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第十二章 明かされし衝撃の事実と兄妹愛

第609話 感動の一品じゃがバター

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 ロード一行はフランクフルトの屋台を後にして、次の物珍しい屋台を探した。

「あっ! じゃがバター」

 先頭を通るドノミが不意に立ち止まる。

「――――!?」

 急に止まったドノミにぶつかるロード。

「皆さん。次はアレにしませんか?」

 ドノミがある屋台を指し示した。

「なんて読むんだ?」

 ロードがぶつけた顔をさすりながら訊く。

「じゃがバター」

 ロードに手を引かれるアップが言う。

「ああ、じゃがバターね。一度食べたことがあるよ」

 スワンが言う。

「どういう食べものなんだ?」

 ロードは大層気になるネーミングセンスだったらしい。

「んなもん食べなきゃわかんねだろ。さっさと行くぞ」

 グラスが吐き捨てる。

「ジャガイモをふかして、その上にバターを塗りつけた食べものさ」

 ハズレが答えてくれた。

「よく分からない」

「まぁいいから、新しいことに挑戦するのはいいことだよ。各言う私も自分探しの旅をしていて、その内に出会ったじゃがバターの味ときたら、ああ、思い出しただけで食べたくなる……」

 シルベが語り始める。

「話し長くなりそうだな」

 ブケンが言う。

 この時、
(皆よく食べられる。私なんて満腹になりかけてるのに)
 ミハニーツは思った。


 ▼ ▼ ▼


 じゃがバターその食べ物はふかしたジャガイモに十字の切り口を付け、その上にバターを垂らし込んでいくというよな物珍しい食べものだった。

「「「いただきます」」」

 グラス以外が食べる前に言葉を発する。

「凄い発想だ。バターとジャガイモでこんなにおいしいものが出来るなんて」

 ロードの口に運ばれたじゃがバターの第一声の感想がこれだった。

「兄さんこれ美味しいね」

 アップもロードと共に喜びを感じた。

「はぁ~~~~ますますワインが欲しくなる」

 ハズレがため息交じりに言う。

「あっふ、あっふ」

 スワンは出来立てのじゃがバターに苦戦していた。

「贅沢言わずに美味しく食べろや」

 グラスが言う。

「その意見には同意だな」

 ブケンも同じ思いだった。

「ん? ミハニーツさん、全然箸が進んでないぞ? お腹でも壊したのか?」

 シルベが訊いていた。

「いいえ、ただ少し私は今ダイエット中なの……よかったら食べて……4分の3残ってるから……」

 ミハニーツが体調を気遣って言う。

「じゃああたしがもらおうかな~~」

 シルベが食べそうになった時、

「……………………」

 ドノミが羨ましそうな顔で見つめていた。

「あっ……分けますか……」

 シルベはドノミと一緒にじゃがバターを分けて食べた。

「うん、ホクホクしていてバターもいい味している。まるで登山中の非常食」

 ロードは感動のあまり自分の気持ちを表現した。

「どんな味だよ。訳が分からないぞ」

 ハズレがツッコんだ。

「だったら私も、まるで原石の煌めきのような宝石の食べ物だ~~」

 アップも感想を言う。

「はい、アップちゃんの勝ち」

 ハズレが評価する。

「そんなバカな。この味の表現が伝わらなかったのかハズレ!」

「兄さん負け惜しみは見苦しい」

「だってロードの例え方おかしいし、味のイメージが出来ないんだよ」

「「くだらないい、言い争いだな」」

 その時、グラスとブケンは発言がシンクロした。

「二人共仲がいいね」

 スワンが言う。

「「冗談だろ」」

 プイッと顔を逸らす二人。

「ホラ!」

 スワンンは反応する。

 そしてグラスの方は手でジャガイモを鷲掴みにして、ブケンの方は箸でジャガイモを口の中に持って行く。

「「あっつい!!」」

 こうしてグラスとブケンの距離も少しは縮まる。

「仲いいね」

「「いいわけあるか」」

 二人はシンクロしていた。
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