上 下
529 / 743
第十章 青空を見るための死力を尽くした共闘

第529話 戦場で出るのは犠牲者

しおりを挟む
 最後の戦いに挑むロード隊とライズ隊。

 大魔王のいる骨の根城は目と鼻の先だというのに、その前をスカルドラゴンとスカルジャイアントが立ちふさがった。

 ロード隊の上空をスカルドラゴンが飛び泳いでいる。

 この時、ギネは瞬きして視点に対し、発信機の刻印を刻もうとしていたが、スカルドラゴンのスピードには追い付かなかった。

「――上空から攻撃が来る!」

 メイビスが予知して伝えた。

「召喚陣!」

 皆の上空を覆うように召喚陣が展開され、スカルドラゴンの突撃攻撃が他の場所に転移される。

「ぐあああああああ!!」「うああああああ!!」「ごああああああ!!」

 そのドラゴンを意識しすぎたため、他の隊員たちの命がスカルソルジャーに奪われていく。

「レーザービーム!」

 ターカウスがスカルドラゴンに対してビームを放つが、軌道を読まれ避けられてしまう。

 そしてスカルドラゴンは口から数十本の骨の槍を雨のようにロード隊に降り注いでいく。

「召喚陣!」

 骨の槍の雨をシルベが安全な場所へ転移させる。

「骨の巨人が迫って来たぞ!」

 走ってくる20メートルの巨体を前にして騎士のシロトが叫ぶ。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 オオヅチが巨大化して15メートル級になる。そしてスカルジャイアントを抑える。

「私も援護する!」

 薬使いナナスが大量のドーピング剤を飲み、その筋力を底上げしていく。そして力によって巨人の片方の足を止める。

「そのまま抑えてろよ!」

 ザイスが現れ、鎌を持ち出し、魂を両断する一振りの斬撃で攻撃していく。当たれば一撃。しかし、

 ズバンと腕を盾代わりにし、数十本で組み合わされたスカルジャイアントの腕を一本折っただけに終わった。

(何! 触れれば即死の攻撃で仕留めきれないだと!?)

 ロードは驚いたいた。

「今の見たか? あの骨の巨人、一瞬にして一本の腕を斬り外して、ザイスの攻撃を無力とかしたんだ」

 ハズレが答えを出す。

「どうしてそんなことが出来る? あの魔物がまるでザイスの力を知っているみたいじゃないか?」

 ロードがスカルソルジャーを倒しながら言う。

「だから知ってるんだ! たぶん大魔王とかいうヤツはこっちの情報を魔物を通して知っているんだ! 多分見ている景色や聞こえてくる音でオレたちの力はほとんど知られてしまっている! たぶん眷属使魔限定の能力だ! でなければ骨のワイバーンがわざわざあの地にやって来て撤退命令をするわけがない」

 ハズレがスカルソルジャーを倒しながら言う。

「ぐああああああああああ!!」

 鎌の秘宝玉の所有者ザイスが骨の巨人に蹴られて数百メートル後方へ吹っ飛ばされて行く。

「しまった!」

 シルベが再起不能となったザイスを見て言う。

 スカルジャイアントはオオヅチとナナスだけでは抑えきれなかった。束縛を振りほどき、ライズ隊の中へと突っ込んで行く。それだけで足に踏まれ死んでいくライズ隊の隊員たち。

「ソーラーブレイド!」

 ライズの聖剣が日光の日の光が、真っ直ぐ狙いを定めスカルジャイアントの足元を消し炭にした。

 スカルジャイアントはバランスを崩し倒れる。

「まだ? まだなの!?」

 メイビスが占いで皆の命の危機を見ようとしていたが、

 この時、
(30秒刻みでしか、予知が出来ないのが難点よね~~)
 メイビスが焦っていた。

 スカルジャイアントに気を取られていたシルベは部隊全体の把握が出来ていなかった。

 そこを突かれた。スカルドラゴンが低空飛行で突っ込んできて、数十本の骨の槍を口から射出させる。

「ぬっ!」

 植人のジンジュが骨の槍に突き刺さった。

「おう!」

 風人のカザナが骨の槍に突き刺さった。他にも数十人の犠牲が出た。

「――!! 待ってろ! 今傷の治癒を!」

 ロードが負傷者たちの元へ向かおうとするが、

「ダメーーーー! 止まってロードさん!」

 メイビスが予知を見たのか、ロードの人命救助を止める。そして、

 スカルドラゴンの口から魔力の炎そのものが倒れ伏した者たちを焼き尽くし消し炭にした。

「このやろーーーー!!」

 傭兵のガララが手榴弾のピンを抜き、スカルドラゴン目がけて投げ放った。

 ドカーンと大きな爆発があったが、負傷したスカルドラゴンはスカルソルジャーの骨を再生に使った。

 そして、スカルドラゴンの口から放たれた槍がガララの心臓を貫いて即死させた。

「うわああああああああああああああああ!!」

 叫んだのは死んだガララではない。その現場を目撃したロードだった。

「ロードさん動いて! やられちゃうよ!」

 メイビスが叫んだが、ロードは目の前の死体を目にし動けないでいた。

 スカルドラゴンの骨の槍がロードを狙っていた。

 その時ロードの赤い剣である竜封じの剣が輝きだし、封印されたアカが姿を現し、ロードを背に乗せて槍を回避する。

「うああああああああああ!!」

「落ち着けロード! 死んだ者は諦めろ! それよりこれ以上死なせない為に相手を倒すことに集中せよ!」

 アカがロードに正気を取り戻させようとする。

「……うっ、あ、ああ……分かってる。ここは戦場だったな」

 ロードは正気を取り戻した。

「あの骨のドラゴンを倒すぞ! ロード!」

「ああ」

 ロードとアカがスカルドラゴンに狙いを定める。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~

名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います

騙道みりあ
ファンタジー
 魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。  その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。  仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。  なので、全員殺すことにした。  1話完結ですが、続編も考えています。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜

mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!? ※スカトロ表現多数あり ※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

処理中です...