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第十二章 明かされし衝撃の事実と兄妹愛

第610話 かき氷のお味は?

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 次にやって来た屋台はこれまた一風変わった店だった。

「さぁ祭りと言えばかき氷、夏の風物詩で有名ですが果たしてどんな食べものでしょう!?」

 祭りの賑やかなテンションでドノミも場酔いをして盛り上がっていた。

「おぉ~~~~かき氷! また未知の食べ物だどんな料理だ?」

 ロードが知っている人に訊く。

「ああ、氷を粉末状にして器に盛りつけ、上からシロップをかければ出来上がりの簡単な作りをした食べ物だよ」

 シルベが説明してくれる。

「私のセリフが取られた」

 テンションを落とすドノミ。

「ドノミさん列が開いたよ! 今の内に注文しよう! それで元気出して!」

 スワンがドノミに言う。

「うぅ~~~~スワンさん、私のことを考えて、なんていい人なのでしょう」

 ドノミがその場で感動する。まだ酔っているようだ。

「いいから早く行って――――」

 その時アップが殺気を放出、元の酔いが無いドノミに戻した。

「アップちゃん!」

 ミハニーツが叱りつける。

「だって仕方ない。皆のいる範囲だけに殺気を送ったから周りの人たちに害はない」

「「「はぁ……はぁ……はぁ……」」」

 ハズレ、グラス、スワン、シルベ、ブケンは息も絶え絶えだった。

「アップ、次からはやらないでくれ」

「……兄さんがそう言うならしない」

 アップはロードからの一言を受け止めた。

「えっ、えっとかき氷9人前ください」

 ドノミたちはかき氷の店に辿り着いた。店番を任されているのはクールな女性だった。そしてドノミが先にお金を支払う。

「好きなシロップをかけてくれ」

 女性がドノミたちに説明する。

 まずドノミは氷の入った器を受け取り、次にシロップの入った機械の使い方を説明される。かけ放題らしい。

「では、このチョコレートのボタンを押してみます」

「どうぞーー」

 ドノミが氷の入った器を機械にセットして、自動的にシロップが出るボタンを押す。

「出て来ましたチョコレート」

「うぃーっす、そいじゃ次の人」

 女性がロードを呼ぶ。

 ロードはドノミを見ていたのでその通りの動きをした。氷を受け取り、機械にセットし、ボタンを押そうとしたところで、

「このボタンは何だ?」

 ロードがドノミに訊く。

「味付けです」

 ドノミが言うとロードは適当に黄色いボタンを押した。

「レモンか……人気が高いぞ」

 女性が言う。

「ありがとう」

 ロードがお礼を言う。

 お次はアップ、氷の入った器を不思議そうに見て機械にセットしていく。そしてボタンは、

「取りあえず赤い物で」

 アップがボタンを押す。

「おっ、リンゴだな、お嬢さんは王道だな」

 微笑みかける女性、相手の見た目が幼かったから少し心を許したのだろう。

 次にスワンは、女性に訊く。

「青色ってどんな味ですか?」

「ブルーハワイか、なんてことはないさわやかな味だ」

 女性が言う。

「じゃあこれにしてみよっと」

 スワンが青色のボタンを押してみる。すると青いシロップが氷の山にマグマのように満たされる。

 次にハズレ。

「ぶどう味ってあります?」

「そこの紫色がグレープ味だ」

 女性は答える。

 ハズレは言われた通り紫色のボタンを押して、いい具合にシロップをかけた。

 そして次は、グラスだった。黙って氷の器を受け取り、シロップをかけていく。何のためらいもなく緑色のシロップが器いっぱいに満たしていく。

「何味ですこれ?」

 ドノミが興味深げに緑色のシロップを見て聞く。

「隣のメロンと間違えやすいんだよな~~彼が選んだのはゴーヤ味だ」

「「「ゴーヤ!?」」」

 ロードとアップとグラス以外が驚いた。

 お次はブケン。

「さて何を選ぼうかな~~」

 ブケンは物珍しい茶色のボタンを押してみた。

「それ、ソース味だ」

「よっし、当たりーーーー!」

「「「いいのかそれで」」」

 またもツッコまれる。

 その後もミハニーツは蜂蜜味を、

「ストロベリー、ストロベリーっと、あった」

 シルベのような文字を読める組は普通のシロップをかけていった。

「まいどあり~~」

 女性が冷たく対応した。


 ▼ ▼ ▼


 人のいない路地裏。

「「「いただきます」」」

 それぞれ自分の欠けたシロップのかき氷を食べていく。

「シャキシャキしてる」

 スワンが言う。

「アップ、レモン味を味見してみないか? おいしいぞ」

「うん、じゃあ兄さんにもリンゴ味あげる」

 互いに食べさせ合いっこしていた。

「オレのぶどう味はいらないかい?」

 ハズレが訊いてみる。

「少し頂戴」

 アップが素直になりきれず言う。

 アップはハズレからぶどうのかき氷を一口貰う。

「だ、大丈夫なのか?」

 シルベは驚いていた。

「ガツガツガツ!」

 グラスが手じゃなくてスプーンで食べていたことではない。ゴーヤ味を普通に食していたことに驚いた。

「ガツガツガツ!」

 そしてブケンの方もソース濃い口のかき氷を食べていたので驚いていた。

「美味しい、たまには本場のハチミツもいいかも」

 ミハニーツはかき氷を堪能していた。

 その時、

 カキーンとかき氷を食べていた者たちに頭痛が走った。

「何か頭が――」

 ロードが呻く。

「あるんですよかき氷を食べているとキーンとなることが……」

 ドノミが説明する。

「不死の衣」

 アップは炎を纏い灰になり、灰が形を成して元のアップの姿に戻る。そうすることで頭のキーンから逃れた。

 ただ一人、

「う~~~~ん、さいっこう!」

 スワンだけはキーンを含めてかき氷の味を楽しんでいた。
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