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第九章 正々堂々と実力を発揮する武闘大会

第448話 試合のルール

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 67名の本戦参加者が決まった。
 スタジアムの上で戦っていた選手たちは一休みしていた。
 敗者となりスタジアムから落とされた選手たちは役員に連れられてその場から去って行った。
 そして気取った格好のおじさんが67名を1カ所に集める。

「勝者の諸君見事な戦いだった。逃げ回っていた者もいたような気がするが、とにかく本戦出場おめでとう」

「前置きはいいから話を進めてくれ」「疲れてんだ。早く戻って休みたい」

 勝ち残った者たちが言う。

「うんうん、わかるよ。けどこれから大切なハオストラ武闘大会の説明するからよく聞いておくんだ」
「まず、ルールから話そう。本戦はあらゆる武器や能力の使用が許可される」
「つまり、キミたちの力をフル活用できるわけだ」
「契約書に書いた能力の詳細は、本戦実況者や解説が観客に分かりやすく説明するために書いてもらった」
「それから、秘宝玉所有者には一部の力を制限して戦ってもらう」
「簡単に言うと殺傷能力のある攻撃だ」
「秘宝玉の攻撃となるとプロテクトオイルでも流石に打撃に変換されないことがある」
「その為、試合前に使用許可の出ない力は使えないと宣告があるので所有者はよく聞いておくように」
「次に試合の勝敗についてだが、こちらは点数制を採用している」
「先に5点、審判が相手に有効だと思ったダメージを5点先取した方の勝ちとなる」
「それからもう一つ、試合中何らかの手段で戦闘不能に陥った者を失格とする」

(殺傷能力のある攻撃か……なんだろう? 最初の一撃とかか?)

「質問したい」

 半身メタリックの男が訊く。

「どうぞ」

「試合前に先ほど浴びたプロテクトオイルで殺傷力を無くすのは分かった。しかし審判はどうなる」

「うーーん、いい質問だ。審判にもプロテクトオイルが浴びせられるから心配はいらない。故意に攻撃すれば反則負けとなるけど、爆発や突風の攻撃で万が一気絶したとき、実況や解説が代わりに審判をする」

「では、観客席ほどまで巻き込む攻撃をしたらどうなる」

(そんな攻撃がこの人にはあるのか)

 ロードが内心不安がる。

「観客席と試合場は完全に遮断されている。幾人かの聖法使いが球状のバリアを張り、観客たちを守っている」
「だからいくら試合場で大暴れしようが観客席まで届くことはない」

(せいほうってなんだろ、後でスワンに訊いてみよう)

「最後に優勝賞品だが、今大会は前大会の優勝者シドウオガの望みにより、優勝者と死闘することで勝った時のみ、優勝者の願いが叶えられる」

「願いが叶う?」

 ロードが口に出していた。

「おやおや、ボーイ、賞品も知らずに参加しているのか? 皆にも言っておくが優勝者には願いが叶う資格と莫大な賞金が手に入る。しかし、シドウオガ選手との試合は強制ではない。死闘に棄権しても願いが叶えられない代わりに、莫大な賞金は手に入る。だから安心して勝ち抜いてほしい」

 静かに聞く選手たち。

「さぁ、説明はここまで、第1回戦は12時頃から1試合ずつ始まる。トーナメント表は既に表の電光掲示板に表示されているから必ず確認してくれ、質問はもういいかな?」

 静まり返る選手たち。

「シドウオガという選手とはどういうルールで戦うんです?」

 ロードが訊いていた。

「前大会、優勝したシドウオガ選手の願いごとが殺し合いだった、だからシドウオガ選手との試合はどちらかが死ぬまで戦うことになる。願いを叶えたくば、シドウオガ選手を殺すしかない。お分かりかなボーイ」

「うん(要するに出なければいいだけか)」

「それでは選手一同解散、頑張って優勝を目指してくれ」

 気取った格好のおじさんがスタジアムから去って行く。

「そうか~~願いを叶えるには前優勝者と戦わなければならないのか~~」

 ヴァーエンが言う。

「ヴァーエンには何か叶えたい望みがあるのか?」

「いいや、特別ないよ。だから優勝賞金を貰って棄権するさ」

「そうか」

 ロードは安堵した。そして立ち上がる。

「ん? もう行くのか?」

「ああ、仲間を待たせているんだ。早く予選突破の報告をしておきたい。それとトーナメント表も見ておきたい」

「そうか~~」

 あくびをしながらその場で眠りこけるヴァーエンだった。

 ロードは出口に向かい、螺旋階段上がっていき、地上に出る。

 
 ▼ ▼ ▼


 トーナメント表の前。
 ロードは第1回戦の対戦相手の名前を見ていた。

(相手はフィルスさんか、どんな人だろう?)

 その時、隣に仮面をかぶった黒マントの女性らしき人がトーナメント表を覗き込んでいた。

(この人も出場選手かな)

 仮面はハチの巣と針のようなデザインのものだった。

「――何?」

 ロードの視線に気が付いた女性が訊いてくる。

「な、何でもないです」

 ロードはその場を後にした。

(何だろうあの人、凄く懐かしい香りがする人だった)

 ロードは不思議な感覚を覚えながらスワンの待つ門前へと向かって行った。
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