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第十三章 悪夢と絶望を夢と希望で乗り越える

第644話 バザーデの開く商品屋さん

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 ロードはファンタとミハニーツと話していたが、スワンに呼ばれた。

 彼女はファンタのパーティーメンバーの内の一人、バザーデの商売としての商品を見ていた。

「これ欲しいんだけど……」

 スワンがロードにおねだりする。

「ただの壺じゃないか……買ってどうするんだ?」

「お兄さん、それはただの壺じゃないよ。商品名を水溜りの壺と言って、無限に水を溜めて置けるアビリティーアクセサリーだ」

 バザーデが説明する。

「これさえあれば、私はわざわざ空気中の水分や、井戸や湖から水を引っ張っておくことなくストックできるの」

 スワンが壺の凄さを語る。

「ただし水の重さは比例する。たくさんストックすればするほど壺は重くなる」

「いくらなんだ?」

「10金貨だって……」

「オレに買ってほしいのか?」

「どうやらバザーデさんの商品は私の紙幣では買えないみたいでして……」

 ドノミが申し訳なさそうに言う。

「色々な異世界を周ったけど今は金貨の方が流通してるからな。売り手としては金貨しか受け付けないぞ」

 バザーデが言う。

 ロードは並べられた商品を見ていた。どれもこれもアクセサリーの形をしていた。そして興味深そうに商品を見るスワンたち。

「わかった。持ち手の金貨は70枚。一人10枚の金貨なら何とかなるだろう」

「それじゃあ――――」

 スワンの顔が輝く。

「買ってもいいぞ、皆」

 ロードは了承した。

「バザーデさんこの水溜りの壺を買わせてください!」

「はいよ、10金貨頂くぞ」

 ロードがバザーデに10枚の金貨を渡した。

「ロードありがとう。絶対役に立って見せるから」

 スワンは赤子ぐらいの壺を抱きしめていた。

「一人、10枚金貨か……何がいいだろうか」

 ハズレも考え出した。

「アツアツフライパンなんてどうだ? 熱さなくても熱いし、火起こししなくても料理が出来る。結構便利だぞ」

 腕輪のアクセサリーを見せながらバザーデが勧めてくる。

 ブケンは立ったまま上から見下ろしていた。

「ブケンも10枚金貨までなら買ってもいいぞ。これから魔王と一戦交えなければいけないしな」

「いやオレはこの拳だけで魔物と戦い抜く」

「そんなお客さんには拳を振ってものに触れた際、受ける衝撃を吸収してくれるボクサー手袋なんたどうだ?」

 バザーデが賞品を勧めてくる。

「衝撃吸収か……それくらいなら秘宝玉の力で出来るかもしれないけど……」

 ハズレが意見する。

「それだ!!」

 ブケンはピキーンと閃いて新しい技の練習をすることにした。

「ありゃりゃ、お客さんが一人減ったか……」

「あのーこの備え付け鉄球ってのは何なんですか?」

 ドノミが質問していた。

「ああ、それは棒術で戦う人向けのアビリティーアクセサリーだね。棒の先に鉄球を付けてハンマーのように叩くんだ」

 この時、
(これいいかもしれません)
 ドノミが思う。

「あ、あのーーロードさん。実は私も欲しいものがあって……」

「いいよ買っても」

 そのロードの一言にパァーーっと光り輝くドノミだった。

「バザーデさんこれください」

 鉄球のブローチを手に持つドノミだった。

「はいよ、4枚金貨だ」

 バザーデの代金の示しにロードは金貨を支払う。

 ドノミは早速アビリティーアクセサリーを解放し、鉄棒に鉄球をくっつける。そして重そうに振るって見せる。

「これで、魔物に決定打を与えられるようになればいいのですが」

 皆から離れた場所でドノミが攻撃の練習をし始める。

「おっさん、こいつはどんな力があるんだ? ただの靴にしか見えねーが」

「ああそれは、瞬足靴だ。足の速さを二倍にしてくれる」

「なかなかいいじゃん。動き回るグラスにはピッタリかもな」

 ハズレが言う。

「どうする買ってやろうか?」

「ああ、こいつに決めた」

 グラスが言う。

「バザーデさんいくらです?」

「6枚金貨だ」

 バザーデの一言にロードは6枚の金貨を渡した。

 グラスが早速、瞬足靴を履き、走り出した。その速さは明らかに変わっていた。

「ん~~~~もっと危ない系の物はないのかい?」

 まだ商品を見ていたハズレが言う。

「こっちかい? 相手かい?」

「どっちにとっても……」

「ん~~~~あんまり人に勧められるようなものじゃないが……これならどうだ?」

 バザーデが大きなリュックサックから指輪を出してきた。

「それは?」

「空気爆弾の指輪。指輪に力を溜めて爆弾のような形を作り出し。別の手の指でデコピンのように弾いて相手に爆弾を当てる。まぁ、シャボン玉みたいに膨れ上がる爆弾だから、大きすぎると自爆するデメリットがある」

「決まりだそいつでいい」

「自爆するかもしれないんだぞ。危険だ」

「その危険が何回かの命を救うんだから安い買い物さ、って言ったけどいくらするんだい?」

「10枚金貨」

「ロード、オレは決めたぞ……」

「まぁ、お前ならうまく使いこなせるだろう……」

 ロードは10枚の金貨をバザーデに渡した。

「命の保証はないぞ」

「ああ、行きあたりばったりのオレにはピッタリだ」

 ハズレはバザーデから空気爆弾の指輪を受け取った。

「キミも何か買うかい?」

 バザーデはロードに訊いてみる。

「ああ、手持ちが多くて買うつもりはないが、出来れば簡単にフルーツジュースが作れるものはないか、聞きたい」

「ああ、ミキサーか、丁度売ってるぞ」

 リュックサックからミキサーを取り出したバザーデがロードに使い方を説明した。

 ロードは金貨5枚で買い取った。
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