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第十二章 明かされし衝撃の事実と兄妹愛
第581話 それは既視感
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ロード一行とシルベ、ミハニーツ、シスター・クレアは上空にいた魔物に気が付いた。
手のひらサイズとかなり小さく弱々しい存在感。
見開かれた目は青く血走っており、ギョロギョロと動き回り辺りを確認していた。
「魔物――――」
ロードが口にしたと同時に、ミハニーツが腰に提げた鞘から剣を引き抜いた。
「う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
そしてその余波が暗雲で形成された魔物の身体を吹き散らしていった。
「「「……………………」」」
一同茫然としていた。
暗雲の魔物はそのうちに秘宝玉を秘めていたみたいで、何もない丘にその秘宝玉を落とす。
「終わったのか?」
ふとグラスが状況を確認した。
「なんか、瞬殺だったな……さすがミハニーツさん」
ハズレが賞賛する。
「あれ何? 秘宝玉みたいだけど……――――!?」
スワンが落ちていた秘宝玉に手を伸ばそうとする。すると、ミハニーツがスワンに殺気を放ちとめる。
「まだ終わってないから動かないで……」
ミハニーツは剣を構えたままだった。
そして小さな暗雲の魔物が再び体を形成して現れる。そして秘宝玉は魔物の身体に取り込まれた。
「貴様、ただ者ではないな。名を名乗れ」
「勇者ミハニーツ……そっちは?」
「極大魔王ラジルバフア」
ロードたちは戦慄した。大魔王よりさらに上の存在、極大魔王が目の前に現れたのだからこの世の危機と言ってもいいレベルの存在だった。
「それは嘘、あなたから感じられるものは恐怖……今か今かと消されないか心配をしている」
対してミハニーツは極大魔王を語る魔物を睨みつけながら言う。
「ふっ、ふはははははははははははは! ならば我は何者なのだ?」
「秘宝玉を手にして威勢だけはいい世間知らずな魔物」
ミハニーツが剣を振るう、自らを極大魔王と称したラジルバフアがその余波に掻き消される。
続けて二振り、三振り、四振り、五振りと剣を振って暗雲の魔物を完全消滅させた。
そして秘宝玉が再び地に落ちる。
ミハニーツは誰よりも前に出ていた。そして魔物を倒した手ごたえを感じていなかった。
(あの青く血走った目どこかで……)
ロードの疑問はすぐに解消されることになる。
「我は暗雲の極大魔王ラジルバフア、この程度の強風で完全消滅できると思うか?」
暗雲が再び秘宝玉に絡みつき、小さな小さな姿を現す。
「――――」
ミハニーツの剣を振るった余波でも暗雲の自称極大魔王は滅ぼされなかった。
この時、
(バカな……一度は目ならともかく二度目は完全にその身体を消し去った……一体どんな手品で復活してるんだ)
ハズレは考えた。
「シスター・クレア後ろに隠れてて……」
シルベが自分の後ろにシスター・クレアを庇う形にする。
「フッ、極大魔王か……確かに雲の身体を完全に吹き散らしても、復活して来るしぶとさは厄介だ。けれど、お前のような小さな存在がここに居る戦士全員を葬れる実力を持っているとは思えないな」
ミハニーツが挑発した。今度は相手の出方を見るために、
「試してみるか?」
その時、ラジルバフアの背後に回り込んだドノミが棒高跳びをして、
「はぁーーーーーー!!」
宙に浮いている極大魔王に鉄棒の一撃を食らわせた。
鉄棒はラジルバフアの体内にあった秘宝玉に当たって、暗雲を吹き散らした。
そして再生する暗雲が形を取り戻そうとした時、グラスの短剣が糸を伸ばして一本は放たれた。
「むっ!」
短剣を取り込んだラジルバフアがグラスを引っ張って行く。
この時、
(ちいせーくせになんつー力だ! こっちが引っ張られる)
グラスは油断していた。
「衝撃流!」
暗雲を吹き散らしたのはブケンの衝撃波だった。このおかげで、引っ張られていたグラスは身体の自由を取り戻し、短剣を回収していく。
「フフフ、天を見よ!」
ラジルバフアが高らかに宣言した。
一同はその天空を見る。すると空は暗雲に支配され、不吉の象徴としてこの異世界に新たな災いを呼ぼうとしていた。
この時、
((この暗雲は――――!?))
ロードとミハニーツが既視感を覚える。
暗雲は円状に引き裂かれた。そしてロードたちを照らす朱色の光がその地を満たした。
微かに目を開けて朱色の光を見るロードはかつての絶望を思い出す。
朱色の衣をまとった禍々しい少女の姿をした魔王が不吉を持って降臨した。
手のひらサイズとかなり小さく弱々しい存在感。
見開かれた目は青く血走っており、ギョロギョロと動き回り辺りを確認していた。
「魔物――――」
ロードが口にしたと同時に、ミハニーツが腰に提げた鞘から剣を引き抜いた。
「う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
そしてその余波が暗雲で形成された魔物の身体を吹き散らしていった。
「「「……………………」」」
一同茫然としていた。
暗雲の魔物はそのうちに秘宝玉を秘めていたみたいで、何もない丘にその秘宝玉を落とす。
「終わったのか?」
ふとグラスが状況を確認した。
「なんか、瞬殺だったな……さすがミハニーツさん」
ハズレが賞賛する。
「あれ何? 秘宝玉みたいだけど……――――!?」
スワンが落ちていた秘宝玉に手を伸ばそうとする。すると、ミハニーツがスワンに殺気を放ちとめる。
「まだ終わってないから動かないで……」
ミハニーツは剣を構えたままだった。
そして小さな暗雲の魔物が再び体を形成して現れる。そして秘宝玉は魔物の身体に取り込まれた。
「貴様、ただ者ではないな。名を名乗れ」
「勇者ミハニーツ……そっちは?」
「極大魔王ラジルバフア」
ロードたちは戦慄した。大魔王よりさらに上の存在、極大魔王が目の前に現れたのだからこの世の危機と言ってもいいレベルの存在だった。
「それは嘘、あなたから感じられるものは恐怖……今か今かと消されないか心配をしている」
対してミハニーツは極大魔王を語る魔物を睨みつけながら言う。
「ふっ、ふはははははははははははは! ならば我は何者なのだ?」
「秘宝玉を手にして威勢だけはいい世間知らずな魔物」
ミハニーツが剣を振るう、自らを極大魔王と称したラジルバフアがその余波に掻き消される。
続けて二振り、三振り、四振り、五振りと剣を振って暗雲の魔物を完全消滅させた。
そして秘宝玉が再び地に落ちる。
ミハニーツは誰よりも前に出ていた。そして魔物を倒した手ごたえを感じていなかった。
(あの青く血走った目どこかで……)
ロードの疑問はすぐに解消されることになる。
「我は暗雲の極大魔王ラジルバフア、この程度の強風で完全消滅できると思うか?」
暗雲が再び秘宝玉に絡みつき、小さな小さな姿を現す。
「――――」
ミハニーツの剣を振るった余波でも暗雲の自称極大魔王は滅ぼされなかった。
この時、
(バカな……一度は目ならともかく二度目は完全にその身体を消し去った……一体どんな手品で復活してるんだ)
ハズレは考えた。
「シスター・クレア後ろに隠れてて……」
シルベが自分の後ろにシスター・クレアを庇う形にする。
「フッ、極大魔王か……確かに雲の身体を完全に吹き散らしても、復活して来るしぶとさは厄介だ。けれど、お前のような小さな存在がここに居る戦士全員を葬れる実力を持っているとは思えないな」
ミハニーツが挑発した。今度は相手の出方を見るために、
「試してみるか?」
その時、ラジルバフアの背後に回り込んだドノミが棒高跳びをして、
「はぁーーーーーー!!」
宙に浮いている極大魔王に鉄棒の一撃を食らわせた。
鉄棒はラジルバフアの体内にあった秘宝玉に当たって、暗雲を吹き散らした。
そして再生する暗雲が形を取り戻そうとした時、グラスの短剣が糸を伸ばして一本は放たれた。
「むっ!」
短剣を取り込んだラジルバフアがグラスを引っ張って行く。
この時、
(ちいせーくせになんつー力だ! こっちが引っ張られる)
グラスは油断していた。
「衝撃流!」
暗雲を吹き散らしたのはブケンの衝撃波だった。このおかげで、引っ張られていたグラスは身体の自由を取り戻し、短剣を回収していく。
「フフフ、天を見よ!」
ラジルバフアが高らかに宣言した。
一同はその天空を見る。すると空は暗雲に支配され、不吉の象徴としてこの異世界に新たな災いを呼ぼうとしていた。
この時、
((この暗雲は――――!?))
ロードとミハニーツが既視感を覚える。
暗雲は円状に引き裂かれた。そしてロードたちを照らす朱色の光がその地を満たした。
微かに目を開けて朱色の光を見るロードはかつての絶望を思い出す。
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