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第十二章 明かされし衝撃の事実と兄妹愛

第600話 皆で浴衣を着よう

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 出見世界・東風赤明。
 
 その異世界は年中夏場の熱さを醸し出す。一定の気候を保った世界だ。たまに大雨とかが降るが、基本真夏のような晴天である。

 そんな世界の話の説明をするのは、その異世界にロードたちが来ていたからである。

 とある浴衣屋に来ていたロードたち。

「これが浴衣か……」

 ロードが店員に着付けを手伝ってもらい鏡を前にして呟いた。

「大変よく似合っておりますよお客様」

 褒め上手な店員がロードに浴衣をせ買わせようと催促するが、その浴衣はレインボー色派手すぎたので似合っていなかった。

「さっきの黄色い方の浴衣をくれないか?」

「はい、わかりました直ちに着付けの手伝いをしますね」

 店員はそそくさと店内を移動し、黄色い浴衣を見せてくる。

「こちらでよろしいでしょうか……?」

「はい、おいくらですか?」

 ロードが訊く。

「1万紙幣でお願いします」

 ロードは財布から一枚の紙幣を取り出した。

(ドノミさんの給料と金貨を両替しておいて助かった)

 店員に一枚の紙幣を渡す。

「ご購入ありがとうございました」

 赤ぶち眼鏡をかけた店員はお客様を見送った。


 ◆ ◆ ◆ ◆


 浴衣屋専門店の前。

「決まったかいロード」

 黒色の浴衣に赤い羽根帽子を被ったハズレが石垣に背中を預けてロードの姿を確認する。

「ああ、もう少し薄い色の方がよかっただろうか……?」

「いつも黄色い服装だから違和感んないけどな」

 ハズレが言う。

「そうか……で、ハズレの方はバラの柄をした黒い浴衣か」

「似合うか?」

「ああ似合う」

「大概派手だぞテメーらは……」

 その場でヤンキー座りをしていたグラスは吐き捨てた。

「全身緑色も大概派手だろう?」

 ハズレが呟く。

「グラス、袖はどうしたんだ」

 ロードがグラスの姿を見ると袖が無くて腕の肌が露出していた。

「それが訊いてくれよこいつ破り捨てたんだぞ……」

「邪魔だから取っただけだ」

「何とも邪道だ」

 ブケンはグラスの浴衣のありさまを見て嘆げいていた。

「そういうブケンは地味に攻めてきたな」

「うん」

 ブケンは地味な茶色が一番落ち着くらしい。

「ところでスワンたちは?」

「さぁ、店から出て来ないのさ」

 ハズレが報告する。

「ったくおせーよ」

「そう言うな。女性はおしゃれに気を使うと聞いている」

「どこ情報だよ」

 ロードたちがあーだ、こーだと言っていると、あたりは夕焼け色に染まる。


 ▼ ▼ ▼


 夕焼けから濃い青色の空になりかけたとき。

「――お、お待たせーー」

 スワンがサッサッとサンダルの音を響かせながら走って来ていた。

「やっと来たか」

 グラスが立ち上がる。

「どう? 似合ってる?」

 スワンの浴衣は白い水玉模様の水色の浴衣だった。そして何より髪を結っていて美しい姿をしていた。

「ああ、似合ってる」

「そう? お世辞でも嬉しいな」

「スワンさん。浴衣姿で走るのは危ないですよ」

 注意したのは清廉潔白な白い浴衣である。こちらは通常通りの髪型だった。

 さらに、サッサッと歩いてくる黄色と黒色の浴衣を着た黒髪の女性が歩いてくる。髪の毛も髪留めで束ねられている。

「ミハニーツさんの浴衣は私が選んだの……どうロード、キレイに見えるでしょ?」

 スワンが紹介して来る。

「ちょっと押さないでよ」

「え~~せっかくロードにアピールできるチャンスじゃない。存分にきれいな姿を拝ませなくちゃ」

 ヒソヒソとスワンとミハニーツは話していた。

「三人ともはしゃぎすぎだよ~~」

 赤い髪に合わせた赤い浴衣を着たシルベが姿を現した。

 そしてその手に引かれていたのは、かつて大魔王と呼ばれた少女。

 そして今ではロードの妹と呼ばれる少女、アップだった。

「兄さーん!」

 サッサッサッとアップはロードの元に行き足音を鳴らせ、側に来て抱きついていた。

 アップの浴衣は朱色の朱雀の絵が描かれた豪華な浴衣だった。

「浴衣似合う? 似合う?」

「ああ、似合いはするが、結構高かったんじゃないか? ドノミさん?」

「はい、紙幣が5枚ほど飛びました」

 悲壮感的な顔をして、自分の給料が~~と嘆くドノミだった。

 こうして一行は集まった。

「さぁ兄さん。お祭りが始まってるよ早く行こう!」

「あ、ああ、分かってる。けどなアップ勝負忘れてないよな?」

「うん、色んなものを食べ歩こうね」

 悪意も邪気もない少女らしい笑顔を見せてくるアップだった。
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