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第九章 正々堂々と実力を発揮する武闘大会

第490話 命を懸けた大試合

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 ロードの10メートル級の光の長剣が、魔王シドウオガに食らいつき一撃を与えた。

「ヌンアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 光の長剣を右斜め上から食らった魔王が叫ぶ。傷が出来た。霧散化が進む傷が出来た。

 ロードはその場で光の長剣をもう一太刀入れようとしたが、真麻鬼刀を構えられ迂闊に入れられないでいた。

「ハァ――ハァ――ハァ――」

 ロードは疲れを見せて来た。光の剣が消え去って行った。

「ロードの最初の一撃が……」

 ハズレが言う。

「吸収されず奴を仕留めた」

 グラスが笑う。

「流石ロードさん」

 ドノミが拍手する。

「うむ、見事だ」

 ブケンが言う。

「これで勝った」

 スワンが言うが――

「まだ、相手はまだ死んでない」

 ミハニーツが警戒する。

「ロード選手うまく攻撃を当てたーー!!」

「シドウオガ選手の防御の構えに隙があったということです」

「ヌハ、ヌハハハハハハ! これよこれよ、この痛み! 戦いをしてる気分だ。おぬしに感謝しよう! ここまで勝ち上がってきたことを!」

「まだ、動けるのか?」

 ロードは剣を構える。

 しかしその顔に焦りが見えた。身体に疲労が見えていた。

「その身体、もはや体力もそう残ってはいまい。この技で決める。拙者の命を懸けた最強の技!」

 その声を聞いて絶望しかけたロードは、魔王シドウオガの異常な行動を見た。何と――

 シドウオガは自らの身体に四本の真麻鬼刀を突き刺した。そしてシドウオガは四本の刀に吸収され、一本の長大な刀の姿に変わる。

(やばい……アイツ自ら全てを吸収する刀になった)

「食らうがいい――」

 刀となった魔王シドウオガがロードの向けて飛んで行く。

 避けるロード。

「オイ、ロードどういうことだ! あの刀は何なんだ!?」

 赤い剣入封じられたアカが言う。

「あらゆる力を吸収する刀だ! まさか自分自身を刀にするとは――」

「自分自身を刀に、そしてあらゆる攻撃を吸収……」

 アカは考えた。

 数秒置いて、

「どうすれば……」

「ロード! まだ体力はあるか!? 考えがある聞け!――――」

 ロードはアカの作戦に耳を傾ける。刹那の作戦会議。

「――――!!!? 何だそれは下手をしたら死ぬじゃないか!?」

「ロードこれは試合ではない殺し合いだ。自分が負ければ大勢のものが死ぬちうことを忘れるな! その覚悟を持って旅してきたであろう!」

「……ああ、そうだったな」

 ロードは両手を広げ、大きな刀となったシドウオガを受け入れる態勢に入った。

「ヌ、何を考えているか知らんが、自ら食らいに行くつもりか!」

「そうだ来い!」

 刀となったシドウオガはロードに突き刺さった。

「ぐ、ぐあああああああああああああああ!!」

 ロードに今までにない激痛が走った。その光景を見ていた観客たちも悲鳴を上げる者があとをたたなかった。

「何のつもりか! これで勝負は決した! おぬしの命もこれまで――」

「今だロード!」

 アカが叫ぶ。

「極体!」

 ロードがそう言うと、身体にオーラが纏う。そして思いっきり剣を手で掴む。

「――! ヌハハハハハハ! 何をしている! この真麻鬼刀はあらゆる力を吸い取るのだ! おぬしがいくら力を上げたとてこの力の前にはむりょ――――」

「奪うのは何もお前の専売特許じゃない」

 ロードの力が増大していく。

「――――!? (バカなこ奴の力が増大していく)」

「終わりだ魔王――ロードは今、吸収され混ざり合った生命力を吸収している。すなわちお前が今まで吸収した技、力を吸収できるのだ!」

 アカが説明する。

 血の滴る刀から、全ての力を吸収するロード。

「くっ! 動けん!」

 ロードの極体で捕まれたシドウオガは逃げ出すことが出きないでいた。

 そして、膨大な力を得るロード。やがてその目に光が戻る。

 バキン!! ロードの拳が力をすべて吸い取られた真麻鬼刀を叩き折った。

「ヌアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 魔王シドウオガが断末魔の叫びを上げ、刀の姿のまま霧散化していく。

「く、くう……」

 身体に刺さった刀を引き抜くとロードは奪った力で生命の回復を行う。

「しっかり、気を持て!! 気絶したら死ぬぞ!」

 アカがロードの気を繋ぎ止めようと声をかける。

「くう……うう……」

 ロードの傷口は徐々に回復し完治した。

「なぁ、強者よ、礼を言うぞ。拙者を倒してくれて……」

「どういう意味だ?」

 ロードが訊く。

「なに、これで弟に会いにゆき笑い話が出来るのだ。少し楽しみでな」

「……魔王シドウオガ、一つ聞きたい。お前は最魔の元凶を知ってるか?」

「知らない。それよりありがとう。パーティーに来てくれて、この拙者を倒してくれて――最後におぬしの名を聞かせてくれ」

「勇者ロードだ」

「ヌハハハ、優勝おめでとうロード」

 その一言と共に魔王シドウオガは完全に消え去った。

「や、や、やりましたーーーーーーロード選手! シドウオガ選手を破りました!」

「一時はどうなるかと思いましたが、なるほど、自分の生命力を取り返しての賭け、見事でした」

「か、勝った……」

 ハズレが驚く。

「あのかかしヤロ―」

 グラスが言う。

「お腹に穴を開けて……」

 ドノミが言う。

「大した男だ」

 ブケンが褒める。

「ロード」

 安堵するスワン。

「まだまだ強くなる」

 ミハニーツが言う。

 拍手喝采と共にロードとシドウオガの戦いは終わった。


 ◆ ◆ ◆ ◆


 ハオストラ闘技場。

 ロードは武闘大会の運営委員長と対面していた。

「今ロード選手、会長から優勝トロフィーと表彰状が授与されます」

「長い長いトーナメントの最後の瞬間です」

 優勝トロフィーと表彰状を受け取った。

「さてと、ロード様、最後にあなたの願いを叶えましょう。我々の出来うる範囲のことでしたら叶えましょう」

「オレの願いは――最魔の元凶について――」

 その時、ロードは見た。手を振るヴァーエンを、そして苦戦したターカウスを、戦ったゴンガを、新技を食らわせたオオヅチを、圧倒したアーティモリを、忘れかけてたフィルスを、ここで戦い抜き負けていった者たちの顔をロードは見た。そして――――

「オレの願いはこの大会に参加した全ての選手とパーティーがしたい!」

 ロードは、この時魔王の言葉を思い出した。

「パ-ティーに参加してくれてありがとう」

 そして、会長はその答えを訊き頷いた。

「分かったそなたの望み叶えよう」

「ありがとうございます」

 ロードは礼をした。

「さぁ、皆さま優勝者ロード選手に盛大な拍手と喝采を――」

「おみごとでした」

 観客たちはロードの名を連呼した。そして拍手の音も全員が闘技場から立ち去るまで止まなかった。

「それでは、皆さま、10万回を超えるハオストラ武闘大会もこれまで、来年またよろしくお願いします!」

 こうしてハオストラ武闘大会は終幕した。
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