452 / 743
第九章 正々堂々と実力を発揮する武闘大会
第452話 ドノミVSブケン
しおりを挟む
Cブロックの試合がやって来た。
「ブケンさん、ブケンさん」
ドノミが眠っているブケンを揺する。
「……! 誰だ? オレの眠りを妨げるのは?」
「そろそろ控室に行きましょう。私たちの試合ですよ」
「おっと、それはいかん。お嬢さんこの借りはきっと優勝賞金で……さらば」
ブケンは立ち去ってしまった。
「…………相手が誰だか分かってるのか?」
ロードが言う。
「ロードさん、私頑張ってきます。どうか見守っていてください」
「ああ、行ってこい」
二人はハイタッチした。
▼ ▼ ▼
その後、観客席の後ろの方で立っていたグラスを見つけ座らせ、Cブロックの戦いを見守ることにした。
AやBのように様々な選手たちが出てきて退屈はしなかった。
そして、いよいよその対戦カードは切られた。
「グラス、次が見ものだぞ」
ロードが言う。
「ブケンか……5年間の山籠もりの実力を見たいってか……?」
「そうじゃない、オレが見たいのはドノミさんの実力さ」
「けっ、んなもん大したことねーよ」
グラスが吐き捨てた。
「それでは東の門からドノミさんの入場です! 管理学校界が故郷の元あの大手管理局に勤めていた戦闘員。経歴は管理局対抗試合優勝という華々しい実績です」
実況に合わせてドノミが入場して来る。
「西門から片や5年前、初出場ながらも第1回戦で敗退したブケンさん! わたくし5年前も務めておりましたが今でもその戦いを鮮明に覚えています。さて今回は修行の成果を見せてくれるのか! 期待大です!」
実況に合わせてブケンが入場して来る。
「ブケンさんの資料を見ますと、面白いことが書かれていますが……」
解説のキートが言う。
「さぁ、どうでしょうね~~私は見たいな~~」
実況者のモスが言う。
「両者、気を付け!」
ドノミとブケンの目線が合う。
「女をいたぶる趣味はないから無理だと思ったら棄権してくれ」
「私を女の子扱いしてくれて嬉しいですが、その余裕直ぐに消してあげます」
「礼!」
審判が言うと、二人は頭を下げて攻撃態勢になる。
「始め!」
審判が赤旗を振り下ろす。
その時、ドノミが後ろへ下がった。
「ブケン一点」
いや下がったのではなくブケンの攻撃を食らって持ちこたえたのだ。
「何してんだあの女……」
「見えてなかったのかグラス。ブケンからの攻撃だ」
ロードたちは見守る。
「おや、もう一点はいりました!?」
実況のモスが言う。
「早速使って来たのは様子見と言うことでしょうか? それとも勝負を長引かせない為でしょうか?」
解説のキートが言う。
ドノミはガクンと膝を落とす。
「うん、今の一撃でわかった。キミはオレから一点も取れない。そして本気を出す必要もない」
「な、何ですって?」
ドノミが再び立ち上がる。
「さぁ、きたまえ!」
拳を構えるブケン。
ドノミはお得意の鉄棒を構えて走り出す。そして鉄棒による刺突攻撃を連続で繰り出す。
ブケンは全て、手の甲を使って鉄棒を弾き、躱し、いなしていく。
そして鉄の棒を掴み取られ引き寄せられるドノミは、ブケンから腹に一発、拳を入れられる。
「ブケン二点」
しかし殴られても、鉄棒を手から離さず、意識も保ったままブケンに遅れてのカウンター、蹴り技をお見舞いするが、これも左腕の筋肉によってガードされる。
ブケンは右手で掴んでいた鉄の棒を捨て、ドノミの腹に一発、正拳をお見舞いする。。
「がはっ!」
意識が遠のくドノミ。それと同時に地面に転ばされていく。しかし手にした鉄棒から手は離さない。
「ブケン三点」
「ふぅーーーー」
「出ましたブケン選手の我流拳。これぞ5年間の修行の成果です」
「ドノミ選手は運がなかったですね。これはかなり効いてますよ」
実況と解説が言う。
「もう三点だぞ……」
グラスが呟く。
「ここからだ」
ロードが言う。
「はぁ、はぁ……初めの一撃は何です?」
ドノミが訊く。
「アレはまだ出すには早かった。もうこの勝負で使うつもりはない。さぁ全力で来い!」
「本気を出さないこと後悔しますよ」
ドノミが鉄棒を持って走り出す。
「おっと――ドノミ選手またも鉄棒を持って走り出たーー」
「ブケン選手に棒術は通用しないと分かっていないのでしょうか……」
鉄棒がブケンに近づく。そして、鉄の棒の矛先がブケンの足元に着かれる。
「――――!?」
ブケンの目は足元の鉄棒に引き寄せられた。そしてドノミは鉄の棒を利用して、棒跳びをし、下を向いていたブケンの頭を蹴りつける。
「ドノミ一点!」
「な――――!!」
やられたという顔をするブケン。
「一本取ったぞ」
ブケンの背後にジャンプして回ったドノミだが、肝心の鉄の棒がブケンの手に握られていた。
ピクリとも動かない鉄の棒。それだけブケンの握力が強い証拠だった。
鉄の棒を掴んだまま、ドノミに正拳付きをお見舞いする。だが、今度はドノミも鉄棒を持っていない手でガードした。しかし、ブケンからの頭突きが来ると、
「があっ!」
「ブケン四点!」
鉄の棒から手を離しそうになった。だが、何とかその場で踏みとどまり、鉄棒を両手を使ってブケンから取り戻そうとするが、ブケンは鉄の棒ごとドノミを空中に放り投げ、拳を構えて、
「キミは強かった」
ブケンがそう言うと空中にジャンプ、うまく態勢のとれてないドノミに正拳突きが炸裂した。
「ブケン五点、勝者ブケン!」
ドサッと落ちるドノミとスタッと着地するブケン。あまりにも力の差はあったが、一本決められたのが相当嬉しかったのかドノミの口角は吊り上がっていた。
「決着です! 勝者ブケン選手!」
「ドノミ選手の棒跳び蹴りもなかなか良かったですね」
解説者キートが褒める。
「担架、担架を――」
倒れて動かないドノミを運ぶため審判が役員に要求していた。
「礼!」
一人で礼をし立ち去っていくブケン。その姿を観客たちは賞賛した。
「どうだったグラス?」
ロードが訊く。
「根性ある女だこってーー」
「ハハハ(いいファイトだったぞドノミさん)」
ロードは拍手をしていた。
「ブケンさん、ブケンさん」
ドノミが眠っているブケンを揺する。
「……! 誰だ? オレの眠りを妨げるのは?」
「そろそろ控室に行きましょう。私たちの試合ですよ」
「おっと、それはいかん。お嬢さんこの借りはきっと優勝賞金で……さらば」
ブケンは立ち去ってしまった。
「…………相手が誰だか分かってるのか?」
ロードが言う。
「ロードさん、私頑張ってきます。どうか見守っていてください」
「ああ、行ってこい」
二人はハイタッチした。
▼ ▼ ▼
その後、観客席の後ろの方で立っていたグラスを見つけ座らせ、Cブロックの戦いを見守ることにした。
AやBのように様々な選手たちが出てきて退屈はしなかった。
そして、いよいよその対戦カードは切られた。
「グラス、次が見ものだぞ」
ロードが言う。
「ブケンか……5年間の山籠もりの実力を見たいってか……?」
「そうじゃない、オレが見たいのはドノミさんの実力さ」
「けっ、んなもん大したことねーよ」
グラスが吐き捨てた。
「それでは東の門からドノミさんの入場です! 管理学校界が故郷の元あの大手管理局に勤めていた戦闘員。経歴は管理局対抗試合優勝という華々しい実績です」
実況に合わせてドノミが入場して来る。
「西門から片や5年前、初出場ながらも第1回戦で敗退したブケンさん! わたくし5年前も務めておりましたが今でもその戦いを鮮明に覚えています。さて今回は修行の成果を見せてくれるのか! 期待大です!」
実況に合わせてブケンが入場して来る。
「ブケンさんの資料を見ますと、面白いことが書かれていますが……」
解説のキートが言う。
「さぁ、どうでしょうね~~私は見たいな~~」
実況者のモスが言う。
「両者、気を付け!」
ドノミとブケンの目線が合う。
「女をいたぶる趣味はないから無理だと思ったら棄権してくれ」
「私を女の子扱いしてくれて嬉しいですが、その余裕直ぐに消してあげます」
「礼!」
審判が言うと、二人は頭を下げて攻撃態勢になる。
「始め!」
審判が赤旗を振り下ろす。
その時、ドノミが後ろへ下がった。
「ブケン一点」
いや下がったのではなくブケンの攻撃を食らって持ちこたえたのだ。
「何してんだあの女……」
「見えてなかったのかグラス。ブケンからの攻撃だ」
ロードたちは見守る。
「おや、もう一点はいりました!?」
実況のモスが言う。
「早速使って来たのは様子見と言うことでしょうか? それとも勝負を長引かせない為でしょうか?」
解説のキートが言う。
ドノミはガクンと膝を落とす。
「うん、今の一撃でわかった。キミはオレから一点も取れない。そして本気を出す必要もない」
「な、何ですって?」
ドノミが再び立ち上がる。
「さぁ、きたまえ!」
拳を構えるブケン。
ドノミはお得意の鉄棒を構えて走り出す。そして鉄棒による刺突攻撃を連続で繰り出す。
ブケンは全て、手の甲を使って鉄棒を弾き、躱し、いなしていく。
そして鉄の棒を掴み取られ引き寄せられるドノミは、ブケンから腹に一発、拳を入れられる。
「ブケン二点」
しかし殴られても、鉄棒を手から離さず、意識も保ったままブケンに遅れてのカウンター、蹴り技をお見舞いするが、これも左腕の筋肉によってガードされる。
ブケンは右手で掴んでいた鉄の棒を捨て、ドノミの腹に一発、正拳をお見舞いする。。
「がはっ!」
意識が遠のくドノミ。それと同時に地面に転ばされていく。しかし手にした鉄棒から手は離さない。
「ブケン三点」
「ふぅーーーー」
「出ましたブケン選手の我流拳。これぞ5年間の修行の成果です」
「ドノミ選手は運がなかったですね。これはかなり効いてますよ」
実況と解説が言う。
「もう三点だぞ……」
グラスが呟く。
「ここからだ」
ロードが言う。
「はぁ、はぁ……初めの一撃は何です?」
ドノミが訊く。
「アレはまだ出すには早かった。もうこの勝負で使うつもりはない。さぁ全力で来い!」
「本気を出さないこと後悔しますよ」
ドノミが鉄棒を持って走り出す。
「おっと――ドノミ選手またも鉄棒を持って走り出たーー」
「ブケン選手に棒術は通用しないと分かっていないのでしょうか……」
鉄棒がブケンに近づく。そして、鉄の棒の矛先がブケンの足元に着かれる。
「――――!?」
ブケンの目は足元の鉄棒に引き寄せられた。そしてドノミは鉄の棒を利用して、棒跳びをし、下を向いていたブケンの頭を蹴りつける。
「ドノミ一点!」
「な――――!!」
やられたという顔をするブケン。
「一本取ったぞ」
ブケンの背後にジャンプして回ったドノミだが、肝心の鉄の棒がブケンの手に握られていた。
ピクリとも動かない鉄の棒。それだけブケンの握力が強い証拠だった。
鉄の棒を掴んだまま、ドノミに正拳付きをお見舞いする。だが、今度はドノミも鉄棒を持っていない手でガードした。しかし、ブケンからの頭突きが来ると、
「があっ!」
「ブケン四点!」
鉄の棒から手を離しそうになった。だが、何とかその場で踏みとどまり、鉄棒を両手を使ってブケンから取り戻そうとするが、ブケンは鉄の棒ごとドノミを空中に放り投げ、拳を構えて、
「キミは強かった」
ブケンがそう言うと空中にジャンプ、うまく態勢のとれてないドノミに正拳突きが炸裂した。
「ブケン五点、勝者ブケン!」
ドサッと落ちるドノミとスタッと着地するブケン。あまりにも力の差はあったが、一本決められたのが相当嬉しかったのかドノミの口角は吊り上がっていた。
「決着です! 勝者ブケン選手!」
「ドノミ選手の棒跳び蹴りもなかなか良かったですね」
解説者キートが褒める。
「担架、担架を――」
倒れて動かないドノミを運ぶため審判が役員に要求していた。
「礼!」
一人で礼をし立ち去っていくブケン。その姿を観客たちは賞賛した。
「どうだったグラス?」
ロードが訊く。
「根性ある女だこってーー」
「ハハハ(いいファイトだったぞドノミさん)」
ロードは拍手をしていた。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜
mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!?
※スカトロ表現多数あり
※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる