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第十二章 明かされし衝撃の事実と兄妹愛

第605話 焼きそばへの食欲

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 ロードたちは綿あめを購入して食べながら、お祭りの雰囲気に飲まれていた。

「美味しいね兄さん」

 両手に綿あめを手にしたアップが言う。

「うん、不思議な食感だ。世の中は広いな」

 ロードも頷く。そしてお祭りの気分を楽しむ。

「こんな食べ物オレは知らないぞ」

 ハズレは口の中での食感を不思議に感じた。綿をかじり取ったかと思えばしけって溶けていく。

「これも甘くておいしい。でも私の美味しい水程の甘さじゃないかな」

 スワンがよく味わって綿あめを食べている。

「こんなふわふわした食いもんじゃあ腹なんか満たされねーぞ」

 グラスが綿あめにかじりつく。

「お祭りと言えば綿あめ、綿あめと言えばお祭りです」

 ドノミが指で綿あめを少しづつ千切って食べていく。

「いや~~、腹は満たされないが、楽しみは満たされたぞ」

 ブケンはもう綿あめを食べ終わってしまった。

「いや~~疲れたときは甘い物~~」

 力の抜けた声でシルベが呟く。

「うん、美味しい」

 ミハニーツは新たな食べ物に出会えて喜んでいた。

 皆歩いている内に綿あめを食べ終わった。


 ▼ ▼ ▼


 焼きそばの屋台の前。

「さて甘い物の次は少しこってりしたものを食べましょう」

 ドノミが目の前の屋台で止まる。

 そこにはロードの見たこともない料理が炒められていた。

「何だこれは……?」

 芳ばしいソースのにおいと見た目の不思議さにロードの五感は奪われた。

「ソース焼きそば……知らないの?」

 スワンが訊いてくる。

「何だいそれ……そーす? しかしいい匂いだな」

 ハズレもロードと同じ感想だった。

「何でもいいが欲をそそる匂いだな早く食べねーか?」

 グラスが言う。

「おい、グラス少し図々しいぞ? お金を払うのはドノミなんだから」

 ブケンが少しは抑えろと注意する。

「おごっておごって~~~~」

 シルベが甘えた声を出す。

「私は少量でお願い。食べすぎは良くないから」

 ミハニーツが控えめに言う。

「わかりました。アップちゃんも焼きそば食べますか?」

 ドノミが問う。

「兄さんがた、食べるなら食べる」

 その答えを訊いてドノミは鉄板の上で打ち上げられては落ちて行く麺類を扱うお兄さんに話しかける。

「お兄さん、その焼きそば9人前をください、一人だけ少量で……」

「はいよ! 9人前ね! 焼き立てがいいかい! 出来上がってるものがいいかい!」

 お兄さんが焼そばを炒めながら訊く。

「もちろん焼き立てで!」

 ドノミは即答した。

「はいよ! 時間かかるけど少し待っててくれよ!」

 お兄さんが鉄板で焼きそばを焼いていく。


 ▼ ▼ ▼


「これが焼そばというものか」

 ロードがその見た目に目を輝かせ、匂いに食欲をそそられていた。

 この時、
(今だ! 兄さんが固まってるうちに食べちゃおう)
 アップはそう思い箸を使おうとするのだが、

 つるんつるんと焼きそばを前に落としていく。

「あ~~あ~~アップちゃん、割りばしの使い方知らないんだ。これは真ん中に切り込みがあるから二つに割るの。そして利き手で器用に焼きそばを掴んで食べるの。こんな風に」

 スワンが実践して食べて見せた。

「わかった、やってみる」

 アップは割り箸を割り、スワンの真似をする。

「これウマ!」

 ハズレが焼そばを口の中に掻き込む。

「バグバグ」

「おいグラス、手で食べるんじゃない。しっかり箸を使って食べるんだ。行儀が悪いぞ」

 ブケンが注意する。

「あん? なんか文句あっか?」

「まぁまぁ、二人共せっかくのお祭りだ。個人個人の楽しみ方で盛り上がろうじゃないか」

 睨む二人を、シルベが仲裁する。

「相変わらず、祭りの焼きそばは濃い目の味ね」

 ミハニーツが呟く。

「ミハニーツさんは焼きそば食べたことがあるの?」

 スワンがその呟きに反応する。

「最初見た時、ミミズの丸焼きかと思ったからよく覚えてる」

「これはミミズさんの丸焼きなのか?」

 ロードが訊く。

「違うよロード。これは麺類、小麦粉とかんすいと塩と水で混ぜ込まれた物」

 ミハニーツが説明する。

「ミハニーツさん焼きそば作れるの?」

「料理の本を買ってるし、一人っきりの長旅してるから、ある程度の料理は出来るけど」

 この時、
(ロードの花嫁にするには申し分ない)
 スワンはそう思っていた。

「凄く美味しい!」

 その時、ロードは焼きそばをすすってその味に感動していた。

 素早く食べ終わり、箸の使い方をマスターできないアップを追い越した。
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