581 / 743
第十二章 明かされし衝撃の事実と兄妹愛
第581話 それは既視感
しおりを挟む
ロード一行とシルベ、ミハニーツ、シスター・クレアは上空にいた魔物に気が付いた。
手のひらサイズとかなり小さく弱々しい存在感。
見開かれた目は青く血走っており、ギョロギョロと動き回り辺りを確認していた。
「魔物――――」
ロードが口にしたと同時に、ミハニーツが腰に提げた鞘から剣を引き抜いた。
「う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
そしてその余波が暗雲で形成された魔物の身体を吹き散らしていった。
「「「……………………」」」
一同茫然としていた。
暗雲の魔物はそのうちに秘宝玉を秘めていたみたいで、何もない丘にその秘宝玉を落とす。
「終わったのか?」
ふとグラスが状況を確認した。
「なんか、瞬殺だったな……さすがミハニーツさん」
ハズレが賞賛する。
「あれ何? 秘宝玉みたいだけど……――――!?」
スワンが落ちていた秘宝玉に手を伸ばそうとする。すると、ミハニーツがスワンに殺気を放ちとめる。
「まだ終わってないから動かないで……」
ミハニーツは剣を構えたままだった。
そして小さな暗雲の魔物が再び体を形成して現れる。そして秘宝玉は魔物の身体に取り込まれた。
「貴様、ただ者ではないな。名を名乗れ」
「勇者ミハニーツ……そっちは?」
「極大魔王ラジルバフア」
ロードたちは戦慄した。大魔王よりさらに上の存在、極大魔王が目の前に現れたのだからこの世の危機と言ってもいいレベルの存在だった。
「それは嘘、あなたから感じられるものは恐怖……今か今かと消されないか心配をしている」
対してミハニーツは極大魔王を語る魔物を睨みつけながら言う。
「ふっ、ふはははははははははははは! ならば我は何者なのだ?」
「秘宝玉を手にして威勢だけはいい世間知らずな魔物」
ミハニーツが剣を振るう、自らを極大魔王と称したラジルバフアがその余波に掻き消される。
続けて二振り、三振り、四振り、五振りと剣を振って暗雲の魔物を完全消滅させた。
そして秘宝玉が再び地に落ちる。
ミハニーツは誰よりも前に出ていた。そして魔物を倒した手ごたえを感じていなかった。
(あの青く血走った目どこかで……)
ロードの疑問はすぐに解消されることになる。
「我は暗雲の極大魔王ラジルバフア、この程度の強風で完全消滅できると思うか?」
暗雲が再び秘宝玉に絡みつき、小さな小さな姿を現す。
「――――」
ミハニーツの剣を振るった余波でも暗雲の自称極大魔王は滅ぼされなかった。
この時、
(バカな……一度は目ならともかく二度目は完全にその身体を消し去った……一体どんな手品で復活してるんだ)
ハズレは考えた。
「シスター・クレア後ろに隠れてて……」
シルベが自分の後ろにシスター・クレアを庇う形にする。
「フッ、極大魔王か……確かに雲の身体を完全に吹き散らしても、復活して来るしぶとさは厄介だ。けれど、お前のような小さな存在がここに居る戦士全員を葬れる実力を持っているとは思えないな」
ミハニーツが挑発した。今度は相手の出方を見るために、
「試してみるか?」
その時、ラジルバフアの背後に回り込んだドノミが棒高跳びをして、
「はぁーーーーーー!!」
宙に浮いている極大魔王に鉄棒の一撃を食らわせた。
鉄棒はラジルバフアの体内にあった秘宝玉に当たって、暗雲を吹き散らした。
そして再生する暗雲が形を取り戻そうとした時、グラスの短剣が糸を伸ばして一本は放たれた。
「むっ!」
短剣を取り込んだラジルバフアがグラスを引っ張って行く。
この時、
(ちいせーくせになんつー力だ! こっちが引っ張られる)
グラスは油断していた。
「衝撃流!」
暗雲を吹き散らしたのはブケンの衝撃波だった。このおかげで、引っ張られていたグラスは身体の自由を取り戻し、短剣を回収していく。
「フフフ、天を見よ!」
ラジルバフアが高らかに宣言した。
一同はその天空を見る。すると空は暗雲に支配され、不吉の象徴としてこの異世界に新たな災いを呼ぼうとしていた。
この時、
((この暗雲は――――!?))
ロードとミハニーツが既視感を覚える。
暗雲は円状に引き裂かれた。そしてロードたちを照らす朱色の光がその地を満たした。
微かに目を開けて朱色の光を見るロードはかつての絶望を思い出す。
朱色の衣をまとった禍々しい少女の姿をした魔王が不吉を持って降臨した。
手のひらサイズとかなり小さく弱々しい存在感。
見開かれた目は青く血走っており、ギョロギョロと動き回り辺りを確認していた。
「魔物――――」
ロードが口にしたと同時に、ミハニーツが腰に提げた鞘から剣を引き抜いた。
「う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
そしてその余波が暗雲で形成された魔物の身体を吹き散らしていった。
「「「……………………」」」
一同茫然としていた。
暗雲の魔物はそのうちに秘宝玉を秘めていたみたいで、何もない丘にその秘宝玉を落とす。
「終わったのか?」
ふとグラスが状況を確認した。
「なんか、瞬殺だったな……さすがミハニーツさん」
ハズレが賞賛する。
「あれ何? 秘宝玉みたいだけど……――――!?」
スワンが落ちていた秘宝玉に手を伸ばそうとする。すると、ミハニーツがスワンに殺気を放ちとめる。
「まだ終わってないから動かないで……」
ミハニーツは剣を構えたままだった。
そして小さな暗雲の魔物が再び体を形成して現れる。そして秘宝玉は魔物の身体に取り込まれた。
「貴様、ただ者ではないな。名を名乗れ」
「勇者ミハニーツ……そっちは?」
「極大魔王ラジルバフア」
ロードたちは戦慄した。大魔王よりさらに上の存在、極大魔王が目の前に現れたのだからこの世の危機と言ってもいいレベルの存在だった。
「それは嘘、あなたから感じられるものは恐怖……今か今かと消されないか心配をしている」
対してミハニーツは極大魔王を語る魔物を睨みつけながら言う。
「ふっ、ふはははははははははははは! ならば我は何者なのだ?」
「秘宝玉を手にして威勢だけはいい世間知らずな魔物」
ミハニーツが剣を振るう、自らを極大魔王と称したラジルバフアがその余波に掻き消される。
続けて二振り、三振り、四振り、五振りと剣を振って暗雲の魔物を完全消滅させた。
そして秘宝玉が再び地に落ちる。
ミハニーツは誰よりも前に出ていた。そして魔物を倒した手ごたえを感じていなかった。
(あの青く血走った目どこかで……)
ロードの疑問はすぐに解消されることになる。
「我は暗雲の極大魔王ラジルバフア、この程度の強風で完全消滅できると思うか?」
暗雲が再び秘宝玉に絡みつき、小さな小さな姿を現す。
「――――」
ミハニーツの剣を振るった余波でも暗雲の自称極大魔王は滅ぼされなかった。
この時、
(バカな……一度は目ならともかく二度目は完全にその身体を消し去った……一体どんな手品で復活してるんだ)
ハズレは考えた。
「シスター・クレア後ろに隠れてて……」
シルベが自分の後ろにシスター・クレアを庇う形にする。
「フッ、極大魔王か……確かに雲の身体を完全に吹き散らしても、復活して来るしぶとさは厄介だ。けれど、お前のような小さな存在がここに居る戦士全員を葬れる実力を持っているとは思えないな」
ミハニーツが挑発した。今度は相手の出方を見るために、
「試してみるか?」
その時、ラジルバフアの背後に回り込んだドノミが棒高跳びをして、
「はぁーーーーーー!!」
宙に浮いている極大魔王に鉄棒の一撃を食らわせた。
鉄棒はラジルバフアの体内にあった秘宝玉に当たって、暗雲を吹き散らした。
そして再生する暗雲が形を取り戻そうとした時、グラスの短剣が糸を伸ばして一本は放たれた。
「むっ!」
短剣を取り込んだラジルバフアがグラスを引っ張って行く。
この時、
(ちいせーくせになんつー力だ! こっちが引っ張られる)
グラスは油断していた。
「衝撃流!」
暗雲を吹き散らしたのはブケンの衝撃波だった。このおかげで、引っ張られていたグラスは身体の自由を取り戻し、短剣を回収していく。
「フフフ、天を見よ!」
ラジルバフアが高らかに宣言した。
一同はその天空を見る。すると空は暗雲に支配され、不吉の象徴としてこの異世界に新たな災いを呼ぼうとしていた。
この時、
((この暗雲は――――!?))
ロードとミハニーツが既視感を覚える。
暗雲は円状に引き裂かれた。そしてロードたちを照らす朱色の光がその地を満たした。
微かに目を開けて朱色の光を見るロードはかつての絶望を思い出す。
朱色の衣をまとった禍々しい少女の姿をした魔王が不吉を持って降臨した。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜
mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!?
※スカトロ表現多数あり
※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる