上 下
608 / 774
第十二章 明かされし衝撃の事実と兄妹愛

第608話 ケチャップとマスタードとフランクフルト

しおりを挟む
 ロード一行は次の屋台を目指していた。

「次はここです!」

 ドノミがある屋台の店の前で止まる。

「ふらんくふると……」

 スワンが屋台に書かれた文字を読んで口に出す。

「そうです! ジャンクフードの一つですが屋台で食べるフランクフルトは一味違います」

 ドノミは説明する。

 屋台からは食欲をそそるいい香りがして来た。

「いいから早く食わせろ」

 グラスが前置きにイラついた。

「フランクフルトか~~」

 ブケンが呟く。

「どういう食べものか知っているのかい?」

 ハズレが訊いてみる。

「豚の腸にひき肉を詰め込んで焼いた料理のことだ」

「うげ、腸? 美味しいのかそれは」

「食べてみればわかる」

「ミハニーツさんはこういうの食べるイメージないけど……」

 シルベが恐る恐る訊いてみる。

「なくもない。家出してからは食べられるものは何でも食べてた。苦手な物もあったけど……フランクフルトは苦手じゃない」

 ミハニーツが言う。

「兄さん今度こそ負けないから」

 アップがロードに向かって宣戦布告する。

「オレも負けるつもりはない」

 ロードは自信たっぷりで言った。

 屋台には二人の男が経営してた。

「すみませーんフランクフルト9本くださーい」

 ドノミが男たちに声を掛ける。

「あいよ! 9本ね! ちょっと一人じゃあ持ち歩けないんじゃないかな~~」

「そうですね。皆さん私の後ろに付いてそれぞれ貰ってください」

 ドノミの一言でロードたちは並び始める。

「はいどうぞ」

「ありがとう」

 スワンがお礼を言ってフランクフルトを受け取る。

「お嬢ちゃんもどうぞ」

 アップは差し出されたフランクフルトの棒の部分を持った。

「何味ですか?」

 ハズレが訊く。

「ケチャップとマスタードの味がするよ」

 ハズレは首を傾げながらも食べ物を受け取っていた。

「うん! いい匂いだ」

 ブケンがフランクフルトを受け取る。

「おっ、お嬢さんべっぴんさんだね~~どうだい屋台が片付いたら一緒に花火でも見ないかい?」

 ナンパするお兄さん。

「あなたとは見ない」

 ミハニーツはお兄さんが持っていたフランクフルトを奪うように持っていく。

「もしかしてお兄さんの彼女さん? 悪いことしたなーー」

 屋台のお兄さんはロードに謝る。

「ん?」

 何の話かよく分からなかったが、取りあえずフランクフルトを受け取る。

「はっ、さっさと寄こしやがれ」

 グラスがお兄さんに乱暴に言うが、

「はいどうぞーー」

 優しく応対していた。


 ▼ ▼ ▼


 皆、フランクフルトを手にしたところで食事を始める。

「「「いただきます」」」

 ミハニーツとグラスは料理に対して敬意を払わなかった。

「うん!? この味はまだ知らない」

 ハズレが言う。

「ちょっと、この赤いのと黄色いのが美味しい」

 スワンも絶賛だった。

「ケチャップとマスタードですね」

 ドノミが食べながら説明する。

「うん! やはりフランクフルトはどこの異世界でも美味しいな」

 ブケンが借金のことを忘れて食べる。

「パク……パク……」

 ミハニーツが上品に食べていく。

「兄さん勝負!」

「ああ、いいだろう」

 ロードとアップは早食い勝負を始めた。

 この時、
(ホントにこんな棒が上手いのかよ)
 グラスは思っていたが、

「あむ」

 一口食べると、

「うまーーーーい!!」

 と周囲の注目を浴びる程、叫んでいた。どうやら相当お気に召したらしい。

「おかわりだぜ!!」

 珍しくドノミにわがままを言うグラスだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記  大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。 それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。  生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、 まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。  しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。 無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。 これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?  依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、 いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。 誰かこの悪循環、何とかして! まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて

おっさんの神器はハズレではない

兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...