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第九章 正々堂々と実力を発揮する武闘大会

第452話 ドノミVSブケン

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 Cブロックの試合がやって来た。

「ブケンさん、ブケンさん」

 ドノミが眠っているブケンを揺する。

「……! 誰だ? オレの眠りを妨げるのは?」

「そろそろ控室に行きましょう。私たちの試合ですよ」

「おっと、それはいかん。お嬢さんこの借りはきっと優勝賞金で……さらば」

 ブケンは立ち去ってしまった。

「…………相手が誰だか分かってるのか?」

 ロードが言う。

「ロードさん、私頑張ってきます。どうか見守っていてください」

「ああ、行ってこい」

 二人はハイタッチした。


 ▼ ▼ ▼


 その後、観客席の後ろの方で立っていたグラスを見つけ座らせ、Cブロックの戦いを見守ることにした。

 AやBのように様々な選手たちが出てきて退屈はしなかった。

 そして、いよいよその対戦カードは切られた。

「グラス、次が見ものだぞ」

 ロードが言う。

「ブケンか……5年間の山籠もりの実力を見たいってか……?」

「そうじゃない、オレが見たいのはドノミさんの実力さ」

「けっ、んなもん大したことねーよ」

 グラスが吐き捨てた。

「それでは東の門からドノミさんの入場です! 管理学校界が故郷の元あの大手管理局に勤めていた戦闘員。経歴は管理局対抗試合優勝という華々しい実績です」

 実況に合わせてドノミが入場して来る。

「西門から片や5年前、初出場ながらも第1回戦で敗退したブケンさん! わたくし5年前も務めておりましたが今でもその戦いを鮮明に覚えています。さて今回は修行の成果を見せてくれるのか! 期待大です!」

 実況に合わせてブケンが入場して来る。

「ブケンさんの資料を見ますと、面白いことが書かれていますが……」

 解説のキートが言う。

「さぁ、どうでしょうね~~私は見たいな~~」

 実況者のモスが言う。

「両者、気を付け!」

 ドノミとブケンの目線が合う。

「女をいたぶる趣味はないから無理だと思ったら棄権してくれ」

「私を女の子扱いしてくれて嬉しいですが、その余裕直ぐに消してあげます」

「礼!」

 審判が言うと、二人は頭を下げて攻撃態勢になる。

「始め!」

 審判が赤旗を振り下ろす。

 その時、ドノミが後ろへ下がった。

「ブケン一点」

 いや下がったのではなくブケンの攻撃を食らって持ちこたえたのだ。

「何してんだあの女……」

「見えてなかったのかグラス。ブケンからの攻撃だ」

 ロードたちは見守る。

「おや、もう一点はいりました!?」

 実況のモスが言う。

「早速使って来たのは様子見と言うことでしょうか? それとも勝負を長引かせない為でしょうか?」

 解説のキートが言う。

 ドノミはガクンと膝を落とす。

「うん、今の一撃でわかった。キミはオレから一点も取れない。そして本気を出す必要もない」

「な、何ですって?」

 ドノミが再び立ち上がる。

「さぁ、きたまえ!」

 拳を構えるブケン。

 ドノミはお得意の鉄棒を構えて走り出す。そして鉄棒による刺突攻撃を連続で繰り出す。

 ブケンは全て、手の甲を使って鉄棒を弾き、躱し、いなしていく。

 そして鉄の棒を掴み取られ引き寄せられるドノミは、ブケンから腹に一発、拳を入れられる。

「ブケン二点」

 しかし殴られても、鉄棒を手から離さず、意識も保ったままブケンに遅れてのカウンター、蹴り技をお見舞いするが、これも左腕の筋肉によってガードされる。

 ブケンは右手で掴んでいた鉄の棒を捨て、ドノミの腹に一発、正拳をお見舞いする。。

「がはっ!」

 意識が遠のくドノミ。それと同時に地面に転ばされていく。しかし手にした鉄棒から手は離さない。

「ブケン三点」

「ふぅーーーー」

「出ましたブケン選手の我流拳。これぞ5年間の修行の成果です」

「ドノミ選手は運がなかったですね。これはかなり効いてますよ」

 実況と解説が言う。

「もう三点だぞ……」

 グラスが呟く。

「ここからだ」

 ロードが言う。

「はぁ、はぁ……初めの一撃は何です?」

 ドノミが訊く。

「アレはまだ出すには早かった。もうこの勝負で使うつもりはない。さぁ全力で来い!」

「本気を出さないこと後悔しますよ」

 ドノミが鉄棒を持って走り出す。

「おっと――ドノミ選手またも鉄棒を持って走り出たーー」

「ブケン選手に棒術は通用しないと分かっていないのでしょうか……」

 鉄棒がブケンに近づく。そして、鉄の棒の矛先がブケンの足元に着かれる。

「――――!?」

 ブケンの目は足元の鉄棒に引き寄せられた。そしてドノミは鉄の棒を利用して、棒跳びをし、下を向いていたブケンの頭を蹴りつける。

「ドノミ一点!」

「な――――!!」

 やられたという顔をするブケン。

「一本取ったぞ」

 ブケンの背後にジャンプして回ったドノミだが、肝心の鉄の棒がブケンの手に握られていた。

 ピクリとも動かない鉄の棒。それだけブケンの握力が強い証拠だった。

 鉄の棒を掴んだまま、ドノミに正拳付きをお見舞いする。だが、今度はドノミも鉄棒を持っていない手でガードした。しかし、ブケンからの頭突きが来ると、

「があっ!」

「ブケン四点!」

 鉄の棒から手を離しそうになった。だが、何とかその場で踏みとどまり、鉄棒を両手を使ってブケンから取り戻そうとするが、ブケンは鉄の棒ごとドノミを空中に放り投げ、拳を構えて、

「キミは強かった」

 ブケンがそう言うと空中にジャンプ、うまく態勢のとれてないドノミに正拳突きが炸裂した。

「ブケン五点、勝者ブケン!」

 ドサッと落ちるドノミとスタッと着地するブケン。あまりにも力の差はあったが、一本決められたのが相当嬉しかったのかドノミの口角は吊り上がっていた。

「決着です! 勝者ブケン選手!」

「ドノミ選手の棒跳び蹴りもなかなか良かったですね」

 解説者キートが褒める。

「担架、担架を――」

 倒れて動かないドノミを運ぶため審判が役員に要求していた。

「礼!」

 一人で礼をし立ち去っていくブケン。その姿を観客たちは賞賛した。

「どうだったグラス?」

 ロードが訊く。

「根性ある女だこってーー」

「ハハハ(いいファイトだったぞドノミさん)」

 ロードは拍手をしていた。
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