット族とかいうのは着ぐるみじゃないんですよね?」

「そうです。れっきとした生き物です。テーマパークが暗くなる前までは皆、お客様に夢と希望を与えようと仕事してましたが、今となっては怠け者のようにその辺りに倒れていて……」

「魔王の仕業か……ミラクルさんは大丈夫みたいだが?」

「私はずっと異世界大冒険者ギルドで依頼を受けてくれる人を待っていたので、ポジティブランドをしばらく離れていました。その間にテーマパークは悪夢と絶望がモチーフになって、悲しいです」

「大丈夫です。必ず元に戻して見せますから……」

「おお、有り難い」

 
 ▼ ▼ ▼


 ネガティブランド・湖のほとり。

 数時間が経過した。

「一度休もうか……」

 ファンタが提案してきた。

「それでは私は用を足しに行ってきます」

 ミラクルさんが言う。

「行ってらっしゃい」

 ロードはファンタの隣に座り込む。正面には湖が広がっていた。向こう側には絶叫アトラクションが暗がりの中光っていた。

「良かったよ……」

 ファンタが言う。

「何が……」

 ロードが訊く。

「お前が生きててくれて、こうやって大昔の負け続けた勝負のリベンジが出来る」

「オレはそんなに強かったか?」

「強かったって……はぁ~~~~でも、ロードは自力でそこまで来たんだよなぁ……オレなんか先生たちの教えが無かったらと思うと、、、そうだ。ここがオレの故郷だってことは話したか?」

「どうだったかな……よく覚えてない」

「そうか、なら改めて言わせてもらう。ここ、ポジティブランドで有名なこの異世界ポピーホーミーがオレの故郷なんだ。凄いだろ、異世界一のテーマパークがある異世界が故郷なんだぞ……?」

「凄いな、けどオレも動物たちの居た世界が故郷なんだ。夢と希望に負けないくらいの強さがある」

「そうかい」

 ファンタが小石を湖に投げる。何度かジャンピングして小石が湖に沈む。

「やってみ?」

 ファンタがロードに小石を渡す。

 ロードは小石を受け取るとファンタの真似をしてみる。

 ヒュンと小石を投げ、チャポンと一回目で湖に沈んだ。

「あれ?」

「ハハハハハ、ロード、適当に投げても成功しないぞ? 水面を滑れせるように投げるんだ」

 ファンタの教えにロードは何度か小石を投げてみた。しかしファンタのようにはいかなかった。

「難しいな」

「そうかい」

 ファンタは湖の水面を小石で10回くらいジャンプさせた。

「ロード、突然なんだけど聞きたいことがある」

「何だ!」

 小石を投げながら訊くロード。

「お前には夢があるか?」

「昔皆に言っただろオレの夢は魔物を倒す立派な勇者になることだ」

「ああ、そうだった。真面目真面目とレールと一緒にからかってたっけ」

「今は別の夢がるけどな」

「へぇ~~~~どんな夢だ、聞かせてくれよ」

「あらゆる異世界の中でも最強になって、ガリョウ先生の言う最魔の元凶を滅ぼすことだ。そして異世界平和を手にすることだ」

「つまり最魔の元凶を滅ぼして平和な異世界にしたいと……それは大きな夢だな」

「ファンタの夢は何だ?」

「昔話しただろ? こんな感じの黄金の湖のほとりで……」

「忘れてしまった」

「まったくしょうがないな……オレの夢はな。本当の両親に会うことだ」

 ファンタは寂しそうに夢を打ち明けた。
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