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第九章 正々堂々と実力を発揮する武闘大会
第458話 ブケンVS聖職者のセイジ
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Cブロックの試合を見ていたロードとグラス。
「いよいよだな……」
電光掲示板に表示された二人の名前を見て言う。
「ブケン対セイジ……か……」
グラスが呟く。
「さぁ! 東門から出てくるのはドノミ選手を圧倒したブケン選手! そしてそして西門から出てくるのは数々の聖法使いの大会で優勝や準優勝の経歴を持つ聖職者セイジ選手! 今大会のでデビュー戦も相手は何も出来ずに終わりました! 果たしてこの試合はどうなるのか!」
「おい、せいほう使いだとよ」
グラスが言う。
「ああ、どんな技が出て来るか楽しみだ」
門から歩いてきたブケンとセイジが面と向かう。
「礼!」
審判が言うと両者はお辞儀をする。
ブケンが拳を、セイジが錫杖を、互いが構えると、
「始め!」
「聖法第4条――――ごあ!」
セイジが何かを唱えていたが、
「遅い――――!」
ブケンがセイジの顔面を殴りつけた。
「ブケン一点!」
「くっ――――聖法――」
受けた箇所を手で押さえながら、ぼそぼそ呟くセイジ。
「だから遅い――」
ブケンがセイジの顔面を殴りつけた。
「ブケン二点!」
「おっとこれはどうしたことか! セイジ選手何も出来ません! 解説のキートさんこれをどう見ます?」
「セイジ選手が何もしないというより、ブケン選手が何もさせないように攻撃してますね。なにせ相手は聖法使い……何をしてくるか分かりませんから」
「ブケン三点!」
またもブケンが顔を殴りつける。
しかし、セイジはぼそぼそと口で何かを唱えていた。
「たぁーーーー!」
ブケンがセイジの顔面を殴りつける。
「ブケン四点!」
「ここでブケン選手リーチ! セイジ選手ブケン選手の前になすすべがありません!」
ブケンが最後の拳を振り上げたとき、
「――神々は守護する――化身のお守り」
その時、ブケンの拳は阻まれて、広がる球状の聖なる力に吹き飛ばされた。セイジの有効ダメージかと思いきや態勢を整えたブケンが構える。そして――
この時、
(壁か……)
ブケンは思った。
「出ました! 聖法! これで勝負は分からなくなりました!」
実況者モスが興奮する。
「化身のお守り、これは術者が相手に近づけないようにするための壁を張る聖法です。これを利用して数々の聖法を撃つ気でしょう」
「しかし、突然聖法が発動したのはどういうことでしょう」
「ブケン選手に顔を殴られながらも、詠唱を続けていたんでしょうね」
解説するキート。
「さぁ、ここからが僕のターンだ!」
セイジの言葉に耳を傾けるが、ブケンは拳で壁を殴り続ける。
(どうするブケン?)
「何をしても無駄さ、四点取られるのは織り込み済み、あとはここから攻撃し続ければ僕の勝ち」
ブケンは拳の構え方を変える。
「これでもそう言えるか?」
「?」
「はぁーーーー!」
ブケンが拳を前に突き出す。すると拳は壁に阻まれたが――
「何をしても無――ぐあ!」
セイジが吹っ飛ばされた。
「ブケン五点! 勝者ブケン選手!」
観客たちがわーーーーっと歓声を上げる。
「ブケン選手の攻撃がセイジ選手にクリンヒット! しかし壁を張っていたのにどうして攻撃が通ったのでしょう? それも離れたところからの拳が……」
「聖法を覆す力は結構ありますが、今のはブケン選手の秘宝玉の力ですね」
「なるほどなるほど、ブケン選手はまだ奥の手を隠しているみたいですね。これは第三回戦も楽しみです」
「礼!」
ブケンとセイジがお辞儀をする。
「油断したまさか秘宝玉使いだったとは……」
「こっちもだ。殴られ続けても詠唱はやめなかったんだな」
言葉を交わして、両者は踵を返し会場から立ち去った。
「せいほう、全然見られなかったが……」
グラスが言う。
「ブケンも秘宝玉を持っているのか……」
重大な事実を知った。
▼ ▼ ▼
観客席。
ブケンが戻ってくる頃。
「間に合ったか……」
電光掲示板フンカー対ギュウと表示されていた。
「遅かったな……どこ行ってたんだ?」
「いや、取材陣たちに囲まれてなかなか道を通してくれなかったんだ。それより始まるか」
「んだ? この試合に興味があるのか?」
グラスが訊く。
「ああ」
ブケンが頷く。
「さぁCブロックの試合がまだまだ続きます! 東門から出てくるのは5年前のハオストラ大会優勝者、ご老人フンカー選手です! そして西門から出てくるのは3メートルの巨体の牛の獣人ギュウ選手です!」
「優勝候補のフンカー選手、五年ぶりの大会ですが身体がなまっていないといいですね」
実況と解説が話す。
「もしかして、あのフンカー選手の試合が見たいのか?」
ロードが訊く。
「ああ、なにせあの人は5年前オレを瞬く間に倒してくれた心の師匠だからな」
ブケンが言う。
「礼!」
ギュウ選手は構えるが、フンカー選手は背中越しに腕を回したままだった。
「始め!」
そして、ブケンの試合と同じように、フンカー選手は瞬く間に五点取り、ギュウ選手に勝利した。
「いよいよだな……」
電光掲示板に表示された二人の名前を見て言う。
「ブケン対セイジ……か……」
グラスが呟く。
「さぁ! 東門から出てくるのはドノミ選手を圧倒したブケン選手! そしてそして西門から出てくるのは数々の聖法使いの大会で優勝や準優勝の経歴を持つ聖職者セイジ選手! 今大会のでデビュー戦も相手は何も出来ずに終わりました! 果たしてこの試合はどうなるのか!」
「おい、せいほう使いだとよ」
グラスが言う。
「ああ、どんな技が出て来るか楽しみだ」
門から歩いてきたブケンとセイジが面と向かう。
「礼!」
審判が言うと両者はお辞儀をする。
ブケンが拳を、セイジが錫杖を、互いが構えると、
「始め!」
「聖法第4条――――ごあ!」
セイジが何かを唱えていたが、
「遅い――――!」
ブケンがセイジの顔面を殴りつけた。
「ブケン一点!」
「くっ――――聖法――」
受けた箇所を手で押さえながら、ぼそぼそ呟くセイジ。
「だから遅い――」
ブケンがセイジの顔面を殴りつけた。
「ブケン二点!」
「おっとこれはどうしたことか! セイジ選手何も出来ません! 解説のキートさんこれをどう見ます?」
「セイジ選手が何もしないというより、ブケン選手が何もさせないように攻撃してますね。なにせ相手は聖法使い……何をしてくるか分かりませんから」
「ブケン三点!」
またもブケンが顔を殴りつける。
しかし、セイジはぼそぼそと口で何かを唱えていた。
「たぁーーーー!」
ブケンがセイジの顔面を殴りつける。
「ブケン四点!」
「ここでブケン選手リーチ! セイジ選手ブケン選手の前になすすべがありません!」
ブケンが最後の拳を振り上げたとき、
「――神々は守護する――化身のお守り」
その時、ブケンの拳は阻まれて、広がる球状の聖なる力に吹き飛ばされた。セイジの有効ダメージかと思いきや態勢を整えたブケンが構える。そして――
この時、
(壁か……)
ブケンは思った。
「出ました! 聖法! これで勝負は分からなくなりました!」
実況者モスが興奮する。
「化身のお守り、これは術者が相手に近づけないようにするための壁を張る聖法です。これを利用して数々の聖法を撃つ気でしょう」
「しかし、突然聖法が発動したのはどういうことでしょう」
「ブケン選手に顔を殴られながらも、詠唱を続けていたんでしょうね」
解説するキート。
「さぁ、ここからが僕のターンだ!」
セイジの言葉に耳を傾けるが、ブケンは拳で壁を殴り続ける。
(どうするブケン?)
「何をしても無駄さ、四点取られるのは織り込み済み、あとはここから攻撃し続ければ僕の勝ち」
ブケンは拳の構え方を変える。
「これでもそう言えるか?」
「?」
「はぁーーーー!」
ブケンが拳を前に突き出す。すると拳は壁に阻まれたが――
「何をしても無――ぐあ!」
セイジが吹っ飛ばされた。
「ブケン五点! 勝者ブケン選手!」
観客たちがわーーーーっと歓声を上げる。
「ブケン選手の攻撃がセイジ選手にクリンヒット! しかし壁を張っていたのにどうして攻撃が通ったのでしょう? それも離れたところからの拳が……」
「聖法を覆す力は結構ありますが、今のはブケン選手の秘宝玉の力ですね」
「なるほどなるほど、ブケン選手はまだ奥の手を隠しているみたいですね。これは第三回戦も楽しみです」
「礼!」
ブケンとセイジがお辞儀をする。
「油断したまさか秘宝玉使いだったとは……」
「こっちもだ。殴られ続けても詠唱はやめなかったんだな」
言葉を交わして、両者は踵を返し会場から立ち去った。
「せいほう、全然見られなかったが……」
グラスが言う。
「ブケンも秘宝玉を持っているのか……」
重大な事実を知った。
▼ ▼ ▼
観客席。
ブケンが戻ってくる頃。
「間に合ったか……」
電光掲示板フンカー対ギュウと表示されていた。
「遅かったな……どこ行ってたんだ?」
「いや、取材陣たちに囲まれてなかなか道を通してくれなかったんだ。それより始まるか」
「んだ? この試合に興味があるのか?」
グラスが訊く。
「ああ」
ブケンが頷く。
「さぁCブロックの試合がまだまだ続きます! 東門から出てくるのは5年前のハオストラ大会優勝者、ご老人フンカー選手です! そして西門から出てくるのは3メートルの巨体の牛の獣人ギュウ選手です!」
「優勝候補のフンカー選手、五年ぶりの大会ですが身体がなまっていないといいですね」
実況と解説が話す。
「もしかして、あのフンカー選手の試合が見たいのか?」
ロードが訊く。
「ああ、なにせあの人は5年前オレを瞬く間に倒してくれた心の師匠だからな」
ブケンが言う。
「礼!」
ギュウ選手は構えるが、フンカー選手は背中越しに腕を回したままだった。
「始め!」
そして、ブケンの試合と同じように、フンカー選手は瞬く間に五点取り、ギュウ選手に勝利した。
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