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第十章 青空を見るための死力を尽くした共闘
第499話 シスター・クレアのお願い
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シスター・クレアは告げた。ロードたちにこの異世界を救ってほしいと。
「救ってほしい? 一体何があった?」
ロードが問う。
「救うも何もこの異世界が危機的状況だと感じられないが?」
ハズレが言う。
「その意見はごもっともですが、ここホーウッドが最後の砦と呼ばれるのをお忘れなく」
「そいやーー武器と防具ばっかり売ってたなーー」
グラスが呟く。
「誰かと戦っているということでしょうか?」
ドノミが訊いてみる。
「そうか、その誰かを倒して欲しくて召喚されたのか……」
ブケンが言う。
「最大召喚で1600人、他にも誰か召喚したってこと?」
ミハニーツが訊いていた。
「そだよ~~、いや~~これでも苦労したんだよ~~召喚条件に死を覚悟できる者って設定したから……」
シルベが言う。
「それでこの異世界に何があったの?」
スワンが話を戻す。
「順を追って説明します」
「まず、この異世界は魔物にあふれ武器と防具が無ければ簡単に命を落としてしまうような。過酷な環境でした」
「しかし、魔物狩りや冒険者に依頼することで何とか魔物を退けながらここまでやってこられました」
「そんなある日のこと、一体の魔王が現れました」
「魔王の名はボランデスカール、骨の秘宝玉を所持する者でした」
「幾人もの戦士や魔物狩りがその魔王に立ち向かいましたが、誰も帰っては来ませんでした」
「それどころか、死者となった骨が動き出し、生者である私たちに攻撃を仕掛けてきたのです」
「力ある者は戦い、力なき者は逃げまどいました」
「そして、倒していった数だけ増えていくボランデスカールの骨の兵士はどんどん増えて行き、現在は100万体を超えるようになりました」
「ひゃ。100万体!?」
ハズレがけた外れの数字に驚く。
「魔王ボランデスカールがこの異世界にやって来て数年が経ち、世界は骨の兵士に埋め尽くされ支配されようとしていました」
「そんなある日とあるご老人がこの異世界に来訪し、最後の砦であるホーウッドに力を貸してくれました」
「そのご老人は数多の異世界に名を知られた十大英雄の一人ランラ・ロベーロ様」
「大英雄ランラ・ロベーロ様は直ちにこの地に結界を張り、最後の砦を守ってくれました」
「こうして私たちはこの最後の砦に避難して、結界の外側にいる骨の兵士の攻撃から、からくも逃げ出すことに成功しました」
「しかし、急速に増えた骨の兵士や眷属使魔によってここ以外の国や街は全滅しました」
「次第にボランデスカールはこう呼ばれました。大魔王と……」
(大魔王ボランデスカール)
「そして数年後、現在ですね。自給自足の結界の中で暮らしていた私たちの前に召喚士のシルベさんが来訪して来ました」
「そして私たちは彼女に頼み込んで異世界の戦士たちを召喚してもらうことにしました」
「それで召喚されたのが皆さまです」
「以上が現在のこの異世界の状況と救ってほしいという理由です」
シスター・クレアが胸に手をそえる。とりあえず説明しきったのだろう。
「質問してもいいかい? そのボランデスカールの強さは分かったが、英雄と呼ばれる人は何をしていたんだ?」
ハズレが訊く。
「ランラ・ロベーロ様はこの地を恵みの地に変えてくださいました。作物を育てるために天候を晴れにしたり、雨にしたり、この最後の砦に残された住人にとっては欠かせない存在となりました。おまけに外と中を断絶し、骨の兵士を一体たりとも通したことはございません」
「十大英雄……ランラ・ロベーロ」
ミハニーツが何かを思い出そうと頭を抱えていた。
「ランラ・ロベーロ様がこの地を守ってくださっている限り、食事や生活に困ったことはありませんが、大魔王ボランデスカールは着々と世界侵略を繰り返し、この地を魔界化させるつもりです」
「魔界化?」
ロードが訊く。
「魔物の住みやすい世界にして邪魔者を排除するってこと」
スワンが答える。
「どうか、異世界の戦士たちよ。これも主のお導き、お力を貸して欲しいのです」
シスター・クレアは手を組み懇願する。
「大魔王っていや~~アイツ並みってことか?」
グラスがここに来る前に遭遇した魔王の少女のことを思い出しながらミハニーツに訊く。
「あの個体は大魔王の中でも異例の強さだった。普通の大魔王なら私でも倒せる」
ミハニーツがトゲのある言い方をする。
「おっ、言うね~~、これまで何体の大魔王をほふって来たんだい?」
シルベが椅子に身体を預け訊いてくる。
「大魔王なら13体」
ミハニーツは簡単に言う。
「失礼ですがおいくつですか?」
シスター・クレアが訊く。
「19才」
「おやおや、これは当りを引いたんじゃないか? 19才で大魔王を13体も倒してるなんて……」
シルベがくじにでも当たったかのように喜んだ。
「でも、今はまだ魔王の進行を食い止めているんでしょ? 先にこっちの案件を済ませたいんだけど……」
「へーどんな案件?」
「ここに居るロードの記憶を取り戻す」
「ん? 記憶喪失か何かかな?」
「でしたら、私に出来ることがあります。私も実は秘宝玉に選ばれた身、事実の秘宝玉。それを使えばその方の記憶を少しだけ思い出せるかもしれません」
「そう、事実の秘宝玉……」
ミハニーツが黙る。
「あなた方がこの異世界を救ってくれたら、記憶の方もお手伝いさせていただきます」
「交換条件ですか」
ドノミが言う。
「今一度問います。あなた方にボランデスカールの魔の手からこの異世界を救ってほしいのです」
シスター。クレアは言う。
ハズレ、スワン、グラス、ドノミ、ブケンはロードを見た。そして――
「分かった。戦いに参加しよう」
ロードたちの方針は決まった。
「救ってほしい? 一体何があった?」
ロードが問う。
「救うも何もこの異世界が危機的状況だと感じられないが?」
ハズレが言う。
「その意見はごもっともですが、ここホーウッドが最後の砦と呼ばれるのをお忘れなく」
「そいやーー武器と防具ばっかり売ってたなーー」
グラスが呟く。
「誰かと戦っているということでしょうか?」
ドノミが訊いてみる。
「そうか、その誰かを倒して欲しくて召喚されたのか……」
ブケンが言う。
「最大召喚で1600人、他にも誰か召喚したってこと?」
ミハニーツが訊いていた。
「そだよ~~、いや~~これでも苦労したんだよ~~召喚条件に死を覚悟できる者って設定したから……」
シルベが言う。
「それでこの異世界に何があったの?」
スワンが話を戻す。
「順を追って説明します」
「まず、この異世界は魔物にあふれ武器と防具が無ければ簡単に命を落としてしまうような。過酷な環境でした」
「しかし、魔物狩りや冒険者に依頼することで何とか魔物を退けながらここまでやってこられました」
「そんなある日のこと、一体の魔王が現れました」
「魔王の名はボランデスカール、骨の秘宝玉を所持する者でした」
「幾人もの戦士や魔物狩りがその魔王に立ち向かいましたが、誰も帰っては来ませんでした」
「それどころか、死者となった骨が動き出し、生者である私たちに攻撃を仕掛けてきたのです」
「力ある者は戦い、力なき者は逃げまどいました」
「そして、倒していった数だけ増えていくボランデスカールの骨の兵士はどんどん増えて行き、現在は100万体を超えるようになりました」
「ひゃ。100万体!?」
ハズレがけた外れの数字に驚く。
「魔王ボランデスカールがこの異世界にやって来て数年が経ち、世界は骨の兵士に埋め尽くされ支配されようとしていました」
「そんなある日とあるご老人がこの異世界に来訪し、最後の砦であるホーウッドに力を貸してくれました」
「そのご老人は数多の異世界に名を知られた十大英雄の一人ランラ・ロベーロ様」
「大英雄ランラ・ロベーロ様は直ちにこの地に結界を張り、最後の砦を守ってくれました」
「こうして私たちはこの最後の砦に避難して、結界の外側にいる骨の兵士の攻撃から、からくも逃げ出すことに成功しました」
「しかし、急速に増えた骨の兵士や眷属使魔によってここ以外の国や街は全滅しました」
「次第にボランデスカールはこう呼ばれました。大魔王と……」
(大魔王ボランデスカール)
「そして数年後、現在ですね。自給自足の結界の中で暮らしていた私たちの前に召喚士のシルベさんが来訪して来ました」
「そして私たちは彼女に頼み込んで異世界の戦士たちを召喚してもらうことにしました」
「それで召喚されたのが皆さまです」
「以上が現在のこの異世界の状況と救ってほしいという理由です」
シスター・クレアが胸に手をそえる。とりあえず説明しきったのだろう。
「質問してもいいかい? そのボランデスカールの強さは分かったが、英雄と呼ばれる人は何をしていたんだ?」
ハズレが訊く。
「ランラ・ロベーロ様はこの地を恵みの地に変えてくださいました。作物を育てるために天候を晴れにしたり、雨にしたり、この最後の砦に残された住人にとっては欠かせない存在となりました。おまけに外と中を断絶し、骨の兵士を一体たりとも通したことはございません」
「十大英雄……ランラ・ロベーロ」
ミハニーツが何かを思い出そうと頭を抱えていた。
「ランラ・ロベーロ様がこの地を守ってくださっている限り、食事や生活に困ったことはありませんが、大魔王ボランデスカールは着々と世界侵略を繰り返し、この地を魔界化させるつもりです」
「魔界化?」
ロードが訊く。
「魔物の住みやすい世界にして邪魔者を排除するってこと」
スワンが答える。
「どうか、異世界の戦士たちよ。これも主のお導き、お力を貸して欲しいのです」
シスター・クレアは手を組み懇願する。
「大魔王っていや~~アイツ並みってことか?」
グラスがここに来る前に遭遇した魔王の少女のことを思い出しながらミハニーツに訊く。
「あの個体は大魔王の中でも異例の強さだった。普通の大魔王なら私でも倒せる」
ミハニーツがトゲのある言い方をする。
「おっ、言うね~~、これまで何体の大魔王をほふって来たんだい?」
シルベが椅子に身体を預け訊いてくる。
「大魔王なら13体」
ミハニーツは簡単に言う。
「失礼ですがおいくつですか?」
シスター・クレアが訊く。
「19才」
「おやおや、これは当りを引いたんじゃないか? 19才で大魔王を13体も倒してるなんて……」
シルベがくじにでも当たったかのように喜んだ。
「でも、今はまだ魔王の進行を食い止めているんでしょ? 先にこっちの案件を済ませたいんだけど……」
「へーどんな案件?」
「ここに居るロードの記憶を取り戻す」
「ん? 記憶喪失か何かかな?」
「でしたら、私に出来ることがあります。私も実は秘宝玉に選ばれた身、事実の秘宝玉。それを使えばその方の記憶を少しだけ思い出せるかもしれません」
「そう、事実の秘宝玉……」
ミハニーツが黙る。
「あなた方がこの異世界を救ってくれたら、記憶の方もお手伝いさせていただきます」
「交換条件ですか」
ドノミが言う。
「今一度問います。あなた方にボランデスカールの魔の手からこの異世界を救ってほしいのです」
シスター。クレアは言う。
ハズレ、スワン、グラス、ドノミ、ブケンはロードを見た。そして――
「分かった。戦いに参加しよう」
ロードたちの方針は決まった。
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